実力を出し合ったドローだったかと〜YS横浜vs鹿児島ユナイテッド(4/8)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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□生米生卵ダービー

未だに鹿児島と聞けば「チェスト〜!」が思い浮かぶのですが、これって出所は何なんですかね?マンガかテレビか、そういったところだと思いますけど、とにもかくにも幕末に剣術修行をしているイメージ。維新の英傑を大量輩出したお土地柄です。とはいえ、実際に鹿児島を訪れると、なんか鹿児島の人って西郷どんより島津様の方が好きそう。こういうところは細川様より「せいしょこう」(加藤清正)が好きな熊本とは対照的。

横浜は横浜で幕末の舞台ですよね。伝統的な湊町神奈川ではなく、あえてクソ田舎だった横浜を開港地にしてから150と数年。東海道から外れたところにしたというのがミソだとか。で、そんな東海道神奈川近辺に「生麦」という地名がありまして、日本史の教科書で有名な「生麦事件」の舞台です。薩摩藩士が外人さんを襲撃した事件ですね。ゆえにYS横浜vs鹿児島は生米生卵ダービーなわけです。

 

女子サッカーの名将、相まみえる

ともあれホームのYS横浜は絶賛大苦戦しております。星川さんをもってしても、このチームで順調な成績を残すのは、そうそう容易ではない。レジェンドでありバンディエラでもある吉田とか明生とかが、引退したり現役を退いたりした影響も大きいのでしょう。そもそもクラブの規模やスタンスとして15位とかになれば御の字なわけですから、当面のノルマが15位だと考えれば、まだまだいくらでも挽回可能。

アウェイ鹿児島は、現在のところ中位。勝ったり負けたり引き分けたりです。よくよく星取表を見てると、わかりやすく上位に負けて下位に勝っている。ということは現状の実力そのままの成績なのでしょう。監督は女子サッカー伊賀FCくノ一の名将こと大嶽直人。ということは、図らずもこの試合は生米生卵ダービーであるだけでなく、女子サッカーの名将対決でもあるのですね。ちょっとだけテンションいと上がりけりになってきました。

 

□今様vs古典

さてキックオフ。YS横浜の並びを見ていると柳がCBの右ではなく左に入っていましたね。ホント、器用にどこでもこなす。で、アンカーに中里、ISHに菊谷、CFに萱沼が入って、2023バージョンのセンターラインもそれなりに安定している。勝ててないですけど、そこまで心配にならない感じです。

チームとしてボールを運べますしね。面白いですよ、流動性があって。おそらくポジショナル的に、「どこに、どういうバランスで人がいないといけない」って配置は決まってるんでしょうが、それぞれの位置に入るのは誰でも良いって感じ。なので、WBに入っていた松村なんかは、菊谷とポジションチェンジしたり、完全なウイングみたいになったり、CFの位置に入っていったりと、さながらフリーマンのように神出鬼没でした。

対する鹿児島は、割とクラシカルスタイルに見えました。ゲーゲンプレスでもなければ、ポジショナルでもない。ひいて守って、奪ってからは縦へ縦へとスピーディー。ロングボールではなく、グランダーのパス2〜3本でシュートまで持っていきたい感じでしたかね。なので二手三手まで先を読んだ起点のパスを出せるかどうか、山口と中原のWボランチのインテリジェンスに頼る部分がけっこう大きいサッカーなのかもしれません。理想は奪ってWボランチがサイドに出して、そこからのワンタッチパスで相手最終ライン裏(脇)を突いていきたいのだと思われます。

 

□美しい流れのゴールと執念のパワープレー

この試合、まあまあ荒れ気味だったんですよね。主審さんのジャッジが不安定というより、正直、ジャッジそのものについては力量不足。とはいえしっかりコミュニケーションをとってコントロールはしていたのですが、それでも前半終了間際には中里が相手を削ったことをきっかけに萱沼と薩川が一触即発。この時に騒ぎを大きくしたこは鹿児島の若いあんちゃんコーチなのですが、このコーチさんは後半になっても熱さを押さえきれない場面が多々ありました。それもまたサッカー。

そんなコーチ陣を宥めつつ大嶽監督はチームに喝を入れる。それに呼応するように薩川の左足が輝き始めました。薩川の左足は素晴らしいですね。クロスは勿論エンジェルですし、重心の低いドリブルもストロング。なんせ相手にボールを奪われない。それから薩川とは逆サイド、右のSBとして途中出場した渡邊も目立ってました。中盤登録の選手らしく似非ボランチとして、さながら司令塔の役割を果たして攻撃を活性化しましたし、気がつけばフリーになってるってのが上手かったような。

そうやってペースを握った鹿児島は中原のワンタッチで出したアウトサイドパスから薩川がクロス。端戸仁がドンピシャヘッドで合わせて、それはそれは流れるような攻撃で先制点を奪います。で、正直「このままタイムアップするのかな…」という流れになっていったのですが、何が起こるかわからないものですねえ。謎の外国籍選手アローヨを投入するなどパワープレーを仕掛けるYS横浜がロスタイムのラストプレーで追いついてしまいました。決めたのも途中出場の田原。いやあ、ビックリした。鹿児島としては悔やんでも悔やみきれないところですが、試合を通じてGK大内に助けられる場面も散見していたので、これが現在の実力、ということなのでしょう。