渡邊新の真価とは。〜東京Vvs新潟(7/29)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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□試合前

ワタクシの記憶が定かならば(『料理の鉄人』の鹿賀丈史風)、東京都立川市といえば、今世紀初頭に繰り広げられたFC東京東京Vによる多摩地区争奪戦において、いち早くヴェルディ領化した自治体だったように思うのですが、現在はどうなんですかね。ってなわけで、試合前に久しぶりに立川へと立ち寄ってきました。「グリーンスプリングス」なるニュースポットへ、夕食がてら。

それにしても立川の開発が止まらない。思わず「止まらない柏♪」と口ずさみたくなるくらい止まらない立川。イケアとかなんと、ここ10年くらいで次から次へと駅前が再開発されていく。それだけ再開発できる土地が余っているということですが、ここで勘違いしてはならないのが、立川に土地が余っているのは、田舎だからではなく、米軍をはじめとする軍用地銀座であったから。返還されて、一つ一つ丁寧に再開発している印象を抱きながら南武線から京王線に乗り継いで飛田給を目指します。

 

□両チームの現状

対戦する両チームについて、ホームの東京Vは、さほど負けてないのですよね。もはや昨シーズンと思って差し支えない開幕の徳島戦と、絶好調時の大宮、この2試合です。まあ、7戦して2敗ですから、悪くはない(良くもない)。にもかかわらず14位。引き分けが「3」と少し多い。ちなみに引き分けが一つ勝利であれば、8位。そこまで極端にジャンプアップするわけではないですね。まあ、7戦2勝の順位ということです。

アウェイの新潟は、ワタクシ的には予想外の好調。今年も含むここ数年のトレンドとして、攻撃サッカーを志向する戦術家タイプの欧州系指揮官を迎えると、けっこう苦労する印象が強い。そのなかで5位に付けているのは、まずは素晴らしい。しかも3ー3で引き分けたり、3ー5で負けたりのバカ試合をやらかしたからと思いきや、ここ2戦はスコアレスドローとウノゼロ勝利ですからね。比較的、修正能力の高い、柔軟なタイプの指揮官なのかもしれません。

 

□ピッチ上の両チーム

さて、キックオフ。東京Vは例によって井出がISHで、井上潮音がウイングという左サイドコンビ。これって、どういうことかというと、一般的には配球役がボールを持つと、それを外から追い越していく。で、そちらに気をとられてスペースができるとインナーラップを繰り出していくってのがパターンですが、この組み合わせだと、まずインナーラップありきで、それを補う手段としてSBの大外オーバーラップが位置づけられることになる。いうなれば、「インナーラップの構造化」ともいえる現象が発生するのですね。面白い試みですが対策されてからどうするかが気になるところです。

対する新潟、ボールを持たれるものと予想していてのですが、存外、そんなこともなく。尤もそれは「ポゼッションで負けていない」というより、「相手にポゼッションさせない」という部分が優れていたから。永井さんが志向するのは、大きく言えばポジショナルサッカーで、多くの場合、ポジショナルサッカーは攻撃における優位性をポジショニングで作り出そうとするもの。それに対し新潟はポジショニングによって守備での優位性を作っていた。「ポジショナルディフェンス」という造語を作りたくなるスタイルでした。

 

□注目点

5人交代制になってから、まだまだ慣れないですが、少しずつその楽しみ方もわかりつつあります。それを実感させてくれたのが、この試合の新潟の選手交代。同時に3枚替えしてきたのですが、そのうち2枚はファビオとシルビーニョという、言わば飛び道具。ただ、3枚目に選ばれたのが、いぶし銀・島田というのが心憎い。攻守のバランスを考えるというのは用兵の常套ですが、オーガナイズのバランスも整えるというのは良いですね。

で、前線で先発した選手のうち、ピッチに残さたのは中島と渡邊新。中島についてはレンタルされてすぐですので、いわば、「お手並み拝見」的な要素もあったのかもしれませんが、渡邊新については期待されているというか、アルベルト監督のサッカーにおける戦術的なキーマンなのでしょうか。正直、ボールを持ってからのプレー選択にハズレが多かったような気もするのですが…

 

□試合展開

試合の方は、ポジショナルな攻撃を、ポジショナルな守備で受け止める、詰め将棋のような展開でハーフタイムを迎えましたが、「おっかしいなぁ、こんなはずじゃないんだけどなぁ」って焦れていたのはヴェルディの方ではなかろうか。メンタル的な充実感は新潟にあったと思われる前半戦でした。

後半に入るとヴェルディはそれなりに微修正に成功した、「まんまとパスカットされる」というシーンは激減しましたが、両チームともにこの試合では決定力を欠いたため、詰め将棋状態は続く。そのなかでスコアを動かしたのはヴェルディコーナーキックに高橋がヘッドで合わせます。で、そこからは往年のヴェルディらしい、“舐め腐った(褒め言葉)”逃げ切りモードにはいるのですが、ロスタイムに決壊。ロングスローから、件の渡邊新が足を振り抜いて同点に追いつきました。…渡邊新、ワンタッチゴーラーということか?