オールドスクールかつクオリティ不足〜奈良クラブvsFC今治(9/9)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

                                  にほんブログ村 サッカーブログへ
にほんブログ村

□万葉ダービー

奈良クラブって、5音ですよね。となると、ついつい川柳の一つでも捻りたくなる。「奈良クラブ 町田ゼルビア サガン鳥栖」みたいな575。昔の中学生の中二病心をくすぐった短歌に源実朝のがあって、575にはその下の句を無性にくっつけたくなる。すなわち「奈良クラブ 町田ゼルビア サガン鳥栖 割れて砕けて 裂けて散るかも」ってしたくなるのですが、そうすると、単に奈良クラブ町田ゼルビアサガン鳥栖に喧嘩を売ってるだけになってしまうので自粛です。

突然、短歌を詠じだしたのは、そりゃ奈良だからですよ。奈良と言えば全体的に「まほろば」ですからね。今ひとつ「まほろば」の意味がわからないですけど、とりあえず『万葉集』ですよね。で、今ひとつ意味がわからない『万葉集』の言葉といえば「にきたつ」。これは今治というより道後温泉愛媛FCっぽいですけど、まあ、そこは同じ伊予国。仲良くしてもらいましょう。というわけで、この一戦は万葉ダービーです。

 

□5位ではダメなんですか?

奈良クラブのここ5試合の戦績を振り返りますと、調子が良い。3勝1分1敗で順位も5位まで上げてきた。J3参入初年度でこの位置は、大健闘と賞賛してよいでしょう。もちろん、さらに上位を伺いにいくかとは思いますけど、ライセンスが不透明ですし、これくらいの順位で宜しいのではないかという悪魔の囁きが忍び寄る可能性もあります。なんせ、ここは奈良。「5位、どう?」って響きには慣れているじゃないですか、「五位堂」駅的に……ええ、ええダジャレですよ、はい、はい。。。

アウェイの今治は、ここ5試合で1勝2分2敗。順位としては8位ですね。こちらも決して悪くはないですけど、決して悪くないなかで監督を交代したわりには、少なくとも順位だけみれば上向いていない。いろいろと革新的な試みを実行することで、同じ県内の先輩である愛媛FCを置き去りにしようとしている今治ですが、監督人事には堪え性がないんですよね。そういうところが将来的に現場の足を引っ張らなきゃ良いですけど。

 

さてオンザピッチ。奈良は、一応、スターティングポジション的には4123だったんですかね。よくあるパターンですけど、守備時にはインサイドハーフの片方がセカンドトップ的に、もう一方はボランチ的に構える442となります。具体的には桑島がFW的にプレスをかけて、中島賢星ボランチ化する。ちなみに左SBの加藤徹也で背番号11。背番号11のSBって、ちょっとかっこよい。村井慎二みたい。

スポナビアプリのフォーメーション図を見ると、対する今治の左SBは9番の近藤高虎、互いの左SBが9番と11番って、めっちゃかっこよい、って思ったら実際には左SBではなく左SHでした(後半途中からSBにスライドしましたけど)。ちなみに今治の外国籍勢は、マルクス ヴィニシウスやらラルフ セウントイェンスやらヴィニシウス アラウージョやら、名前がかっこよい。

前半の試合内容としては、わりと似た者同士のサッカーでしたね。時々サイドチェンジを織り交ぜながら、サイドを起点にショートパスをつないでクロスを入れていく、オールドスクールなスタイル。それぞれ何度か決定機を作りましたが、何か特別なファンタジーを感じさせるという雰囲気ではない。基本に忠実、焼酎でいうといいちこウイスキーならサントリー角みたいな攻防でした。あえて取り上げるから奈良は中島賢星のゲームメイク、今治は三門のポジショニングとボール奪取能力が目立ちましたかね。

 

□最後の精度

スコアは後半に入って、すぐに動きます。先発した方の今治ヴィニシウスが、ロビングのパスを受けると、巧みにマーカー入れ替わって突破。そのままシュートしそうなところを、どフリーの千葉にプレゼントパス。千葉が確実に決めて今治が先制します。それにしても先発ヴィニシウスの強さと上手さと落ち着きが際立ったゴールで、先日町田に加入したアデミウソンを少し彷彿とさせるものがありました。

ここからしばらく奈良には難しい時間帯となります。中盤3枚のうちの一人、あるいは右SBの生駒が2CBに加わる3枚回しからボランチにボールを刺して、そこからゲームメイクしようとする丁寧なビルドアップが今治のハイプレスの餌食となり、せっかく打開しても、サイドからのクロスにもたついてチャンスをフイにしてしまう、という繰り返しが続きました。奈良クラブではダイレクトクロスが禁止されてるんですかね?ってくらいクロスでモタついていた。

逆に起死回生の同点弾はアーリークロスから生まれたもの。中島賢星がフィジカルの強さを全面に押し出して頭で折り返すと、浅川が決めきりました。ここからは奈良クラブが攻めまくる。ただ、中島賢星と金子が限界を迎えてピッチを後にしたことと、全体としてラストパスの精度を著しく欠いたことで、再び今治のゴールをこじ開けるには至りません。両チームともゴールを奪うクオリティが不足するという、いかにもJ3らしい展開のままタイムアップ。試合はドロー決着と、あいなりましたとさ。