有観客試合ですね。都内では感染者が多く出ているので、いろいろ躊躇するところが全くないわけではないのですが、都内から都内への移動ですし、ここは堂々と。ということで、渋谷から井の頭線、明大前から京王線に乗り継ぎます。15年ほど前までは毎日乗っていた京王線。もはや、「区間急行」の意味がさっぱりわからない。「この電車はつつじが丘あたりで準特急に抜かされるのか?」なんて疑問を抱えながら調布で途中下車。常に『孤独のグルメ』状態なので、勝手にソーシャルディスタンスは守られるし、飛沫が飛んでくるようなシチュエーションも全く発生しないっつうわけで、怯まず外食。「CAFE BunS」で軽食を済ませます。調布が誇るモツ焼きの一大勢力「い志井」系列のアメリカンダイナー風カフェ。ミックスピザは貫禄のクオリティでございました。
□両チームの現状
試合に先立って両チームの状況を確認すると、まず東京ヴェルディは監督が永井さんですね。志向するスタイルが風間さんとかぶる印象があります。その割に風間さんほどはアンチにストーキングされていないような気もする。「出る杭は打たれる」と言いますが、 永井さんの場合、まだ「出る」に至っていないということでしょうか。あるいは、現役の頃から太客なタニマチがスポンサーにいることで有名ですが、そちら方向からのゴリ押しがありそうな雰囲気も仄かに漂う。そういう意味では風間さんというよりも秋田さんとかラモスさんに近いのか?
対するヴァンフォーレ甲府の監督は伊藤彰さん。佐久間さんがフロントの実質的トップだけあって完璧なアルディージャ閥。別に閨閥が自動的に悪いわけではないので、手腕で評価したい。では、その評価はどうか。この試合では随分と大胆なターンオーバーをしてきました。まずは、その胆力に花束を。それもこれも今シーズン無敗の進軍を続けている余裕でしょうか。まあ、無敗の進軍といっても、1勝3分の勝ち点6なのですが、悪くないの範疇に入るところに付けています。
□ピッチ上の両チーム
試合が始まって、まず思ったのは、ヴェルディ、意外と秩序があるぞ。もっと「最後は1対1ですから」とか、「止める蹴るが完璧なら守備なんてする必要ないわけですから」みたいなポジションレスアナーキーになるのかと思っていたら、ちゃんと各人に持ち場は割り振られている模様。守備でも、きっちり532のブロックを作ってましたし(途中から4321で4-3ブロックになったかも)。
対峙するこの日の甲府は、山本英臣がリベロで先発していました。ホント、鉄人ですね。中盤をやってたのは15年くらい前なんでしょうけど、いまだ、元中盤らしくボールを持ち出して、ダイナミックな配球ができるので、思わず「お前は長谷部誠か!」とツッコミたくなる。それから、ポゼッション率で圧倒されることは織り込み済みだったでしょうから、そういう時のディフェンスリーダーには焦れない強さが求められる。そこの部分でも、豊富な経験が生かされていました。
□注目点
この試合で注目されたのは、藤田譲瑠チマ。なんか、藤田譲瑠チマ、「ジョエル」という響きの持つ「なんかわからんけど、かっこいい」感と、「チマ」という響きの持つ、どことなく脱力的なラブリーさ、そのアンバランスに心を奪われる。そんな長谷川アーリアジャスール、じゃなくて藤田譲瑠チマ、途中からピッチに入ってきた甲府の宮崎・アジアの・純真(一瞬、宮崎幾笑かと勘違いした)と謎のグータッチを交わしました。
アプリ版エルゴラ選手名鑑をチェックしたところ、譲瑠ジャスールの一個上でFC多摩出身とあった。アーリアチマはヴェルディの下部組織出身なんで東京都多摩地区出身の可能性も十分にある。同じ小学校に通っていたご近所さんとか、そういう関係か?必然的に最寄り駅は京王永山とか京王多摩センター、意表を突いて唐木田、ワンチャン若葉台、みたいな。
□試合展開
試合はたくさんゴールが生まれる展開でした。まず、序盤からインサイドに流れずアウトで辛抱しながら虎視眈々とペナルティエリアを伺っていた井上潮音の我慢が報われるゴールでヴェルディが先制すると、甲府もサクッとコーナーキックに合わせた今津の一発で追いつく。
後半に入るとさらに試合は加速して、たぶん森田か誰かのスルーパスに抜け出した小池の折り返しを井上潮音がこの日2点目を決める。ケチャドバ状態になったヴェルディは、前半から「ゴール決めたい病」でもんどり打ってい井出がようやく決めて突き放すと、前半から「攻撃参加したい病」でのたうち回っていた若狭がダメ押しゴール。でも甲府は甲府で、ハーフナー・マイクの落としからの流れで山田陸が押し込んで差を縮める。
ただし、甲府の追撃もそこまでで、まあ、ヴェルディの完勝といった内容でしたね。ポゼッション率で圧倒するのはいつものことですけど、ここに、人間のバイオリズムばりに気まぐれな「決定力」というマレビトがマッチすると、それはそれは“映える”試合になるってもの。7月半ばとは思えぬ肌寒さでしたが、試合は寒くなかったです。