視線の先にはJFL?〜SC相模原vsヴァンラーレ八戸(7/1)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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□夢の超特急

ワタクシが『小学○年生』とかを読んでいる頃、「東北新幹線、ついに開通!」みたいな記事を目にした幼き記憶があります。その時の東北新幹線の始発駅は、確か、大宮駅だったと思います。終着は盛岡。その後、東北新幹線は山形に行ったり、秋田に行ったりするようになったのですが、盛岡がゴールという時代が長かった。そんな東北新幹線、ようやく盛岡より北に延びて、その際の終着点が八戸だったわけです。

そして新幹線が地域社会に与える影響の「理想と現実」が明確になりつつある中、それでも「高速鉄道が明るい未来を連れてくる」という高度成長期幻想は捨てられず、結局は昭和モデルの固執としか思えないリニアモーターカー事業もなんやかんやで進捗させようとしている。その夢の超特急の停車駅になるのが橋本、SC相模原のお膝元ですね。ゆえに、この対戦は「高速鉄道は明るい未来を約束する(地域の交通インフラは壊滅する)ダービー」なのです。

 

□ホワイトカラーvsブルーカラー

まあ、リニアモーターカーが出来たところで相模原市橋本地区への影響は良くも悪くも限定的だと思われますが、その頃には相模原からJクラブがなくなっている可能性はあります。絶不調です、SC相模原JFLへの転落危機です。かつての森岡隆三といい、現在の千葉の小林慶行といい、そしてSC相模原戸田和幸といい、〝あの頃の桐蔭〟な面々は軒並み「理論と理想は立派ではあるが……」になってますね。

アウェイの八戸は、Wikipediaを調べたところ2011年に東北2部で優勝してからというもの、ずっと無冠なんですね。2位とか3位通過でJFLやらJ3に昇格してきたのか。そんな八戸は今シーズン、安定して「勝ったり負けたり」。大崩れがないなと調べてみたら、そうか、監督はノブリンなのか。そりゃ大崩れしないはずだ。おそらく〝最新鋭〟を自認しているであろう戦術(=能書き)重視のホワイトカラー戸田監督に対して、大地に足を踏みしめて額に汗をかくチームを作るブルーカラーなノブリンがどうマッチアップするのか、なかなか興味深いところです。

 

□順位通り

さて、オンザピッチ。序盤は相模原もエース藤沼を中心にカウンターでチャンスを作ってました。八戸はアンカーシステムなんで、ある程度スペースを見つけられますしね。あらゆる意味で藤沼頼りではありましたが、そこにボールが届けば攻撃になっていた。問題は、そこにボールが届かないこと。ポシショナルの要諦は低い位置で相手をおびき寄せて、急所に向けてロングボールを出すってところにあるのですが、そのロングボールを出せないとなると、なかなか厳しい。

一方の八戸はさほど極端なストーミングではなかったですね。2FWと2ISHに加えてWBの片方が相手のビルドアップに制限をかけて、アンカー+4枚が残って陣地を守るような感じ。攻撃は方針が徹底的にシンプル。とにかく最少手数でシュートを撃つ、その大原則が清々しいほど貫かれている。ナーゲルスマンがライプツィヒを率いていた頃のレッドブル系のサッカーですね。

前半はスコアが動くことなく終了。とはいえ見るからに八戸が優位。その理由はイーブンボールの回収率の差ですかね。プロ経験の豊富な八戸の選手の方が、苦しい体勢でボールをどうにかプラスに処理するって部分で一日の長があったように思います。あと競り合った状態でのヘディングのクオリティが相模原の選手は低かったかな。そんな前半でした。

 

□立花兄弟ばりのド根性ゴール

後半に入ると相模原もいくぶん持ち直します。ハイプレスを仕掛けるようになりました。それに伴ってかどうかはわかりませんが、攻撃時には全く5レーンじゃなくなりもしました。というか、勝手にポジショナルだと思い込んでいただけで、そもそも相模原はポジショナルでも5レーンでもなかったのかもしれない。

とはいえ、ハイプレスが機能したのは最初の10分程度だけ。間もなく八戸も対応できるようになり、あらゆる局面で数的優位を作れるようになる。ちなみに、八戸ってロングスローのふりして近くの選手に投げるという、まるでショートコーナーみたいなロングスローが好きですね。なんてことはさておき、相模原は、なぜゆえ、あんなにいっつも数的不利になっちゃうんですかね??

さすがの戸田監督も、「こりゃ、あきまへん」と思ったのでしょうか、選手の3枚替えを敢行するとともに、佐相を右WBに配置する5バックに布陣を変えてきました。ミラー状態にしてしまえば、数的不利は発生しづらくなりますからね。最も安直かつ、それでいて最も確実な方法です。とはいえ、結局そこは付け焼き刃。さんざん崩された右からのクロスに、ついにゴールを割られてしまいます。決めたのは八戸の稲積。ゴール同時に頭部を負傷するという立花兄弟みたいなド根性ゴールでした。もともと覇気を表現しない相模原は、これでさらに一層の意気消沈。そのまま八戸が1ー0で勝利。点差こそ1点差でしたが、まあ、八戸の完勝でしたね。