最後は経験値の合計値の差〜WEリーグカップ決勝(10/1)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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□WEリーグを中間評価する

これまで「なでしこリーグ」として歴史を積み重ねてきた女子サッカートップリーグ。ここにきて、おそらく世間的には「突如として」プロ化へと舵を切ることになって、そして、1年が経とうとしております。それとともに、この新しいリーグ戦は秋春制だというところにも特徴があります。

ただ、プロ化にしても秋春制にしても、正直、理念先行ですよね。1993年にJリーグが発足したときは、一強のプロ野球に付加すべきプロスポーツが社会的要望として求められていた。簡単にいうと「野球の次はサッカー、サッカーもプロを目指しても良いんじゃない?」という社会意識みたいなものがあったように記憶しておりますが、そういう世の中的な後押しが果たして女子サッカーのプロ化にもあったかどうか。どうも、サッカー協会の偉い人が、「社会がそれを望んでいるから」ではなく、「我々はそれを理想とするから」という理由で見切り発車してしまった感が今なお拭いきれないというのが正直な印象です。

 

□喪失感

まあ、確かに世界的に女子サッカーの地位を向上させようという意識高い系ムーブメントがあるのは確かで、男子同様、トッププレーヤーが渡欧するという流れも加速している。その嚆矢ともいえる存在が浦和Lの安藤と猶本ですよね。二人とも貴重な経験を積み重ね、それを還元するかのように、ここ数年の浦和Lを牽引しております。

一方、トッププレーヤー渡欧の潮流に目まぐるしく翻弄されているのがベレーザであり、ワタクシ。いやあ、清水梨紗、イングランドに行っちゃったよ。原菜摘子が可愛いというルッキズム全開でベレーザの試合を、当時の自宅に近かった西が丘とかに見に行くようになったワタクシ。その原ちゃん引退の喪失感を埋めてくれたのが当時10代の清水梨紗だったわけですよ。清水梨紗が既におっさんだったワタクシの青春なんてものでは決してないですが、清水梨紗の青春がワタクシの女子サッカー観戦の歩みではある。いやあ、喪失感。

 

ベレーザが圧倒した前半

さてチームを再構築しなければならなくなったベレーザですが、システムは433。CFに植木、アンカーが三浦、CBは村松と岩清水のコンビなんでセンターラインは盤石。清水梨紗が抜けた右SBには西川彩華が入っておりました。ジェフLにいた西川は、浦和Lに移ったはずなんですが、今シーズンはベレーザなのね。そういう意味ではこの試合は西川彩華ダービーなのか。

対する浦和Lは塩越がボランチにコンバートされらしい。で、左のSHには安藤。去年ならば安藤がボランチで塩越は不動の左SHだったので、テレコになったということですね。柴田と塩越のボランチコンビだと、特に前半は横並びになりすぎる雰囲気もありましたけど、これから成熟させていくのでしょう。それから元FWでSBにコンバートした清家が1列上がって右SHに。J2ジェフの米倉が右SHをやっているようなものなので、こちらには違和感がない。

試合はベレーザが先手を打ちます。右からの折り返しが流れたものの追いついた北村のクロスに、少し集中力を切らした浦和守備陣が対応しきれず植木に決めきられてしまいました。さらに前半のうちに浦和Lは続けざまに失点。序盤から怪しかった最終ラインのつなぎでミスが発生。植木にボールも2点目もプレゼントしてしまいました。前半の2失点に関しては浦和最終ラインの「なんやかんやでどうにか処理してしまう」力が足りませんでした。

 

□浦和の逆襲

後半になってもしばらくは前半と同じ構図。浦和がいろいろ試行錯誤するのだけど、ベレーザのポジショナルにやられてしまうという繰り返し。そんな展開に変化が起きたのは猶本を右SHにスライドして、菅澤・清家の2トップにしてから。猶本のトップ下はそれはそれで持ち前のスペース察知能力を発揮していたのですが、決定打に欠いており、状況を打開できないままセットプレーからダメ押しの3点目をきめられてしまうことに。

しかし、追いつめられたことで2トップにしてからの浦和は違った。ベレーザの即時奪還をアバウトなボールでかわすと、清家がスペースを謳歌して鋭いカウンターを発動させる。左に流れてからカットインして追撃弾を決めると、続けざまに清家的ドリブルを発動。コーナーに逃げられたとはいえ、そのCKを猶本が蹴ると、バー直撃シュートの跳ね返りを最後は安藤が押し込んで1点差とします。猶本のCKって、無駄にじらさず、さっさとリズミカルに蹴るのが良いですね。後半40分頃には、そのリズミカルCKからベレーザ守備陣のハンドを誘発し、PKをエースの菅澤が確実に決めて、ついに同点としました。

ベレーザは四苦八苦しながらどうにか前後半90分をしのぎましたが、延長戦のないPK戦では勢いそのままにベレーザを飲み込んで、浦和Lが初代カップ戦チャンピオンとなりました。ベレーザ宇津木瑠美しか流れを変えられるような、経験のある選手がいなかったのが響きましたかね。昨シーズンから続く「代表クラスと10代しかいない」という歪な構成は改善しないといけないと思われます。