□連絡船を彷彿とさせるダービー
アルディージャのマスコットはリス。まあ、いつまで続くかの見通しは不分明ですけど。それに対してコンサドーレのマスコットはフクロウ。リスとフクロウ、どことなく見かける地域の風景が似ている気がする。白樺とか生えてそう。アルディージャの親会社の主力製品は泣く子も黙るエナジードリンク。日本ではただの清涼飲料水なんでしたっけ?対するコンサドーレの親会社の主力製品は「白い恋人」。洋菓子ですね。エナジードリンクとクッキー、、、食い合わせ、飲み合わせは微妙だろうなあ。
なんてことを考えていたら、なぜか「上野発の夜行列車」が思い浮かんできました。大宮は上野発の夜行列車が更に混雑する駅だったことでしょう、たぶん。北の玄関口が上野なら、北へ帰る人たちの見返り柳が大宮、、、なのかな? そして青森から乗った連絡船を降りた人の群れの最終到着地は函館だったのか、それとも札幌へと向かったのか。帰る先が釧路とかだったら、連絡船の地点はまだまだ中間地点ということになりますね。人の群れが向かった最終目的地、その答えは阿久悠のみぞ知る。
□評価が定まらない監督と定評のある監督
さて、小樽からフェリーで新潟を向かい、そして上越新幹線で乗り込んできた(わけがない)コンサドーレは、今シーズンここまで4勝0分6敗の17位。語録が詩的というか哲学的という衒学的すぎて、ある種の人々からアレルギー反応を示され揶揄されがちな岩政監督。語録が詩的というか哲学的という衒学的すぎてるがゆえに信者(ってほど熱烈ではないでしょうが)もいて、評価が両極端ですよね、岩政監督って。まあ、ほどほどそれなりの指導者なんじゃないですかね、今のところ。
迎え撃つアルディージャは今シーズンここまで6勝2分2敗の2位。長澤監督については、もはや評価がある程度定まっている。優秀の範疇に入る指導者だと思います。昇格初年度からの躍進については、スタートダッシュのタイミングで藤井が確変モードに入ったのが大きかった。あと、豊川も良いんですかね?なんか、この試合ではベンチスタートですけど。評価が下がったのではなく、ターンオーバーだと信じたい。
□凸と凹?
というわけでピッチに目を移しますと、まず、コンサドーレはターンオーバーですかね、ダブルボランチが木戸と宮澤というコンビ。なかなか悪くなかったですよ、アジリティ&テクニックで攻撃のスイッチを入れる木戸と持ち前の経験値で守備を引き締める宮澤。前半の札幌の攻撃はここのダブルボランチを経由させ、くさびの縦パスを合図に中央突破していくことが多かったかと思われます。なので非ポジショナルですね。
一方のアルディージャはめっちゃポジショナル。しかも完成度が高い。最近、シービリーブズカップでニールセンなでしこのポジショナルが余りにもハイクオリティで度肝を抜かれたのですが、それに匹敵する浸透度を感じさせました。欧州トレンドを意識してかCKもキッカーが2枚。いまだにCKのキッカーを2枚にすることの効能が理解できないのですが、たぶん、何かの役には立っているのでしょうし、少なくとも谷内田とカプリーニをいちゃつかせる効能はありそうだ。
ともあれ前半の攻防ですが、わりと凸と凹。引き付けたいアルディージャと、押し込みたいコンサドーレなんで組み合わせはわかりやすい。ともあれ、時間の経過とともに徐々にアルディージャがポジショナル特有の蟻地獄にコンサドーレを引きずり込んでいく。クリアしてもクリアしても拾われる。ようやくボールを持てたと思いきや、すぐに囲まれ奪われ裏返される。それでも守備陣が奮闘してスコアレスで折り返しました。
□ゲーゲンプレスモード発動
後半の開始とともに岩政監督は木戸に代えて荒野を投入。木戸も悪くなかったと思ったのですが、宮澤との関係性が固定化して、流動性を出しづらかったということかもしれません。その点、荒野と宮澤なら横の関係を作りつつ、つるべの論理で流動性が出る。後半序盤は圧倒的にコンサドーレのペース。しかし、岩政監督が続けて宮澤から深井にスイッチしたことは功罪相半ばかもしれません。なんとなく、最初から時間区切りで決めていた交代で、試合の流れに沿ったものではなかったようにも感じました。
押された状況を打開すべく、アルディージャの長澤監督は豊川を投入。たぶんそのタイミングでだと思いますけど、その前からなのかな?とにかくシステムを4バックに変えました。そして、その采配が的中。SBにスライドして、より高い位置を取りやすくなった下口のクロスに、大外にスライドしてマークから隠れられた藤井がダイレクトで合わせて先制に成功します。長澤監督的には、してやったりでしょう。
しかも長澤監督は得点してすぐに殊勲の藤井を下げてベテランの和田をピッチに送り込む。つまり、システムチェンジの目的は藤井の配置調整ではなかったということ。では、どういう目的があったのか。それは基本スタイルをポジショナルからゲーゲンプレスに転換すること、だと思う。凄いですねえ、試合途中に戦術の根本を変えてしまうのだから。確かにゲーゲンプレスに豊川はピッタリだ。そして先発してヘロヘロになっていてもおかしくないのに、豊川と連動してフォアプレスを仕掛けた健勇もハンパなかった。
そんなこんなで札幌の反撃を受けきった大宮が、上位の貫禄を見せつける試合になりましたとさ。