ロアッソ的には厳しい船出〜ロアッソ熊本vsモンテディオ山形(2/27)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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□山ダービー

しれっと本日は熊本です。熊本といえば阿蘇山ですね、まあ、阿蘇山と言われても、多くの人は「あっ、そう」と返すだけでしょうが(阿蘇だけに……)、なんせ「世界最大のカルデラ」なわけですよ。中学校の社会科で習いましたもん。“カルデラ”って音だけは、しっかり覚えましたよ。中身は理解できていなかったですけど。今回、高速バスで阿蘇ら辺を横断して、ようやく少しイメージができるようになりました。外輪山が遠いとか、そういうことですよね。

阿蘇山といえば阿蘇神社なわけですが、昔の人も、ちゃんと「世界最大のカルデラ」の価値を認識してたんですかね。ここの山は普通の山とは作りの構造が違うんだぞ、みたいなマウントをとってたんですかね⁇ ともあれ、山形は山形で月山を中心とした出羽三山とか、山とか信仰とかには一家言あるはず。という意味では山ダービーなんですね、この試合。

 

□両チームの現状

さて熊本ですが、率いるのは大木さん。甲府時代の名将も、京都や岐阜での悪戦苦闘の中で、「就任初年の開幕戦にバシッとチームを作ってくるが、それを超えた積み上げがなくってジリ貧になる監督」って印象が、ワタクシの中では強まっておりました。それが、ですよ、熊本では2年目に昇格を達成。ベテラン監督の更なるの進化に敬意を表さざるを得ない。圧倒的ポゼッションというロマンを追求するのか、勝つためのリアリズムを前面に押し出すのか、今シーズンも目が離せません。

対する山形もクラモフスキーさんが続投。昨シーズンは途中就任するなり、センセーショナルな躍進を見せました。もっとも、時間の経過とともに周囲に対策されるようになったのか、終盤にはまあまあなトーンダウン状態になっていたので、新たなるシーズンにテコ入れができるのかどうかに注目が集まります。初戦はズっこけてしまいましたが、2段エンジン的なものがあると信じましょう。

 

□変則vsオーソドックス

さてオンザピッチですが、熊本はウイングとアンカーを置いた343ですね。中盤ダイヤの343というか。ただ、むしろ「3ー3+4トップ(ダイヤ)」のがイメージに近いかも。というのもですね、一般的にWBと呼ばれるポジションの選手が、守備では5バックの大外になりつつも、攻撃ではISHっぽくなるんですよね。なかなか難解です。

対する山形は、昨シーズンから大きな変化はなし。ヴィニシス・アラウージョが抜けたところに藤本佳樹が入って、中原が抜けたところに横山が入ったくらいですかね。システムはオーソドックスな4231。藤本は当然ながら安定感がありましたけど、驚いたのは横山。東洋大卒のルーキーということですが、トラップの際のボールの置き方がうまい。それだけで相手をひっくり返していましたもん。相手の対策が進んだり、カテゴリーが更に上がったりしても同じようにやれれば、坂元→中原に続く出世もあるのかも。

 

 

□遥かなるサラダ記念日

さて横山にクルンクルンとされていた熊本守備陣ですが、裏返されたのは横山に限らない。最終ラインが食いつきすぎなんですかね、先制点を奪われたのも、そのパターンでした。クルンクルンな裏返しについては、熊本のターレスも、山形守備陣を裏返してドリブル突破を繰り返していました。ただ、ゴールに至らない。ターレスだけにひっくり返してレータスになりながらも、そこから、あなたとサラダにならないというか、サラダ記念日にならないというか。なんてことをやっていたら、熊本守備陣がゴール前でつなぎをミスって、山形のクロスを許すと、必死にカバーに入った熊本の選手がオウンゴールをお見舞いして点差を広げられる。2点差でハーフタイムとなりました。

後半に入っても、さほど極端な変化はなし。熊本が攻めてクロスを入れるってところまでは行く。しかしそこからのアイディアが乏しく跳ね返されると、山形がソリッドなカウンターを繰り出す、みたいな応酬が続きます。

 

□モフ将の完勝

山形は余裕をもって対応し、クラモフスキー監督もロジカルな采配でチームを助けます。まずは両SHに河合&国分という機動性と運動量に長じたコンビを投入して前線をテコ入れする。そして、前半からターレスのケアでクタクタになっていた吉田がお役御免となり、ベテランの山田拓己が〆にかかります。機微をわきまえた用兵といえるでしょう。

極めつけは、ダメ押しの3点目です。高い位置でのつなぎが乱れそうになったところで山田が上手くフォロー。苦しまぎれになりかねないパスをラストパスに変えると、それを受けてペナに進入した国分が決めました。クローザー的要素の強かった二人が絡んでのダメ押しゴール、素晴らしかったですね。熊本は終盤になって352にシステムを変え、ターレスをさらにフリーマン化しつつ猛攻。オフサイドで取り消された幻のゴールなどもありましたが、総じて山形に試合をコントロールされていたと思います。久々のJ2、ホーム開幕戦は厳しい現実を押し付けられる結果となりました。