ハイプレスをやりあえばヘロヘロになる〜いわきFCvsカターレ富山(4/3)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

□いわき、湯本

この日は朝も早くから湯本に足を運びました。そこから登山鉄道に乗って強羅を目指し……ではなく、「箱根」が前に付いていない、「湯本」二文字だけで駅名が成り立っている方の湯本です。常磐ハワイアンセンター……じゃなくって、スパリゾートハワイアンズの最寄り駅と言えば分かりやすいでしょうか。

元々は炭鉱と温泉の町ですよね。炭鉱が斜陽になって、温泉は湧いているのでハワイアンズになった、みたいな。それに加えて恐竜の化石もいっぱい発掘されるそうで、「ほるる」という鉱山と化石な博物館に立ち寄ってまいりました。そんな、いわき市域ですが、炭鉱・温泉・化石にプラスしてサッカークラブも町のアイデンティティになっていくのでしょうか?甲府とか成功している地方クラブと同じパターンで、子育ても終わって初孫ができたくらいの年齢層のご夫婦とかがスタンドには多かったので、地域への根付き方として悪くないように思います。

 

□両チームの現状

さて、地域における認知度を高めているっぽいいわきFCですが、もっと下位カテゴリーにいる頃からアンダーアーマーが完全バックアップしているということで、鳴り物入りでJリーグに参戦してきました。地域リーグでは多少の足踏みもありましたが、Jリーグ参入初年の今年のスタートダッシュは決して悪くない。ただ、同じ県内の福島ユナイテッドがこれ以上ないスタートダッシュを決めた分、多少その陰に隠れている印象もあります。

対する富山は少し苦戦しています。J2などで顕著なのですが、今シーズンはチームを率いて2年目とかのベテラン監督が軒並みふるわないんですよね、何故か。こういうと、「ポジショナルを取り入れない、戦術をブラッシュアップできない監督だからだよ」って脊椎反射するトレンド戦術史上主義者も出てきそうですが、『エルゴラッソ』にも特集されていたようにポジショナルに対抗する一つの有効な手段が「非ポジショナル」を貫くってものだったりしますし、戦術はメビウスの輪なんで遅れたあり方がイコール最前線だったりもしますから、そういう単純なことではないかと思われます。要するに「だから世の中、難しい」っつう話なんでしょうねぇ。

 

□ノートラップサッカーに四苦八苦

さてさて、ともあれキックオフです。チーム作りがフィジカルに特化していると昔から言われてきたいわきFCだけに、マッチョ軍団なのかと思っていたら、そこまでわかりやすいムキムキ集団ではないのですね。むしろ、吉田さんが率いるようになった初年の秋田を見たときのほうが、そういう意味では度肝を抜かれた。サッカーの内容としては、とにかく縦に速い。“ノートラップサッカー”とでも名づけたくなるくらい、なにがなんでもワンタッチで前に蹴り出していく。

一方の富山は例によって中盤逆三角形の352。川西とレイネルのツートップでしたが、川西はいついかなるときも攻め残る役割。上下動するのは専らレイネル。川西が王様でレイネルが労働者という役割分担でした。サッカーの内容を見ると、352で相手が442ということでサイドで数的不利。ゲームメイク力のある⑧日高と、縦突破が魅力の②嵯峨という、いわき両SBを捕まえきれず四苦八苦していました。

 

□富山がタジタジ

それにしても、元祖ゲーゲンプレス的戦術の伝道師こと石崎さんに率いられたチームがハイプレス合戦で後手に回ることがあるのですね。システム上の噛み合わせという要素があるにせよ、前半はいわきのハイプレスが富山を飲み込んで、岩淵の先制ゴールも生まれる。いわきがハイプレス合戦を制した背景には、やっぱりフィジカルもあるのかなぁ。マッチョではないですけど、体幹がハンパないのかな?もつれあいでは富山の選手だけが倒れてましたし、いわきの選手は体勢が崩れても、崩れたなりにノートラップパスを出してましたからね。

押されっぱなしだった富山は、後半開始とともにFWの大野を投入して、中盤が正三角形の352に調整。1列あるいは1・5列落ちた川西が、ガンバの家長のように悠然としたリズムで圧倒的なキープ力と正確なキックを発揮しはじめたことで、形勢に変化をもたらしました。

 

□いわきも富山もヘロヘロ

序盤から石崎組を凌駕するハイプレスを敢行したのだから、必然的に時間とともにいわきの運動量は落ちていきます。それもあって、後半はひたすら川西にボールを集めた富山が攻めたてる。ただ、川西が起点のパスを出した後のアイデアが足りない。中盤で川西が出して、そこから展開して、最後はゴール前に侵入した川西に再びボールを送るってのをやりたいのでしょうが、なかなか「再び川西に送る」ができない。去年まで所属していた花井みたいな選手が最終ラインとかにいれば、また状況も違ったんでしょうけど。

しかし、それでも富山は追いつきました。川西がセットプレーをクイックリスタート、一発で抜け出した大野が決めたもの。いわきとしては隙を作ってしまいました。その後は互いに攻め込むも、ともにゴール前でのアイデアとクオリティが尽き果てており、スコアが動かないまま、ドロー決着となりました。

 

スーパードライブシュートとライン際の魔術で相模原が勝利!〜SC相模原vsテゲバジャーロ宮崎(3/26)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

古淵から行く

ギオンスタジアムに行くルートとして、鉄道と徒歩なら原当麻から歩くってのがあります。いろいろローカルルールが分かりづらいバスを避けたいアウェイサポとかが、まずチェックするのはこのルートかもしれません。とはいえ最もメジャーなのは相模大野駅から女子美術大学行きのバスに乗るルートでしょうか。こちらのルートは、特に帰りのバスが渋滞に巻き込まれがちという欠点があります。

で、実は第3のルートがありまして、古淵駅からも女子美術大学行きのバスが出ている。ただこのルートは、ダイヤが「平日と週末」ではなく「平日と土曜日と日曜日」に分かれていて、日曜日は行きも帰りも試合時刻との兼ね合いでは大忙しなダイヤになってしまう。なので土曜日が狙い目。ワタクシの行動パターンとの相性として到着時間もちょうどよい。ってなわけで、この日は古淵からギオンスタジアムへと向かいました。

 

□名将高木、ピンチ⁈

湘南、清水、長崎、大宮、琉球、山形。これらのクラブの共通点ってわかります? そう、期待されながらもスタートダッシュに大失敗したチームです。共通点はそれだけではなく、それぞれ松田さん、霜田さん、喜名さん、クラモフスキーさん、山口智さん、平岡さんと、昨シーズン途中からチームを率いた2年目の監督というところも共通している。なぜか今シーズンは、このタイプが大苦戦している。高木琢也率いる相模原もそのパターンだけど大丈夫か?と。経験豊富な名将の腕の見せ所です。

一方、宮崎は高崎康嗣さんを新監督として招聘しました。……誰?失礼極まりないですけど、存じ上げません。wiki的には着実にキャリアを積み重ねてこられた方みたいです。ただし、宮崎についてはライセンスの問題で肩書きが監督でないだけで、実質的には倉石圭二さんのチームだとも聞きますので、足利尊氏足利直義ばりに二頭政治が崩壊しない限り、それなりにまとめてくるのかな、とも期待されます。

 

□三大陸vs4番CF工藤

相模原のラインナップを眺めていると、システムは442で、両SHが持井と松橋か、、、どっちもヴェルディからのレンタル組では? ……高木さんはヴェルディに再就職しようとの野望を隠し持ってるのか? それから、Wボランチが川上竜と田中陸。J2三大“陸”こと山田陸・半田陸・田中陸のうちの田中陸は相模原の所属となったのか。

対する宮崎はCFに工藤壮人が入っている。アメリカから戻って以降は、さっぱりパッとしない選手ですけど、野球の4番バッターと同じで存在感のある選手がドンと構えていれば良い的要素もあるCFですし、献身性は錆び付かないので、適任なのでしょう。もう一人注目されたのは右SBの東。この選手がフリーになる機会がすごく多かった。そして、球質やら軌道が悪いわけではなさそうなのに、なぜかフリーの状態でのクロスが相手DFを超えなかった。

 

□前半、風下の相模原は四苦八苦

この日はですね、ひたすら強風だったのですよ。どれくらい強風かというと、ピッチのスポンサー看板の全てがあらかじめ倒した状態で錘を載せられてセットされるくらい強風だった。必然的に風上に立った宮崎が一気呵成に攻めたてます。コーナーキック地獄にズルズルと引きずり込む。相模原守備陣はアタフタですよ。特に福島と藤原のレッズからのレンタル若手コンビは、クリアが当たらなかったり、不十分だったり、コンディションに慣れるのに四苦八苦していた。

それでもどうにかこうにか凌いでいた相模原守備陣でしたが、前半ロスタイムに決壊。東の崩しから工藤が決めたゴール。前言を撤回します、工藤どうやら復活したらしく、そして東の折り返し(クロスというか、折り返しパスを横からPAに刺していく感じ)は尻上がりにクオリティが上がっていっておりました。

 

□タッチ際の魔術師

ハーフタイムが明けると同時に高木監督は魂の3枚替えを敢行します。その際に松橋と持井のヴェルディレンタルコンビは揃ってアウト。どうやら「高木監督はヴェルディに再就職しようとしているんじゃないか説」は完全に否定されたようです。しかし、ヴェルディ再就職を諦めてまでも敢行した熱い采配は身を結び、代わって投入された藤沼が同点ゴールを決めます。バイタルでフリーになると、胸トラップからのミドルシュートを足の甲にジャストミートさせ、強風の影響もあったかどうかはわかりませんが、とにかくスーパーなドライブがかかって突き刺さりました。凄かった〜。

その後は時どきフリーになる大外を使って攻める宮崎、守備時には攻め残ってカウンター番長となっていた藤本を起点とする相模原、という構図の一進一退が繰り広げられます。そんな展開にケリを付けたのは相模原。石田のクロスに反応して藤沼が再びネットを揺らして、それが決勝点。高木采配がズバリでしたね。……あれって、タッチ割ってなかった?石田がクロスを上げる瞬間。スタジアムのビジョンでしか映像を確認できてないですけど、目視の感覚だと、、、タッチ割ってなかった⁇そら、宮崎の選手たちも猛抗議するよね。VARがないから当然のことながら覆ることはあり得ないんですけど、、、。ってな幕切れの一戦でございました。

ベレーザ上昇中〜日テレ・東京ヴェルディベレーザ対ノジマステラ神奈川相模原 (3/19)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

□蔵前から浅草橋を通って秋葉原

天気も良くなったので、少し下町を散策しようと、朝から蔵前のカフェに行ってみた。で、そこから浅草橋までプラプラ歩く。いやぁ、浅草橋って浅草や上野よりも江戸感が強くありません?神田川隅田川が合流する辺り。屋形船の船宿があって。なんか、「船宿」って響きだけで江戸感がマックスになる。

そのまま神田川沿いを遡上するように歩くと秋葉原に辿り着くわけですが、ちょうど雑なトートバッグが欲しくて、で、雑なモノと言えばドンキホーテじゃないですか。ということで秋葉原ドンキホーテに立ち寄ったところ、そうか、ここがAKBの、あのドンキホーテだったか。峰岸が坊主だった時期とかのCDポスターが貼ってあって、さすがにこの頃の人たちはある程度、顔と名前が一致するなぁと。まゆゆとか。

 

岩清水梓の復帰vs杉田亜未の加入

すっかり出遅れまくったと思っていたベレーザですが、なんやかんやでじりじりと順位を上げて、今節はじまる前の順位は2位なんですね。首位を快走するINACとの勝ち点差はずいぶんと開いておりますが。特に中断期間が開けてからは連勝しているらしい。たまたまではなく、戦術が浸透したということであって欲しいところ。岩清水や宇津木が実戦力になったことも大きいのかしら。

対するノジマステラは低空飛行で順位的にはブービーなのですが、再開後は大宮と浦和の埼玉勢を向こうに回して連続ドローですから、浮上のきっかけを掴みつつあるのかもしれません。中断期間に杉田亜未が加入したんですね。我らが伊賀くノ一がスタジアム問題か何かでトップリーグに参入できない中、なでしこリーグ終了まで契約を全うしてくれたのだから感謝しかないですけどね。杉田なら育成年代にはエリートチームに所属していたんでしょうし、かつ、社会人になってからはプロビンチャでの経験も積んだ。どういう立ち位置のクラブの、どういう立ち位置の戦術にもフィットできそうだから期待大です。

 

□栗毛色vsバスケ部体型

さて久しぶりに見たベレーザですが、システムは前期途中からの4123を継続。三浦成美が復帰してましたね。一方で小林里歌子と宮川麻都がベンチにも入ってなかったので、ケガでしょうかね。なかなかベストメンバーが揃いません。無事是名馬的は清水梨紗の髪色が、さらに明るい茶色になっていた。昔、こういう毛色の競走馬がいたんだよなぁ。名前は忘れた。G2なら上位人気するくらいの馬。なんだっけかな……

そんなことはともあれ、ノジマステラは3421で杉田はシャドーに入っていました。カウンターの持ち出し役とかフォアプレスの起点になったり、天職に近いポジションかも。3バックは左から22・4・5で、22はサッカー部体型なのに対して、4と5はバスケ部体型。前や上には強いのですが、背走とかアジリティが微妙っぽい体型。「サカつく」脳的には4番と5番をストッパー、22番をスイーパーにしたくなるような組み合わせでした。

 

□前半から打ち合い

試合は前半から大忙し。ほぼほぼノジマステラのファーストアタックを右サイドから仕掛けると、その跳ね返りを杉田が押し込んで幸先良く先制するも、ベレーザもさっさと追いつく。右のコーナーキックから植木がフリーになって決める。その後も植木は同じパターンでフリーになっておりました。

振り出しに戻った一戦は、前半のうちに再び動く。やはりコーナーキックから、今度は村松がフリーになってベレーザが勝ち越します。ところがところが直後のプレーでノジマステラも追いつく。右サイドをス崩して小林海青が決めたゴール。……ベレーザノジマステラも、1点目と2点目が同じ形。いや、守備よ、守備。同じ形でやられてるやないかい、と。なお、前半のうちにベレーザはさらに勝ち越しましたが、その時は左から山本柚月が決めたので、1点目・2点目とは異なる形でした。

 

□スコア以上の実力差

後半の頭からリードしているベレーザが動く。中里に代えて大山をアンカーに投入して、三浦を1列上げる。1列上がった三浦もさることながら、大山が良かったですねぇ。たくさんボールに絡んで、攻撃のリズムを作っていた。ボールが集まりそうなところに顔を出せるってのは実力は当然として、その日のバイオリズム的な要素も大きいので、そのあたりも含めて上手くいきました。追い上げたいノジマステラも大砲CBを削ってサンデーロペスをピッチに送り込む。システムは433となりました。

ただ、後半はガス欠を起こしたのか、そもそも攻撃的な守備に特化していて“しのぐ”守備を苦手としているのか、ノジマステラベレーザの繋ぎを全く潰せなくなります。ベレーザノジマステラゴール前で余裕の繋ぎを見せると、北村のクロスが向こうサイドまで抜けていきSBの清水が押し込んでダメ押します。追い込まれたノジマステラもサンデーロペスが相手GKのブラインドを作ったことで発生したゴールで意地を見せましたが、スコア以上にベレーザの完勝だったと思います。

四方田采配がズバリっ‼〜横浜FCvs水戸(3/13)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

□憎たらしくて仕方ないアンチキショー

ついに来てしまいましたね、憎たらしくて仕方のないアンチキショーが。えぇ、えぇ、そうです。花粉症ですよ。初恋よりも早く花粉症と出会ってしまったワタクシとしては、もはや幼馴染み状態。最近は薬がしっかり効きますよね、タリオンとか。ただ、ワタクシの場合、副作用で胃のコンディションが悪くなるんですよね。

ここ2年ほどは、マスクをしていたとしても、うっかりクシャミができない。クシャミと咳を同一視する人もいますし、そうでなくとも飛沫を連想させる行為をすると犯罪者を見るかのような視線にさらされる。でも、じゃあ、花粉の飛び具合と感染者の数に比例関係があるかというと、有意な傾向はなさそう。あったとしても、比例定数はかなり小さい。ってことは、やっぱり不織布マスクって凄いんだなぁ、というのを再確認する次第です。

 

□絶好調とスロースタート

皆さんにとって“絶好調” といえば何ですか?中畑清ですか?元気ハツラツですか、そうですか。あるいは、スピードに乗って急上昇する真冬の恋でしょうか?って尋ねたくなるくらい、横浜FCは絶好調ですね。完全にスタートダッシュに成功しかけている。個人的には甲府時代から「名前の通り、塩系イケメンだなぁ」と思っていた中塩に注目なのですが、まさかのスタメン落ち、なんならベンチ外。残念無念でございます。

対する水戸はもはや毎年恒例となった“主力根こそぎ個人昇格(あるいは栄転)”で、例によって、イチからとは言わないまでもな再構築の真っ最中。今年もいっぱい旅立ちましたね。中山とか松崎とか奥田とか。でも、水戸って、多くの指導者にキャリアハイの手腕を発揮させる土壌があるクラブですから、どうせ結局、秋葉監督が良いチームに仕上げてくるんでしょ、みたいな。

 

□超攻撃vsWボランチ

そんなわけで、この日は中塩ではなく、よりSB属性の強い武田が左CBに入っていた。ボランチ高橋秀人が外れていて、他のチームでもCBで使われるであろうプレースタイルの選手がゼロ。攻撃時は4バック(あるいは2バック)化するので、その際には手塚が落ちて岩武と2人になるか、武田が絞るかする。岩武と手塚or武田の2バックと考えると、もうね、攻撃に全振りですよ。高さ&パワーがないのと、1vs1での守備を売りにするタイプがいないので、ショートカウンター耐性に不安が残る。

対する水戸は、アンカーを置く352という予想もあったのですが、新里がインテリオールかと思いきや、前田とダブルボランチで並んでいるイメージが強かった。守備時は541のラインだったし3421だったかと。ミシャ式対策として低い位置で数的不利を作らないようしていたのかな。ちなみにワントップに入ったのは木下。この選手は面白いかも。確かに動き出しはカラダが大きい分だけ緩慢なのですが、ダッシュがつけばそれなりにアジリティもあるし、走れる。動ける巨人というか、機動性のあるバズーカというか、まさに“使いよう”って感じの選手ですね。

 

□水戸の先制と横浜FCの逆襲

試合は序盤から動く、高い位置で奪った水戸が木下の豪快シュートと森のビューティフルミドルを決めて、2点を先行。横浜FC的には最終ラインのパワー不足と、5バックが整うまでのディレイができないと脆いという部分をモロに突かれた失点。もちろん、全体としては横浜FCが試合を支配していたのですが、水戸は「ラストパスなりクサビなりが小川に入ったところで潰せば良いんでしょ」といわんばかりの対応で前半の失点をゼロで抑えました。

試合を潮目が変わったのは後半の早々。イサカ・ゼインが高い位置で奪ってからのカウンター返しで、小川がズッコケシュートを決めます。ズッコケるようなシュートではなく、正真正銘のズッコケながらの押し込みシュート。泥臭くてよろしい。さらに横浜FCは畳みかけるように、再び水戸がクリアしきれなかったところからイサカ・ゼインがクロスを上げ、伊藤のヘッドで同点に追いつきました。

 

□2人の中村

潮目が変わった理由は山下の投入ですかね。WBとして投入されましたが、彼のスピードと突破力は、低い位置でも発揮されて、サイドでボールを持つと必ず陣地を回復する。あるいは相手の腰を引かせる。劣勢をフラットにできるし、相手のバランスも崩れる。そうやって相手のバランスを崩したことで逆サイドの中村拓海の正確なキックが生きはじめます。彼がフリーでボールを持つと、惚れ惚れするような球質と広い視野のロングパスがスパスパと届く。彼が使われる側になった場合も、「ポストを受けたFWがサイドに展開しようとしたら、SB(イサカ)は前に通り過ぎてしまっていた」みたいなシーンで、絶妙に一拍遅れて上がってくるから、そこで詰まらない。そんなサイドアタックが効いていました。

試合のクライマックスは中村俊輔。最後のカードとしてピッチに送り込まれるや、そのままコーナーキックを蹴りに直行すると、この試合でのファーストタッチになるキックが小川の頭に吸いつくように飛んでいく。小川の決勝点で横浜FCが3連勝を飾りました。

 

上質なスコアレスドロー〜アビスパ福岡vsコンサドーレ札幌(3/6)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

天神南駅という罠

長期の九州滞在も最終日です。博多です。博多といえばキャナルシティ。ベタに櫛田神社にお参りしたら、何かの縁日的な日らしく、ぜんざい的なものが振る舞われていまして。そちらはパスしてさらに進むと、地味な裏口みたいなのがあって、そこからキャナルシティに行ける。と言っても特に用はないので、そのまま通り抜けて川を渡る。いわゆる“中洲”ですね。中洲で泣かす……。え〜とランチを食べました。

で、ランチを食べた店からすぐのところに地下鉄の駅の入口があったので、階段を下りていったのですが、どうらや「天神南」という駅だった模様。いやあ、天神南駅から地下鉄空港線天神駅って、地下街をめっちゃ歩かないと辿り着かないのですねえ。もうね、武蔵小杉駅かと、或いは昔の埼京線渋谷駅から田園都市線に乗り換えるのかと。

 

□長期政権対決

さて、この試合は長期政権同士のマッチアップとなりました。といっても福岡の長谷部さんの場合は3シーズン目ですから、今シーズンを乗り切ったら、名実ともに長期政権という感じです。昨日見た長崎の松田さんや、去年までの北九州の小林さんみたく、442のツーラインサッカーの場合、即効性はあるものの、研究されると弱い傾向がなくもないので、長谷部さんがどういうバージョンアップをしてくるのか注目です。

対する札幌のミシャ・ペドロビッチ監督の場合、広島と浦和に続けて長期政権となっております。もはや長期政権の鬼と言って良いでしょう。2年目の段階にはマンネリを指摘されながら、その後も5年くらい成績を極端に落とさないのだから、なかなか伝わりづらいとはいえ、毎年毎年、細やかなマイナーチェンジを繰り返しているということでしょう。なので引き抜きに補充が追い付かなかったり、チームの経済的成長がミシャの年俸アップに追い付かなかったりってことがない限り、今後も相応のサッカーは見せてくれると思います。

 

 

□対照的なミラーゲーム(日本語が矛盾してる?)

上で長谷部さんのことを442の監督って書きましたけど、まんまと裏切られて、この日の福岡は3バック。確かにミシャ式の対策としてミラー化ってのがあるんですよね。ミシャ式の要点は4バックに対してどうやって攻撃で数的優位を作るかにあるので、5バックにしてしまえば、原理的にはその工夫を水の泡にできてしまう。なので3421というより523ですね。

逆にミシャはどこまでもミシャ式。この日の最終ラインは田中駿太・宮澤・福森で、攻撃時は宮澤と高嶺の2バック。で、その最終ラインが攻撃のコンダクターなんで、クォーターバックが2人いるアメフトみたい。ちなみに攻撃ではSBになる福森、なんか、徳永悠平と雰囲気似てます?徳永が“悠然としている”感じなのに対して、福森は“ふてぶてしい”感じがワタクシ的にはするという微細な違いはありますけど。

 

□前半からハイテンション

さて、試合は前半からVARが忙しい。まず福岡の山岸?が突破してPKを得ますが、ここでVAR。結果としてPKは認められるものの、ルキアンが失敗してしまいました。さらに、後半の40分くらいにコーナーキックからスクランブルが起きて今度はルキアンが決めたように見えたのですが、これまたVAR。ハンドか何かですかね、取り消しになりました。オンフィールドレビューの映像って、スタジアムのビジョンでは共有されないんでしたっけ?

それにしても前半から、少しファールの多い試合となりました。というか、近年のミシャさんがご執心されているオールコートプレスって、そりゃ、荒れる気味になりますよね、至るところでしばき合いが発生するってことですから。もちろん、ハードなプレーであってダーティなプレーではないので、アビスパの選手も大人の対応で受け流していましたが(後半から出てきたフアンマは除く)

 

□後半も引き締まった好ゲーム

後半はよりいっそう札幌が支配率を高めたかと思いますが、アビスパもカウンターから旺盛な攻撃意欲を見せます。特長は、カウンターにありがちな、あたかも親の仇のように「とにかく最少手数で!」という感じではなく、さほど手数を厭わないところでしょうか。ただし、ボールを失わないことが自己目的化するということもない。欧州サッカーに近い、「自分たちのターンをやり切る(無駄に引き伸ばさない)」ってな感覚の攻撃だったと思われます。

もちろん札幌だって完成度の高さを発揮する。システムそのままに選手を入れ替えたり、選手を別のポジションにスライドするお馴染みのミシャパズルが繰り出される。知らないうちに柳が戦力になってるんですねぇ。宮澤に代わっての登場だったよ。一方の長谷部さんも、「最低限無失点、あわよくば勝ち越しゴール」というゲームプランだったとすると、残り10分という絶妙なタイミングで勝負手と思われる田中達也を投入。最後の最後まで引き締まった好ゲームが繰り広げられ、取り消された幻のゴールもありましたが、スコアは動かず。決して塩試合でない、見応え十分なスコアレスドローの決着となりました。

 

より正念場になったのは長崎〜V・ファーレン長崎vsヴァンフォーレ甲府(3/5)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

東京オリンピック幻想

え〜と、今週末も九州に滞在しているわけですが、西九州新幹線ができるですね!……ってことなんですが、区間は「武雄温泉〜長崎」らしいですよ、、、。博多から武雄温泉まではどうするの?そして、無事開通しちゃったら在来線は常に廃線と隣り合わせのローカル線になりますけど、良いのですか?

別に地元に対してどうのこうの言うつもりはないですし、そういう立場でもないのですけど、例えば「東京オリンピックメダルラッシュが起これば自分の支持率も上がる」と勘違いしていた某総理大臣なんかに典型的な、《高度経済成長を想起させる「ときどきオトン」的なモノは今なお無条件に日本人をハッピーにさせる》という幻想、そろそろ捨てません?もし博多と武雄温泉が新幹線で繋がったら、博多の人たち、宿泊せずに日帰り入浴だけしにくるようになるかもしれませんよ。

 

□ともに正念場

さて長崎ですけど、『エルゴラッソ』なんかを読んでいても、けっこう圧倒的な昇格候補として評価されていますよね。ってことを考えると、お世辞にもスタートダッシュに成功したとは言えない。しかし、冷静に考えると、そこまで圧倒的な昇格候補なのか?と。確かに抜けた選手の数は多くないのですが、抜けたのが毎熊と名倉ですよ。替えが利かない毎熊と、変化を付けられる名倉。類似タイプが見つけづらい2人だけに、まあまあな戦力ダウンですよね。それから、ベテランの玉田が抜けたことの影響も考えなきゃいけない。この試合を落とすようなことがあればズルズルいきかねませんし、早くも正念場と言えなくもない。

対する甲府については、長崎以上に正念場。ヴァンフォーレ甲府というクラブが正念場というより、吉田達磨がリアル正念場。Jリーグの監督としてのラストチャンスとさえ言える。な、わりに勝利の女神様とも相性の悪さを露呈したようなシーズントップになってしまっておりますが、本節はどうなりますかね?

 

□じぇじぇじぇ

今シーズンの長崎はクリスティアーノが加入したことで、エジ・セザ・クリスのブラジリアントライアングルが相手の脅威となっています。中でもカイオ・セザールはこの試合でJリーグ通算100試合なんだそうだ。すっかりV・ファーレンの顔。綺麗な奥さんが花束を贈呈しておりました。

長崎がブラジリアントライアングルなら、甲府は、山田陸(やまりく)・野澤陸(のざりく)・飯島陸(めしりく)の、りくジリアントライアングルですね。陸が三人なんでもはや三陸海岸。じぇじぇじぇなわけですよ。甲府の選手たちは、「いつやるの?」と問われれば「今でしょ!」って答えるでしょうし、試合で悔しい思いをしたら次の試合で「倍返しだ!」ってなるでしょう。クラブとしてはホームに相手サポーターが遠征してくれたなら「お・も・て・な・し」をするに違いないのです。全て「じぇ・じぇ・じぇ」と同じ年の流行語です。

 

□前半は同点

試合内容としては、長崎は最終ラインとボランチが丁寧にボールを出し入れしつつ、ツートップにをクサビを入れる機会をうかがい、クサビが入ったら中央突破&オーバーラップを使うみたいな攻め方。そして、そんな長崎が先制します。右サイドでクリスティアーノが強さを見せつけクロス。都倉がしっかりと決めました。新加入のクリスティアーノもすっかり馴染んでますね。というか奥井が上手くクリスティアーノの良さを引き出していた。

対する甲府は中盤のパスワークで左右に揺にさぶり、サイドからはどんどんクロスを入れていく。長崎のCBコンビが小柄であることを踏まえてなのか、ともあれ、クロスの雨霰。そうやって押し込みながら、長谷川が技ありのシュートを転がし込んで同点に追いつきます。1ー1でハーフタイムを迎えました。

 

甲府の方が強かった

後半に入ると、甲府は攻撃への姿勢をいっそう強める。横パスが多かった前半に比べて、縦パスが増えたとは言いませんが、パスの基調は斜め前方向になった。そうやってタイマン状態に持ち込むと、システムの噛み合わせ上、甲府の方が中盤では数的に優位。それを生かしてルーズボールの回収率で圧倒的に上回ると、さらに、やはりシステムの噛み合わせにより幅が広くとれますので、WBがボールの落ち着け所として機能しまくりでした。そうやって作った流れの中で、セットプレーから飯島陸(めしりく)が決めて勝ち越します。

苦しくなったのは長崎。2ラインの442とは、いわば攻略法が徹底的に研究され尽くされたシステムですし、経験豊富な山本英臣にオーガナイズされた甲府守備陣が、長崎のパスコースを消し続けました。長崎の選手個々の出来が極端に悪かったとは思いませんが、甲府の守備網を打開する術がクリスティアーノの反則級個人技くらいしかないのでは厳しい。いまや長崎は追いかけられる立場なので相手に研究されるわけで、それでもなお442で相手を上回るためには、もう一工夫が求められるように思います。そのためにクリスティアーノの個人技を導入したということかもしれませんが、名将である松田さんには、もう一段階チームをステップアップさせてもらいところですね。

どちらも不本意かな?〜大分vsG大阪(3/2)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

□地方と東京の差

ゆえあって、この1週間は九州におるのです。ということで今日は大分へ。ミッドウィークのナイトマッチ、しかもJ2なのにルヴァンカップでG大阪と対戦するというレアシチュエーション。

さてさて、1週間も地方にいると東京の異常さを再確認しますね。地方と東京の一番の相違って、電車で「7人掛けに7人座るかどうか」ってところにあると思うのです。都内の電車で、席の隣に荷物を置いたり、隣の人と少しスペースを空けて座ったら、今で言うとノーマスクで絶叫してる人みたいな目で見られる。社会の秩序を乱し、世間への迷惑を顧みない極悪アナーキスト扱いですよね。でも、地方だと9人掛けに6人くらいしか座らない。立ってる人も詰めるように主張しない(ちなみにシャトルバスの2人席も詰めずに座る。立ってる人も詰めさせようとはしない)。ど田舎出身のワタクシとしては、昔は「キッツキツに座るなんて…」ってな感覚だったのですが(いや、そもそも電車が身近じゃなかったかも)、上京して四半世紀、こういうところの感覚だけはすっかり東京人になったようです。

 

□下平vs片野坂

さて、レアシチュエーションで戦う大分ですけど、コロナ禍の影響を全力で受けてしまいましたね。特にオミクロンになってからは、なぜが罹病した本人よりも、濃厚接触者の方が悪者扱いを受ける倒錯状態。ヤレヤレですな。でもそこは名将下平、なんやかんやでマネージメントしてくるのではあるまいか。

対するG大阪を率いるのは、大分のレジェンドと言って差し支えない片野坂監督。ガンバに里帰りしたのですが、むしろ今回は大分に里帰りしてくるような印象さえある。レアシチュエーションだからこそ発生した互いに恩返しできるマッチアップです。そんなガンバ、初戦は不運なのか、神様のイタズラなのか、それも含めてサッカー的なことなのか、パトリックの退場が響いて敗戦。ルヴァンでも連敗。しかし前節は浦和の岩尾が退場したこともあって、片野坂体制初勝利を収めました。今シーズンはJリーグ全体として退場が多いんですけど、その酸いも甘いもかみ分けてしまっているのがG大阪です。

 

□序盤はG大阪

オンザピッチに目を移すと、大分のシステムは4123だったのですが、全体的に距離感が悪かったような。というのも中川と梅崎の両ISHが下がってボールを引き出すということをしない。アンカーの小林は「ボランチの一人はそこにいないといけない」というポジションから動けませんので、なかなか組み立てに参加できない。って中で最終ラインと一列前(小林を除く)が広く離れてしまってました。

対するG大阪は片野坂さんの代名詞ともいえる3421ではなく、4231でした。ボランチタイプが3枚いたんですけど、そのうちの山本がトップ下に入って、流動的な動きからなかなかのリンクマンっぷりを発揮。山見の爆走ドリブルなどを引き出していました。序盤は左サイドを攻略したG大阪のペース。

 

□なぜかG大阪は停滞

ただし、スコアを動かしたのは大分でした。コーナーキックから長沢が決めたもの。で、リードを奪われたこともあり、片野坂監督は石毛と山見の左右を入れ替えます。石毛と柳沢がノッキングしていると判断したのでしょうか。左利きの山見が右に入れば中に絞りますので柳沢が縦に仕掛けるスペースができるとか、そういう意図かな、と。

ただ、これは裏目だったかもしれません。繋げなくとも左サイドの山見に逃げとけば良かったのに、その選択肢がなくなってしまった。逃げ道がなくなったので、低い位置から手数をかけた繋ぎに固執せざるをえなくなった。そして、それは大分も同じ。途中から中川が繋ぎのフォローに落ちるようになりつつも、なかなかパスコースが作れず。モタモタしているうちに自陣低い位置でボールを奪われるや、あっさり奥野に決められてしまいました。直後に香川のクロスに佐藤がハンドを犯し、そのPKを長沢が決めたことで大分はリードで折り返しましたが、内容は褒められたものではなかったかと思われます。

 

□大分の粘り腰

後半開始とともにガンバは齊藤から福田にスイッチ。山本がボランチ、石毛がトップ下にスライドする。石毛は組み立てに下がるのでシステムとしては4213に近い感じになりました。また、ボランチに下がった山本は前半のトップ下の時と同様に圧倒的なゲームメイクを見せ、さらに石毛が倉田に代わったことで再びトップ下に移っても、やはり絶大な存在感。同点ゴールも山本のパスから右サイドを崩して、そのクロスをパトリックが決めたものでした。

逆に大分は後半になっても最終ラインからボールが前に運べない。その状況は増山・宇津元を屋敷・井上に入れ替えるまで続きました。この二人が入った終盤はボールが回りましたので、大分のビルドアップ不全の遠因は両WGにあったのかもしれません。特に増山は自分の間合いになると輝くのですが、パスコースを作るためにポジションを微調整したり、相手のパスコースを限定したりっていうオフザボールの部分では、今日のところは屋敷の方が良かったように思えました。試合は2ー2のドローです。

ロアッソ的には厳しい船出〜ロアッソ熊本vsモンテディオ山形(2/27)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

□山ダービー

しれっと本日は熊本です。熊本といえば阿蘇山ですね、まあ、阿蘇山と言われても、多くの人は「あっ、そう」と返すだけでしょうが(阿蘇だけに……)、なんせ「世界最大のカルデラ」なわけですよ。中学校の社会科で習いましたもん。“カルデラ”って音だけは、しっかり覚えましたよ。中身は理解できていなかったですけど。今回、高速バスで阿蘇ら辺を横断して、ようやく少しイメージができるようになりました。外輪山が遠いとか、そういうことですよね。

阿蘇山といえば阿蘇神社なわけですが、昔の人も、ちゃんと「世界最大のカルデラ」の価値を認識してたんですかね。ここの山は普通の山とは作りの構造が違うんだぞ、みたいなマウントをとってたんですかね⁇ ともあれ、山形は山形で月山を中心とした出羽三山とか、山とか信仰とかには一家言あるはず。という意味では山ダービーなんですね、この試合。

 

□両チームの現状

さて熊本ですが、率いるのは大木さん。甲府時代の名将も、京都や岐阜での悪戦苦闘の中で、「就任初年の開幕戦にバシッとチームを作ってくるが、それを超えた積み上げがなくってジリ貧になる監督」って印象が、ワタクシの中では強まっておりました。それが、ですよ、熊本では2年目に昇格を達成。ベテラン監督の更なるの進化に敬意を表さざるを得ない。圧倒的ポゼッションというロマンを追求するのか、勝つためのリアリズムを前面に押し出すのか、今シーズンも目が離せません。

対する山形もクラモフスキーさんが続投。昨シーズンは途中就任するなり、センセーショナルな躍進を見せました。もっとも、時間の経過とともに周囲に対策されるようになったのか、終盤にはまあまあなトーンダウン状態になっていたので、新たなるシーズンにテコ入れができるのかどうかに注目が集まります。初戦はズっこけてしまいましたが、2段エンジン的なものがあると信じましょう。

 

□変則vsオーソドックス

さてオンザピッチですが、熊本はウイングとアンカーを置いた343ですね。中盤ダイヤの343というか。ただ、むしろ「3ー3+4トップ(ダイヤ)」のがイメージに近いかも。というのもですね、一般的にWBと呼ばれるポジションの選手が、守備では5バックの大外になりつつも、攻撃ではISHっぽくなるんですよね。なかなか難解です。

対する山形は、昨シーズンから大きな変化はなし。ヴィニシス・アラウージョが抜けたところに藤本佳樹が入って、中原が抜けたところに横山が入ったくらいですかね。システムはオーソドックスな4231。藤本は当然ながら安定感がありましたけど、驚いたのは横山。東洋大卒のルーキーということですが、トラップの際のボールの置き方がうまい。それだけで相手をひっくり返していましたもん。相手の対策が進んだり、カテゴリーが更に上がったりしても同じようにやれれば、坂元→中原に続く出世もあるのかも。

 

 

□遥かなるサラダ記念日

さて横山にクルンクルンとされていた熊本守備陣ですが、裏返されたのは横山に限らない。最終ラインが食いつきすぎなんですかね、先制点を奪われたのも、そのパターンでした。クルンクルンな裏返しについては、熊本のターレスも、山形守備陣を裏返してドリブル突破を繰り返していました。ただ、ゴールに至らない。ターレスだけにひっくり返してレータスになりながらも、そこから、あなたとサラダにならないというか、サラダ記念日にならないというか。なんてことをやっていたら、熊本守備陣がゴール前でつなぎをミスって、山形のクロスを許すと、必死にカバーに入った熊本の選手がオウンゴールをお見舞いして点差を広げられる。2点差でハーフタイムとなりました。

後半に入っても、さほど極端な変化はなし。熊本が攻めてクロスを入れるってところまでは行く。しかしそこからのアイディアが乏しく跳ね返されると、山形がソリッドなカウンターを繰り出す、みたいな応酬が続きます。

 

□モフ将の完勝

山形は余裕をもって対応し、クラモフスキー監督もロジカルな采配でチームを助けます。まずは両SHに河合&国分という機動性と運動量に長じたコンビを投入して前線をテコ入れする。そして、前半からターレスのケアでクタクタになっていた吉田がお役御免となり、ベテランの山田拓己が〆にかかります。機微をわきまえた用兵といえるでしょう。

極めつけは、ダメ押しの3点目です。高い位置でのつなぎが乱れそうになったところで山田が上手くフォロー。苦しまぎれになりかねないパスをラストパスに変えると、それを受けてペナに進入した国分が決めました。クローザー的要素の強かった二人が絡んでのダメ押しゴール、素晴らしかったですね。熊本は終盤になって352にシステムを変え、ターレスをさらにフリーマン化しつつ猛攻。オフサイドで取り消された幻のゴールなどもありましたが、総じて山形に試合をコントロールされていたと思います。久々のJ2、ホーム開幕戦は厳しい現実を押し付けられる結果となりました。

 

今シーズン生観戦2試合続けてドローとか〜セレッソ大阪vs京都(2/26)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

□京都への洗礼?

先週の開幕節、さっそく京都がJ1の洗礼を受けてましたね。J1には浦和レッズというチームがあって、1993年から30年間かけて積み上げてきたカルチャーがある。ある意味セリエAチックに「クラブやチームや選手や関係者より、フーリガン(マフィア?)の方が偉い」というカルチャーなわけですが、京都のフロントさんよう〜(←シバター風)、いちいちそんなことで過敏になってんじゃないよ、と。去年1年間の実績蓄積で浦和のウルトラスは治外法権だという慣習ができちゃったんだから。

……もちろん、クラブやリーグに対して皮肉っているというか、批判を浴びせかけているんですよ。アナウンスで注意を呼びかけたくらいで実効性なんてあるんかい‼と。それで聞くようなタイプなら、最初からルールを守るでしょう!と。対策がそれだけじゃ、実質的に黙認しているのと同じだよ? 村井さん、そして野々村さん、それで良いのかい?って言いたいのです。良いって言うのなら、偉い人がそう言う以上は仕方ないけど。

 

□刮目せよ⁈

……ついつい熱くなってしまいました(反省)。ともあれ、セレッソの現況ですが、監督は昨シーズン途中から引き続き小菊さん。いまや「ヨドコウ桜スタジアム」ですが、長い間(長居だけに、、、)、「キンチョウスタジアム」でしたよね。そんなキンチョウの正式会社名は「大日本除虫菊」です。そう、“菊”つながり。なので「“菊”つながりの縁故人事ではないのか〜〜!!」ってな批判が起きるかもしれませんし、そうならないように、小菊さんには、是非とも結果を残してもらいたいですね。

対する京都はチョウキジェ政権の2年目。まあ、いろいろありましたよね。誰がどう評価しても「ダメなことはダメ」ってことをやらかしたわけなんで、そこを擁護する気はさらさらないですけど、心のどこかで、帰宅部や文化部だったと覚しい人たちが、体育会の論理を理解しないまま、「そんな野蛮なこと!」ってドヤッていた状況が、少し釈然としたりしなかったりする体育会出身者だったりします。大事なことなので繰り返しますが、ダメなことはダメですよ。だから罰せられたんですよ。

 

□どちらも442の変形

さてピッチ内。セレッソは、ここしばらくのスタンダードだった442ではなく、清武をトップ下に置いた4231でしたね。確かに左WBをやりたい選手と、右WBをやりたい選手とトップ下をやりたい選手がいるのだから、4231も合理的ではある。中原も良かったですね。セレッソは古橋・徳重の時代から下部リーグから選手を引き上げるのが上手い。

他方で京都ですが、『エルゴラ』脳的には4123と思い込んでいて、実際に攻撃では4123なのですか、守備では442になるんですね。それから注目はウタカ。38歳の大ベテランにはそぐわないですけど、すっかりキジェ監督の“チルドレン”感が漂っている。アベレージはともあれ、要所要所での守備への貢献は軽視できません。

 

□劣勢の京都が先制

試合は、さしあたりセレッソがイニシアチブを握りました。中盤の選手の技術面におけるクオリティの差がそのまま出た感じというか、崩しの形に関して、より練習での成果をそのまま表現できていたのはセレッソだったと思います。ってなると、そういうことです、京都かセットプレーから先制しますね、えぇ、えぇ。サッカーにおける絶対の方程式が発動するのです。コーナーキックから、「オウンゴール?」みたいな謎のグダグダ感がなんとなく発生するや、武冨が最後は決めたらしい。京都リードで折り返しました。

リードして折り返したはずの京都は、後半の頭からFWの豊川に代えてDFの長井を投入し、それに伴いシステムも352(3322)にトランスフォーム。前半から乾と中原の両WBを、どフリーにしていたので、そのあたりのケアですかね?何にせよ、スコアはともあれ内容ではセレッソが京都を圧倒していたので、京都が先に動くというのはありえない話ではない、って感じだったと思います。

 

□攻勢のセレッソが追いつくも、トーンダウン

一方で、とにもかくにも追いつかないといけないセレッソは、前半から猛威を振るっていた、翼&岬を彷彿とさせる清武&乾のコンビプレーで同点に追い付くと、畳みかけるようにブルーノ・メンデスと、北野を投入。……北野って誰やねん?  エルゴラのアプリにも登録されていなかったので、スポナビのアプリで確認したところ、育成組織出身の18歳だそうだ。

そういえば、セレッソも含めてJ3からU23チームがなくなりましたね、、、ってことを北野には感じた。随所に光る部分がある一方で、「そのプレーをそのままやろうとしても、大人は許してくれないよ」ってな未熟さを隠しきれかったんですよね。U23を経験してれば、もう少し“ひねた”プレーもあったと思いますが、あまりにもユースのまんまにプレーしてて、案の定、大人に大人の処理されてしまっていた。終盤には、清武とポジションチェンジしてFWに上がり1対1の大チャンスを迎えましたが、それも決められず。京都は京都で悪いなりに中央の強度を高めて形勢を整えたこともあり、試合は1対1のドローとなりました。

 

今シーズン観戦初戦はスコアレス〜FC町田ゼルビアvsFC琉球(2/20)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

 

横浜線経由で町田に行く

ワタクシの自宅から町田に行くには幾つかルートがあるのですが、というか、乗り換えを組み合わせると無限にあるのですが、この日は都心を避けて、大井町線の中央林間行きで長津田に向かいました。で、せっかくなんで駅近くをプラプラして「JA横浜 「ハマッ子」直売所 四季菜館」というところに行ってみた。横浜市ですよ、あの“みなとヨコハマ”、ランドマークタワーとか、山下公園とかの。そんな横浜市のはずなのに、田園風景のど真ん中に産直店があるのだから、そらビビりますよ。ええ、ええビビります。

ビビると言えば、町田駅近くに最近できたという「泰巖歴史美術館」っていう、織田信長好きが高じたリッチメンによって開設された私立美術館にも立ち寄ったのですが、スペースの都合上、せっかくの安土城復元天守が全くインスタ映えしないことにもビビった。

 

□武闘派vs知将派?

町田を率いているのは、ご存じ、ポポビッチさん。クラブカラーとの相性に左右されるところもありますが、比較的、どこのチームでそれなりに結果を残す監督さん。東欧出身らしく“ビッチ”が付くのですが、なんか、ビッチが付くサッカー関係者って、ビッチだけでなく“ヒモビッチ”まで付くと、メッチャごつそうじゃないですか?ポポヒモビッチ。……絶対に武闘派ですよね。ポポさんの場合、ヒモが付かなくても武闘派ですけど。

アウェイに乗り込んできた琉球を率いるのは、昨シーズン終盤から喜名さん。FC東京時代はクローザーやリズムを変える存在として絶大な信頼を得ていた人ですよね。このあたりは、観客として外から見ていても伝わりづらいところですが、きっとサッカーIQが高いというか、クレバーな選手だったのでしょう。現役時代に闘将的キャプテンシーでリーダーだったタイプより、地味でクレバー系だったタイプの方が指導者として成功する傾向にあると思いますので期待したいところですね。

 

 

□押し込まれたときの対処法

さて、ピッチ上に目を向けると、町田は前線にわかりやすいドリブラーとか裏抜け屋を置かないシステム。アーリアがセカンドトップで、最前線が中島なんで、相手を背負ってプレーするタイプが並んでいる。これだと、押し込んでいるときは良いのですが、押し込まれると陣地回復が難しくなる感じですね。大田修介が孤軍奮闘して押し込まれたときのフリーランニング当番をやっていましたが。

対する琉球は、去年まではヴェルディで左SBを担っていた福村をボランチ起用。しかも並びでいうと右。かつプリメイロかセグンダかでいえばセグンダ。高めの位置でのダイナミックなサイドチェンジが期待されているのでしょう。実際にそういうシーンもありましたし。ただ、押し込まれる時間帯では左右を逆にしていたかも。順足にして、シンプルにボールを前に逃がすってことですかね。それはそれで合理的。

 

□町田の打開策

試合は、前半25分くらいまで町田が自慢のパスワークで琉球を押し込みます。しかし琉球はそれを受け切りながら徐々にリズムを取り戻します。その起動力となったのが大本のドリブル突破と、古式ゆかしいSBである沼田の縦突破からのクロス。これがあると「クリアされてもすぐ回収される地獄」から抜け出しやすい。特に大本のドリブルが作るコンマ数秒の時間は地獄から抜け出すのに十分な余裕を生み出していました。

そんなわけで、町田は「雑に蹴り出して良い当番」として(?)、中島に代えてチョンテセを投入。さらにアーリア長谷川ジャスールに代えて安井もピッチに送り出す。安井は良かったですね、ジャスールアーリア長谷川は、どちらかいうと攻撃にアクセントを付ける感じだったのですが、安井はより広範囲に動いてパスを引き出しリンクマンになっていく。こういう役割が必要とされていたらしく、彼の投入以後はボールの回りがスムーズになりました。

 

□急募、シュート!

他方で琉球なんですけど、アタッキングサードまでは悪くなかったのですが、そこからがアイデア不足というか、シュートへの道筋が見えてこない。しかし、喜名さんは慎重に忍耐。ポポさんが早め早めにテコ入れしたのとは対照的だったのですが、ボールは前に運べてましたからね、ヘタな手を打って、そこを崩したくなかったのでしょう。ちなみに琉球アタッキングサードでアイデア不足だったのに対し、町田はアタッキングサードで高江がトラップ力不足。せっかく高い位置に進入してボールを引き出しても、ほぼ100パーセントの確率でトラップが乱れてましたねぇ。

そんなこんなで、最後まで引き締まった応酬が繰り広げられた一方で、互いにシュートまでは至らないって展開のままタイムアップを迎えました。それにしてもシュートが少なかった。途中出場途中交代となったチョンテセの超ロングシュートと、オフサイドの笛が鳴ったあとにそのまま打ったシュートくらいしか印象に残ってないぞ。決して凡戦ではなかったですが、手に汗は握らない一戦となりました。