ポジショナルに古典で打ち克つ〜ザスパクサツ群馬vsモンテディオ山形(3/12)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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□越後の龍ダービー

群馬の県庁所在地といえば前橋。前橋の発音はアクセントの位置が板橋とか高橋の位置でなく、納屋橋とかの位置にある。大分が「おぉいた」ではなく「おーいた」みたいな。なぜかというと、諸説あるでしょうが、もともと厩橋(うまやばし)だったのが「まやばし」になって更に「まえばし」へと転訛するなかで、「まやばし」時代のアクセントが残ったのではないかと推測してます。

そんな厩橋には戦国時代には厩橋城というのがありまして、上杉謙信後北条氏が争奪戦を繰り広げた要地です。そんな上杉謙信の後継者が上杉景勝なわけですが、その上杉景勝関ヶ原の合戦で失敗して、最終的に米沢の藩主になりましたね。もちろん米沢は山形県です。つまり、ザスパクサツモンテディオの対決は上杉謙信ダービーともいえるのです。単純に新潟県の北隣と南隣って話でもあります。なので、近所といえば近所。

 

□指揮官の真価は?

群馬を率いているのは“組長”の異名もすっかり板についてきた大槻さん。最初に浦和で緊急登板したときは鮮やかな成績を残しましたけど、シーズンを通じた指揮では、それほど特筆するような結果は残せておりません。同じように「浦和で途中登板したり、シーズン最初からだと微妙だったり」系の先輩格にあたる堀孝史さんと、けっこうイメージが似通っているようにも思われる。今シーズンこそ真価を発揮してもらいたいなあと。

対する山形を率いるのは、こちらも継続路線のクラモフスキーさん。ポステコグルーさんの懐刀というようなポジションから抜擢されて、清水ではいまいち、山形では1年目が7位で2年目は6位。予算規模からすれば十分に立派な成績ながら、昇格には少し及ばないといったところです。とはいえそれなりに評価されているようなところも含めて、ポヤトスさんくらいの力量だというのが現時点におけるワタクシの受け取り方だったりします。こちらも今年躍進しないと満了かなあという雰囲気もあるので頑張ってもらいたい。

 

□幻惑

さてオンザピッチ。4バックの群馬はポジショナルな山形に対してスライドで対応しないといけないわけですが、左サイドのスライドが間に合ってませんでしたね。山形は右サイドから多くをチャンスを作っていました。群馬としては「右はみんなで潰すから、左は中塩、お前がガンバレ!」ってことだったのでしょうか。それからもう一つ、群馬は両SHに逆足の選手を配置していたのですが、カットインさせるような複雑な攻撃はなかったので、そのまま順足で配置してもよいのではなかろうか。

他方、山形ですが、アウェイユニが明るめの黄色に白。……レモン牛乳やん。群馬宿命のライバルである栃木最大のアイコンともいえるレモン牛乳な配色のユニを着用することで、ザスパを幻惑させようとしたのでしょうか?なんてことはさておき、注目してた小野が良かったです。パサー系ボランチ出身のSBなんて、ポジショナルな5レーンサッカーにはうってつけ。もともとは幻惑殺法でもあった似非ボランチと化して加藤とのホットラインを築いていました。

試合は山形サポがオーバー・ザ・レインボーをハミングして始まる。山形ってオーバー・ザ・レインボーでしたっけ?仙台のカントリー・ロードほどの印象がないな…。なんてことを考えていたら、キックオフ早々に群馬が武のシュートで先制しました。いったんはオフサイドフラッグを上げたものだから山形ベンチに説明しなきゃいけなくなった副審さんの「テヘッ」感がエモかったです。

 

□フラストレーションとエキサイト

後半に入ると前半以上に山形のポジショナルが全開になります。押し込みまくり。なんやかんやで前半は藤田が対角線のイサカにロングボールを蹴るって攻撃が目立ったのですが、後半はグラウンダーのパスでつなぎまくりの押し込みまくり。山形としては勢いを増した後半最初の15分で追いつきたかったところだったのですが、精密さに欠きました。象徴的なのがCK。今ひとつフェイクキッカーと2人で蹴りにいくコーナーに合理性を感じないのですが、この試合の山形に至ってはフェイクのイサカのワンタッチにキッカーの小野が騙されてたりまでしてた。そんな、どこか噛み合わなかったのがこの試合の山形で、少しずつフラストレーションも溜まっていく。

ということでなかなかスコアも動かない。とくればクラモフスキー監督は選手交代のカードを切る。例えばイサカを国分にスイッチ。これで左右SBの役割がテレコになったように思います。前半は小野がフリーダムで川井はポジション遵守だったのが、後半は小野がSBらしいSBとして上下動して川井が自由に動き回るような感じになりました。

そんなクラモフスキー監督のあの手この手に対して群馬は粘り強く応戦。良くも悪くも大槻サッカーでよく見かける「リトリートしてしっかり守りましょう」モードが発動。その中でも長倉がスルスルとカウンターの起点になったりしましたが、2度のビッグチャンスで群馬アタッカー陣のシュートが精度を欠く。それもこれも守備に軸足を置いてしっかり守っていたから。逆に群馬の守備を突き破れない山形は、ベンチ陣がエキサイト。釣られて群馬のベンチもエキサイト。イエローとか出されちゃう。ただ、イライラして損をするのは負けてるチームなわけで、5分のロスタイムも含めて群馬がある程度コントロール。そのまま逃げ切った大槻組長、ホームで勝ち点を積み重ねました。