ワールドカップもたけなわですが〜ベレーザvsレジーナ(12/4)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

□たけなわ、漢字で書くと「酣」あるいは「闌」

そんなわけでワールドカップもたけなわなのですよ。ってことを書いた途端に思ったことが一つ。「たけなわ」って言葉、最近とんと使ってないなぁ。よく考えてみれば、「たけなわ」って、「宴もたけなわ」って使い方しかしない。そして「宴」が2020年の春先からめっきりなくなってしまった。「宴もたけなわですが、二次会に行きたい人は店の前に残りましょう、いぇい!」とか言わなくなったから、そりゃ「たけなわ」って言葉を使わなくなるよね、と。

ともかくワールドカップもたけなわなわけですが、我々はそんな「ハレ」にうつつをぬかすのではなく、「ケ」を生きていくわけですよ。秋春制には真っ向反対のワタクシですが、今回だけは秋春制のウィーリーグに感謝です。まあチーム数が少ないから真冬は中断できて、しかも最北が仙台だからこそ可能な芸当だとは思いますけど。

 

□両チームの現状

とりあえず、今シーズン初めてのウィーリーグ観戦ということで、今シーズン初めての順位確認もしてみた。そうか、今年は浦和が快走しているのか。逆に星川さんが去ったINACは今ひとつ波に乗れない感じ。ナーゲルスマンがバイエルンを解任されそうになったときくらいの勝ち点取得率かなと思ったら1試合消化が少ないので実質首位争いの成績でした。そしてベレーザは、、、3位。4試合で勝ち点9なんで全然悪くはないですけどね。

ジーナは11チーム中の8位なので決して良くはない。去年は6位でしたから、そのあたりのことを考えてもロケットスタートとはいかなかった。まだまだ、今節が第5節ではありますが、全20節の短期決戦ですから、そうそう悠長なことは言ってられません。とはいえ、スコアを眺めると1ー2で負けることが多く、大崩れはリーグカップ予選のベレーザ戦くらい。得点も取れているので、本人たち的には、さほど悪い印象はないのかもしれません。

 

□小バエとヨギボー

さてピッチに目を移すとベレーザは去年から引き続き433でポジショナル。アンカーは三浦。スタイル的には守田とか山口蛍みたいなタイプで、こういう選手は1列高くおいて、パサーを底に置いた方が良いのではないかとも考えたりしますが、ISH適性の高い木下と岩崎がおりますから、こういう並びになります。中盤でこねくって狙われる場面とかもありましたけど。

対するレジーナは中嶋(11番)と瀧澤(33番)の11の倍数コンビが両SH、近賀(10番)と小川(15番)の5の倍数コンビがダブルボランチを組む442。攻撃のパターンは高い位置で奪い返してのショートカウンターが中心だったでしょうか。というよりも低い位置からビルドアップしてシュートまで持っていく精度はないというような感もありました。近賀が左に流れたりする場面もありましたが、ベレーザの中盤逆三角形を潰して、ほぼその位置からミドルシュートを打つような場面が多かったように思います。

それにしても、たまたまなんでしょうが、スタンドに小バエというか虫が多かったですね。ずっと手でシッシッってやってないといけなかった。虫軍団は時折ピッチにまで襲撃して、ラインズマンとかがビクッてなってたのですが、ウィーリーグの審判って全体のスポンサーであるヨギボーがシャツの背中に入っているので、なんか副審の背番号が「ヨギボー」のように見えてしまったりしるのはワタクシだけでしょうか?

 

□中嶋の一閃と木稲の横っ跳び

この試合のベレーザ、キックオフ時は右SBに宮川で左が木村だったんですけど、前半の途中でテレコにしたんですよね。そして、後半途中に再びテレコ、つまり元に戻した。中嶋対策もあったのか、右は構えて左が上がるみたいな役割分担っぽかったので、そのあたりの組み合わせを微調整していたのかもしれません。

ただ、坂部と小林を投入してからの総攻撃モードになったのと同時に左右を元に戻したことが、あるいは裏目に出たかもしれません。単純な追いかけっこなら宮川より木村の方が速いんですかね。前がかりになって、宮川が広大なスペースを疾走する中嶋をケアしなければならない状況で、しっかりと走り負けてしまった(マーカーが宮川じゃなかったらすいません。遠い側のサイドでよく見えなかった)。独走になった中嶋が左足を一閃。広島が先制点を奪いました。

追いかけることとなったベレーザはすぐさま宇津木を投入。投入直後にロングシュートでチームの目を覚ました宇津木は、その後もツボを押さえた野心的なプレー選択でチームを活性化します。しかし、ベレーザがシュートを打てば打つほど、前半から横っ跳びのセーブを見せていた広島GKの木稲のリズムが良くなっていく。終盤の木稲は、いわばファインセーブ製造マシーン。現代のGKの役割は多岐にわたりますが、やっぱり最終的に最も美しいのは横っ跳びセーブなわけで、そういうGKの美しさを見せつけ続けた木稲の活躍もあって、広島がベレーザをウノゼロで破る結果となりました。

ゴールドがスターリバーを降す〜YS横浜vsガイナーレ鳥取(11/12)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

□新旧大都会対決

一応、予定ではこの試合が今シーズン最後のJリーグ観戦となります。ヘンテコな時期にワールドカップをやるので、オフシーズンが長くなりますねぇ。天皇杯も終わってしまいましたし、ベレーザとか女子サッカーを見れるタイミングでは見に行きますか。ともあれYS横浜と鳥取。この両チームを率いているのは、かつて一度は名将との賞賛を得ていたスターリバーさんとゴールドさんですから、それなりに引き締まった試合になるのではないかと期待です。

「YSCCとガイナーレ」ではなく、「横浜と鳥取」って考えると対照的ですよね。横浜市は市町村でありながら370万人の人口を抱えている。それにしても対し鳥取県島根県と合算しても130万人いかないくらい。モータリゼーションとは残酷で太平洋ベルト以外は厳しい、特に山陰は厳しい。日本海水運華やかなりし頃なら、米子とか、いまの横浜に比肩するくらいの大都市だったはずなのですが……

 

□スターリバーvsゴールド

さて女子サッカーの名将ことスターリバーをシーズン途中から招き入れたYS横浜は、しっかりと上昇傾向です。それまでは、圧倒的最下位というか、いまの鳥取県の人口くらいの比率の勝ち点獲得率だったのが、あっという間に最下位脱出。それにしてもそろそろ現実味を帯びてきたJ3からの下部リーグ降格制度が実際に発動したら、YS横浜はどうするんですかね?もともと無理やり誘われてJリーグに入れされられた感もあったクラブですし。

逆に「Jリーグ目指すんだ!」つってJ2まで駈け足で上り詰め、そこで貯金を使い果たし、気がつけばJ3で低迷することとなっている鳥取は、もちろんJFLとかJ4とかへの降格はそうそう簡単に甘受しないでしょう。あくまで高みを目指すプロクラブ、そうなると財政基盤をもっともっと強固なものにしなければならないのですが、横浜市の三分の一(の更に半分)の人口ですからねぇ、「頑張れ岡野!」と心の奥で応援するより他ありません。

 

鳥取の先手

この日のYS横浜は、これまでの3421ではなく352でした。コンディションかカードトラブルか序列が下がったのかは分かりませんが河辺がいなかったので、そのあたりのことと関係しているのかもしれません。山本がアンカーに入って菊谷と松井がISH。菊谷がどうも主審との相性がうまくいかない感じでしたね、松井がずいぶんとケアしてました。

対する鳥取は我らが四中工出身の田口が先発。ルーキーイヤーから着実に試合経験を積んで、いまやすっかりエースの貫禄。先週見た沼津の試合では同期の森夢真も先発していたので2週連続での勇姿拝見です。そんな鳥取の攻撃は2トップの一人が外に開いて、SHは真ん中に絞る。SBもインナーラップというか、似非ボランチというか、とにかく大外を爆走する感じではない。割と中央突破なスタイルです。

YS横浜はスターリバーさんがポジショナルを仕込んでいるらしく、低い位置で着実に回しながら状況を作ろうとします。そして、そこに鳥取は猛然とプレスをかける。前半は鳥取の前プレvsYS横浜のポジショナルつなぎ、といった構図で試合が進んだのですが、その応酬を制したのは鳥取。右サイドの折り返しを石川大地が決めて先制しました。このゴールシーンは、数的に不利でない状況を作って、そこから各々が1対1を制してのものですので、なかなか良いカタチだったのではないでしょうか。前半は鳥取リードで折り返しました。

 

鳥取圧勝

後半になって追い上げたいYS横浜ですが、どうにも主審のジャッジに振り回される。J3水準として特別にひどいレフェリングではなかったかと思われますが、結果的にホームのYS横浜にフラストレーションがたまる展開となりました。そんなYS横浜を横目に鳥取は粛々と追加点をあげていく。後半15分頃には石川がサイドを突破するとたまらず宮原がエリア内でファールを犯し、PK献上。石川が自ら決めて突き放します。

試合の方向性が定まったことでキンジョンソン監督も動きやすくなり、アタッカーを2枚同時投入して前線の運動量をテコ入れ。ただ、それでも時間の経過とともに前プレの運動量は低下する。少しずつ攻撃のカタチを作れるようになったところでYS横浜は松井大輔がお役御免。中盤の和田を3バックに入れて、柳と古賀のポジションをスライドさせると、ここから試合はオープンな展開に。

星川監督は残り15分というところで今シーズンでの引退を表明したフランチャイズプレーヤーである大泉を満を持して投入します。しかし、大泉の引退に花を添えようと逸る気持ちが抑えきれなくなったYS横浜は、さらに前掛かりになってしまう。鳥取からすればおあつらえ向きの状況の発生です。YS横浜が思いっきり前掛かりになって、裏のスペースがスカスカになったところを突いて清永がダメ押しのチーム3点目を決めると、終盤には石川がハットトリックを達成。YS横浜はCBの藤原を前線に上げっぱなしにするなどギャンブルに出ていたので3失点目と4失点目はさほど気にする必要はないでしょうが、とにもかくにも鳥取の完勝となりました。

 

J3であっても見応えのある試合は見応えがある〜福島ユナイテッドvsアスルクラロ沼津(11/6)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

□怪我の功名

いやあ、「ラブライブ!」なのですよ、遠征してこの試合を見ることになったきっかけは。本当は9月上旬に沼津で試合を見る予定だった。ところが、当日、朝から沼津駅前の様子がおかしい。アスルクラロの夏限定(?)ユニを着ている人がたくさんいる。しかも、普段あまりスタジアムで見かけない雰囲気を醸し出しているタイプの人がたくさんいる。慌ててHPを調べてみたら、「ラブライブ!」の声優さんがご来場とのこと。そそくさと踵を返して、試合を見ることなく帰京したのでございます。

ということで、今シーズン中にアスルクラロの試合を見るとなると、、、福島だったわけですよ。まあ、怪我の功名でした。だって、11月初旬の福島、特に前日とかは会津にいたのですが、会津鉄道沿線各地とか、どこを散策しても360°全開の紅葉なのです。スタジアムの人入りと一緒で、4割方埋まるとけっこうな賑々しさになって、8割を越えるともはや見た目はギッチリな感じになる。会津の山々、その8〜9割がオレンジでしたよ。感動的に美しかった。

 

□まあまあ現実的な立ち位置

福島は開幕当初は快進撃でしたが、その後はやや停滞して、そこから極端に浮上することはないまま、シーズン終盤を迎えております。春先は「いわきFCと首位決戦か⁈」みたいな勢いでしたので、そこと比較すると少し寂しいですけど、福島ユナイテッドというクラブの基礎体力を鑑みれば、服部監督は十分によくやっているといえるのではないでしょうか。

対する沼津は、現在は秋田で監督をしている吉田謙監督のもと快進撃で駆け上がってきましたが、吉田監督退任後は低迷を続けております。といっても吉田監督を継いだ今井監督や現在の望月監督がどうのこうのというよりも、そもそも論として吉田監督がスーパーすぎたのであって、後任は誰がやっても苦労していたでしょう。同じ静岡の藤枝が絶好調で昇格を窺う位置にいますけど、沼津は沼津で一歩ずつという感じでしょうかね。

 

□両チームともちゃんとサッカーをやっている

さてピッチ上の福島は、システム的にはアンカーを置いた352かと思われますが、2トップの高橋と延が縦関係っぽかったので、中盤ダイヤの541風にも見えた。といってもWBがかなり高い位置を取るので31411みたいな感じですけどね。個人的注目の樋口はISH、元FWでプロ入り後はボランチメインだったのでISHは天職かもしれません。

対する沼津は森夢真がFWで先発!ツートップの相方はボランチとか中盤セントラル本職の北。彼はポストワークが上手いですねぇ。カラダが強いのか、しっかり安定した体勢からワンタッチで流したり、足でスラしたり、なかなかでしたよ。チームとしてやってるサッカーは、安在がインナーラップするなど当世風味を織り交ぜながらも“theオーソドックスな442”ってな感じ。中で作ってサイド爆走みたいな。ある意味で静岡が王国だった頃のサッカーとも言える。

試合はコーナーキックを頭で合わせた大武のヘディングシュートで福島が先制します。いまだに大武と牟田の区別がつかないワタクシですけど、そんなことお構いなしの先制ゴールでした。その後は両チームとも狙いを表現しようとしあう引き締まった応酬が繰り広げられます。互いに決定機を作りましたし、沼津に至っては前半だけでバーとポストのナイスセーブに遭いました。加えて程よく両チームともに熱くなるバチバチ感もあった。J3としては十分に見応えのある前半45分でした。

 

□前掛かりの中央突破をひっくり返すカウンター

後半になると沼津が前向きのギアをさらにもう一段上げて猛攻を仕掛ける。特に徳永と菅井のWボランチや、安在と藤崎の両SBが中盤でボールを上手く回収して、味方が攻撃するターンを終わらせない。藤崎の「崎」については「山」が「奇」の上に来る異体字ですけど変換できないので、そこは失敬。ともあれ沼津が攻める。

ただ、ですね、90〜00年代の442サッカーにありがちなパターンとして、サイドに開いて折り返して、そっから先が中中になる。あるいは相手のクリアボールを奪うとそのまま裏返そうと中中になるってのがあって、この日の沼津はまさにそういう感じ。中中の狭いところでも森夢真がテクニックを発揮してリターンをワンタッチ鬼パスで返したりしていましたが、なんせ鬼パスですから、受け手がシュートを撃てない。森夢真本人も前後半1回ずつの決定機を決めきれないなど、スコアを動かすことができません。

そうしているうちに福島も沼津の攻撃のリズムに慣れてくる。慣れてくると前掛かりになった相手守備陣の裏を突くカウンターも多く発動できるようになる。ただ福島は福島で、カウンターの際に高橋に依存してしまう悪癖がある模様。どうしても高橋を探してしまい、かえってリズムが狂ってしまうというシーンも散見しました。とはいえ福島のカウンターが鋭さを増すという趨勢に変化はなく、エリア内に3人が走り込むチャンスでクロスに大外の橋本陸が併せて試合を決めました。J3中位と下位の対戦ではありましたが、ちゃんとサッカーを見たという満足感を覚えた一戦でした。

 

男城福の真髄〜東京Vvs岡山(10/23)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

□後楽園と喜山康平

一般的に「日本三大○○」といえば、その3つ目は数合わせであって、それゆえ諸説が咲き乱れて一定しないというのが相場ですけど、日本三大名園については完璧に固定されていますよね。金沢の兼六園、水戸の偕楽園、そして岡山の後楽園。後楽園といえば後楽園ホールや、かつての後楽園球場からわかるように都内文京区にもございます。というわけでヴェルディの今シーズンラストマッチは後楽園ダービーとなりました。

この試合のダービー要素はもう一つあって、先日、岡山が喜山(ほか)の戦力外を公式リリースしましたね。喜山といえばもともとヴェルディの下部組織出身。いろんなタイミングが噛み合えば、ヨミウリ育ちらしい10番になっていたかもしれませんが、とにかくこの人はヴェルディとの巡り合わせが良くなかった。ともあれ、そんなこんなで、この試合は喜山康平ダービーでもあるのです。

 

□オトコ木山と男城福

ここにきて僅かに勢いが頓挫している感もなくはないですが、今シーズンの岡山は躍進しました。これまでいくつかのクラブを率いて悪くない成績を収めてきた木山監督ですが、いよいよ指導者としてブレイクスルーするチャンスです。オトコ木山の岐路とも言えます。「男木山」と書いて見たのですが、なんだか「男木島」みたいだし、「男体山」っぽくもある。それにしても木山(きやま)監督が喜山(きやま)康平を戦力外にしたのか……

ホームで迎え撃つヴェルディは、俄然ここにきて絶好調です。男城福の真骨頂というか、規律のある組織からアグレッシブに攻めにかかる。ただしアグレッシブな攻撃は今ひとつ視覚化されず、規律ある組織がクローズアップされがち。ゆえに、バルサを神格化しティキタカを信仰する欧州サッカーフリークからは、どうにも評価が微妙になってしまうわけですけど、前々任者とは違って、口だけ番長とはならずに足下の地盤をしっかり固めている印象です。

 

□左で作って右へ出す

岡山はシーズン後半ずっと3バックで戦ってきたのですが、この試合では4バックでした。プレーオフへの布石かしら?バイスがいなかったから?ともあれ中盤はダイヤです。尤もボックス442のボランチが1列上がったというより4123のCFがトップ下に引いた感じでしたので、中盤の左右はSHではなくISHに近い。ゆえに、攻撃での横幅が少し不足していたかもしれません。

対するヴェルディですが、山本理仁が移籍して本職のボランチが薄くなったと心配していたら、それまで2列目で活躍してきた森田と、4列目に食い込んでいた馬場というWボランチコンビで落ち着いたらしい。特に森田は完全にコンダクターとして君臨している。むしろ攻撃の組み立ては森田ありきになっていて、彼が絡まないと馬場から河村のロングパス(サイドチェンジ)くらいしかパターンがないような気もしなくはない。とはいえ馬場→河村みたいな、相手の注意を左に向けて右を使うというのは有効なカタチであったらしく、先制点も梶川だか加藤蓮だかが左から入れたクロスに、2トップの裏で隠れていた河村が合わせたゴールでした。

そんなこんなで先制された岡山ですが、もちろん気落ちなんてすることなく攻撃を続けます。他方、ヴェルディヴェルディでしっかりカラダを張って弾き返す。「なぜそこで誰もいかない⁈」ってシーンは、少なくとも体力に余裕のある前半には皆無に近かったと思いますので、そのあたりは城福さんの手腕なのではないでしょうか。

 

 

□らしい逃げ切り劇

後半の頭から岡山は成瀬に替えて永井龍を投入。佐野航大が右に移って、SBなのかWBなのか判断が難しいポジションを取り、たぶん352だけど守備の時は4枚っぽいシステムへと調整してきます。それにしてもこの日は暑かったですね〜。というか直射日光がえげつなかった。だったらメインスタンドのチケットを買えって話でもありますが、集中して観戦するには頗る不適合。

そんなワタクシの心の乱れに呼応するかのように、岡山守備陣の集中力も乱れます。イージーな横パスを佐藤凌我にかっさらわれて、そのまま決められてしまいました。それにしても佐藤凌我、決定力がありますね。GKと一対一になったとはいえ、必ずしも有利な態勢ではなかったですし、パターン的には8割方外してしまうシチュエーションだと思ったのですが、あれを決めるか〜。裏抜け決定力の佐藤凌我と、「とりあえずお前はそこにいろ」系の染野、悪くない組み合わせですよね。

お尻に火がついた岡山のオトコ木山は、既に切っていたジョーカーのデュークなど、積極的に手持ちのカードを投入していく。それに対して男城福も平を投入。平とンドカが真ん中、深澤と谷口が両SBで奈良輪が1列上がりましたかね。押された中では奈良輪が落ちて5バック状態にもなっていましたが、その後に奈良輪はバスケスバイロンと交代していたので4バックのままだったかと思われます。

終盤はバー直撃など岡山の攻勢の前にヒヤリとする場面も散見しましたし、オフサイドに助けられた幻のゴールもありましたが、まずは城福監督らしい、「先制したら、そうそう崩れない」ってな逃げ切り劇だったと思われます。

吉田達磨の“吉田達磨”の部分〜天皇杯決勝(10/16)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

□天の邪鬼に

いやあ、まさかまさかの天皇杯決勝。いったい、どこの誰が神奈川県横浜市にある日産スタジアムにおいて広島と甲府がトーナメントの決勝を戦うと予想しただろうか。なんやかんやで天皇杯にせよ、ルヴァンにせよ、決勝の片方は一都三県のクラブだということが多いので、ここまで関東から遠くて、かつ、言い方悪いですけど全国区的なネームヴァリューがあるわけでもないチーム同士の対決になるとは。

甲府でデビューして台頭した選手が広島に抜かれるという構図が2010年代にはあったので、これがリーグ戦だったらそれなりに興味深いんですけどね。案の定というか、全席種とも当日の朝の段階でJリーグチケットでは売り切れになっていない。……そうなるとワタクシの出番なのですよ。東アジア選手権であれば韓国vs中国、昔の方式のキリンカップなら日本以外の2チーム同士の試合とかを西が丘あたりに見に行きたくなる天の邪鬼ですから、こういうマッチアップが大好物なのです。お腹いっぱい堪能させて頂きます。

 

□名将vs名将予備軍

最近、老眼が進行していましてね、でもサッカーの情報はたいていスマホの画面で読む「エルゴラッソ」なので、いろいろ苦労することも多い。その最たるものが広島の監督さんで、日本語の感覚との兼ね合いもあって、スキッペ?なのかスキッベ?なのかがわからなくなる。まあ、どうやら名将だった模様。わが応援する四日市中央工業的にいうと森島が順調に10番としての役割を果たしていて喜ばしい。あとは浅野が適応してくれると、なお喜ばしい。

対する甲府ですが、最近、松竹芸能の「みなみかわ」さんが『ゴッドタン』で「みなみかわさんの“みなみかわ”の部分さえなければ……」とイジられてますけど、4バック(4123)にしてからのヴァンフォーレって、吉田達磨の“吉田達磨”の部分が思いっきり発動されてる印象があります。吉田達磨監督も“吉田達磨”の部分さえなければ名将になっているのに、みたいな。

 

□下克上?

広島はこの日もいつもの3421。両WBをバックスと考えるなら5バックで、その5バックのチョイスが、離脱者の兼ね合いもあるかもしれませんが、なんだか経験重視。荒木はそれなりに若いですけど、他が柏・ササショー・塩谷・茶島ですからね。ボランチは大黒柱の野津田と台頭著しい川村拓夢。シャドーの満田と森島、このあたりは若い。で、ドウグラスヴィエイラ

対する甲府も、この日は3バックに回帰してきました。相手がJ1の広島ということもあってか、守備でも慎重に構えて、奪ってからは素早く裏抜けロングパスという感じ。4123でもなければ、ショートパスでつなぎ倒すわけでもない。吉田達磨が“吉田達磨”の部分を封印してきた。……ということは、それに比例して勝率が上がったりするのでは⁇

実際、先制したのは“吉田達磨”の部分にメリハリを効かせたヴァンフォーレ。FKから大きく展開。サイドを攻略してからは“吉田達磨”の部分が全開になって鮮やかにつなぎ倒す。完璧に崩し倒したところに侵入した三平が合わせて先手を取りました。それにしても三平、上手くなった?吉田達磨さんは選手を上手くする指導者と言われますが、1番上手くなったのは三平ってことない?風間さんにせよ吉田達磨さんにせよ、「トラップを正しく置けば、そうそう取られない」ってことを最重視する印象もありますが、三平のそういう部分がとても上達したように見えましたよ。

 

□大団円

まさかの追いかける展開となった広島は、後半開始から森島とドウグラスヴィエイラを下げてベンカリファとエゼキエウを投入します。いやあ、ベンカリファ、知識としては知っていましたが、ホント、サッカーのツボを押さえたプレーヤーですね。特別なことはしないのだけど、そのシチュエーションでその1個があれば局面を作れますよねって場面でのプレー選択を誤らない。さすがです。

さらにスキッベ監督は早め早めにカードを切って野上と松本を投入する。野上はそのまま右WBに入り、松本はボランチに。ボランチの川村が左WBにスライドします。3バックの場合、消耗の激しいWBにテコ入れするのが常道ですからね。甲府甲府で荒木に代えて野澤陸を投入。守備力の高い須藤をWBに上げました。

両監督が知恵を振り絞るなか試合は膠着し、残り10分というところで両ゴール裏のボルテージも一気に上がると、その追い風をスコアにつなげたのは広島。川村が乾坤一擲のゴールを決めて試合は振り出しに。こうなると地力に勝る広島が有利。しかし、甲府はくじけない。というか広島が攻勢を一段落させてしまったという印象も強い。延長戦に入ってからの山本英臣&河田劇場については贅言を要さないと思いますので、せっかく現地観戦した者らしいことに触れておくと、PK戦は最初、甲府のゴール裏でやる方向性だったらしくカメラクルーとかが一斉に民族大移動。しかし蓋を開けてみると広島ゴール裏でやることに。再び民族大移動が発生してました。重い機材を運びながらの小走り、大変お疲れさまでした。

星川さんの手腕〜YS横浜vs今治(10/15)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

□造船ダービー

今治には何度か行ったことがあります。ここ数年はすっかりタオルの町としてブランドイメージが定着してますね。駅からバスで10分くらいでしたか、しまなみ海道とかそっち方面に向かう船のターミナルがあって、駅とお城と港と、どこが町の中心かがわかりづらいってのはさておき、今治といえばそもそもは造船の町というイメージ。

造船の町といえば横浜だって負けていないのであって、知ってる人にとっては有名な話ですがランドマークタワーにある窪地状のフリースペースはかつてのドック跡をそのまま生かしたもの。とはいえ、神奈川で造船といえば横須賀の印象が強いですよね。自衛隊もネイビーもありますし。横浜市というのはバカみたいに市域が広いので横須賀とも隣接しているわけですが、つまり横浜は横須賀の横っすか⁈  ……。

 

□どちらも、ようやっとる

さて今治ですが、さすがは岡ちゃん肝いりでチームを作り上げてきただけあって、当初のプランにおける最短距離ではないかもしれませんが、財務状況を極端に悪化させるみたいなことにもなってなさそうですし、新興クラブとしては成績的にも他のいろんなクラブと比較すれば順調ですね。失礼ながら、他のJ3クラブに比べても、J1やJ2での実績面が劣る選手の多いラインナップながら健闘していると思います。個人的には大宮の去り方があまりにも不憫だった三門を応援したい気持ちでいっぱい。

対するホームのYS横浜については、先週に引き続き2週連続での観戦です。鹿児島戦を見た印象では、さすがは星川さんだけあって、「さしあたりこういうサッカーをしようとしているのだな」というのはちゃんと伝わってきました。規律をもって手数の少ない攻撃を繰り返すという、いわば現代サッカーの王道。このパターンだと前線のアタッカーに守備への献身性と、攻撃での集中力が求められますので、そこは、まあ、頑張ってもらいましょう。練度が上がれば、「次から次へと湧き上がる」になるのかな?

 

□松井と山本のWボランチ

さて試合内容ですが、今治のWボランチは25番の楠美と50番の三門。25番と50番からなる25の倍数コンビってなかなかレア。それにしても三門って、あんなに生え際がデンジャラスな状態でしたっけ?それからヴェルディっ子の楠美のタックルも少しデンジャラス。アフター気味で前半だけでも4〜5回、カード予備軍的なプレーがありました。そこまで悪質って雰囲気でもないのですが、なんというか、間が悪いんですよね。足を残しすぎる癖があるのかな?

一方でYS横浜は、前回は松井がWボランチとはいえトップ下に近く、システムも5311風にも見えたのですが、今回は綺麗な3421(541)。松井はむしろシャビアロンソっぽく後ろに構えて、相棒の山本が猟犬のごとく高い位置で走り回るという関係性でした。

松井が中央でゲームメイクに集中する分、とにかく山本は走り回されるわけですが、神様はちゃんと見ているもので、そのご褒美として一世一代レベルのドッカンミドルを決めさせてもらえました。山本のファインショットでYS横浜が先制します。さらにYS横浜はたたみかけ、ワタクシがスマホ今治の選手のプロフィールを調べている隙に河辺が追加点。河辺はその少し前に周囲の完璧なお膳立てでキーパーとの1対1を迎えながらも、ものの見事に駆け引きに敗れてしまっていたので、いわば二度目の正直です。ホッと胸をなで下ろすかのようなセレブレーションが微笑ましかったです。

 

□悠然と逃げ切る

後半開始とともに今治は動きます。前半は山田とパクスピンというSHコンビだったのが、後半は左SBから一列上げた上原とフレッシュな島村というコンビにそっくり入れ替わります。前半の今治は攻撃が中央突破からのスルーパス一本槍になっていたので、中に切れ込んでいくタイプの選手から縦に仕掛けるタイプの選手にパターンを変えたのだと思われます。実際に後半に入ってからは横幅を使ってからのクロスか増えて、一方的に攻め続けることとなりました。

とはいえYS横浜の星川監督とて指をくわえて見ているわけもなく、前線に脇坂を投入しました。この交代は効果的で、ロングボールに競り合ったり、ボールをドリブルで持ち上がったり、脇坂はしっかり前線で時間を作り態勢の建て直しに貢献します。となると、今治にはさらに押し戻す必要が発生するわけで、ついに切り札である駒野が登場。改めて攻撃のギアアップを図りました。

とはいえYS横浜も徐々に今治の攻撃パターンに慣れてくる。そして少し気が緩む。ってところで中途半端に中盤を押し上げて最終ラインの動きも緩慢になったところで、今治の千葉がその隙を見逃さず追撃のゴールを突き刺します。YS横浜的にはこれで逆にネジをもう一度締め直すきっかけとなり、星川さんも明確に逃げ切りを指示するような選手交代で守備強度を高めると、わりと早い時間帯、残り10分+ロスタイムくらいの時間帯からボールキープモードが発動。そのまま今治をイライラさせながら悠然と逃げ切りを完遂しました。やっぱり星川さん、良い監督です。

大団円〜大宮vs山口(10/9)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

□地味に滲み出るダービー感

この試合はダービーなわけですよ。何ダービーかというと、そりゃ“オレンジダービー”に決まっているのですが、昔々より都市伝説的言説としてまことしやかに“オレンジ互助会”なんて言葉が語り継がれてきておりますので、果たして今回も発動するのだろうか?

この試合には、もう一つダービー要素があって、それは“霜田ダービー”。山口で評価を高めた霜田さんは、救世主的に大宮に招聘され、毀誉褒貶ありつつ、最後は毀と貶が多めの状況に陥って解任されました。攻撃的志向の高い歴代監督に鍛えられてきた山口と、守備の安定を優先する戦い方で長い年月を積み重ねてきた大宮の、いわば“哲学”の相克をどことなく感じずにはいられませんが、ともあれなんやかんやで因縁がないわけではない両チームが対峙する一戦です。

 

□ちょいと上向きの山口と、ちょいと停滞感のある大宮

ここ数試合の山口はようやく名塚イズムが浸透してチームが軌道に乗ってきた感じですね。前々節では衝撃の6得点ですし。最近の戦績を眺めると8月27日の徳島戦を落として以降は不敗。得点に至ってはノーゴールに終わった8月6日の山形戦以降、必ず得点を奪えている。そんなうまくいかないことは今年のジェフが示しているとはいえ、シーズン佳境に至っての上り調子、否が応にも来シーズンへの期待が膨らみます。

逆にホームの大宮は今シーズン絶不調。ずっぽり残留争いの主役を演じてきてしまっていて、一度上向きかけた勝ち点獲得率もここにきて停滞局面。とはいえ下の2チームの状況を鑑みると、傍目には意外と余裕があるように映らなくもない。本人たちはとてもそんな感覚になれないでしょうけど。相馬さんになってからの大宮を見ていると、改めて菊地俊介の偉大さを感じさせられるというか、彼がボランチで出ていた試合は勝てていて、FWでの出場でも勝ち点を拾える一方で、離脱すると勝ち点獲得ペースがガクッと落ちる印象です。

 

 

□大宮が先手

ということでキックオフ。大宮は栗本と小野が出られないらしく大山と茂木が先発。両SBが攻撃参加が持ち味というより構えたポジションを取るタイプなので最早4CB状態ともいえなくもない。で、中盤4人のうち3人が大山・小島・矢島という最適ポジションがISHな組み合わせ。そうなるとモビリティ系の柴山がアクセント役を担うことになるわけですが、柴山、良い選手ですね。

対する山口は最近の流れを踏襲して3バックなんですけど、一見すると4バックに見える時間帯も特に序盤は散見しました。右CBの高橋が右SBっぽく香車になって右WBの吉岡と並列になって前の5レーンを形成し、逆サイドの左WB橋本は左SBっぽく構える、みたいな。前が最終ラインに落ちる頻度が増えるにつれて明確に3バックだとわかりやすくなりましたが、ちょいと可変要素があるようです。

スコアは前半の早い時間帯から動きました。大宮はほぼほぼファーストアタックで先制に成功する。右のフリースペースを攻略すると、鬼のようなポジティブトランジションでゴール前に走り込んだ中野が頭でクロスに合わせました。電光石火というか、一撃必殺というか、とにかく見事なゴール。そして、これによって中野はケチャドバモードを発動させ、先制点と同じような感じで大宮が乾坤一擲気味にカウンターを発動させると、再び決める。今度は裏抜けからドリブルで持ち込んで、そのままシュートを打ち込んで決めきりました。前半は“肉を切らせて骨を断つ”の履行に成功した大宮がリードして折り返します。

 

□後半

後半の開始とともに山口は高橋に替えてボランチの成岡を投入。同時に前が右SBとなる4バックへとトランスフォームしました。そして4バックへの変更が功を奏したかどうかはともあれ1点差に追い上げます。岡庭と小島のパス交換が乱れたところから山口がショートカウンター。池上がエレガントに相手を交わしてラストパスを出すと、そこから成岡をビューティフルショットを突き刺しました。

これで勢いづく山口。大宮は劣勢に立たされます。その要因は4バックになってからISHへとポジションを移した田中渉を捕まえられなくなってしまったから。流動的に動く中盤のなかでも出色のアジリティを生かす田中渉にツーラインのうちの前のラインが乱されます。しかし、そこからの守備が大宮は粘り強かった。とにかくシュートコースを消し続け、体を投げ出したシュートブロックでピンチを処理していきます。終盤になっても守備の秩序が乱れないまま、残留を決める逃げ切りを果たしました。結果として最小失点に押さえたことよりも、最後までゴール前における守備の秩序を崩さなかったのが素晴らしかった。そのあたりは、さすが相馬さんです。

試合終了後は大宮にも主力として長く在籍して、先日引退を発表したレノファの菊地がスタンド前を一周。大宮サポーターの菊地コールがこだましました。引退は寂しいですけど、声出し可能の試合で、勝利で残留を決めた上に、功労者を次のステップへとしっかり送り出せたのだから、大宮としては大団円と言えるのではないでしょうか。……まだ、2試合ありますけど。

 

鹿児島が勝負強さを見せつける〜YS横浜vs鹿児島(10/8)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

□なぜが鹿児島を三ツ沢で

本来ならこの試合は観戦する予定じゃなかったんですよね、夏の時点では。何もなければ沼津で鹿児島戦を見ているはずだった。でも、何かがあったから三ツ沢で鹿児島戦を観戦することになったのです。何があったのか。

それはまだ暑さがピークの9月初頭。観光も兼ねて伊豆に乗り込んでいたワタクシ。旅行の〆に沼津vs鹿児島を計画していて、当日の朝、三島から沼津へと移動します。……なんか様子がおかしい。ふだん見かけないタイプの人が沼津の限定ユニフォームを着てワサワサしている。慌ててアスルクラロのホームページを確認してみると、「『ラブライブ!』の声優さんがスタジアムにご来場!」的なことが書いてある。……なるほど、そういうことか、こりゃ参った。かくして試合を見ることなく空しくお家に帰ったのでありました。

 

□リバウンドメンタリティ

その段階であれば、無敵の鹿児島を見られたかもしれません。夏過ぎまでの鹿児島って、ホントに勝負強かった。ところがここにきての前々節ですよ。鳥取相手に衝撃的な大敗。キンジョンソン監督が率いるチームですから、圧倒的な攻撃力が爆発するってことは十分ありえる話とはいえ、低空飛行を続けていた鳥取にボコボコされるというのはリーグ終盤に向けていささか不安にさせます。ただし前節ではしっかりとリバウンドメンタリティを発揮していたので過度な心配は無用かもしれません。

ホームのYS横浜は、例年、けっこうな試合数を観戦するのですが、いろいろな巡り合わせのなか、今シーズンは10月になって初観戦。知らないうちに監督が女子サッカー界の名将である星川さんになっていました。なので仲田さんを一度も見なかったことになる。……まあ、仕方ないですよね。リヒャルト後遺症というか。もともと予算規模がうんと小さい上に、主力を軒並み長野に持っていかれましたし、こうなるのは容易に予想できたところ。星川さんの手練れに期待するしかありません。ここから最後だけでも意地を見せるのもリバウンドメンタリティの一つのあり方と言えるでしょう。

 

 

□取り戻して初めて思い知る平和の貴重さ

ピッチ上のYS横浜を眺めていると、柳が3バックの右に入ってましたね。そしてめちゃくちゃ効いていた。守備では粘り強さで相手に自由を与えず、また、読みの鋭さをいかしたパスカットも出色。次に吉田が左のWB。大ベテランのバンディエラにWBをさせるのだから、星川さんはドSなのか?さらには松井がおりましたね。フットサル部の所属から11人制に復帰したとは聞いていましたが、普通に先発しているのか。松井が中盤の真ん中だったので、システムは3421と352の中間形態というか、5311というか、5131というか。

対する鹿児島ですが、大嶽監督はベテラン・中堅再生工場的なところがあるらしく、ある程度は経験を積んで名も知れた選手が多かった。木出と薩川くらいだったですかね、「よく知らないなぁ」という選手は。

前半に実感したのは、もはや三ツ沢にモンスタークレイマーなリヒャルトがいないということ。罵詈雑言が飛び交わないピッチというのは、こんなにも清々しい気持ちで見れるのか。戦後75年以上が過ぎて、我々昭和生まれが子どもの頃に聞かされた常識からは驚くばかりに保守が復権し、戦後的価値観へのアンチテーゼが強まる中、「平和は失って初めてその貴重さを思い知る」というテーゼも忘却されつつありますが、同時に平和は取り戻された瞬間にこそ、その貴重さが実感できるらしい。罵詈雑言のないピッチ、三ツ沢に平和が戻ってまいりました。

 

□値千金端戸仁(語呂が良い)

ちなみにYS横浜は前半のうちに右WBを韓から宮内に交代しております。見た感じだと負傷したという雰囲気ではなかったので、おそらく米澤対策ということだったかと思われます。鹿児島は、右で作って大きく入れて、なぜかフリーの米澤がヘッドで折り返す、というシーンが頻出しておりましたので。米澤は、このステージだとアスリート性も技術もワンランク上ですね。

後半になっても両チームが積極的に選手を入れ替えていく。とはいえ構図は変わらない。鹿児島が攻めて、YS横浜がカウンターを仕掛ける、の応酬です。それにしてもYS横浜はブロックを組んだ守備、特にエリア内での対応が粘り強かった。さらにカウンターの機会でも、むやみやたらにムリ目なポジショナルつなぎをしたり、縦ポン一辺倒になったりせず、局面打開の一撃必殺レーザービームで河辺とか菊谷とかの推進力を生かしておりました。粘り強い守備といい、手順が整理されたカウンターといい、星川さんがちゃんとトレーニングを施していることが伝わってきます。

圧倒的に攻めながらもゴールが生まれず、昇格のためには勝ち点を落とせない鹿児島には次第に焦りの色が濃厚に。その焦りは「まあ、J3ですから、そうなりますよね」という審判の不安定なジャッジに向けられる。ゴールが決まったかに見えても謎のオフサイド、それに対するYS横浜の決定的なクイックリスタートも謎の笛で止められる。スタジアムが淀んだ空気に覆われそうになった後半ロスタイム、ついにスコアが動きます。木出(だったかな?)のクロスに端戸が合わせて値千金の移籍後初ゴール。鹿児島が持ち前の勝負強さを発揮して、昇格に一歩近づくことに成功しましたとさ。

 

最後は経験値の合計値の差〜WEリーグカップ決勝(10/1)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

□WEリーグを中間評価する

これまで「なでしこリーグ」として歴史を積み重ねてきた女子サッカートップリーグ。ここにきて、おそらく世間的には「突如として」プロ化へと舵を切ることになって、そして、1年が経とうとしております。それとともに、この新しいリーグ戦は秋春制だというところにも特徴があります。

ただ、プロ化にしても秋春制にしても、正直、理念先行ですよね。1993年にJリーグが発足したときは、一強のプロ野球に付加すべきプロスポーツが社会的要望として求められていた。簡単にいうと「野球の次はサッカー、サッカーもプロを目指しても良いんじゃない?」という社会意識みたいなものがあったように記憶しておりますが、そういう世の中的な後押しが果たして女子サッカーのプロ化にもあったかどうか。どうも、サッカー協会の偉い人が、「社会がそれを望んでいるから」ではなく、「我々はそれを理想とするから」という理由で見切り発車してしまった感が今なお拭いきれないというのが正直な印象です。

 

□喪失感

まあ、確かに世界的に女子サッカーの地位を向上させようという意識高い系ムーブメントがあるのは確かで、男子同様、トッププレーヤーが渡欧するという流れも加速している。その嚆矢ともいえる存在が浦和Lの安藤と猶本ですよね。二人とも貴重な経験を積み重ね、それを還元するかのように、ここ数年の浦和Lを牽引しております。

一方、トッププレーヤー渡欧の潮流に目まぐるしく翻弄されているのがベレーザであり、ワタクシ。いやあ、清水梨紗、イングランドに行っちゃったよ。原菜摘子が可愛いというルッキズム全開でベレーザの試合を、当時の自宅に近かった西が丘とかに見に行くようになったワタクシ。その原ちゃん引退の喪失感を埋めてくれたのが当時10代の清水梨紗だったわけですよ。清水梨紗が既におっさんだったワタクシの青春なんてものでは決してないですが、清水梨紗の青春がワタクシの女子サッカー観戦の歩みではある。いやあ、喪失感。

 

ベレーザが圧倒した前半

さてチームを再構築しなければならなくなったベレーザですが、システムは433。CFに植木、アンカーが三浦、CBは村松と岩清水のコンビなんでセンターラインは盤石。清水梨紗が抜けた右SBには西川彩華が入っておりました。ジェフLにいた西川は、浦和Lに移ったはずなんですが、今シーズンはベレーザなのね。そういう意味ではこの試合は西川彩華ダービーなのか。

対する浦和Lは塩越がボランチにコンバートされらしい。で、左のSHには安藤。去年ならば安藤がボランチで塩越は不動の左SHだったので、テレコになったということですね。柴田と塩越のボランチコンビだと、特に前半は横並びになりすぎる雰囲気もありましたけど、これから成熟させていくのでしょう。それから元FWでSBにコンバートした清家が1列上がって右SHに。J2ジェフの米倉が右SHをやっているようなものなので、こちらには違和感がない。

試合はベレーザが先手を打ちます。右からの折り返しが流れたものの追いついた北村のクロスに、少し集中力を切らした浦和守備陣が対応しきれず植木に決めきられてしまいました。さらに前半のうちに浦和Lは続けざまに失点。序盤から怪しかった最終ラインのつなぎでミスが発生。植木にボールも2点目もプレゼントしてしまいました。前半の2失点に関しては浦和最終ラインの「なんやかんやでどうにか処理してしまう」力が足りませんでした。

 

□浦和の逆襲

後半になってもしばらくは前半と同じ構図。浦和がいろいろ試行錯誤するのだけど、ベレーザのポジショナルにやられてしまうという繰り返し。そんな展開に変化が起きたのは猶本を右SHにスライドして、菅澤・清家の2トップにしてから。猶本のトップ下はそれはそれで持ち前のスペース察知能力を発揮していたのですが、決定打に欠いており、状況を打開できないままセットプレーからダメ押しの3点目をきめられてしまうことに。

しかし、追いつめられたことで2トップにしてからの浦和は違った。ベレーザの即時奪還をアバウトなボールでかわすと、清家がスペースを謳歌して鋭いカウンターを発動させる。左に流れてからカットインして追撃弾を決めると、続けざまに清家的ドリブルを発動。コーナーに逃げられたとはいえ、そのCKを猶本が蹴ると、バー直撃シュートの跳ね返りを最後は安藤が押し込んで1点差とします。猶本のCKって、無駄にじらさず、さっさとリズミカルに蹴るのが良いですね。後半40分頃には、そのリズミカルCKからベレーザ守備陣のハンドを誘発し、PKをエースの菅澤が確実に決めて、ついに同点としました。

ベレーザは四苦八苦しながらどうにか前後半90分をしのぎましたが、延長戦のないPK戦では勢いそのままにベレーザを飲み込んで、浦和Lが初代カップ戦チャンピオンとなりました。ベレーザ宇津木瑠美しか流れを変えられるような、経験のある選手がいなかったのが響きましたかね。昨シーズンから続く「代表クラスと10代しかいない」という歪な構成は改善しないといけないと思われます。

 

群馬が見せた熟練のゲームコントロール〜ブラウブリッツ秋田vsザスパクサツ群馬(9/18)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

 

□バスのトラブル

そういえば秋田、やらかしましたよね。厳密にはブラウブリッツが契約したバス会社がやらかしたんですけど。なんと、スタジアムからのシャトルバスを発車すると告知しておきながら実際には配車しなかったとか。これは公共交通ユーザーのワタクシには由々しき問題であります。

この日はデーゲームなので路線バスで十分に賄えるらしく臨時便はないようですが、もう一つ問題がありましてね。昼の時間帯はドル箱路線というか、駅に向かって集約されて同一ルートになるということでしょうか、多くの路線が利用できます。逆に言うと、秋田駅からの乗り場があれこれ分散していて、何番の乗り場に行けば良いか、イチイチその都度調べないといけない。要するに三ツ沢に行くときの横浜駅状態です。三ツ沢ならば岡野町まで歩いてから乗れば解決するんですけど、秋田の場合、千秋公園入口で乗れば解決するのかどうか。念のため、ちゃんと乗り場を調べて秋田駅前からバスに乗りました。

 

 

□一本気と侠気

さて、ここ数シーズンの秋田は安定しております。なんせ吉田監督が明確なコンセプトで着実なチーム作りをしている。吉田監督を端的にあらわす言葉、それは「一本気!」ということになりましょう。ブレない。そして熱い。あっという間に秋田をJ2にまで引き上げて、そして今シーズンもここまで貫禄の残留圏キープです。まだまだ油断のできる状況ではありませんが。

対する群馬は、今シーズンから組長こと大槻さんが率いておりますが、吉田さんが「一本気!」だったのに対し、大槻さんの場合「侠気」でしょうか。いや、それは「組長」との異称からくる単なる連想ゲームか。そんな大槻さんは、浦和での最初の監督代行は良かったですけど、それ以降は正直パッとしない。今シーズンも、それまでのザスパを劇的に浮上させるには至っておらず、ザスパ的には定位置になりつつ降格圏でのサバイバルに巻き込まれております。

 

□似てるぞ

この試合の秋田は、2トップが斎藤と青木という組み合わせ。秋田はCFタイプというか前線でカラダを張れる選手が多い。先発の二人に加えて武と吉田の4枚で2トップを回してますが、他にも中村と井上もCF起用可能。その次に才藤なんですかね。ただ才藤はアスリート能力が高いですからね、勿体ないのでSBで起用されています。というか彼のロングスローを生かすためにはSBってのは適材適所だったりする。

対する群馬は、まずGKの山田。試合前に秋田ベンチへと挨拶に来ていた。調べてみたら、沼津のU15に所属していたようなので、吉田監督が沼津のトップチームを率いていた頃に重なっているんですかね?

そんなことよりも、ですよ、なんか群馬のサッカー、秋田のスタイルに似てません?大槻さんも吹っ切ったのか、そもそもシーズン当初よりこのスタイルだったのか、とにかく縦に蹴ってスピード&パワー、ラン&ガンで仕留めにかかる。ボランチがテクニカルな風間でなくパワフル系の岩上なのがその象徴かもしれません。ただ、秋田との違いは、その中にも田中稔也という足下系を入れていること。そして、その田中がスコアを動かしました。もっとも攻撃の形は左の小島がシンプルに入れて、鈴木か川本がゴール前で頑張って、そのこぼれたところで田中が決めるというものだったのですが、とにもかくにも前半のキーマンは田中稔也でした。

 

□似てるがゆえに

後半になっても試合の流れはさほど変わらない。後半の最初の方と試合終了間際に秋田の波状攻撃があって、前半にもあった1回を加えて計3回「あとは押し込むだけ」というスーパーチャンスが秋田にはあったのですが、群馬はカラダを投げ出した人海ディフェンスでことごとく相手のシュートを受けきり、掻き出す。そういう守り方ができたのは、一にも二にも試合を通じて群馬のリズムが良かったからこそなのでしょう。

なんせ似たもの同士ですから、秋田のリズムは群馬のリズムなわけで、秋田が自分たちのスタイルで攻めれば攻めるほど、群馬の守備陣もノってくるという皮肉な構造がありました。それから細貝の存在感もあるのかもしれませんね。彼はいついかなるときも危機察知センサーを働かせて誰よりも早い出足を見せるし、かつ、悠然としている。彼がボールに触ると途端にチーム全体が落ち着きを取り戻すってのがスタンドからでも見て取れました。

もちろん、それは細貝一人の個人戦術などではなく、大槻さんが時間をかけて丁寧にチームに叩き込んできたものだと思われます。ロスタイムを含めて、慌てず騒がず時計の針を粛々と進めていきましたし、城和と風間を投入して532としてからのゲームコントロールには惚れ惚れしてしまうような泰然さがあった。比例して秋田サポーターの溜め息が漏れる回数が増えていく。ひょっとしたら秋田サポを最も湧かせたのはハーフタイムにワッキーとヒデさんが披露した鉄板営業ネタだったかもしれません。群馬が残留に向けて大きな勝ち点3を死守しました。