いわきの“かまし”と体幹〜ロアッソ熊本vsいわき(8/27)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

                                  にほんブログ村 サッカーブログへ
にほんブログ村

 

□炭鉱ダービー

夏休みも兼ねて熊本に来ております。今回は立ち寄らなかったですが、以前に熊本を訪ねたときには三井三池炭鉱の万田抗が世界遺産になった直後で、持ち前のミーハーを炸裂させて観光に赴きました。その時は語呂が勝手に脳内にはまってしまい、「万田抗、わんだほー」と脳内無限ループしていましたけど、ガイダンス施設の展示で、炭鉱夫の社会秩序、友子制度でしたっけ?やくざの組織の親分子分みたいな関係、あれを学んだときに、それまで今ひとつピンときてなかった「二十世紀末まではやくざが警察ともう一つの社会維持機能だった」という言説が肌感覚的に理解できたものです。

で、炭鉱といえば磐城なのであって、なんせ映画『フラガール』の舞台。蒼井優、可愛かったなー。ちっきしょー、もう少し自分が天才的芸人センスに恵まれていて赤色メガネが似合ったら、今頃、蒼井優とあーんなことや、こーんなことを……。というわけで炭鉱ダービーです。

 

□6ポインター

直近の熊本は5試合で2分3敗、順位も19位まで落としてしまっております。前々から言ってることですけど、大木さんは選手への評価基準が明確。いっさいぶらさない。だから、キャンプの時点で選手の序列がほぼほぼ決まってしまって、シーズンを通して変動することは稀。なので、ラッキーボーイが登場したり、意外な選手がレギュラー陣を突き上げたりってことが少ない。ゆえに負のスパイラルにハマると、そのままズルズルいきがちです。

対するいわきは5試合で1勝3分1敗、順位は20位です。去年までの躍進をリードした田村さんがライセンスの都合で一旦ひいて、ライセンス獲得とともにチーム状況もあって復帰。そこからは負けないチームになり、11試合で負けはわずかに一つ。ただし、引き分けが6つある。そんなこともあって、順位は依然として危険水域。ですが、おそらく田村さんは名将の資質を備えておりますし、イデオロギー闘争的な面もあるこの試合を制することができれば、一気にブレイクスルーする可能性もありますね。

 

□いわきの“かまし”と熊本の対応力

これまで熊本といえば、なんとなくのイメージで大木流パスサッカー、ショートパススタイルの印象を持っていたのですが、決してそんなことないですね。気づいてみれば躍進した去年もそうだった気もしますが、低い位置から繋ぎ倒してボールを前に進めるようなことはない。ボランチがコンダクトを振るうという感じでもない。典型的な疑似カウンターです。引き付けて裏抜けです、少なくともファーストアタックは。そこで裏をとれたらティキタカに移行する感じですね。

他方、いわき。こちらはストーミング。相手GKにまでプレスをガンガンとかけていく。序盤はそこの“かまし”に成功して熊本のリズムをトコトン狂わせると、なんとなくヌルッと先制点まで奪ってしまいました。

ただ、熊本は怯まなかった。落ち着きを取り戻すと粟飯原だったか松岡だったが完全に相手最終ラインの裏を取ってクリティカルなクロス。それがオウンゴールを誘うと、直後には疑似カウンターなファーストアタックからティキタカな二次攻撃へと見事に持ち込み、PA内で鮮やかに崩しきると、最後はキャプテン平川が逆転ゴールを突き刺しました。ストーミングでかましに成功したいわきも見事ですが、前半のうちにそれに対応して、あるいは慣れて、すぐさま自分たちのリズムに引き戻した熊本も、また見事だったと思います。熊本リードでハーフタイム。

 

□いわきの体幹勝ち

後半は、前半と同様、ヌルッといわきがペースを握り、コーナーキックのチャンス。「へー、熊本サポは相手コーナーキックのとき、『武者返し!』コールをするんだなー」なんて思っているうちに、そのコーナーを直接ヘッドで合わせた家泉の、この試合2点目でいわきが同点に追いつく。このあたりでロアッソ守備陣に少し疲れがドッときたのかもしれませんね、たぶん酒井匠だったかと思いますけど、そのままタッチラインを割らせてゴールキックにするシーンでの対応が緩慢となり、リカバリーを図るも、それがPK献上となり、山下に決められてしまいます。さらに、山下はセットプレーからフィジカルの優位性を見せつけるようなビューティフルゴールでダメ押しの4点目を奪いました。

この時間帯、熊本はいわきに圧倒されていました。理由は2つくらい思い浮かんで、1つ目は、この時間、後半の15分〜20分に熊本は計4枚の選手を交代させていた。その交代選手たちが、いわきの“かまし”に面食らっていた可能性がある。実際に、後半も30分を過ぎてからは圧倒的な熊本ペースで、「あとはゴールに向かってパスを出せばネットが揺れる」というチャンスを量産していましたし。交代選手がいわきの“かまし”に慣れたのだと思います。もう1つは、いわきのフィジカルって筋肉ではなく体幹ですよね、やっぱり体幹がしっかりしているスタミナが切れたあとでも、カラダのキレが維持されるんですよね。そこのカラダのキレのスタミナという部分でいわきに分があったのかもしれません。いずれにせよ、6ポインターはいわきに軍配。ロアッソとしてはお尻に火のつく結果となりました。