鹿児島が勝負強さを見せつける〜YS横浜vs鹿児島(10/8)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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□なぜが鹿児島を三ツ沢で

本来ならこの試合は観戦する予定じゃなかったんですよね、夏の時点では。何もなければ沼津で鹿児島戦を見ているはずだった。でも、何かがあったから三ツ沢で鹿児島戦を観戦することになったのです。何があったのか。

それはまだ暑さがピークの9月初頭。観光も兼ねて伊豆に乗り込んでいたワタクシ。旅行の〆に沼津vs鹿児島を計画していて、当日の朝、三島から沼津へと移動します。……なんか様子がおかしい。ふだん見かけないタイプの人が沼津の限定ユニフォームを着てワサワサしている。慌ててアスルクラロのホームページを確認してみると、「『ラブライブ!』の声優さんがスタジアムにご来場!」的なことが書いてある。……なるほど、そういうことか、こりゃ参った。かくして試合を見ることなく空しくお家に帰ったのでありました。

 

□リバウンドメンタリティ

その段階であれば、無敵の鹿児島を見られたかもしれません。夏過ぎまでの鹿児島って、ホントに勝負強かった。ところがここにきての前々節ですよ。鳥取相手に衝撃的な大敗。キンジョンソン監督が率いるチームですから、圧倒的な攻撃力が爆発するってことは十分ありえる話とはいえ、低空飛行を続けていた鳥取にボコボコされるというのはリーグ終盤に向けていささか不安にさせます。ただし前節ではしっかりとリバウンドメンタリティを発揮していたので過度な心配は無用かもしれません。

ホームのYS横浜は、例年、けっこうな試合数を観戦するのですが、いろいろな巡り合わせのなか、今シーズンは10月になって初観戦。知らないうちに監督が女子サッカー界の名将である星川さんになっていました。なので仲田さんを一度も見なかったことになる。……まあ、仕方ないですよね。リヒャルト後遺症というか。もともと予算規模がうんと小さい上に、主力を軒並み長野に持っていかれましたし、こうなるのは容易に予想できたところ。星川さんの手練れに期待するしかありません。ここから最後だけでも意地を見せるのもリバウンドメンタリティの一つのあり方と言えるでしょう。

 

 

□取り戻して初めて思い知る平和の貴重さ

ピッチ上のYS横浜を眺めていると、柳が3バックの右に入ってましたね。そしてめちゃくちゃ効いていた。守備では粘り強さで相手に自由を与えず、また、読みの鋭さをいかしたパスカットも出色。次に吉田が左のWB。大ベテランのバンディエラにWBをさせるのだから、星川さんはドSなのか?さらには松井がおりましたね。フットサル部の所属から11人制に復帰したとは聞いていましたが、普通に先発しているのか。松井が中盤の真ん中だったので、システムは3421と352の中間形態というか、5311というか、5131というか。

対する鹿児島ですが、大嶽監督はベテラン・中堅再生工場的なところがあるらしく、ある程度は経験を積んで名も知れた選手が多かった。木出と薩川くらいだったですかね、「よく知らないなぁ」という選手は。

前半に実感したのは、もはや三ツ沢にモンスタークレイマーなリヒャルトがいないということ。罵詈雑言が飛び交わないピッチというのは、こんなにも清々しい気持ちで見れるのか。戦後75年以上が過ぎて、我々昭和生まれが子どもの頃に聞かされた常識からは驚くばかりに保守が復権し、戦後的価値観へのアンチテーゼが強まる中、「平和は失って初めてその貴重さを思い知る」というテーゼも忘却されつつありますが、同時に平和は取り戻された瞬間にこそ、その貴重さが実感できるらしい。罵詈雑言のないピッチ、三ツ沢に平和が戻ってまいりました。

 

□値千金端戸仁(語呂が良い)

ちなみにYS横浜は前半のうちに右WBを韓から宮内に交代しております。見た感じだと負傷したという雰囲気ではなかったので、おそらく米澤対策ということだったかと思われます。鹿児島は、右で作って大きく入れて、なぜかフリーの米澤がヘッドで折り返す、というシーンが頻出しておりましたので。米澤は、このステージだとアスリート性も技術もワンランク上ですね。

後半になっても両チームが積極的に選手を入れ替えていく。とはいえ構図は変わらない。鹿児島が攻めて、YS横浜がカウンターを仕掛ける、の応酬です。それにしてもYS横浜はブロックを組んだ守備、特にエリア内での対応が粘り強かった。さらにカウンターの機会でも、むやみやたらにムリ目なポジショナルつなぎをしたり、縦ポン一辺倒になったりせず、局面打開の一撃必殺レーザービームで河辺とか菊谷とかの推進力を生かしておりました。粘り強い守備といい、手順が整理されたカウンターといい、星川さんがちゃんとトレーニングを施していることが伝わってきます。

圧倒的に攻めながらもゴールが生まれず、昇格のためには勝ち点を落とせない鹿児島には次第に焦りの色が濃厚に。その焦りは「まあ、J3ですから、そうなりますよね」という審判の不安定なジャッジに向けられる。ゴールが決まったかに見えても謎のオフサイド、それに対するYS横浜の決定的なクイックリスタートも謎の笛で止められる。スタジアムが淀んだ空気に覆われそうになった後半ロスタイム、ついにスコアが動きます。木出(だったかな?)のクロスに端戸が合わせて値千金の移籍後初ゴール。鹿児島が持ち前の勝負強さを発揮して、昇格に一歩近づくことに成功しましたとさ。