大外のレーンを消滅させる相手に川又堅碁と齋藤学を同時投入〜鹿児島ユナイテッドFCvsアスルクラロ沼津(4/13)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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□本当にそれは旨いのか?ダービー

ワタクシ、魚が嫌いです。なのでこうやって遠征してきても海の幸は嗜みません。鹿児島に来ても食べるものは、そう、もちろん黒豚です。本当は名物料理に目を奪われずに、九州の場合は鶏肉を食べておけ、という話でもあるのですが。とはいえ、そもそも鹿児島というか、南の海ってさほど海の幸感を漂わせない。まあ、鹿児島といえばキビナゴなんですが、知り合いに言わせると「せっかくだから食べるけど、そない必死に食べるような味ではない」らしい。そういう意味では沼津も似ている。沼津といえば、すっかり深海魚で、深海魚グルメもガイドブックを賑わせてはいますけど、本当に深海魚って旨いのか?なんとなく「食べることに意味がある!」というような感じが伝わってくる。

でも、何食べたって最後はお茶で喉を通らせるわけで、そのお茶が美味いことで全国に名を馳せているのが、静岡県なり鹿児島県。だからといって安易に“お茶ダービー”に逃げたくないので“ 本当にそれは旨いのか?ダービー”としておきます。

 

□実はフランス大会組ダービー

さて、静岡空港からFDAの直通便で乗り込んできた?アスルクラロですが、今シーズンここまで1勝4分2敗で17位。大苦戦しているようにも見えますが、消化試合が一つ少ないので、実質的にはもうちょっと上の順位なのかな。監督就任以前から「実はああ見えて……」と期待されていたゴンさん、就任後は着々と名将の資質を発揮してきましたし、おそらく尻上がりに成績を上げて、最終的には辻褄を合わせてくれるのではないでしょうか。

迎え撃つ鹿児島ユナイテッドは4勝3分1敗で2位。相馬さん、名将のカテゴリーに入りますよね。町田→川崎→町田→鹿島→大宮と歴任して、川崎とか大宮では悔しい思いもしてきたでしょうが、実は地味に監督としての安定感が着実に増しているようもに思われる。何かと地に足着けないまま、無理やり昇格して、案の定、すぐに降格した近年の鹿児島ユナイテッドに落ち着きを与えるにはうってつけの人材なのではなかろうか。

 

□前半は鹿児島の方が優勢でしたが……

というわけでピッチに目を移します。まずはアスルクラロ。システムも4123ですし、典型的5レーンサッカー。ポジショナルというか、“相手の守備をひっくり返して、最短距離でゴールに突進”というスタイルですね。渡井と柳町からなるISHはアシンメトリー。渡井がボランチっぽくて、柳町セカンドトップっぽい。“アスルクラロといえば”な森がいませんねえ。ベンチにも入っていないのでケガですかね?

一方の鹿児島ユナイテッドは4バックですし、5レーンではありません。ただ、 “相手の守備をひっくり返して、最短距離でゴールに突進”という部分では近年のトレンド、典型的ではないものの、ポジショナルっちゃあポジショナル。カウンターでは2トップの一角がサイドに流れたりして、2人で3レーンを行き来する感じ。で、ここは変わらず相馬サッカーってところで、逆サイドのSHが真ん中に絞る。攻撃ではピッチの左右どちらか半分に全員が位置を取るスタイルです。

ともあれ前半の攻防ですが、かなり強風で、どちらかといえば鹿児島が風上に近い角度だったんですかね。鋭いカウンターからCKのチャンスを量産しつつ、流れの中でもサイドを崩す。そういう展開から最後はボランチの山口が決めて先制に成功します。しかしアスルクラロも時間とともに鹿児島のスタイルに順応。要するに横の揺さぶりが有効ってなわけで、主に右サイドへのサイドチェンジで相手守備陣を浮き足立たせる。そしてかなり雑なピンポン的ロビングで相手守備陣の裏を取った柳町が決めて同点に追いつきました。

 

□後半も鹿児島の方が優勢でしたが……

相馬さんがやってるサッカーの意味が少しわかりました。ピッチの半面に全員を集めるサッカーと言われますが、そうではなくって、逆サイドの大外のレーンを消滅させてしまうサッカーなのではないか。そうすると通常5レーンのところが4レーンになるのだから、442でレーンを埋めることができる、みたいな。それで、片方4レーンに意識が集まったところで、消滅させたはずの逆サイド大外をヌルッと使う。しかも、そこにセクシーパスを出せる山口を入れる。そりゃ、アスルクラロも苦戦するというものです。

そんな状況を打開すべく、中山監督は奥の手を繰り出します。川又堅碁齋藤学の同時投入。シビれますね。とはいえ、2人がここのステージで戦わざるをえない現状も伝わってきて、少し寂しくもありましたけど。川又は、そもそもボールが入らない。それはつまりボールを引き出すための動き出しができないということ。齋藤学に至っては、ドリブルで仕掛けるということが一回もなかったのではあるまいか。時折、菅井がボールを持てば2人にパスが届きましたが、なかなか見せ場はなかったですねぇ。

川又と齋藤学の投入によって、少なくとも中盤の運動量は低下したアスルクラロ。ゆえにハーフウェーをめぐる攻防では鹿児島が圧倒的な優位に立ちます。しかしアスルクラロの守備秩序も最後まで崩れない。そこはおそらく川又と齋藤学の存在感が影響してる。「あの2人に預ければ、どうにか苦しい状況を助けてくれる」というベテランならではの安心感が、チームに余裕を与えていたのでしょう。結局、鹿児島ユナイテッドは最後まで勝ち越しゴールを決められず、1ー1のドローで終わったとさ。