勝負は細部に宿る〜湘南ベルマーレvsアビスパ福岡(7/16)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

                                  にほんブログ村 サッカーブログへ
にほんブログ村

□一癖ある男たちが住む地域

アビスパ福岡の応援歌の中に「博多の男なーらー♪」ってヤツ、ありますよね。〝博多の男〟って、どういう概念なんですか?なんとなく厳つそうなイメージがありますけど、実態はどうなんでしょうか。以前、当時のレベスタを訪ねたとき、シャトルバスでヤンチャそうな若者がたまたま隣にいて肩がぶつかってしまった真面目そうな若者に因縁をつけてたのは見ましたけどらこういうイメージ?いわゆる〝九州男児〟とは異なるイメージなのでしょうか??

ベルマーレベルマーレで、〝湘南ボーイ〟ですよね。〝湘南ボーイ〟の響きは〝九州男児〟とは対極的。あんまりケンカとかはしなさそうですけど、よくよく考えると、湘南乃風的方向性の人たちはケンカとかしそうか。ああいう、逗子とか鎌倉とかの爆音な海の家にたむろってそうな人たちも〝湘南ボーイ〟なんですかね?なんか、いまだに加山雄三のイメージですけど。

ともあれ〝博多の男〟と〝湘南ボーイ〟のダービーです。

 

□明暗

アウェイに乗り込んできた福岡ですが、天皇杯を含むここ5試合の成績が4勝1敗。10試合だと6勝4敗。順位としては12位。悪くないですね。水戸の監督を務めて以降、長谷部さん、すっかり安定の名将です。アビスパには「5年ごとのジンクス」っていうのがあるそうですが、このままいくと2025年にJ1昇格するのは難しいかもしれません(J2にいないとJ1昇格はできない)。とはいえ、そろそろサポーターさんからは「長谷部さんには限界がある!」って批判が湧き上がってきそうでもある。

ホームに迎え撃つ湘南の成績は5試合で1勝1分け3敗。10試合だと2勝2分け6敗ですが、その2勝はともに天皇杯。肝心のリーグ戦に限るとお世辞にも良いとは言えない。山口さんもなかなか評価が難しい。ついでに言えば前任の浮島さんも評価が難しかった。「良くないぞ」と思う反面、「予算規模的にはこんなんか」とも思う。とはいえ、降格となると、「予算的に致し方あるまい」とは言ってられません。山口監督にとって正念場なのは間違いないでしょう。

 

□何度目の全盛期か

最近の福岡は前と井手口がWボランチを組んでるんですかね。良いですね、ボールを刈りとれるタイプが2枚並ぶと。つなぎができないわけでもないですし。ここが安定しているからか、そういうことではないのか、アビスパは両SHが金森と佐藤凌我でともにFW対応もできるタイプ。ゆえに、攻撃時は割り切った424っぽく攻める。高さにスランプはないことを立証し続けるウエリントンが競り合って、こぼれ球を拾ったら、残り3枚のアタッカーはそのままシュートを模索するような感じ。

対する湘南は、おそらくパスを回しながら相手の視線と異なる角度に、できれば一人飛ばしたパスを出したい感じみたいですね。序盤はそこの精度に四苦八苦しておりました。しかも、足下にはそれなりに定評があるはずの大野あたりができてなかったので、「これは、そもそも非現実的なクオリティを前提としないと機能しないサッカーか?」とも思ったのですが、そうでもなさそう。いまの順位とは思えない程度には、それなりにちゃんとできていた。

特に山本脩斗が、そのあたりのプレー、上手かったですね。というか山本脩斗、戦術理解度といい視野の広さといい落ち着きといい読みといい、めっちゃ存在感を示しまくりじゃないですが。不惑に手が届こうとしている年齢で、サッカー人生何回目かの全盛期を迎えつつあるのではないかとさえ思えてくる。とにもかくにも前半は0ー0で折り返しました。

 

城後寿の価値

さて、後半。5人交代制となってからのパターンとしては両チームとも選手交代が遅めだったのですが、それもそのはず、たぶん湘南はやりたい攻撃がそれなりにできてたんですよね。ただ、一つ問題があって、福岡は福岡で、やりたい守り方ができてたっぽかった。ゆえに湘南も福岡も、バランスを崩さないことが優先されて、おいそれとはカードが切れなかったと推察されます。

そして、時間が経過すればするほど、福岡の守備の波長が湘南の攻撃の波長に合っていった。得点が動かない以上、「やりたい攻撃ができてる湘南とやりたい守備ができてる福岡」という構図な続くほど、実質的には福岡が優位になっていく。

そんなわけで、湘南は大橋と山田を下げて、平岡と鈴木という売り出し中の若手を投入しました。そして、それが勝負を分けたのかもしれません。セットプレーからドウグラス・グローリが決勝点を奪いとったわけですが、両チームの違いは湘南が途中交代カードとして若手を切って、福岡は若手の鶴野に加えて大ベテラン城後寿を出してきた。個人的には、球技の途中出場というのは特殊能力が求められますので、ベテランとか飛び道具とかをベンチに置いておくべきだと考えてます。そういう意味で湘南のベンチには「スタメンで出るより途中から出た方が個性が発揮される」というタイプが、特に攻撃のカードにいなかった印象です。逆に福岡の城後なんて、最終盤は3CBの右をやっていた。こういうところ、勝負は細部に宿るということを改めて教えてくれる一戦となりました。