今年のヴェルディは後半が良いらしい〜東京ヴェルディvs徳島ヴォルティス(7/15)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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□東九フェリー

世の中からバスが失われつつありますね。理由はもちろん乗車率の低迷が最大なんでしょうけど、同時にドライバー不足も深刻。そんな中で脚光を取り戻しつつあるのがフェリーなんですが、ワタクシ、フェリー好きです。きっかけは仙台―名古屋航路が快適過ぎたから。そして、今回のマッチアップである東京と徳島を結ぶ東九フェリーも好きです。

なんといっても、食堂がない代わりにオール自販機な飲食コーナーがめっちゃ充実している。フェリーは豪華旅行ではないのですよ、チープなカップラーメンをすすってこそのフェリー、発泡酒や最近は見かけなくなった第3のビールを飲んでこそのフェリーです。ちなみにこの航路、太平洋を突き進むので、伊豆半島を超えると波が高くなります。ゆえに、それまでに寝てしまうのがベストです。

 

□戦後文化的な諸相

さて、ヴェルディですが、天皇杯で久々の東京ダービーが実現しましたね。少しFC東京サポーターのルール違反が顕在化したりして。Jリーグ草創期には、「プロ野球(=戦後文化)のカウンターカルチャー」としてサッカーが社会的に位置づけられていて、その中でヴェルディ=読売は、〝巨人大鵬玉子焼き〟の戦後プロ野球文化的性格を一身に引き受けたヒール、既得権益ブルジョワでした。しかし、いまやFC東京が既得権益側になったはず。今さらFC東京側にムキになる必要がどこにあったのか?

対する徳島は今シーズンのスタートダッシュ大失敗からV字回復を遂げた、はずなのですが、それも一段落しつつある印象です。それこそプロ野球的な戦後文化ともいえる「スポーツ新聞的ベタ」で表現すると〝ドロー沼〟ってやつですね。その中で水戸という何とも絶妙な伏兵に一刺しされているところが危うい。下位チームが勝手に自滅しているので直ちに降格の危険性とかはないでしょうが、せっかくの柿谷―森海渡のコンビを無駄遣いしないよう期待したいですね。

 

□クラシカルなジャパニーズサッカーと欧風トレンデイ

この日のヴェルディはたぶん442。4231とか4411と言われればそうかも。攻撃の形は相手ブロックの外を回しながら様子を見極めつつ、少しずつ隙間が広がったところで裏を突いていくような感じですかね。キーマンは染野。染野はビルドアップの際にボランチの高さまで下がってくる。要するにフリーマンなんですよね。ゆえに442か4231か4411かわからない。ただ、引いた染野のミドルパスは相当クオリティが高い。

一方、徳島は最終ラインで相手をおびき寄せつつ、そこから一気にツートップに当てていく。ポジショナルの常道ですね。日本ナイズしているところは、一人飛ばしのパスとかが、いわゆるロングキックではなく、球足の長いグランダーなところでしょうか。このやり方だと、中盤で引っかけられるリスクが高い分、3MFがどれだけ相手の中盤を引きつけて、ボールを受けることなくパスコースを作れるかにかかってくるのですが、そのあたりはなかなか巧みでした。

総じてクラシカルなジャパニーズサッカーのヴェルディは「ずっと俺のターン」志向的で、奪われるくらいならいったん下げて攻め直す。確率を求めてバックパスも辞さないところがあります。逆に欧風トレンデイな徳島は、バレーボール的な考え方で「まずは自分たちのターンをシュートでやりきる。攻め直すくらいなら、シュートかクロスをさっさと蹴って次のターンに備える」という感じ。好対照な両チームでしたが、前半のチャンスの数は同じくらいだったかと思います。

 

□判定があればヴェルディの勝ちだと思いますが…

勝ち点3を目指す城福監督は後半頭からジョーカーの甲田を投入。ちゃんと守備はします。奪えませんが。そして攻撃では常に縦パスを狙う姿勢が素晴らしい。そして、甲田の位置でタメができるようになったことでヴェルディのラインは前半に比べてぐっと高くなった。ストーミングに近いくらいのハイプレスで徳島を押し込み続けます。

勝負とみたのか城福監督はさらに北島を投入してシステムを433に変更し、ハイプレスの圧をもう一段階あげる。一方的に押し込む。しかし徳島も浮き足立ちません。ブレずに淡々と相手を裏返すポジショナル的速攻(最短手数でシュートまで)を精密機械のように繰り返す。このあたりの再現性はまあまあ見事でした。

とはいえ旗色は圧倒的にヴェルディ。やっぱり城福監督って凄いですね。何が凄いって、後半も深い時間帯になってもプレス強度が落ちない。落ちないどころか尻上がりに高まっているようにさえ見える。徳島も渡がピッチに送り込まれると少し持ち直しましたが、その前に投入された100年に1度の逸材がなかなかハイフライフロー2連発とかツイスト&シャウトなどをくらわすことができない。

後半も前半と変わらず決定機は両チーム同じくらいありましたが、両GKも存在感を示しつつエリア内での粘り強い守備が破綻せず、スコアレスドロー決着となりました。城福さん的には悔しさと仕方なさが半々くらいでしょうか。ラバインさん的には、勝ち点1を死守できた満足感があるかもしれませんね。そういう一戦でございました。