□新旧大都会対決
一応、予定ではこの試合が今シーズン最後のJリーグ観戦となります。ヘンテコな時期にワールドカップをやるので、オフシーズンが長くなりますねぇ。天皇杯も終わってしまいましたし、ベレーザとか女子サッカーを見れるタイミングでは見に行きますか。ともあれYS横浜と鳥取。この両チームを率いているのは、かつて一度は名将との賞賛を得ていたスターリバーさんとゴールドさんですから、それなりに引き締まった試合になるのではないかと期待です。
「YSCCとガイナーレ」ではなく、「横浜と鳥取」って考えると対照的ですよね。横浜市は市町村でありながら370万人の人口を抱えている。それにしても対し鳥取県は島根県と合算しても130万人いかないくらい。モータリゼーションとは残酷で太平洋ベルト以外は厳しい、特に山陰は厳しい。日本海水運華やかなりし頃なら、米子とか、いまの横浜に比肩するくらいの大都市だったはずなのですが……
□スターリバーvsゴールド
さて女子サッカーの名将ことスターリバーをシーズン途中から招き入れたYS横浜は、しっかりと上昇傾向です。それまでは、圧倒的最下位というか、いまの鳥取県の人口くらいの比率の勝ち点獲得率だったのが、あっという間に最下位脱出。それにしてもそろそろ現実味を帯びてきたJ3からの下部リーグ降格制度が実際に発動したら、YS横浜はどうするんですかね?もともと無理やり誘われてJリーグに入れされられた感もあったクラブですし。
逆に「Jリーグ目指すんだ!」つってJ2まで駈け足で上り詰め、そこで貯金を使い果たし、気がつけばJ3で低迷することとなっている鳥取は、もちろんJFLとかJ4とかへの降格はそうそう簡単に甘受しないでしょう。あくまで高みを目指すプロクラブ、そうなると財政基盤をもっともっと強固なものにしなければならないのですが、横浜市の三分の一(の更に半分)の人口ですからねぇ、「頑張れ岡野!」と心の奥で応援するより他ありません。
□鳥取の先手
この日のYS横浜は、これまでの3421ではなく352でした。コンディションかカードトラブルか序列が下がったのかは分かりませんが河辺がいなかったので、そのあたりのことと関係しているのかもしれません。山本がアンカーに入って菊谷と松井がISH。菊谷がどうも主審との相性がうまくいかない感じでしたね、松井がずいぶんとケアしてました。
対する鳥取は我らが四中工出身の田口が先発。ルーキーイヤーから着実に試合経験を積んで、いまやすっかりエースの貫禄。先週見た沼津の試合では同期の森夢真も先発していたので2週連続での勇姿拝見です。そんな鳥取の攻撃は2トップの一人が外に開いて、SHは真ん中に絞る。SBもインナーラップというか、似非ボランチというか、とにかく大外を爆走する感じではない。割と中央突破なスタイルです。
YS横浜はスターリバーさんがポジショナルを仕込んでいるらしく、低い位置で着実に回しながら状況を作ろうとします。そして、そこに鳥取は猛然とプレスをかける。前半は鳥取の前プレvsYS横浜のポジショナルつなぎ、といった構図で試合が進んだのですが、その応酬を制したのは鳥取。右サイドの折り返しを石川大地が決めて先制しました。このゴールシーンは、数的に不利でない状況を作って、そこから各々が1対1を制してのものですので、なかなか良いカタチだったのではないでしょうか。前半は鳥取リードで折り返しました。
□鳥取圧勝
後半になって追い上げたいYS横浜ですが、どうにも主審のジャッジに振り回される。J3水準として特別にひどいレフェリングではなかったかと思われますが、結果的にホームのYS横浜にフラストレーションがたまる展開となりました。そんなYS横浜を横目に鳥取は粛々と追加点をあげていく。後半15分頃には石川がサイドを突破するとたまらず宮原がエリア内でファールを犯し、PK献上。石川が自ら決めて突き放します。
試合の方向性が定まったことでキンジョンソン監督も動きやすくなり、アタッカーを2枚同時投入して前線の運動量をテコ入れ。ただ、それでも時間の経過とともに前プレの運動量は低下する。少しずつ攻撃のカタチを作れるようになったところでYS横浜は松井大輔がお役御免。中盤の和田を3バックに入れて、柳と古賀のポジションをスライドさせると、ここから試合はオープンな展開に。
星川監督は残り15分というところで今シーズンでの引退を表明したフランチャイズプレーヤーである大泉を満を持して投入します。しかし、大泉の引退に花を添えようと逸る気持ちが抑えきれなくなったYS横浜は、さらに前掛かりになってしまう。鳥取からすればおあつらえ向きの状況の発生です。YS横浜が思いっきり前掛かりになって、裏のスペースがスカスカになったところを突いて清永がダメ押しのチーム3点目を決めると、終盤には石川がハットトリックを達成。YS横浜はCBの藤原を前線に上げっぱなしにするなどギャンブルに出ていたので3失点目と4失点目はさほど気にする必要はないでしょうが、とにもかくにも鳥取の完勝となりました。