熱帯夜のドロー決着〜AC長野パルセイロvs愛媛FC(9/2)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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□お子様ランチダービー

ワタクシ、酸味がやや苦手でして。苦手といっても、サーブされたものを残すほど苦手ってわけではなく、自炊するにあたって果物類を買ったことがない、自分から進んで食べることはない、くらいの苦手。で、それは三つ子の頃からのことで、お子様ランチに付いてくるジュースがあまり好きではなかったわけですが、お子様ランチに付いてくる、つまりは子どもが好むジュースの代表格といえばオレンジジュースとリンゴジュースの2強ですね。

勘のよい人は、もはや気づいているかと思われますが、そうなんですよ。リンゴといえば長野なのです。青森という説もありますけど、長野といえばリンゴと蕎麦と山賊焼きと野沢菜とおやきと、それから、えーと、えーと……。ともあれ長野はリンゴ。それに対して、この日、長野に乗り込んできた愛媛FCの本拠地愛媛、それはミカンの国。宇治ではお茶が蛇口から出てくるように、愛媛ではポンジュースが蛇口から出てくる。ゆえにこの一戦は、仁義なきお子様ランチダービーなのです。

 

□方や監督交代、方や首位

ここ5試合の長野の成績を振り返ると2勝3敗です。……あれ、そこまでヒドくないぞ。とはいえ、かつて首位争いしていた順位は気がつけば15位にまで後退。残留争いも視野に入れなければならなくなってきた。ということでリヒャルトを解任して、その数日前に今治を解任されたばかりの高木理己さんが招かれました。前任者は、普段の言動からしてピッチ内はともかく、その周囲で集中できない環境を作ってしまっていた末の解任だったかもしれませんね。

一方の愛媛は2勝3分の首位。なんとなく、J3史上最大に地味な首位快走という印象ですけど、なんせ、そこは信頼と実績の石丸さんですからね、特に驚かないです。時々、「愛媛の県民性としてヨソ者を受け入れない!それが良くない!」と文句を言ってるサポーターの意見をネットで見かけたりしますが、そこは選手としての晩年を愛媛で過ごした石丸さん。なにかと快調です。

 

□ハイラインハイプレスvs堅守速攻カウンター

さてピッチに目を移すと、監督が交代した長野ですが、システムは引き続き3バックを継承。中盤は加藤弘堅のアンカーではなく、加藤弘堅と原田がダブルボランチで並ぶ形。おそらくリヒャルトの頃はいわゆるポジショナルの5レーンで、低く位置で繋いだ疑似カウンターだったかと推察しますが、高木政権下では、思いっきりストーミング。しかも、ちょっとやそっとのストーミングではなく、相手GKにまで突っ込んでいくストーミング。ちなみに長野のYS勢は粛清されることなく元気にたくさんスタメンを張ってました。

対する愛媛は戦略的にか、あるいは長野のストーミングを受けてしまったということか、前半は原則的にはリトリートして2ラインで対応するクラシカルな堅守速攻スタイル。けっこう一方的に攻めこまれましたけど、小川と大城を中心に最後の最後で跳ね返すような水際ディフェンスでしのぐ。水際ディフェンスがなかなか安定していました。ちなみに大城もYS勢です。

試合は前半からスコアが動きました。まずは一方的に攻めこまれていた愛媛がまさにワンチャンスを生かして松田力が先制ゴールを決めました。長野のハイラインハイプレスを見ていれば、まあ、そういう落とし穴はありますよね。そこから長野は少しリズムを失いますが、近藤が相手GKに単騎で玉砕プレスをかけたあたりからリズムを取り戻す。この玉砕プレスこそ困ったときに長野が戻るべき場所なのでしょう。そして左サイドを杉井がカウンターで爆走して、最後は佐藤が押し込み同点に追いつき、ハーフタイムを迎えました。

 

□最後まで見応えはあったよ

後半開始とともに愛媛の石丸監督はアジリティに秀でた小兵の佐々木を下げて、大型CFタイプのベンダンカンを投入し、明確なメッセージを送ります。つまり、「蹴っていけ」ということだったかと思われます。で、このベンダンカン、いろいろ動きが怪しいのですが、なんやかんやでロングボールをマイボールにしてしまうんですよね。こうなると、長野守備陣はそうそうハイラインというわけにはいかない。愛媛的には深みを作ることに成功します。

愛媛のシフトチェンジに加えて、もう一つ要因が。大して風が吹いているわけでもないのに、なぜかエンドを交換してキックオフしたのですが、どうやらペナルティエリア内の芝のコンディションに大きな差があった模様。前半は愛媛、後半は長野が自陣ゴール前でのボールコントロールに苦労していました。なので、後半は前半の長野みたく、愛媛が相手GKにプレスをかけまくり。前半の長野は芝のコンディション的に鬼プレスしてただけで、別に基本形がストーミングというわけでもないのかも。ともあれ、前半と後半とでは、同じ構図で攻めてる側と守ってる側が正反対になったような感じ。

ただし、前半と同じ構図ということは、つまり愛媛も前半の長野同様決めきれないということ。これも芝のコンディションの影響かしら。そうやって時計の針は進んでいくと、そこは熱帯夜の消耗戦、両チームとも〝敢えてペースを落とす〟みたいな高等な試合運びなどできません。結果、蒸し暑い中、終始ハイテンションなまま試合は進み、足を攣る選手も出てくる。そんなこんなで後半にスコアが動くことはなく、1ー1のドロー決着となりました。