ハイプレスをやりあえばヘロヘロになる〜いわきFCvsカターレ富山(4/3)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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□いわき、湯本

この日は朝も早くから湯本に足を運びました。そこから登山鉄道に乗って強羅を目指し……ではなく、「箱根」が前に付いていない、「湯本」二文字だけで駅名が成り立っている方の湯本です。常磐ハワイアンセンター……じゃなくって、スパリゾートハワイアンズの最寄り駅と言えば分かりやすいでしょうか。

元々は炭鉱と温泉の町ですよね。炭鉱が斜陽になって、温泉は湧いているのでハワイアンズになった、みたいな。それに加えて恐竜の化石もいっぱい発掘されるそうで、「ほるる」という鉱山と化石な博物館に立ち寄ってまいりました。そんな、いわき市域ですが、炭鉱・温泉・化石にプラスしてサッカークラブも町のアイデンティティになっていくのでしょうか?甲府とか成功している地方クラブと同じパターンで、子育ても終わって初孫ができたくらいの年齢層のご夫婦とかがスタンドには多かったので、地域への根付き方として悪くないように思います。

 

□両チームの現状

さて、地域における認知度を高めているっぽいいわきFCですが、もっと下位カテゴリーにいる頃からアンダーアーマーが完全バックアップしているということで、鳴り物入りでJリーグに参戦してきました。地域リーグでは多少の足踏みもありましたが、Jリーグ参入初年の今年のスタートダッシュは決して悪くない。ただ、同じ県内の福島ユナイテッドがこれ以上ないスタートダッシュを決めた分、多少その陰に隠れている印象もあります。

対する富山は少し苦戦しています。J2などで顕著なのですが、今シーズンはチームを率いて2年目とかのベテラン監督が軒並みふるわないんですよね、何故か。こういうと、「ポジショナルを取り入れない、戦術をブラッシュアップできない監督だからだよ」って脊椎反射するトレンド戦術史上主義者も出てきそうですが、『エルゴラッソ』にも特集されていたようにポジショナルに対抗する一つの有効な手段が「非ポジショナル」を貫くってものだったりしますし、戦術はメビウスの輪なんで遅れたあり方がイコール最前線だったりもしますから、そういう単純なことではないかと思われます。要するに「だから世の中、難しい」っつう話なんでしょうねぇ。

 

□ノートラップサッカーに四苦八苦

さてさて、ともあれキックオフです。チーム作りがフィジカルに特化していると昔から言われてきたいわきFCだけに、マッチョ軍団なのかと思っていたら、そこまでわかりやすいムキムキ集団ではないのですね。むしろ、吉田さんが率いるようになった初年の秋田を見たときのほうが、そういう意味では度肝を抜かれた。サッカーの内容としては、とにかく縦に速い。“ノートラップサッカー”とでも名づけたくなるくらい、なにがなんでもワンタッチで前に蹴り出していく。

一方の富山は例によって中盤逆三角形の352。川西とレイネルのツートップでしたが、川西はいついかなるときも攻め残る役割。上下動するのは専らレイネル。川西が王様でレイネルが労働者という役割分担でした。サッカーの内容を見ると、352で相手が442ということでサイドで数的不利。ゲームメイク力のある⑧日高と、縦突破が魅力の②嵯峨という、いわき両SBを捕まえきれず四苦八苦していました。

 

□富山がタジタジ

それにしても、元祖ゲーゲンプレス的戦術の伝道師こと石崎さんに率いられたチームがハイプレス合戦で後手に回ることがあるのですね。システム上の噛み合わせという要素があるにせよ、前半はいわきのハイプレスが富山を飲み込んで、岩淵の先制ゴールも生まれる。いわきがハイプレス合戦を制した背景には、やっぱりフィジカルもあるのかなぁ。マッチョではないですけど、体幹がハンパないのかな?もつれあいでは富山の選手だけが倒れてましたし、いわきの選手は体勢が崩れても、崩れたなりにノートラップパスを出してましたからね。

押されっぱなしだった富山は、後半開始とともにFWの大野を投入して、中盤が正三角形の352に調整。1列あるいは1・5列落ちた川西が、ガンバの家長のように悠然としたリズムで圧倒的なキープ力と正確なキックを発揮しはじめたことで、形勢に変化をもたらしました。

 

□いわきも富山もヘロヘロ

序盤から石崎組を凌駕するハイプレスを敢行したのだから、必然的に時間とともにいわきの運動量は落ちていきます。それもあって、後半はひたすら川西にボールを集めた富山が攻めたてる。ただ、川西が起点のパスを出した後のアイデアが足りない。中盤で川西が出して、そこから展開して、最後はゴール前に侵入した川西に再びボールを送るってのをやりたいのでしょうが、なかなか「再び川西に送る」ができない。去年まで所属していた花井みたいな選手が最終ラインとかにいれば、また状況も違ったんでしょうけど。

しかし、それでも富山は追いつきました。川西がセットプレーをクイックリスタート、一発で抜け出した大野が決めたもの。いわきとしては隙を作ってしまいました。その後は互いに攻め込むも、ともにゴール前でのアイデアとクオリティが尽き果てており、スコアが動かないまま、ドロー決着となりました。