願ったり叶ったりのホームチーム〜湘南ベルマーレvsジュビロ磐田(7/14)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記

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国府があったダービー

湘南ベルマーレがホームスタジアムを置く平塚市が広域通称の“湘南”に含まれるかどうかは、永遠のパズルですけど、そもそも論として日本における“湘南”発祥の地は平塚なんですよね、確か。平塚って、歴史が古いんですよ。一説によると古代律令国家の相模国国府は平塚にあったとか。ググってみたら、海老名から平塚、さらには大磯へと国府が移転した説と、小田原から平塚、さらには大磯へと移転した説、諸説あるみたいです。

翻って磐田。初めてヤマハスタジアムを訪れたときは観光がてら坂道を歩いて登ったものです。スタジアムへの道すがらにいろいろ見所があるんですよね、旧見付小学校とか。旧見付小学校があるあたりが、かつての見付宿で、江戸時代の大都会。そのあたりに遠江国国府はあったらしい。ちなみに国分寺もその一帯にある。国分寺国府って、わずかに離れていることが多いらしいのですが(東京都国分寺市府中市の関係)、ここは一体化していたということか。

 

□仁義なき残留争い

さて、掛川から小田原までこだまで乗り込んできた?ジュビロですが、リーグ戦はここ5試合で1勝3分1敗、順位は16位です。J1再昇格初年度ということを考えれば立派な数字ですが、喉元過ぎればなんとやら、サポーターの中には「横内監督では良くない!」って声もチラホラあがっているとか。「横内監督でなければ、そもそもJ1にいない。J1で悔しい思いをする権利さえ手に入れられてない」って発想にはあまりならないのが人間の習性なのでしょう。

迎え撃つベルマーレは、さらに深刻。リーグ戦5試合で1勝1分3敗の19位。ずっぽり降格圏です。ベルマーレといえば、親会社撤退を機に10年にもわたるJ2生活の末、楽天サイバーエージェントレベルの特別に強力な新規スポンサーに恵まれることもなく、それでもJ1に返り咲いた、エレベータークラブ・オブ・エレベータークラブ。プロヴィンチャの中央値にある予算規模ですから、普通にやってりゃ確率2分の1以上で降格、偏差値50の監督ではぶっちぎりで降格する立ち位置。にもかかわらず批判に晒される山口監督の悩みは尽きません。

 

□グラッサ退場

というわけでピッチに目を移します。ベルマーレは、昨日見たカマタマーレと同じで、成績の割りには中身が良い。2トップなんでくさびのターゲットが2つある。特に鈴木章斗の足下ポストワークがなかなか上手かった。そこで収まるから高いところでのポゼッションが可能になる。もっと言えばベルマーレの場合、2トップに加えて2人のISHがSHみたいな幅を取るので4トップ状態というか、ボールを引き出すコースが4つある感じで、しなやかにボールが回ります。

そんなベルマーレのポゼッションスタイルにビビったのか、早々にジュビロはPKを献上。このシーン、VARディレイでしばらく流されて、ボールが切れないものだからジュビロのカウンターに移行して、そっちでもPK疑惑。「いったいどっちのPKなんだい?」とか思っていたら、ベルマーレがPK獲得。ついでにルキアンを倒したグラッサにレッド。どういうこと?みたいな疑問を拭えないまま、ルキアンが先制点ゲットしました。

そもそもジュビロはカウンタースタイル。2トップを独走させるか、外回しでビルドアップするかなのですが、基本的には重心低め。そういう前提の中、1人少なくなったものだから、極端なまでに重心が低くなる。有り体に言えばサンドバッグ。1人少ないのであれば、逆にボールをゴールから遠ざけるって考え方もあったと思いますが、とにかく耐え忍ぶって展開を余儀なくされ、そうなると耐えきれません。池田とルキアンに決められ、前半だけで3ー0となりました。

 

□謎の攻め慣れ

後半開始して間もなく、ベルマーレは慈悲を捨てた4ゴール目。慈悲を捨てたとはいえ、ルキアンのハットトリックとなるゴールですから有意義な得点ではあった。前半の時点でヘロヘロになっていたGK含むジュビロ守備陣の対応も、僅かに緩慢だったかもしれません。集中力が切れてしまったという最悪の感じには最後までなりませんでしたが、一方で「1人減ったことで逆に研ぎ澄まされて…」っていうことも決してなかった。

そんなジュビロにも微かな希望はあって、例えば後半開始とともに投入された平川なんかは、苦しい状況でも淡々と自らのクオリティを発揮してました。いやあ、上手いんですよ、平川。落ち着いているし、一人だけ流れる時の速さが周囲と違うとしか思えん。なんとなくヤットさんみたいなのですよ。だから、これからは平川のことを“和製遠藤”と呼ぼうかしら。……いや、“和製遠藤”という言葉を使いたかっただけなんですけど。「だったら本家遠藤は何製だ?」みたいな。

ベルマーレからしてみれば願ったり叶ったりの完勝でしたね。根本の復帰後初ゴールまで飛び出しましたし。というか、前半に1人多くなった直後からなんですが、謎にベルマーレが攻め慣れていた。1人多くなったことで逆に雑になったり強引になったりしがちなところ、そんなことには全くならず、右へ左へ失わずパスをつないで、ジュビロから心身のエネルギーを奪っていく。これまでのリーグ戦でそんなボスキャラチックに戦うシチュエーションがあったとは思えないんですけど、日頃の鍛錬の成果ですかね。そんなベルマーレの圧勝劇だったとさ。