大槻組長、ここにあり〜ザスパクサツ群馬vs栃木SC(8/6)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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泣く子も黙る北関東ダービー

昔、ネットの掲示板か何かで「〝南関東〟なんて括り(あるいは概念)はない!」とドヤってる意見を目にしたことがありますが、「ある」というのは簡単でも「ない」というのは難しい。「そんなの聞いたことない」なんてことを人生経験の少ない若者が自信満々に述べる場所、それがネットの掲示板。確かに〝北関東〟に比べて〝南関東〟という言葉が使われる機会は少ない気もしますけど、使われる機会の少ないことが直ちに概念の不存在を意味するわけではない。船橋・大井・川崎・浦和の各競馬場に謝れ、と。

ともあれ〝南関東〟と違って使われる機会の多い〝北関東〟。その北関東の雄を決する戦い、それが北関東ダービーです。特に群馬と栃木は〝両毛〟と呼ばれる地域。鎌倉幕府ができて南北移動が盛んになるまでは、専ら東山道のお隣同士として同一動線上にあった地域です。東海道の終点であった茨城とは少し毛色が違うのですね。

 

□ここ5試合で2勝3分同士

例年に比べて残留争いからは遠い場所にいる群馬は、ここ5試合で2勝3分、順位は9位です。だいたい、これくらいが組長の手腕の現時点におけるリアリティでしょうか。18位くらいが定位置のチームにベーシックなことを徹底的に植えつけることで9位くらいに引き上げる。とはいえ長倉が移籍したことの影響はおいおい顕著になっていくかもしれませんね。杉本も良い選手ですが、少しタイプが違う印象もありますし。

対する栃木も、実はここ5試合で2勝3分なんですよ。知らないうちに地味に成績を上げているらしい。時崎政権も1シーズンと半分が経過してようやく軌道に乗ってきたというところでしょうか。まだまだ順位的には17位ですが、イスマイラも加わりましたしね。さらに報道によるとレアンドロペレイラも加わるみたいじゃないですか。前半は0ー0で抑えて、残り20分くらいのところで高萩・イスマイラ・レアンドロペレイラを3枚同時投入とかしたら、けっこうチートなのではあるまいか。

 

□栃木のストーミング

そんなわけで長倉を失った群馬ですが、この試合では実質的に川本理誉のワントップで平松がセカンドトップというかフリーマン的にボールを受けるべく動き回る。ちなみに平松宗とマッチアップしていたのは栃木の平松航だったりしました。なんてことはおいといて、序盤から栃木のハイプレスに飲み込まれた群馬は、とにかく平松に受けてもらうしかないという状況になって、それゆえ平松が受けたところを狙われるという悪循環に陥りました。

逆に栃木はリズムを掴んでいた。その要因は、インで作ってアウトに振って、そこからはアーリー気味であってもなんでも、とにかくワンタッチでクロスを入れていくという割り切り。攻撃をクロスかシュートで、しかも最少手数で終わらせるというレッドブル系列なスタイルですね。守備はもちろんストーミング。徹底的に群馬のポジトラを潰しにかかります。押し込まれた群馬がどうにか奪い返して平松を探す瞬間に奪い返してしまう。ベップ時代のバルサとかバイエルンみたいでしたよ、言い過ぎですけど。

そんなわけで栃木の圧力が群馬をタジタジにさせた前半だったのですが、問題はそれが後半も続くかどうか。90分間保つかどうか。そして群馬が栃木が落ちるまで凌げるか、仮に栃木が落ちたとして、そこでもう一段階ギアを上げられるかどうか、ってな状態でハーフタイムを迎えました。

 

□後半の栃木はストーミングに失敗

案の定といいますか、栃木は前半の勢いが後半には続きません。というか、後半最初のセットプレーから群馬が平松のゴールで先制したことで出鼻をくじかれます。それから、よくわかりませんが、群馬が外回しを増やしたことでプレスがかかりづらくなったというのもあるのかもしれません。もっとも、それ以上に目に付いたのは杉本のパッションですけどね。杉本、相変わらず情熱的ですねえ。審判にも突っかかっていきますし、取られた取り返しに走る感じとか、ヴェルディ時代からなんら衰えがない。

杉本のテンションに対抗すべく栃木は大島に替えて小堀を投入します。これで前線3枚が山田・根本・小堀になって、背番号でいうと36・37・38の連番です。となると群馬としても内田と北川を投入せざるをえない。これに伴いシステムは352へと変わる。北川と杉本が両WB。2人ともFWなりWGなりを本職とする選手なので、ワイドの選手には守備の技術ではなく、一にも二にも強度を求めるという大槻監督のメッセージでしょうか。

こうなっては栃木としても秘密兵器のイスマイラを送り込むということになるわけですが、実はこの日は群馬にもジョーカーがいた。負傷から復帰してきたキャプテン畑尾ですね。そうか、こんな隠し球を用意していたのか。そして、明確なメッセージは選手の迷いを除去します。ロスタイムになってからのコーナーフラッグ付近での時間稼ぎ、なかなか堂に入ってましたよ。というわけで、順位通り、着実に監督のイズムが浸透しているチームが勝つという試合になりました。