感動的なスコアレスドロー〜横浜FMvs川崎フロンターレ(4/3)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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□鶴見は誰のもの?

まあマリノスフロンターレですからね、こんなものは神奈川ダービーでしかないわけで。ベルマーレとか横浜FCとか横浜FCとか相模原とかYSCCとかには悪いですけど。なんなら、フリューゲルスやらゼルビアにも悪いですが。神奈川ダービーといえば、このカード。川崎と横浜、東海道線の駅ならばお隣同士ですよ。スタジアムでいえば新丸子と小机ですけど、最寄りに準ずる徒歩圏駅としては武蔵小杉と新横浜があって、こっちはこっちで相鉄線が乗り入れて以降は、東横線で一本です。

ちなみに一昔前ならFC東京レイソルがやるときに「金町はどっちのものだ?」というお遊びが発生したものですけど、それで言えば「鶴見は誰のもの?」と聞きたくなる。もちろん行政区分としては横浜市ですけど、鶴見といえば鶴見線の発着地で、京浜工業地帯の重工業ゾーン。町のイメージは港が見えるというより、1990年代の名作ドラマ『若者のすべて』なわけで、ほぼ川崎。いったい鶴見は誰のものなんだ?

 

□勝ち点6

さて、なんなら神奈中バスでも乗り込んで来られそうな川崎は、5試合が終わって2勝3敗の10位。ここ10年にわたる王者的ポジションのクラブとしては昨シーズンに引き続き絶好調とはいえない。ただ地力は相変わらずで、前節も多摩川クラシコFC東京をチンチンにしております。もっとも、この場合はFC東京の側に問題があるような気がしないでもないですけど。

迎え撃つ横浜は2勝2敗で11位。1試合少ないなかで川崎のすぐ下の11位。負け数が違うだけで川崎も横浜も2勝0分なんだから、勝ち点は同じ。前節は名古屋に悔しい敗戦。交代が認められなかったタイミングで決勝点が決められてキューウェルも激おこぷんぷん丸でしたね。……激おこぷんぷん丸、久々に使った言葉だな。使うどころか聞きもしなかったよ、ここ10年近く。せっかくなんで、もう一回、打ち込んでおこう、激おこぷんぷん丸。そう、激おこぷんぷん丸。

 

□新旧ポジショナル対決

というわけでピッチに目を移します。まず川崎ですが、ブレることなく初期バージョンのポジショナルです。5レーンで正しい位置取りをしつつ無限ボール回収からティキタカしていく感じ。繋ぎながら目の前の相手守備を崩して空間を作っていく。言うならば運んでから崩す。ただ、ここ数年の川崎は崩すの部分の迫力が今ひとつですよね。

それに対して横浜は、最近バージョンのポジショナル。組み立てるときはSBからの縦パスでWGがサイドを単騎攻略していく。ショートカウンターを仕掛けられるときはボランチアンデルソン・ロペスの縦抜けを導き出す。どういう位置から誰がどこに出すかが所与の前提として固定化されている。必然的にCFとWGが相手DFを上回らないと何も生まれないのですが、そこで上回れる選手を揃えられるのがマリノスです。またWGとCFの単騎攻略ですので、運ぶことが、すなわちイコール崩すになって、運べているということは崩せている、ということを意味します。

で、マリノス的な相手守備ラインを単騎で裏返す最近バージョンのポジショナルってのは、フロンターレ的なティキタカのためのポジショナルを攻略すべく磨き上げられた戦術ですので、噛み合わせとしてはマリノスが有利。実際に、前半のマリノスはおびただしいばかりの決定機を作り出していた。バーやポストやライン上や相手GKのファインセーブといったスーパー決定機だけで5回以上あったような。マリノスの決定力不足というか、あと一押しの不運によってフロンターレが命拾いをするという前半45分間でした。

 

□元チャンピオンチームの矜持

前半の終了間際に川崎は三浦が痛んで佐々木旭と交代になりました。もちろんこれは長期的には川崎のダメージですし、三浦が軽症であることを祈るのみですが、この試合に趨勢に限れば、攻撃的な三浦から、構える守るタイプの佐々木に替わったことで、川崎の守備は安定しました。前半に比べて後半はエウベルがフリーで爆走するという光景はとんと影を潜めます。そこでキューウェル監督は宮市を加藤蓮にスイッチして、エウベルを左に回します。ここで水沼ではなく加藤蓮なんですね。正直、加藤蓮はこういう戦術で単騎突破していくタイプではないような。攻撃の迫力は明らかにトーンダウンした印象です。

ここからは両指揮官の知恵比べなのですが、知恵比べだけには集中できないところもありまして。というのも、この試合、カードが多かった。つまり交錯するプレーが多く、かつ、交錯すると倒れて立ち上がれないというシーンが前半から多発します。連戦の影響か、遠目には劣悪に見えた芝のコンディションによるものか。マリノスは頼みのエウベルも痛んでしまいます。そこでキューウェル監督は迷わず村上を投入。やっぱり水沼ではないのか。

対する鬼木監督はマルシーニョを投入。この投入は成功に見えました、最初の何プレーかは。サイドの主導権を川崎が完全に奪い取りましたからね。……でもね、そのマルシーニョがレッドカードで退場しちゃうんですよ。こうなると川崎は厳しい。、、、なのですが、ここからが、さすが元チャンピオンチームの矜持。一段とボリュームの上がったサポーターの応援も含めて、勝ち点をつかみ取るため、感動的にまで戦った。いやあ、見事でしたねえ。Jリーグで得点が入らないにもかかわらず、ここまでエキサイティングな試合はそうそうないのではなかろうか。極めて満足度の高いスコアレスドロー決着でございました。