□近くて遠い等々力
いやあ、争奪戦に勝利しましたよ。リーグ戦はてんで無理として、天皇杯、しかも代表活動期間となればどうにかなるかと思い、一般販売日初日にJリーグチケットにアクセス。どうにかこうにかチケットを確保できました。もともとプラチナチケット化していたフロンターレ戦。そこに加えてのコロナ禍ですからね、そうそうチケットが手に入らないのですよ。物理的には職場から(多分自宅からも)最も近いはずの等々力競技場が、入場権利的には最も遠いスタジアムになってしまった。
いっそのこと、伝統の昭和モデルにより陸上組合の利権政治に完敗してまるで使い道のなくなった国立競技場を実質的なホームにしてみてはどう? 良いじゃないですか、登記上は川崎をホームグラウンドにするクラブが全く地元を大切にせず東京(というか国立)でばかり試合するって構図。30年ほど前にどこかで見た記憶があるし、先例があればなんでも許されるのが日本社会ですし(すんません、ブラックジョークです。ホントはそんなこと思ってません)。
□ガチ崎ガチンターレ
天皇杯ですし、余裕綽々なメンバーで臨むのかと思いきや、ガチですやん、川崎。代表に呼ばれている面々を除くと、現状のほぼベストメンバーに近いのではあるまいか。J3の長野相手にジェジエウとかシミッチとかレアンドロ・ダミアンとか、めっちゃブラジリアトライアングルが揃ってるし、家長もいるし。情け容赦ないラインナップ。
谷口と三苫がいないことで、車屋・登里・長谷川のレフティコンビが左サイドに君臨。右サイドの家長も左利き。……レフティ多すぎません?中盤のお三方はどうだっけか?と眺めてみたら、なんだかよくわからない。右で蹴ることが多いとは思いますが、3人が3人とも両足でもキックができる模様。中盤は揃いも揃ってどちらもいける口なのだろうか。ちなみに、守備のときは家長(とレアンドロ・ダミアン)が攻め残って442っぽくなるのはデフォルトなのだろうか?
□完全に負けパターンも
しかし、武蔵小杉の発展てハンパないっすね。新スタンドができて以降の等々力ではアウェイ寄りのメインスタンドで見ることばかりだったので気づかなかったのですが、ホーム寄りのメイン2階席からグランドを見下ろすと、視線の先にはめっちゃタワーマンション群じゃないですか⁈ なんてことを考えていたら、静かな前半は静かなまま終わ……らない! あろうことかチャンピオンチームを向こうに回して、長野が先制してします。「“8番”で“藤山”って、、、竜仁じゃないんだから!」でお馴染みのボランチ藤山がミドルを突き刺しました。
前半からどこかリズムの悪かった川崎。後半は追いつこうと猛攻をしかけるものの、手詰まり感だけが積み重なっていく。選手交代でも空気は変わらず、逆に相手GKはアトランタ能活状態に。完全な下剋上パターンでしたが、後半ロスタイムに橘田が起死回生の同点ゴール。これで一気呵成かと思いきやそうもいかず、グダグダのままPKにもつれ込みましたが、チョンソンリョンの活躍で、辛くも長野を下しました。
□精密機器化の功罪
しかし、川崎、120分間ずっと冴えなかったですねえ。ワンタッチでパスを出しても「残念そこには誰もいない!」みたいな。ジャイアントキリング寸前まで追い詰められた要因は、一番に長野の勇戦を褒め讃えねばならぬでしょう。長野というか横山さんのソリッドなカウンターサッカーは、ポゼッション志向な格上チームとの相性がすこぶる良い。まずは横山監督への賞賛を。
ただ、例えば川崎は簡単に裏街道を攻略されたりしてましたが、それは奪われたボールを中盤で回収しきれなかったから。それからパスのズレもやたらと目立った。それもこれも、技術不足というよりも、ポジショナルサッカーの肝であるポジショニングの部分でのフィーリングに各選手間のズレがあったんだと思うんですよね。チームの完成度が高まれば高まるほど精密機器化して、かえって歯車が適合的に回るのにデリケートな前提が必要になる。…サッカーって難しいですよね。。
□ボクたちの武蔵小杉は南武線だ!
しかし、平日18時キックオフってご無体でございます。それだけなら恵まれた職場なんでどうにかなるのですが、試合終了後は飲食店が強制的な営業自粛している状態だと(「自粛」とは?)、どのタイミングでメシを食えば良いのか。とりあえず17時開店の店を探すしかないということで、「丸仙」というラーメン屋さんを訪れた。
いやあ、武蔵小杉ですねぇ。この場合の「武蔵小杉」とは、湘南新宿ラインとか東急線の駅を含意するのではなく、南武線の「武蔵小杉」の意です。そう、奥深き南武線文化。まずは店にエアコンなんかありやしない。そりゃ、そのまま鶴見線に突っ込んでいく感じの路線ですから、伝統的に労働者の文化なのですよ。さしあたり「支那そば」と「餃子」をオーダー。それはそれは「支那そば」と「餃子」の味でしたよ。昭和モデルの。もうね、そういう味が食べたくて選んだだけに、大満足でございました。