□大阪お好み焼きへのアンチテーゼダービー
それにしてもインバウンドが多いですねえ。コロナ前と違って東アジア系の人が圧倒的な比率を誇るという感じではなくなってきましたが、逆に遠路はるばる来られた外国人の皆様は“ベタ”なところに集中する傾向がある。中国人資本の“中国人の中国人による中国人のための”観光用日本風施設ではなく、日本人観光客と同じような行動パターンで、都民が日常ユースする繁華街に多く集まる。なかでも、もんじゃ焼きさんがバカみたいに混雑してます。
近畿地方出身のワタクシとしては、あの、小麦粉を固めようという努力を端から放棄したグチャグチャ焼きの趣旨が未だにわからない。やっぱり、お好み焼きといえば固形化された小麦粉を食べたいのですよ。そういう意味では、広島のお好み焼きも、どこか物足りない。キャベツの蓋ですもんね、小麦粉。で、それでは炭水化物が足りないから焼きそばを入れる。だったら最初から生地の小麦粉の量を増やせば良いじゃん!?みたいな。というわけで、この一戦は“大阪のお好み焼きへのアンチテーゼダービー”なのです。
□両チームともに奮闘中
さて、新幹線で3時間以上かけて乗り込んできたであろうサンフレッチェですが、ここ5試合の成績は2勝2分1敗で、順位としては5位。第三者的に予算規模を類推すれば大健闘。川村が抜けたところに川辺を補強するなど中断期間の出し入れにも抜かりがない。余剰戦力の整理として野津田も海外に旅立ちました。それにしても去年までは主力級だった野津田をものの見事に干しましたよね、スキッベ監督。ベンチには入れておきながら、意地でも試合では使わなかったですもんね。いやはや。
迎え撃つヴェルディのここ5試合は、2勝1分2敗の9位。J1規模のクラブが何かの間違えで1年間だけJ2ツアーをして戻ってきたってパターンではないことを踏まえると、J1昇格初年度の成績としては申し分ない。これ以上は望むべくもないでしょう。夏のマーケットでは松村が加入しました。これで京都組の木村&山田、鹿島組の染野&松村がヴェルディの前線を席巻することになったのですが、ユース組の松橋とかも頑張れよ。
□落雷とVARの機材
というわけでピッチに目を移します。まず、サンフレッチェですが、アルスランがボランチで先発。そうか、そんな新加入選手もいたか。プレースタイル的にはサッカー脳を駆使した巧みなポジショニングが武器って感じですか?岩尾憲っぽいかなとも思いましたが、もう少し攻撃的な感じなので柴崎岳ってところ?? 塩谷が右に開いて、アルスランが真ん中にいることが多かったですかね。シャドーの松本泰志がハーフっぽく動くので、塩谷と松本が左右に配された中盤逆三角形風になることもたびだひあったかも。
一方のヴェルディは早速松村が抜擢されてました。シーズン途中のレンタル組は加入後すぐに何試合かは優先的に使うってのは不文律なのかしら?ビルドアップでは浮遊しがちでしたが、守備で相手に寄せるスピードにはなかなか良かったです。それから中断前はあまりスタメンで使われることのなかった宮原が先発。古巣相手の奮闘に期待したというよりも、ひょっとしたら中断前はコンディションに不安があって、そこの不安が解消されたってところでしょうか。
ともあれ前半の攻防ですが、もうね、キックオフ前から迫り来る雷雲への恐怖に怯えながらですよ。開始5分で中断か?って思ったら、大型ビジョンには「機材トラブルによりVARは使えません」って出てきてりするし、いったいどうなってんだ!なんてプンプンする暇もなく、いよいよ雷雲さんが味スタにお越しになられる。中断です。しかも再開が20時50分。いや、20時10分過ぎには小雨になったんだからさ、、、そんなたっぷり中断するかね?ともあれ、ちゃんと再開して、そしてスコアレスのままハーフタイムです。
□堅え!
それにしてもサンフレッチェとヴェルディって、なんだか似た者同士ですよね。ガチッと噛み合っている感じ。どこが似ているのか見ていたら、基本的に攻撃はスルーパスとかのグランダーなロングパスで始まる。裏抜けからの攻撃開始ってのは世界的なトレンドですけど、それがロングキックではなくグランダーのパスってところが日本のチームらしい。で、スペースを掌握することに成功すると、そこからは“ティキタカ”というか“止める蹴る”というか、そういうショートパスサッカーに移行する。これが両チームとも共通なんですよね。
一進一退の攻防が続きましたが、時間の経過とともに少しヴェルディにリズムが手出す。染野の自由な動きをサンフレッチェが捕まえきれなくなりつつありました。そこでサンフレッチェのスキッベ監督は、アルスランに変えてドウグラス・ヴィエイラを投入し、松本泰志をボランチに下げました。ところが、却ってこれで中盤の構成力が低下してようにも見えた。
でもね、それでも決勝点を決めたのはサンフレッチェなのですよ。セットプレーです。右のCKから、スコアラーは佐々木翔ということで最終的に落ち着いたらしい。で、リードすると広島の最終ラインは堅い。塩谷が一列上がっても3バックは堅い。しかも一列前には、その塩谷がいるわけですし。加えて、それに輪を掛けて大迫が堅い。往年のカテナチオを彷彿とさせる守備力でサンフレッチェが逃げ切りを成功させましたとさ。