お世辞にもハイテンションな試合ではなかった〜浦和レッズvsセレッソ大阪(10/5)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

□東京駅のあっちとこっちダービー

いやあ、ついに大宮レッドブルズ爆誕することに、あいなりましたね。「爆誕する、爆誕する」とは聞いていたが、まさか本当に爆誕するとは。レッドブルグループのお作法に則ってチームカラーも変えちゃうんですかね?たぶんそんな強硬策は採らないんじゃないかと期待しますけど、なんせ外資ですから、「その辺は空気を読んで!」が通じないかもしれない。そうなれば、浦和とは仁義なき“赤”戦争です。赤いヘルメットとかかぶり出さないことを祈るのみ。

一応、三菱からは独立した組織になっているんですよね、レッズって。とはいえ旧財閥的カルチャーは残っているでしょうから、まさにレッドブルズとはイデオロギー闘争。かつてサッカー界では三菱(レッズ)、古河(ジェフ)、日立(レイソル)が“丸ノ内御三家”と称されていたと聞きますし。「そう考えると、ヤンマーもそうじゃん?」とか思いましたが、かつては格安高速バス乗り場、近年は最新鋭オシャレビルとなったヤンマービルは丸ノ内ではなく八重洲側でした。

 

□中位対決

さて、ディーゼルエンジンの動かす力で乗り込んできた?セレッソですが、ここ5試合の成績は2勝1敗2分で、順位は9位。可もなく不可もなくって雰囲気。とはいえ直近3試合に限定すれば2勝1分。リーグも終盤を迎えたところで再び上昇気流に乗ってきたということでしょうか。最近のスタメン情報をチラッと見たら、「必殺!6人の日本人選手が汗をかいて、4人の外国籍選手で点を取る!!」作戦はやめたらしい。

迎え撃つレッズですが、ここ5試合は1勝2分2敗で順位は13位。ヘグモさんからスコルジャさんに監督交代しましたけど、それだけで急上昇するほど甘くはないってことでしょう。ヘグモさんも成績だけみれば途中解任するほどではなかったですよね。勝手なイメージですけど、なんとなく日本人には近づきがたいオーラを漂わせていた印象があります。結局そういうところが求心力に影響したのかな?監督が途中解任されるかどうかって、外野からでは判断できない、“選手からの求心力”って部分がまあまあ大きそうですし。

 

□レッズの低調

というわけでピッチに目を移します。まず、セレッソですが、マテウスがいましたよ、ローター・マテウスが。ピンクのチームに、ローターが。リベロ=3CB中央で10番を背負う選手。田中駿汰が3CB中央での起用だったんですよね。チーム全体としてのスタイルはポジショナルというより日本古来から伝わるボランチが縦パスを入れていくサッカー。田中が3CB中央に構えることで5バックで5レーンに対応しつつ、第3のボランチとしてボールを回していくという狙いでしょうか。

一方のレッズはセンターハーフが原口・渡邉凌磨・安居という3人。なんか誰がボランチで誰がトップ下でも変わりがなさそうだし、正三角形でも逆三角形でも、どちらでもいけそう。スタイルとしてはポジショナルなのですが、せっかく相手を剥がして縦に入れたり、あるいはストーミングでボールを奪っても、そこからもたつきます。ポジショナルでそれはけっこう致命的。スコルジャになってからサンタナではなくリンセンが使われていた理由はそういうところにあるのかな?サンタナセレッソみたいなサッカーの方が合いそう。

ともあれ前半の攻防ですが、序盤はレッズが押し込んでいたんですけどねえ。少しずつセレッソに対応されるようになると、コーナーキックを為田に足で合わされてしまって失点です。で、それからは、どちらかというとセレッソが相手陣内で試合を進めるようになる。レッズのチャンスが全くないわけではなく、セレッソも「これが浪速のいてこましじゃ!」ってモードに持ち込めていたわけでもないのですが、総じて相対的にレッズがより低調な前半となりました。

 

セレッソ逃げ切り

後半になるとレッズは息を吹き返す。息を吹き返すって程ではないてすが、おそらくスコルジャが選手にやらせたいのであろう動きを、選手が実行するようになる。簡単にいうと、ボールを受けた選手が、「このパターンのときはそこを相手が空けているはず」というレーンに向き直す動きするようになった。ただ、それでもポジショナルな必殺フィードは出ない。思うに、佐藤&井上の両CBのフィード力の問題かもしれません。彼らは各駅停車のパスに終始していましたので。

受けに回ったセレッソは前線でレオセアラが孤軍奮闘。どれくらい孤軍奮闘していたかというと、勢い余ってラインズマンにぶつかって倒れかけてしまうくらいに孤軍奮闘。本当はCFが孤軍奮闘しているように見えているようじゃダメなんですよね。正直、前後半を通じて、セレッソにこれといった連動性は、ほとんど見られませんでした。「こういう攻撃を再現性高く繰り返したいのだな」ってのが伝わってこなかったです。

追いつかなければならないレッズは、大量にベンチ入りしていたアタッカー陣を矢継ぎ早に投入。なかでも中島が入ったことの影響は、それなりにあったように思います。彼はポジションを時に捨てるので、その分だけ相手のマークがズレる。結果として右サイドにスペースが作れていましたが、セレッソの堅守を崩すには至らない。逆にセレッソは時間稼ぎキープが上手かった。これだけは連動していた。最終盤はレッズも攻め手を失い、セレッソが逃げ切りを成功させましたとさ。

福田翔生劇場〜湘南ベルマーレvs鹿島アントラーズ(9/28)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

□SBダービー

平塚と鹿島か……うーん、海に近いことくらいしか共通点が思い浮かばんぞ。敢えて言うなら、そうか、名良橋晃がいるな。まだチーム名が“ベルマーレ平塚”だった頃、“湘南の暴れん坊”などと愛称されましたが、その“暴れん坊”要素は多分に、この人と岩本輝雄の両SBが意識されてのものだったような。ファンタジスタ系アタッカーなのに左SBをさせられていた岩本輝雄の相方だった名良橋晃は、わりとすぐにアントラーズへと移籍して、その後も長く活用しましたね。

逆にアントラーズからベルマーレへと移籍した選手として思い浮かんだのは山本脩斗。もともとはジュビロでのデビュー。なんとなく宮崎智彦とトレードみたいな関係性で鹿島に移り、これまた長く活躍。キャリアの晩年はベルマーレで過ごしました。ベルマーレ時代でいうと、この人が3CBの真ん中(この世代の表現をすると“リベロ”)で出場しているときのベルマーレには安定感がありました。とはいえ本職は名良橋同様にSB。ゆえにこの一戦は“SBダービー”なのです。

 

□不調同士

さて、6時2分に一日1本だけある鹿島神宮駅発大船行きを戸塚で乗り換えて乗り込んできた?アントラーズですが、不調です。リーグ戦ここ5試合の成績が0勝3分2敗。それでも順位は4位という上位をキープしているものの、夏以降の失速を明瞭です。柴崎が復帰して、即座に重用されていますが、ただでさえ発病していたポポ将の持病“特定の選手を寵愛して、それ以外は使わない”病が、柴崎の加入により、さらに重篤化した雰囲気です。ってことは、柴崎は長谷川アーリアジャスール枠ということか?

迎え撃つベルマーレアントラーズに負けず劣らず不調。リーグ戦ここ5試合の成績は1勝0分4敗。順位も降格圏が間近に迫る17位。残留を争う鳥栖に勝ってるので、「全く勝ってないわけではない」「直接のライバルには勝っている」感が漂ってしまいますが、なんせ、ここ5試合の前の5試合が3勝1分1敗でしたからね、広島東洋カープを彷彿とさせる失速です。町田のもたつきも合わせて考えると、神奈川……ではなく、相模線近郊には「お盆を迎えると具合が悪くなる」という、夏休みの小学生みたいな風土病でもあるのだろうか。

 

□鹿島が先手

というわけでピッチに目を移します。まず、アントラーズですが、名古がトップ下でアーリア……柴崎がボランチでしたね。不調を踏まえてポポさんも少しイジってきました。とはいえ、メンツ自体は変えないところがポポさん仕様。というか、単純に知念が出ていなかったことの影響かな。サッカーの内容は、欧州人のポポさん率いているにもかかわらず、歴代ブラジル人監督に率いられていた頃のアントラーズ風。鉄壁のCBが弾き返して、ミドルサードにおける攻防で相手を上回ることに命をかける。

一方のベルマーレは、序盤から典型的なポジショナルスタイルが炸裂。最終ラインで回しつつ、相手が食いついたところで急所をえぐる縦パスを入れていく。そして裏返す。内容は良い。これを見せられると、なかなか山口監督を切れない。特に左WBの畑が多くフリーになっていました。ただ、問題はペナルティエリア幅のクオリティですよね。植田・関川を上回らないことには仕方ないのですが、そこの壁が厚くて高い。

前半については、そんなわけで総じて湘南にイニシアチブがありました。しかし、それでもアントラーズはCKから濃野が先制ゴールをきめる。こういう試合運びも、歴代ブラジル人監督に率いられていた頃のアントラーズを彷彿とさせる。濃野は前半のうちに2点目も決める。今度はインナーラップから。「お前は 金井 貢史か!」と。インナーラップとかは、歴代ブラジル人監督に率いられていた頃のアントラーズには少なかったかもしれません。

 

□同点、そして逆転

前半終了間際、鈴木章斗のゴールでベルマーレが反撃の狼煙を上げていました。なんとなく鈴木優磨へのファウルかな?ってプレーが流されて、しかもオフサイドくさい感じもありましたが、VARは入らなかったので、そういうことだったのでしょう。とはいえそれでアントラーズが気落ちするようなことはなく、後半はしばらく鹿島のペース。中盤における攻防で優位に立って、全体的にベルマーレのエンドで試合を進める。アタッキングサードでの横パスのテンポ感が良かった。

ベルマーレは攻撃が少し単調になっていて、サイドからグラウンダーの折り返しを入れるものの、ニアを越えることなく跳ね返されるってシーンが連続しました。そんな中で、(たぶん)福田(か、誰か)がペナルティアークあたりまで落ちてボールを中継すると、ファーの大外の畑はどフリー。しっかり同点シュートを突き刺しました。シチュエーション的には宇宙開発パターンだったので、よく決めましたね。

福田翔生はさらに畳みかける。同点ゴールのざわめきも収まらない中、今度は自らの仕掛けから勝ち越しゴールを決めきりました。こうなるとアントラーズは厳しい。なんせ、前半に2点入れたとはいえ、チームの機能性で相手を上回っていたわけではなかったですからね。反対にベルマーレは上手く時計の針を進めます。途中出場の根本が地味に利いてましたね。フィジカル的に植田・関川を相手にしても互角のしばきあいができるので、時間を作ることができていました。

っつうわけで、ベルマーレが少しだけ残留を近づける勝ち点3を得た試合となりましたとさ。

シュタルフの逆襲?〜相模原vs今治(9/21)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

□毛利氏ダービー

FC今治といえば、かつてのチーム名が“ 愛媛しまなみFC”であるように、しまなみ海道な土地柄。しまなみ海道といえば瀬戸内海の島々に橋をパッチワークして広島県愛媛県を結びつけたルートですが、その一帯は、かつて村上水軍が跳梁跋扈した地域です。村上水軍はさらに、広島県寄り村上、真ん中村上、愛媛県寄り村上の三氏に分けられるそうですが、そのうちのどれかが、厳島の戦いにおいて毛利氏に味方して、そのおかげで毛利氏が勝ったみたいな。

その毛利氏の発祥の地は実は神奈川県厚木市だったりします。大学生の頃、体育会バレーボール部に所属してたのですが、頭の良い先輩が史学科で、そういうことを教えてくれました。で、厚木といえばお隣が海老名、そして海老名から相模線に乗るとギオンスタジアムの鉄道最寄り駅である原当麻です。だいたい友達です。というよりも相模原市は広大なので、“海の見えない神奈川”は、悪そうなヤツらでなくともだいたい友達です。ゆえに、この対決は“毛利氏ダービー”なのです。

 

□帰ってきたあいつ

さて、東予から大阪南港へフェリー移動、その夜に夜行バスという2日連続夜行移動で乗り込んできた(わけがない)今治ですが、リーグ戦ここ5試合の成績は3勝2分0敗で2位。今年こそJ2昇格ですかね?志の高さ故か、監督には異様に厳しいFC今治、即J2昇格でなければ容赦なく使い捨てるという、ゴッドファーザーみたいな人事を繰り返してきましたが、服部年宏監督がその過大ともいえるノルマをこなそうとしてます。それにしても服部監督、福島時代を考えると、指導者としていきなり開眼しましたね。

迎え撃つ相模原は“リヒャルト・イズ・バック”です。あいつが神奈川に帰ってきました。シュタルフといえば、審判に執拗なクレームを繰り返すことの印象が強すぎて、それ以外のイメージがいまひとつ湧かないのですが、この人のクレームの特徴は、ジャッジが不正確だから審判を恫喝するのではなく、自分たちに不利なジャッジに対しては、そのジャッジが正確であったとしても詰め寄るところ。自分たちに有利なミスジャッジには笑顔で対応。そんな相模原のここ5試合は1勝1分3敗で順位は8位です。

 

□高野の面目躍如

というわけでピッチに目を移します。まず今治ですが、見所は両WBの近藤と弓場が逆足なところですかね。右利きの近藤が左WBで左利きの弓場が右。WBもカットインしてシュート撃てということでしょうが、その高すぎるロングシュートへの意識が良いのか悪いのか。この試合の前半はマイナスに影響していたかも。システムは352で、しかも噂に名高い岡田メソッドなので、ポジショナル寄りなのかと思いきや、ボール回しとかは、わりとオーソドックスな442サッカーに近い印象もありました。

一方、ホームの相模原は、“シュタルフといえば”の5131でなく、岩上と植田が47番48番Wボランチコンビを形成していました。ただ、前半の試合の進め方は、“シュタルフといえば”な感じで、徹底的に相手に持たせます。無駄に攻めない。無駄に攻めて無駄に消耗しない。低い位置でボールを回しておびき寄せるとかもしない。いや、後半は多用してたので、前半はそんなことをする前に押し込まれていたというか。

で、前半の攻防は、相模原的には願ったり叶ったりな展開。散々今治に攻めさせた挙げ句、飲水タイム明けのエアポケットを突いて、一気にサイドチェンジのロングパス。受け取った高野の高精度折り返しから福井が決めて先制すると、同じようなサイドチェンジから高野の高精度クロスに瀬沼がヘッドで豪快に合わせて突き放す。高野が元天才少年の面目を躍如させた前半45分となりました。

 

今治は本当に強いのか?

後半に入ると、相模原は俄然ポジショナルになります。「やれるなら最初からやれよ!」って言いたくなるようなポジショナル。相手を引きつけ、食いつきを剥がしてバランスが崩れたところでアタッカーが抜け出して、そこに高精度レーザービーム。それに対して、追いかけなければならない今治は、前半と変わらず縦ポンです。ポジショナルのレーザービームと、カウンターサッカーの縦ポン、どちらも長距離空中パスなので現象としては似てますが、その概念は根本的に異なる。

それでも今治には押し込む力があるので、攻撃の回数は多くなります。ただ、バリエーションは少ない。基本的にはサイドで縦に突破してタンキ目掛けてクロスを入れるの繰り返し。それなりの精度はありながら、ドンピシャでは合わない。それでも競り勝つタンキ。拾った今治の中盤がミドルを撃つ。枠に飛ばない。決める気配がないのではなく、枠に飛ぶ気配がない。

ただ、あれだけ攻め続けられれば至近距離からのシュートとか、ゴール前でのスクランブルとか、はたまた直接FKのチャンスはそれなりに発生する。しかし、そこに立ちはだかったのが相模原GKの三浦ですよ。いやあスーパーセーブ散発でしたね。連発ってほど決定的なシュートは撃たれてないのですが、散発的にはピンチがあって、そのたびにスーパーセーブでした。素晴らしかったですね。守護神の奮闘もあって、相模原が2点のリードを守り切りましたとさ。

 

オリオラ・サンデーからファビアン・ゴンザレスへ〜大宮アルディージャvsギラヴァンツ北九州(9/14)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

鉄道博物館ダービー

大宮と北九州か。大宮はともかく北九州が広いよなあ。例えば“小倉”とすれば、どちらも新幹線が止まる、みたいな共通点がある。それでいくと、アルディージャのホームスタジアムは大宮駅から徒歩25分くらいで、ギラヴァンツのホームスタジアムは小倉駅から徒歩15分ほど。どちらも最短経路が難しいので(Google Maps上の計算と、実際の歩いてみての実感がズレる)、公称よりも時間がかかるとはいえ、新幹線停車駅から歩けるところは共通してますね。

雑多な地域をまとめ上げた、まるで相模原市のような北九州市には、例えば門司港とかもある。門司港駅の一部を活用したオシャレなスタバ、ありますよね。首都圏の感覚でいくと、特に夜はすいていて、とても居心地が良い。複数回立ち寄ったことがあります。んで、門司港には鉄道博物館がありましたよね、確か。若い頃に訪れた記憶が。で、鉄道博物館といえば大宮(こちらには行ったことがない。なんか、その道のプロしか行っちゃいけないオーラを感じる)。なので、この対決は鉄道博物館ダービーということになりますかね。

 

□どちらも堅調

さて、スターフライヤーかソラシドエアで羽田を経由して乗り込んできた?ギラヴァンツですが、ここ5試合の成績は3勝2敗。なんか、ギラヴァンツに限らず、最近の成績に引き分けのないチームが多いような。順位は5位です。リーグ序盤は低迷しかけてましたけど、直近2試合を連敗しても、なおプレーオフ圏内を維持しているのか。さすがは増本さん、鳥取時代に引き続き、熟達の手腕です。

迎え撃つアルディージャはずっと快調。ここ5試合の成績は4勝1分。順位は首位、ずっと首位。サッカーのスタイルからしてシーズン当初からレッドブルズだった大宮は、ついに正式なレッドブルズになりましたね。巷では“RB”大喜利が始まってますけど、個人的にはいっそうのこと“OA大宮レッドブルズ”で良いような。もちろんOA(オレンジ・アルディージャ)大宮レッドブルズです。チーム名が商品名そのものなのと、アルディージャというクラブが築いてきた歴史やカルチャーへのリスペクトを欠くので却下ですね、えぇえぇ、知ってます、知ってます。

 

アルディージャが先制

というわけでピッチに目を移します。まず、ギラヴァンツですが、ボランチの高吉(34番)がプロレスラーみたい。ゴツいガタイをダイナミックに動かして、長髪をたなびかせる。まるで新日本プロレス棚橋弘至。というか、ターザン。「あーあーあーっっ!」って蔦を渡ってそう。ってのはおいといて、ギラヴァンツのサッカーは、いわゆるポジショナルではない。低い位置で相手をおびき寄せるってことも、あまり積極的にはしない(たまにする)。どちらかというとシンプルな外回し、シュートゾーンからボールを遠ざけてリスクを回避する感じですね。

一方のアルディージャは、レッドブルスタイルから1ミリもズレてはいけないということでもないらしく、352ではなく、日本ナイズされた3421に微調整した模様。素人考えながら、どうやってもこそげ落とせない、こびりついた「組織的に数的優位を作る」という日本人フットボーラーの皮膚感覚を踏まえると、なんとなくボランチはダブルの方が良さそう。というよりも、そもそもダブルボランチにしたこの試合でさえ、ボランチと最終ラインの間のスペースを使われていましたので、アンカーだと厳しそう。

ともあれ前半の攻防ですが、序盤にぶつかり合って北九州の坂本が交代を余儀なくされました。脳しんとうですかね。ナクスタのスピーカーの音量はサポーターのチャントの声量に勝てないので、よく聞こえなかったのですが。そんなことがありつつも、前半のうちにアルディージャが先手を取ります。オリオラ・サンデーがオラオラと独走ドリブル。弾かれたところを泉が押し込みました。アルディージャリードで折り返しました。

 

ギラヴァンツの勇戦及ばず

後半になると、お約束のように試合はハイテンションに。45分から60分くらいまでの時間帯は互いが相手のハイラインを裏返して、そのまま雪崩のように全体が押し上げ合うってのを繰り返してました。そういう展開になると、突進力を誇るオリオラ・サンデー擁するアルディージャの方に分がある。難点は、オリオラ・サンデーがわりとわかりやすくガス欠していったことですかね。

で、アルディージャが突進力を失うにつれて、俄然、追いかけるギラヴァンツのペースになる。ギラヴァンツの何が凄いって、4バックなのに左右SBの両方がアタッキングサードに攻め込んでいること。それから、永井とかにクサビが入ると、2列目や3列目の選手が猛烈な勢いを持ってPAに侵入していく。押し込まれたアルディージャはクリアで逃げても、オリオラ・サンデーの動きが少なくなっていることもあってか、すぐに北九州に回収されてしまう。

60分以降はわりと一方的にギラヴァンツのペースでした。しかし、そこはアルディージャ、ずっと首位なのは伊達ではない。凌いで凌いで、そしてセットプレーから市原ですよ。まんまとリードを広げることに成功。この得点の前にオリオラ・サンデーに代わってファビアン・ゴンザレスが投入されてんですよね。さほど運動量全開って感じではなかったものの、間違いなく前線にキレがもたらされた。それによってギラヴァンツの進撃は完全にストップ。逆にファビアン・ゴンザレスを基点としたカウンターから関口がダメ押しの3点目を決めて、勝負あり。アルディージャが圧倒的な戦力差を見せつける一戦となりましたとさ。

 

そりゃ、サンガが勝つよね〜横浜FMvs京都サンガ(9/13)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

□しっかり延期ダービー

実は亀岡での第29節アントラーズ戦を観戦する予定だったんですよね、サンガ。金曜日になぜかFC大阪の試合が西京極であって、次の日が亀岡。しかもワタクシ的夏休み期間と丸かぶり。そんなん、見に行きますやん。ところがどっこい、まさかまさかの台風ですよ。京都遠征、奇跡の計画だったはずなんですけどねえ。。。なんか、FC東京が広島入りに苦労して、それを批判する声があるみたいですけど、実際に西へと出かけたワタクシとしては、「あんなわけのわからん台風の進路を予測して適切な行動なんて取れるかいっ!(イチかバチかでたまたま上手くいくことはあるだろうけど)」ってのが実感。

ちなみに当日はマリノスも磐田戦が延期になって、そういう意味では、変態系台風10号の影響をしっかりうけて、第29節が延期になってしまったダービーです。日程的にはリーグ戦以外にもあれこれ残っているマリノスの方が影響が大きいのかな?京都は代表ウィークに延期日程を入れましたね。したたかですが、鹿島もさほど影響は受けないのかな?了承したんだし。

 

□好調対決

さて、シンプルにのぞみで新横浜まで乗り込んできたであろうサンガですが、リーグ戦ここ5試合の成績は4勝1敗。好調です。それまでのことを考えると絶好調です。順位も降格圏を脱して15位にまで上がってきましたし。それもこれも夏の補強がピンズドだったから。エリアス?が凄いらしい。エリアスというか、もはやアリエス、そしてアリエスといえば乙女達。往年の大映ドラマは爆発力が凄いのですよ。

迎え撃つマリノスも好調。なんせここ5試合の成績がサンガと同じ4勝1敗。そのわりに順位は6位なのと、ルヴァンカップでいろいろ派手にジェットコースターしているので、あまり好調な印象はない。とはいえ、キーウェルを更迭してハッチソンを昇格させた成果が出ています。四方田さんが作り上げた横浜FCでの働きをみていると、なんとなく壊し屋だと思ってましたが、正しいハッチソンの使い方ではなかったということらしい。そもそもの組織作りとしての問題だったともいう。

 

□いろいろありつつ、なぜか同点

というわけでピッチに目を移します。まずサンガですが、平戸が上手い。町田では上手くて、鹿島では秘密のままの秘密兵器だった平戸ですが、サンガ積年の「川崎・福岡と、もう一人」のラストピースが埋まった感じですかね。川崎と福岡という老夫婦に、フーテンの放浪息子平戸が帰ってきた、みたいな。年齢関係が逆ですけど、わりと攻撃では平戸がフリーマン。

京都が中盤のトリデンテとするならば、マリノスは前線のトリデンテ。ヤン・マテウスアンデルソン・ロペス、エウベルというオールブラジル人3トップの破壊力です。フリーの選手、特に前半は相手最終ラインを裏抜けするフリーを作るのがポジショナルの要諦とするならば、そこはしっかりハッチソンが仕込んでいる。まあ、「攻撃では全体を思いっきり押し上げて、ネガトラに際してはポジションを崩してでもハードにアタックして、後は気合いで戻る」というサンガのスタイルとの相性も良かったのかもしれませんが。

ともあれ前半の攻防ですが、キックオフ10分でいきなりマリノスの西村が一発レッドで退場するという、クリビツテンギョーでぶっとびーな展開。必然的にサンガが押し込み、右サイドの崩しからエリアスが決めて恙なく先制します。3トップが3ストライカーであるというストロング。しかしマリノスも前半のうちにコーナーキックから追いつきます。クイックリスタートしようとして未遂に終わった直後のセットプレーって、そのままグダグダになりがちなので、ちょいと珍しいパターン。

 

□そりゃそうだって感じの後半

後半が始まったのは20時15分頃。……遅い、そうなんですよ、前半のロスタイムが10分もあったんですよ。二桁分台のロスタイムなんて2020年代初頭の世界大会におけるグループリーグ序盤でのみ発生した都市伝説かと思っていたら、目の前で実在を確認してしまったよ。まあ、西村退場でVARが入って、その後もエウベルやらアンデルソン・ロペスやらが暴力的行為としてレッドを出されても仕方ないようなプレーをやらかして、その兼ね合いでVARがもう一回あって…とかしてたら、そりゃ、そういう分数になるよね。

サンガのエリアスやトゥーリオも熱くなっていましたし、どことなく昭和の怖い体育教師みたいな雰囲気を漂わせていた主審さんのオーラとブラジル人選手の相性が悪かったのか?カルチャーギャップというか。尤もマリノスの渡辺もブチ切れてたしなあ。そんな中、川崎?福岡?に削られたときの喜田の振る舞いが素敵。流れ的にブチ切れても仕方ないパターンだったのですが、何事もなかったかのようなスマートな対応。この紳士然とした挙動によって、チーム全体が落ち着きを取り戻した感さえある。

スコアとしては原大智が決めた勝ち越しゴールを守り切ったサンガが勝利を収めました。それにしても原大智、抜け出してから落ち着いてましたね。一発で仕留められないとなれば、ボールを持ち替えて仕切り直してから、しっかり決める。FC東京U23時代と比べると、すっかり出世しちゃって。こんなに成長するなんて、、、なんでだろ〜?……ってことは置いといて、サンガは終盤に投入された米本と豊川が利いてました。特に豊川。彼が入ったことで前線のプレスなど、相手サイドでのプレーに秩序が戻った。一人少ない相手に、そういう要素も加わったのだから、そりゃ、サンガが勝つよね、っていう結末になりましたとさ。

完成度にいかんともしがたい差〜鹿児島ユナイテッドFCvsいわきFC(9/7)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

スパリゾートダービー

さて、先週の西京極でのFC大阪戦に続いて、今週は遠路はるばる鹿児島です。ちょっぴり遅めの夏休みに怖いものなど何もない(休み明けは怖いものだらけ)。さてさて、鹿児島といわき、共通要素を探しましょう。鹿児島といえばユナイテッド、いわきのダービー相手は福島ユナイテッド……なんか、つまり、“ユナイテッドダービー”になりそうでならない。いわば“ユナイテッド”がねじれの関係にあるような関係性ですね。

というか、“いわき”と聞いたら昭和育ち的には“常磐ハワイアンセンター”しか出てこないわけです。平成になって以降は、何やらナウなヤングにバカうけな横文字施設にリブランディングして、しかも大成功しましたけど。となると、鹿児島も負けてられない。泣く子も黙る指宿の“砂蒸し風呂”ですよ。指宿の温泉自体は万葉集の時代からあるみたいですけど、砂楽さんとかが今のレジャースタイルで砂蒸し風呂を営業するようになったのって、いつ頃なんですかね?昭和にはあったのかしら?ともあれ“スパダービー”です。

 

□中位vs降格圏

さて、仙台からスカイマークで乗り込んできた?いわきは、ここ5試合で3勝2敗。順位は8位。3連勝からの2連敗ですから、必ずしも絶好調真っ只中というわけではなさそうですが、地域リーグ時代から昨年末までアンダーアーマーの指揮下で一貫性のあるチーム作りをしてきただけあって、しっかりと健闘してます。とはいえ、奇跡的にアンダーアーマーという世界的企業が絡んでくれたから上手くいっただけなんで、他のクラブが真似ようとしても、なかなか再現性のあるケースとは言えないですよね。

迎え撃つホームの鹿児島ユナイテッドFCはここ5試合で0勝0分5敗。つまり5連敗。必然的に順位は降格圏、19位です。まさに崖っぷち。ライセンスのスタジアム条項が危ういので、とにかくJ2にしがみつくことでしかJ2ライセンスを維持できない可能性も出てきて、それゆえ去年の大嶽監督、今年の大島監督と、悪くない結果の監督を早め早めに更迭してきましたが、早め早めに動けば必ず良くなるかというと、そういうわけではないというお話ですね。

 

 

□わりと差が明確

というわけでピッチに目を移します。まず、いわきFCですが、守備で構えるときは下田と山口のWボランチになります?攻撃に移ると山口が上がり、西川が絞ることで逆三角形になりますけど。まあ、そういう詳細はともあれ、相変わらず洗練されています。ロングボールを空いた選手や空いたスペースに刺していくハイテンションスタイルですが、空いた選手とスペースを作るのが上手いというか、方程式化されている印象です。

一方の鹿児島は4231ってことにされているようですが、有田と鈴木が縦関係なのは間違いないものの、守備時は4411、攻撃に移ると両SHがWG化して4213っぽくなる。とはいえ基本的なサッカー観は伝統的な442サッカー、ポジショナルではない堅守速攻。というか、もはや424サッカーですかね。気合で相手の攻撃を跳ね返して、それを前線4枚に向けて大きく蹴り出す。繋がれば攻撃になるんですけど、たいていは“飛んで火に入る夏の虫”状態に陥ります。

前半の攻防については、序盤は多少ながら鹿児島が押してました。ゴールラインテクノロジーがあれば得点が認められたかもしれないようなシーンもありましたし。しかし、そんな淡い期待もいわきFC西川のファインショットで打ち砕かれる。鹿児島はバイタルで2列目と3列目に間にスペースを作ってしまいました。さらに傷んだ有田が藤本に前半の内に交代するというスクランブルな場面で、集中やらマークの確認を締め直せないまま、直後のFKから谷村にまんまと決められてしまいます。鹿児島にとっては厳しい前半の戦いとなりました。

 

□最後まで差が明確

後半になって鹿児島は裏抜けとサイドチェンジで少しずつゴールに迫ります。まあ、やってることは前半と同じなんですけど、それでも多少はゴールに近づいた。そんな希望を打ち砕くように、いわきがダメ押しゴール。山下のクロスに谷村が、それはそれは奇麗に頭で合わせましたよ。頭一つ抜け出ているとは、こういうことを言う。往年の城彰二のヘディングを見ているような美しさがありました。

逆に鹿児島は、いよいよ厳しい。とはいえ、何か工夫があるわけではない。相手が5バックで構えているところに4トップで仕掛けるものだから、構造的に数的不利。となれば、相手のワイドを1列前に引き出すとか、真ん中にクサビを入れて距離感を乱すとかしないといけないと思うんですが、鹿児島は前線のアタッカーによる個人戦術に全てを委ねるような形。「上手いことフリーランして、どうにかしろ!」以上の何かは伝わってこないんですよね。

対照的にいわきFCは鍛えられている。熊田が投入されて西川の位置に有馬が落ちるとかしても、ブワニカが投入されたりしても、しっかり守って、奪った瞬間に相手に隙があればそそくさ攻めるの質が維持される。一方の鹿児島も選手交代を繰り返しますが、今ひとつ全体の機能性は上がらない。星が左SBにスライドしてからの左サイドは、わずかにワクワク感を漂わせましたが、完成度の違いは残酷なまでに明確。藤本の意地の一発が出たのは良かったですが、鹿児島サポ的にはフラストレーションの溜まる一戦だったのではないかと思われます。

 

彰の問題ではなく、風の問題だったか?〜FC大阪vsツエーゲン金沢(8/30)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

□カレーダービー

なぜか金曜日に、なぜか西京極で開催されたこの試合。おそらく花園が使えなかったんでしょうねえ。代わりのスタジアムを探した結果、平日しか借りられなかったと。夏休みを利用して翌日のサンガ戦とともに観戦遠征を計画しましたが、ヘンテコな進路をヘンテコなペースで進む台風の影響を見極めるのに右往左往。とりあえずこちらの試合は観戦できる運びに。土曜日はホテルに籠もってるしかないかも。

ともあれ、金沢といえばゴーゴーカレーです。噂によるとゴーゴーカレーは東京資本の会社が俗に“金沢カレー”と呼ばれているカレーを作っているだけだとのこと。ってことは、俗に“金沢カレー”と呼ばれるものが成立しているということであって、その“金沢カレー”を確立したのがチャンピオンカレーってことで良いんですかね?

カレーとなると大阪も黙ってません。大阪には、いわゆる“間借りカレー”が多い印象ですが、ローカルチェーンとしてはインデアンカレーが有名。っわけで、この一戦は“カレーダービー”と呼ばざるをえないわけになります。

 

□6位と11位

さて、敦賀サンダーバードに乗り換えるという超絶手間をかけて乗り込んできた?ツエーゲンですが、ここ5試合の戦績は2分3敗。「V字回復してきたなあ」って思わせた確変期間は早くも終了したのか、勢いも一段落してしまいました。J3の中では上位でなければならない金沢、今ひとつ良い指導者なのかそうとも言い切れないのかの判断が難しい伊藤彰としても、ここで評価が定まってしまいますし、正念場といえるかもしれません。

迎え撃つFC大阪は2勝3敗で順位は11位。ちなみにFC大阪の去年の順位は11位。ある意味では実力相応の順位ですが、これまでのクラブのキャリアを考えると、よく頑張っている方でしょうか。監督の大嶽さんは、なでしこリーグの名将。去年までは鹿児島を2シーズン弱率いて、順位も2位とか3位とかなんで、決して悪くなかったんですよね。ライセンス的にお尻に火が点いてきた鹿児島としては“悪くない”ではダメだったんでしょうけど。

 

□彰、大丈夫か⁇

というわけでピッチに目を移します。まず、ツエーゲンですが、岐阜から移籍してきた田口のドリブルが光っていました。カウンタースタイルのチームの方が相性が良いのか?しっかりと陣地回復を成功させてましたよ。とはいえ、そんな田口を生かすシステムにはなっていなかったかも。最終ラインで回すんですけど、ポジショナル感がない。相手をおびき出して急所を作って、そこをアタッカーに突かせようというような意思はあまり伝わってこず。

あまり意図の感じない、敢えていうならポゼッション的考え方の低い位置回しだと、FC大阪のストーミングの格好の餌食。さほど極端でない、ゆる目のストーミングで十分って感じでしたね。とにかく最終ラインが危うい。危ういといっても、左から平・畑尾・山本義道なのだから、技量的な問題とは考えづらい。ヴェルディ時代の平は、あんなアタフタする選手じゃなかったはず。となるとオーソライズの問題?彰、大丈夫か⁇

なお、FC大阪の攻撃は、前半についていえば、近年の基本オブ基本といえる“最少手数でシュートまで”を愚直に実行する感じでしたかね。それで先制点も奪えていました。……いや、彰、大丈夫か⁇ いまどき3バック(5バック)で構えておいて相手の5レーンに対応できないのは、だいぶ具合が悪いように思うぞ。

 

□彰の問題ではなかったかも

後半になると、いきなり金沢が追いつきます。最終ラインで相手プレスを引き付けつつ、西谷優希が逆サイドに展開。そこからのクロスが流れたりもしましたが、なんかオウンゴールみたいなへんなゴールが決まりました。オウンゴールではなく梶浦のゴールだったみたいですけど。それにしても、後半になると、突如として金沢のペースになりました。……そうか、シンプルに風向きの問題だったか。台風で開催が危惧された試合ですし。

戦術的なところでいうと、ハーフタイム明けから大山に替えて熊谷アンドリューを投入したんですよね。構えるスタイルのアンドリューがアンカーでスペースを管理することで山本義道あたりの攻撃参加が促されたってのも良かったかも。さらにいえ、アンドリュー、味方が苦しまぎれになったときに、上手に逃げパスを誘導してましたね。その逃げパスが繋がらなくとも、“一転して大ピンチ”みたいにはならないようにしてあげてました。

後半は防戦一方となったFC大阪としては背番号82番という、なんだか美味しいエールタイプのビールが飲めそうな番号を背負う趙と、いかにも秘密兵器(最後まで秘密のままでした)っぽい雰囲気を漂わせるエヴェルトン・カネラを投入。しかも、まあまあ機能するという。相変わらずポゼッションはままならなさそうでしたけど、金沢GKがファインセーブで掻き出してどうにかしのいだってカウンターが2発ありましたからね、なかなかのものです。

とはいえ両チームとも粘り強い守備が破綻することなく追加点は生まれない。1ー1のドローに終わりましたとさ。

 

ジェフが終盤に仙台をボコり散らかす〜ジェフ千葉嫁vsベガルタ仙台(8/25)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

□カレー味のアレか、アレ味のカレーか

 1990年代にワタクシが上京してきた当時、品川駅に東海道新幹線は停まらなかったんですよね。そうすると、新横浜から再び高速になって、スピードが落ち出すのは田町あたり。そのタイミングで「そろそろ着きそうだな」と窓を眺めると、絶妙に東京タワーが目に飛び込んできた。「東京に来た!」って気分が盛り上がったものです。みたいな場所の仙台駅バージョンのところに、なんだか立派なタワーマンションがありますよね。東北全体としては、いわゆる〝田舎〟とされる町が多いと思いますけど、その中で仙台だけは大都会です。

その逆が千葉県。なんせ夢の国がありますけど、勝手に東京を名乗るな問題。ってなると東京ドイツ村に話題が移って、気がつけばマザー牧場の話になっていく。つまり千葉県は、いわゆる〝ベットタウン〟なエリアを外れると、なかなかの田舎です。全体としては天下の大都会〝東京と愉快な仲間たち〟の〝愉快な仲間〟ではあるんですけど、一方で間違いなく都会の中の田舎的要素を部分的に帯びております。

つまり田舎の中の都会たる仙台と都会の中の田舎たる千葉の対決ということです。

 

□隠れ好調と隠れ不調

さて、おそらく「はやぶさ」で乗り込んできた?ベガルタですが、目下3連勝中です。その前に連敗してますが。順位もプレーオフ圏内の5位をキープしていて、さすがはゴリさん、平繁龍一を更生した男なだけあります。クラブの地力的にはこれくらいの順位にいて当然なのですが、停滞感というか、〝クラブが全体としてイロイロおかしくなってます〟感が溢れていた中でのV字ですからね、立派です。

迎え撃つジェフですが、天皇杯FC東京&札幌というJ1勢を連続撃破。一見すると絶好調に思われる……のですが、リーグ戦ではここ5試合で1分4敗なんですね。勝った試合だけ見るとおそろしくチームの完成度が高くみえるのですが、再現性がないというかなんというか。悪いなりに勝ち点を拾うって部分に難があるのでしょうか。ボロボロに負けるって感じではなく、なんとなく気付けば負けていた、みたいな負け方が多い印象です。

 

 

□打ち合いの予感

というわけでピッチに目を移します。まず、ベガルタですが、ああ、そういえば町田にいた奥山が移籍してきたのだったね。早速スタメン。しかも右ではなく左で。右は高田だったのですが前半の早い時間帯に負傷退場してしまいました。といったアクシデントこそありましたが、サッカーの内容自体は堅実です。前線のプレスの勤勉さとか、帰陣の早さとか。それから最終ラインに限らず、あらゆる位置から時々出てくる対角線のロングパスが良かったですね。

一方のジェフは田口がベンチスタートで小林はベンチ外。いつもとは違うダブルボランチの顔触れで、品田とエドゥアルドがコンビを組んでいました。なお、前半で負傷退場した高田と対面していたジェフ左WGは椿だったのですが、その椿も前半で負傷退場。しかも、こちらは顔を覆いながら担架で下がっていったので軽度でない可能性も。フクアリのバックスタンド側センターライン付近には地縛霊でも憑いているのでしょうか。

ともあれ前半の攻防ですが、当初よりジェフが綺麗にアタッキングを繰り返していたので、イニシアチブはジェフ。とはいえ〝サッカーあるある〟が発動して、こういうときは押されている側が先制する。梅木とかの補強でお尻に火が点いたエロンが先制ゴールを奪います。これでジェフはガクンと来るかと思いきや、そっちがエロンなら、こっちはエドゥアルド、前半ロスタイムほぼラストプレーで同点に追いつきました。

 

□千両役者・小森

この試合のジェフを眺めていると、ボランチが持ち出したり、WGが少しだけ低めでボールを受けるってシーンが多かった。要するに相手のSBを釣り出して、その裏を使っていくってことだったでしょうが、そのあたりの戦術的なボール回しが促進されたのは田口と横山が投入されてから。この2人が5レーン的に、〝W〟字型の下の2点にポジションを取ることで、ポジショナル的要素での優位性が濃厚になる。そうなると扇の要の位置で構える品田がフリーになる。いやあ、品田のスルーパスの繰り返し、全盛期の憲剛を彷彿とさせました。

ベガルタだと松井はすゆ……れ、蓮之が、ところどころで出色。若くてビンビンだった頃のポール・ポクバみたいなボックス・トゥ・ボックス。ダイナミックに上下動しますねえ。で、そんな松井の圧も背中を押すかたちでベガルタは中島が勝ち越しゴールをあげます。ただ、不運だったのは流れの中で岡庭と激突した奥山が交代を余儀なくされたこと。両SBが途中交代となると、さすがのゴリさんも厳しい。

終盤は暑さの影響をより大きく受けやすいスタイルのベガルタが難しくなっていったのに対して、ポジショナル的省エネなジェフは田口・横山のテコ入れも奏功して尻上がりにボールが回るようになる。強度を誇ったベガルタ守備陣もジェフの攻撃を潰しきれなくなりました。そして、その必然としてジェフがゴールを積み重ねていきます。岡庭の必殺クロスに佐々木が合わせて追い付くと、今度は逆側、左からのクロスに千両役者の小森が合わせます。小森はダメ押しの4点目も押し込んで、ジェフは4得点。難敵のベガルタを持ち前の攻撃力で圧服いてしましたとさ。

 

両成敗!〜横浜FCvsVファーレン長崎(8/10)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

□ある意味イーブンダービー

横浜といえば泣く子も黙る崎陽軒シウマイ弁当ですよ。そんな騒ぐほどのものかとも思いますが、安定というか、無難さというか、「結局間違いない」パラメーターが非常に高い。実は個人的にはホタテのエキスが少しだけ苦手。では、長崎にシウマイに対抗しうる何らかがないかというと、いやいやいや、決してそんなことはない、スタグルとしても有名な角煮まんじゅうがありますね。とはいえ知名度ではシウマイ弁当に軍配が上がるように思います。

ちなみに横浜、というか神奈川全般(東京湾沿岸地域?)にはサンマーメンというご当地グルメもあります。もやしそば(野菜入り餡かけラーメン)とどう違うのかよくわかってないですけど、玉泉亭ですね。では、長崎にサンマーメンに対抗しうる何らかがないかというと、決してそんなことはない。そうです、みんな大好きちゃんぽんですね。サンマーメンvsちゃんぽん、そりゃ知名度ではちゃんぽんの圧勝ですよ。ってなわけで、このマッチアップはシウマイvsちゃんぽんダービーなのです。

 

□天王山!

さて、長崎は今日も雨だった中で乗り込んできた?V・ファーレンですが、リーグ戦に限りますと、ここ5試合で2勝2分1敗の3位。前節ついに無敗記録が22試合だかで途切れましたけど、安定の下平政権。スカッドの能力の合計値を×1.2くらいした成績は確実に出します。下平さんが低迷するときは、スカッドの能力の合計値が絶対値として低いときか、フロントに足を引っ張られるときかのどちらかといえるでしょう。

迎え撃つ横浜FCは、リーグ戦ここ5試合で4勝1分。ついに首位に立ちました。清水が勝手に首位の座を明け渡してくれた感もありますけど、実際に勝ち点積み上げ率は圧倒的です。下平さん以上に安定の四方田さん。そして下平さん以上に、この監督が低迷するときは、フロントに足を引っ張られたときです。ともあれ、この試合は首位と3位の天王山です。場合によっては天保山です。あるいはストップシーズンインザサンかもしれません。

 

□わりと似てるチーム同士?

というわけでピッチに目を移します。まず、長崎。机上の知識としては基本システムが433で、ジェズスともう一人(この日でいうと山田陸)がISHで並ぶイメージだったのですが、ジェズスとエジガル・ジュニオが2トップに並ぶ442ってのが実相に近いかもしれません。スタイルは攻め急がず低い位置でボールを持ちながら、前線の裏抜けに一発にかけるトレンディなサッカー。むしろ縦ポンに近いナウいサッカー。

一方の横浜FCですが、これまであまり注目してませんでしたが、実は山根はアーリークロスが上手い。あまり縦に仕掛けるタイプではないので、ワイドで幅を取りつつ、パスが回ってきたら、素早くアーリークロスを入れていく。そこの徹底具合であったり、あるいは、一つ一つのキックの質には見応えがありました。なので、この試合では右からのクロスが多かった。というよりも、暑さのせいか、全体の作戦か、福森があまりフリーダムになりすぎず、今ひとつ存在感がなかった。ってこともあって右偏重に感じたのかもしれません。

ともあれ前半の攻防ですが、なんとなく似た者同士ですよね。横浜FCV・ファーレン同様に、危険な位置でのポゼッションはスキップして、できれば福森から3トップへのホットラインだけで攻撃を完結させたいチームですし。っていうなかで、あえてどちらかにチャンスが多かったかといえば横浜FCなのですが、V・ファーレンは「前半はノーリスク、スコアレスで上等」ってことだったでしょうから、まあ、夏場の前半戦って感じでした。

 

□魂の痛み分け

後半に入るとV・ファーレンの下平監督は、古巣相手に魂の3枚替えを敢行します。なかでもビックリしたのが、照山から田中へのCB交換。無失点の状態で下げられるCBは切ない。足でも攣ったのかな?ともあれ、その後早々に交代枠を使い切り、切り札のフアンマも投入しましたが、スコアは動かせません。全体に膠着するなかで、左ウイング(笠柳→松澤)のところで僅かながらチャンスが生まれたものの、生かすことはできませんでした。

交代選手といえば横浜FCジョアン・パウロが投入されました。「こんな選手がいたのか⁈」と思ったら、小野寺お大臣がマルチオーナーシップによって引っ張ってきた選手のようです。なかなか良かったと思いますよ、アジリティ&テクニックに加えてキレもあって。とはいえ、なかなか決定機は作れない。こちらも左ワイドにシュートチャンスが生まれましたが、中野が決められなかったですね。決められたらゴラッソって状況ではありましたが。

試合はこのままスコアレスドローで終わりました。最大の見所は、試合終了間際の乱闘ですかね。序盤からアグレッシブに走り回って頭が下がる高橋は、ベンチに退いた後もアグレッシブだったらしい。これで激昂したギュレルメとかにカードが出たら、どっちらけになっていましたが、主審は張本人だが既にベンチに退いていた高橋と、横浜FCのコーチにカードを提示。これで良かったのではないでしょうか。ナイス両成敗だと感じました。このあたりの感覚は人によるでしょうけど。

サンフレッチェのカテナチオ〜東京ヴェルディvsサンフレッチェ広島(8/7)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

□大阪お好み焼きへのアンチテーゼダービー

それにしてもインバウンドが多いですねえ。コロナ前と違って東アジア系の人が圧倒的な比率を誇るという感じではなくなってきましたが、逆に遠路はるばる来られた外国人の皆様は“ベタ”なところに集中する傾向がある。中国人資本の“中国人の中国人による中国人のための”観光用日本風施設ではなく、日本人観光客と同じような行動パターンで、都民が日常ユースする繁華街に多く集まる。なかでも、もんじゃ焼きさんがバカみたいに混雑してます。

近畿地方出身のワタクシとしては、あの、小麦粉を固めようという努力を端から放棄したグチャグチャ焼きの趣旨が未だにわからない。やっぱり、お好み焼きといえば固形化された小麦粉を食べたいのですよ。そういう意味では、広島のお好み焼きも、どこか物足りない。キャベツの蓋ですもんね、小麦粉。で、それでは炭水化物が足りないから焼きそばを入れる。だったら最初から生地の小麦粉の量を増やせば良いじゃん!?みたいな。というわけで、この一戦は“大阪のお好み焼きへのアンチテーゼダービー”なのです。

 

□両チームともに奮闘中

さて、新幹線で3時間以上かけて乗り込んできたであろうサンフレッチェですが、ここ5試合の成績は2勝2分1敗で、順位としては5位。第三者的に予算規模を類推すれば大健闘。川村が抜けたところに川辺を補強するなど中断期間の出し入れにも抜かりがない。余剰戦力の整理として野津田も海外に旅立ちました。それにしても去年までは主力級だった野津田をものの見事に干しましたよね、スキッベ監督。ベンチには入れておきながら、意地でも試合では使わなかったですもんね。いやはや。

迎え撃つヴェルディのここ5試合は、2勝1分2敗の9位。J1規模のクラブが何かの間違えで1年間だけJ2ツアーをして戻ってきたってパターンではないことを踏まえると、J1昇格初年度の成績としては申し分ない。これ以上は望むべくもないでしょう。夏のマーケットでは松村が加入しました。これで京都組の木村&山田、鹿島組の染野&松村がヴェルディの前線を席巻することになったのですが、ユース組の松橋とかも頑張れよ。

 

□落雷とVARの機材

というわけでピッチに目を移します。まず、サンフレッチェですが、アルスランがボランチで先発。そうか、そんな新加入選手もいたか。プレースタイル的にはサッカー脳を駆使した巧みなポジショニングが武器って感じですか?岩尾憲っぽいかなとも思いましたが、もう少し攻撃的な感じなので柴崎岳ってところ?? 塩谷が右に開いて、アルスランが真ん中にいることが多かったですかね。シャドーの松本泰志がハーフっぽく動くので、塩谷と松本が左右に配された中盤逆三角形風になることもたびだひあったかも。

一方のヴェルディは早速松村が抜擢されてました。シーズン途中のレンタル組は加入後すぐに何試合かは優先的に使うってのは不文律なのかしら?ビルドアップでは浮遊しがちでしたが、守備で相手に寄せるスピードにはなかなか良かったです。それから中断前はあまりスタメンで使われることのなかった宮原が先発。古巣相手の奮闘に期待したというよりも、ひょっとしたら中断前はコンディションに不安があって、そこの不安が解消されたってところでしょうか。

ともあれ前半の攻防ですが、もうね、キックオフ前から迫り来る雷雲への恐怖に怯えながらですよ。開始5分で中断か?って思ったら、大型ビジョンには「機材トラブルによりVARは使えません」って出てきてりするし、いったいどうなってんだ!なんてプンプンする暇もなく、いよいよ雷雲さんが味スタにお越しになられる。中断です。しかも再開が20時50分。いや、20時10分過ぎには小雨になったんだからさ、、、そんなたっぷり中断するかね?ともあれ、ちゃんと再開して、そしてスコアレスのままハーフタイムです。

 

□堅え!

それにしてもサンフレッチェヴェルディって、なんだか似た者同士ですよね。ガチッと噛み合っている感じ。どこが似ているのか見ていたら、基本的に攻撃はスルーパスとかのグランダーなロングパスで始まる。裏抜けからの攻撃開始ってのは世界的なトレンドですけど、それがロングキックではなくグランダーのパスってところが日本のチームらしい。で、スペースを掌握することに成功すると、そこからは“ティキタカ”というか“止める蹴る”というか、そういうショートパスサッカーに移行する。これが両チームとも共通なんですよね。

一進一退の攻防が続きましたが、時間の経過とともに少しヴェルディにリズムが手出す。染野の自由な動きをサンフレッチェが捕まえきれなくなりつつありました。そこでサンフレッチェのスキッベ監督は、アルスランに変えてドウグラスヴィエイラを投入し、松本泰志をボランチに下げました。ところが、却ってこれで中盤の構成力が低下してようにも見えた。

でもね、それでも決勝点を決めたのはサンフレッチェなのですよ。セットプレーです。右のCKから、スコアラーは佐々木翔ということで最終的に落ち着いたらしい。で、リードすると広島の最終ラインは堅い。塩谷が一列上がっても3バックは堅い。しかも一列前には、その塩谷がいるわけですし。加えて、それに輪を掛けて大迫が堅い。往年のカテナチオを彷彿とさせる守備力でサンフレッチェが逃げ切りを成功させましたとさ。