町田の強さは往年の鹿島の強さなり〜FC町田ゼルビアvsVファーレン長崎(6/11)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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□キーワードは上鶴間?

「江戸の敵を長崎で討つ」なんて言葉がありますよね。東京都に属するという説もあるゼルビアと長崎代表Vファーレンの対決ですので、ってことは「江戸の敵を長崎で討つ」対決とも思われるのですが、「本郷もかねやすまでは江戸のうち」という言葉があるように、江戸って現在の東京都の範囲からすれば圧倒的に狭いエリアを指す。

そもそも「町田は神奈川!」「町田は東京定期」というやりとりが成り立つように、町田ってほとんど神奈川県みたいな立地。にもかかわらず東京都に編入されているのは、さまざまな要素の複合体とはいえ、最大の要因は武蔵国相模国を画する、その名も境川より東に立地していることによると思われる。ってことは、やっぱり境川の境界性が町田市民に与える影響は大きくて、「上鶴間はもはや完全なる異世界!」みたいなメンタリティなんでしょうか?

 

□裏表ない好調と懸念のある好調風味

さてさてゼルビアですが、圧倒的に快走してますね。布さんのなんとも形容しがたい実績があるので、多少なりとも懐疑的な目もあった高校サッカーの名将ですが、FC町田ゼルビアの歴史を基準とする当社比でいけば圧倒的に快速している。このまま昇格なんてことがあるとしたら、J1に南関東4都府県のチームが多過ぎってことになりやしないかい?あるいは南関東4都府県のJクラブにおけるJ1率が高くなりすぎるというか(それが悪いとは言ってない)。

対する長崎も順位的には決して悪くない。問題は費用対効果の部分ですが、そこの部分に限定した長崎サポの評価はどのようなものなのでしょうか?創刊以来『エルゴラッソ』を愛読しているワタクシ(現在は『Jリーグタイム』だとスコア以外の情報をほとんど得られないという理由でJ2版を読んでいる)としては、『エルゴラッソ』の長崎番記者の評価に洗脳されて、カリーレの手腕は微妙なのではないかと思ってしまいますが、こればっかりは、あくまで一つの意見に過ぎないわけで、本日確認してみようという次第です。

 

□〝よくわからないまま結局は強い〟という鹿島感

さてキックオフ。まずは長崎ですが、『エルゴラッソ』でボロクソ書かれていることでイメージしていて先入観に比べると、割とビルドアップは出来ていた印象です。とはいえ、それが可能だったのは、この日SBに入っていたベテラン高橋峻希が示したポジショニングの妙と判断力よい持ち上がり、あるいはカイオ・セザールのフィジカルといった、つまりは〝個〟に依存する部分も大きかったかもしれません。

一方の町田は黒田的スタイルがすっかり定着してきた。その眉目は、煎じ詰めればカウンターの流麗さに帰着するように思われます。相手を引きつけてから奪い、そこから一斉に前へと走る。その際の判断の正確さというか、全ての選手が、あらかじめぴったりそのシチュエーション用の設計図を与えられているかのように、完璧なタイミングで完璧な場所に走り込んでいく。しかも、そのカウンターにはデュークという明確なスイッチがある。そら強いよ。

そんな強さを象徴するような2ゴールで町田は前半のうちに勝ちパターンへと持ち込みます。1点目は右からのクロスにデュークが足で合わせたゴールでしたが、そんな崩した感じではない。わずかな隙があれよあれよと大チャンスになるのが黒田スタイルの醍醐味であり、円熟味。2点目はロングスローからエリキが決めたものでしたが、これも長崎守備陣としては崩されてる感のしない、狐につままれたような失点だったのではないでしょうか。

 

□完全に見切られた長崎

後半になると構図が明確に。といっても一般的にありがちな「追いかける側が前への圧を高めて、リードした方が受けに回る」というものではなく、町田が、上手く回っているときのポジショナルのチームばりに、ひたすら早期奪還を繰り返し、長崎をハーフコートにピン留めするという展開となった。前半の分析によって長崎の弱点が共有されたのかもしれません。

とにかく、そういう展開から、まるで先制点のデジャブなようなボールの動きからデュークがこの試合2点目を決める。長崎もどうにか風穴を開けるべく魂の3枚替えを断行します。それまで左SBにDFタイプを右SBにSHタイプを置くというアシンメトリーの左右を逆にしただけなんですけど。そんな小手先で状況が改善するはずもなく、むしろ選手交代の混乱の中で最終ラインの呼吸が合わず、緩い繋ぎをエリキにかっさらわれる。これを決めたエリキもこの試合2点目。助っ人2トップのアベックドッペルパックとなりました。

必然的に長崎は惨敗モード。象徴的なのは鍬先がイエローを貰ったシーンで、相手のカウンターで後ろからシャツを引き倒して防いだのですが、もはや敗色濃厚のなか、今後のシーズンにも影響するイエローと引き換えにしてまでも、5点目を防ぐ必要があったのか。試合を諦めろというわけでは勿論ないですが、勝ち点への影響が薄いイエローをもらってしまうところに、Vファーレンというチームの置かれた現在地が暗示されているように感じました。

ということで、フアンマのPKで一矢報いたとはいえ、町田の完勝となった一戦でございました。