大団円〜大宮vs山口(10/9)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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□地味に滲み出るダービー感

この試合はダービーなわけですよ。何ダービーかというと、そりゃ“オレンジダービー”に決まっているのですが、昔々より都市伝説的言説としてまことしやかに“オレンジ互助会”なんて言葉が語り継がれてきておりますので、果たして今回も発動するのだろうか?

この試合には、もう一つダービー要素があって、それは“霜田ダービー”。山口で評価を高めた霜田さんは、救世主的に大宮に招聘され、毀誉褒貶ありつつ、最後は毀と貶が多めの状況に陥って解任されました。攻撃的志向の高い歴代監督に鍛えられてきた山口と、守備の安定を優先する戦い方で長い年月を積み重ねてきた大宮の、いわば“哲学”の相克をどことなく感じずにはいられませんが、ともあれなんやかんやで因縁がないわけではない両チームが対峙する一戦です。

 

□ちょいと上向きの山口と、ちょいと停滞感のある大宮

ここ数試合の山口はようやく名塚イズムが浸透してチームが軌道に乗ってきた感じですね。前々節では衝撃の6得点ですし。最近の戦績を眺めると8月27日の徳島戦を落として以降は不敗。得点に至ってはノーゴールに終わった8月6日の山形戦以降、必ず得点を奪えている。そんなうまくいかないことは今年のジェフが示しているとはいえ、シーズン佳境に至っての上り調子、否が応にも来シーズンへの期待が膨らみます。

逆にホームの大宮は今シーズン絶不調。ずっぽり残留争いの主役を演じてきてしまっていて、一度上向きかけた勝ち点獲得率もここにきて停滞局面。とはいえ下の2チームの状況を鑑みると、傍目には意外と余裕があるように映らなくもない。本人たちはとてもそんな感覚になれないでしょうけど。相馬さんになってからの大宮を見ていると、改めて菊地俊介の偉大さを感じさせられるというか、彼がボランチで出ていた試合は勝てていて、FWでの出場でも勝ち点を拾える一方で、離脱すると勝ち点獲得ペースがガクッと落ちる印象です。

 

 

□大宮が先手

ということでキックオフ。大宮は栗本と小野が出られないらしく大山と茂木が先発。両SBが攻撃参加が持ち味というより構えたポジションを取るタイプなので最早4CB状態ともいえなくもない。で、中盤4人のうち3人が大山・小島・矢島という最適ポジションがISHな組み合わせ。そうなるとモビリティ系の柴山がアクセント役を担うことになるわけですが、柴山、良い選手ですね。

対する山口は最近の流れを踏襲して3バックなんですけど、一見すると4バックに見える時間帯も特に序盤は散見しました。右CBの高橋が右SBっぽく香車になって右WBの吉岡と並列になって前の5レーンを形成し、逆サイドの左WB橋本は左SBっぽく構える、みたいな。前が最終ラインに落ちる頻度が増えるにつれて明確に3バックだとわかりやすくなりましたが、ちょいと可変要素があるようです。

スコアは前半の早い時間帯から動きました。大宮はほぼほぼファーストアタックで先制に成功する。右のフリースペースを攻略すると、鬼のようなポジティブトランジションでゴール前に走り込んだ中野が頭でクロスに合わせました。電光石火というか、一撃必殺というか、とにかく見事なゴール。そして、これによって中野はケチャドバモードを発動させ、先制点と同じような感じで大宮が乾坤一擲気味にカウンターを発動させると、再び決める。今度は裏抜けからドリブルで持ち込んで、そのままシュートを打ち込んで決めきりました。前半は“肉を切らせて骨を断つ”の履行に成功した大宮がリードして折り返します。

 

□後半

後半の開始とともに山口は高橋に替えてボランチの成岡を投入。同時に前が右SBとなる4バックへとトランスフォームしました。そして4バックへの変更が功を奏したかどうかはともあれ1点差に追い上げます。岡庭と小島のパス交換が乱れたところから山口がショートカウンター。池上がエレガントに相手を交わしてラストパスを出すと、そこから成岡をビューティフルショットを突き刺しました。

これで勢いづく山口。大宮は劣勢に立たされます。その要因は4バックになってからISHへとポジションを移した田中渉を捕まえられなくなってしまったから。流動的に動く中盤のなかでも出色のアジリティを生かす田中渉にツーラインのうちの前のラインが乱されます。しかし、そこからの守備が大宮は粘り強かった。とにかくシュートコースを消し続け、体を投げ出したシュートブロックでピンチを処理していきます。終盤になっても守備の秩序が乱れないまま、残留を決める逃げ切りを果たしました。結果として最小失点に押さえたことよりも、最後までゴール前における守備の秩序を崩さなかったのが素晴らしかった。そのあたりは、さすが相馬さんです。

試合終了後は大宮にも主力として長く在籍して、先日引退を発表したレノファの菊地がスタンド前を一周。大宮サポーターの菊地コールがこだましました。引退は寂しいですけど、声出し可能の試合で、勝利で残留を決めた上に、功労者を次のステップへとしっかり送り出せたのだから、大宮としては大団円と言えるのではないでしょうか。……まだ、2試合ありますけど。