鉄仮面ヒール的マネジメントの妙〜FC町田ゼルビアvs名古屋グランパス(7/6)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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ジブリダービー

ここ数年の変化として皮膚感覚で気付かされることの一つとして、「名古屋が混んでいる」ってのがあります。厳密には名古屋駅近くのコインロッカーの空きがなかなか見つからないのです。数年前までは、ジャニーズのコンサートでもないかぎり決して発生しなかった現象。名古屋に観光客が増えた。名古屋城名古屋港水族館以外に観光する場所がないことでお馴染みだった名古屋に、なぜ観光客が増えたのか。きっと、それもこれも愛・地球博跡地にようやく出来たジブリーランドの影響に違いないと確信する今日この頃。

ジブリといえば、かつての本社だかアトリエだかが多摩にあって、それゆえ『耳をすませば』の舞台が多摩市の聖蹟桜ヶ丘だというのは有名なお話。ワタクシが大学生時代に住んでいた街です。あまり良い思い出はない。我ながら冴えない大学生だったので。4年になるまで彼女もいなかったし。ともあれ、多摩市を南に進むと、通称“尾根幹”という稜線道があって、そこの峠を越えると町田市になる。『平成狸合戦ぽんぽこ』の舞台は、この尾根幹周辺の、今なお大自然な一帯だそうです。というわけで、ジブリダービーです。

 

□不調グランパスと好調ゼルビア

さて、いまやトヨタグループの看板車種となったハイエースに分乗してはるばる野津田まで乗り込んできた?グランパスは、実はリーグ戦だけ見ればここ5試合で0勝1分4敗なんですね。順位は11位。ルヴァンで勝ったり引き分けたりしているので騙されがちですが、調子は決して良くない。まあ、カップ戦もルヴァンはともあれ、天皇杯はアレでしたしね。アレをナニしないと、なかなか復調しないかもしれません。

迎え撃つゼルビアは、ご存知のように首位を快走中。リーグ戦ここ5試合も2勝2分1敗なので、安定して勝ち点を積み上げております。天皇杯ではいろいろありましたが、昨シーズンの段階で既にゼルビアは“国民的ヒール”。ゼルビアの実態そのものとは、ある意味で別の論理による、自律的な社会的要請によって着々とゼルビアは国民的ヒールの座へと登り詰めようとしている、ように見える。何はともあれ、繰り返しながら、首位快走中です。

 

□デュークと下田

というわけでピッチに目を移します。まずグランパスですが、、、稲垣? ねぇねぇ稲垣⁇ 君はボランチではなく3CBの右に入っていたのかい?ボランチは椎橋と森島だったかと思われますが、椎橋がアンカーよね。なので椎橋を底に中山・森島・榊原が並んだ5131のようにも見えたし、榊原と山岸が2トップの5122のようにも見えた。っていうフォーメーション。ハセケンサッカーの場合、山岸が最前線だと少し難しいところもありそうな雰囲気。

一方のゼルビアはデュークが先発してましたね、移籍の意向を示唆してるみたいな報道もありましたが。で、やっぱり圧倒的なターゲットマンっぷり。足下含めたポストワークの存在感よ。一昔前なら、こういうタイプが前線でカラダを張ると、プレーの内容とはほとんど無関係としか思えないくらい自動的にFW側のファールを取られたものですが、さすがにそういうことはなくなりましたね。それからデュークに加えて平河も流石でした。特にプレスバック。彼の欧州移籍でこのプレスバックを失うのは、ゼルビア的には少し厳しいかも。

ともあれ前半の攻防ですが、直前にスコールがあったので蒸し返しがえげつなかった。そりゃ飲水タイムも必要だよ、っていう厳しいコンディションの中で覚醒したのが下田。VARで焦らされた先制ゴールそのものも素晴らしかったですけど、その際のPA内での判断のクレバーさが特に素晴らしかった。さらにいえば、それ以上に中盤での捌きが宜しい。左利きなんで、だいたい右にいる仙頭か、大外の望月に出すんですけど、状況判断が絶品。これぞアンカーっていうゲームメークでした。てなわけで町田がリードでハーフタイムを迎えます。

 

□鉄仮面ヒール

ゼルビアのサッカーって、実はあんまり戦術面については触れられない傾向にあるような。理由は青森山田と同じで「全部やっている」から。全部やっているということは、必然的に常にアップデートされているわけで、ポジショナル要素もきっちり取り入れられている。相当しっかり5レーンを作りますね。わりとシンプルに2トップ+SHの片方+両SBで5レーンを作ります。あれだけタイトに早期回収できるのも、こういうポジショナル的な裏打ちがあるからこそなのかな。

対するグランパスは後半開始とともに永井を投入。さらに60分頃にはパトリック。もうね、そのあと投入された山中も含めて、ハセケンのサッカーはこうでなくっちゃいけない。理不尽な一発芸全開サッカー。もちろん町田は計算ずくなんで、なかなか一発芸を披露させてもらえなかったですけど。とはいえ一発芸以外にも好循環があって、永井が左のワイドに流れがちなので、自然と中山のインナーラップが冴え渡る、みたいな局面も作れてました。

ただし、ゼルビアの本領はここからなのですよ。ゼルビアの本領とは、すなわち、チームの戦術や秩序を90分間の永続させられること。普通は肉体的あるいは頭脳的な体力が落ちると、それを持続できなくなるのですが、そういうことがない。まるで鉄仮面みたいなんですよ。人間味というか動物味のなさが。だからヒール扱いされるのかも、みたいな。ただ、黒田さんに人間味や動物味がないわけではなく、平河に花道を作りましたよね。こういうところも含めてマネジメントの妙なのでしょう。というわけで、ゼルビアが最小得点差ながら、実質的には完勝を収めましたとさ。