□オーソドックスでないダービー
平日の18時キックオフですってよ。19時キックオフでも一般的な定時退社だと全く間に合わないってのに、18時キックオフをわざわざ見に行くんだから、我ながら道楽者と言わざるを得ない。念のため言いますが、隠居して悠々と年金生活を送っているわけではない。時間給で働いているわけでもございません。お月給を頂戴しながら雇われ人をしているものです、ワタクシ。まあ、タイミングが良いと可能なんですね、こういうことも。皺寄せは自分でかぶるだけですし。
そんな、世間的には決してオーソドックスではないワタクシですが、この日の西が丘でマッチアップした両チームもあまりオーソドックスではない。クリアソンは「地域の特性を鑑みて」という意味がわかるのかわからないのか謎の理由でライセンスを交付されてますし、グルージャに至ってはノヴァが入って秋田が入ってノヴァが抜けて秋田も抜けて、元の木阿弥なのか、元の木阿弥にも戻れてないのか、何が何やらわけがわからない状態。両クラブとも、どこかでリスタート地点を固めた方が良さそう。それが最も難しいのでしょうけど。
□元Jリーガー監督同士
さて、東北新幹線で乗り込んできた?グルージャですが、PK勝ちとかそういうのを無視すると3勝1分0敗で3位です。監督は菊地利三が再登板しているらしい。さほど特筆すべき成績を収めてきた指導者ではないですけど、足下グラッグラッなクラブには、こういう歴戦の熟練がいてくれた方がピッチ内外において安定感が出る。地域の信頼を改めて積み上げたいというフェーズにおいては、これ以上ない適任者なようにも思われます。
迎え撃つクリアソンはPK勝ちとかそういうのを無視すると1勝0分3敗で8位。完全にビリ、東海地方で言うところのドベ。率いるのは北嶋秀朗監督なのか。そうか北嶋か。リーダーシップはある選手でしたけどね。コーチとしても兄貴分。監督してはどうでしょうか。選手のラインナップを見る限り元Jリーガー路線ですが、JFLって元Jリーガー路線が苦戦する印象もある。鍵は走れるコンディションにある選手がどれだけいるかってところでしょうか。
□“いかにも”っていうスコアの動き
というわけでピッチに目を移します。まずはグルージャですが、守備時は442になります。攻撃時に442なのか4231なのか4123なのかはよくわかりません。西が丘のバックスタンドですから。スタイルとしては今なお00年代のサッカー選手を象徴する髪型を堅持する牟田率いる最新ラインから裏抜けの低弾道ロングパスを出せれば出したい感じ。ポジショナルといってよいかどうかは怪しいですが、見る人によっては「何がやりたいか見えない(怒)」ってわめき散らすような、欧州トレンド風です。
一方のクリアソンも守備時は442です。攻撃時はワントップなのかゼロトップなのかともあれ上手すぎる中山がフリーマンっぽい感じでしょうか。スタイルはボランチが持つサッカー。ジャパニーズスタイルというか、日本の育成で叩き込まれるのであろうやり方。奪ってからはドリブルで持ち上がって、そのままシュートというより、相手SBにスルーパスを出すシーンが多かったかと。
ともあれ前半の攻防ですが、個人技に勝るクリアソンが、より多くの決定機を築いていましたが、先制したのはFKからの流れを確実にモノにしたグルージャ。よく“決定力の差”という言葉が用いられますが、個人的にあまりその表現が好きでなく、シンプルに“決まったか、決まらなかったかの差”と表現しておきたいと思います。決まらないのは個のシュート技術というより、チーム全体のバイオリズムだと思うんですよね。
□しっかり繋ぐのアリ地獄
それにしてもクリアソンはテクニシャン揃いです。中でも「島田―菊谷―中山」のセンターラインはえげつない。ただし、足下があるだけに逆に負のスパイラルに陥ってるような印象も無きにしもあらず。手数への意識がグルージャとは好対照でした。クリアソンは繋げるだけにパスの数が増える。そうしている間に相手守備陣が組織としての間合いのようなものが作れてしまうんだと思うんですよね。だから崩しているようで最後は決めさせてもらえない。逆にグルージャは持ったら打つ。追加的もハイプレスから相手のミスを誘発して、そこから一人でシュートですもん。
クリアソンは反撃に出るべく澤井を投入したのですが、ヴェルディユースの10番が加わったのだから、そりゃ、さらにパス交換が増える。余計に繋ぎ倒すのアリ地獄。「こりゃあかん」のパターンでしたが、 岡本の投入が転機となりました。岡本は最初の数プレーで、とにかくシュートへの意識を見せた。思いっきり足を滑らせたミスシュートが味方に繋がってゴールが生まれる。示唆に富むプレーだったと言わざるを得ない。そして、その示唆に後押しされたのか、クリアソンは雑なクロスから同点ヘッドを叩き込みます。そうなんですよ、しっかり繋ぐと攻めのリズムと守りのリズムが共鳴して点が入らないし、雑に攻めると向こうの守りの間合いが整ってないからあっさり決まったりもするんですよ。試合はPK合戦の末、グルージャが勝利を収めましたが、クリアソンとしても得るものがあったのではないでしょうか。