グランパスとマリノス、共通点など探すまでもない。問題無用に自動車産業ダービーです。グランパスの親会社はトヨタ、マリノスの親会社は日産。カローラやプリウスなどひたすら実用を追求してきたトヨタと、スカイラインやフェアレディZなどひたすら美学を追求してきた日産。もはや自動車産業のイデオロギー闘争なわけですが、21世紀に入る頃から、徐々に、しかしながら明確に闘争の結果があらわれるようになってきました。
トヨタはもはや日本のものづくりの一強として、“世界のトヨタ”たる隆盛を誇るのに対し、日産は長い長い坂道を転げ落ち続けている。ゴーンによって延命されて、延命と引き換えに魂とちょっとしたキャッシュが失われ、魂が失われた結果、技術も商品価値を失った。しかし日産は不死鳥フェニックス。南国の街路樹でありアンドロメダ瞬の兄なのです。戦後の鮎川財閥は財閥解体の憂き目に遭ってもダットサンによって復活したじゃないか。フォーエバーですよ、フォーエバー。もっといえばファーエバー。
□一定の条件下では無敗のマリノス
さて、運転手付きのセンチュリーで乗り込んできた?グランパスですが、リーグ戦ここ5試合の成績は2勝2分1敗、順位はわずかに回復して14位。上位・中位・下位を7・7・6で配分すると中位ということになる。6・7・7で配分すると下位ですけど、そんなことは気にしない。中位なのですよ、中位。そして“中位”という響きほどグランパスに似つかわしいものはない。長谷川監督については毀誉褒貶がかまびすしいですが、グランパスのキャラ通りの成績だということです。
迎え撃つマリノスのリーグ戦ここ5試合は1勝1分3敗、順位は絶体絶命の20位。とはいえ、ここに良いデータもある。大島監督になってからナベコーこと渡辺皓太が先発した試合では無敗伝説継続中なのです。このデータを信用するならば、今後大島監督が渡辺皓太を先発で使い続けさえすればリーグ戦終了時にマリノスは勝ち点68になってる計算ですから、上位フィニッシュも夢ではない。今節試合前でいうと、谷村海那が出場した試合も負けたということがない。良いデータはジンクスとして信じましょう。
□マリノスは吹いた風に乗るのがうまいのか?船乗りだけに、、、ってか?
というわけでピッチに目を移します。まずはグランパスですが、そこはもうハセケンですから、裏抜け至上主義ですよ。裏抜けからの最少手数でのシュート。ある意味ポジショナル的発想法ですけど、相手を引きつけはしないので、ポジショナルでは決してない。位置取りを意識的に作るってことはしないですけど、空いたスペースに対する認識が受け手と出し手でしっかり共有されているので、ちゃんと訓練はされている模様。「ただの縦ポン」という批判があるとしたら、ただの縦ポンを成立させるためにどれだけの準備が必要かが理解できていない証拠。
一方のマリノスは渡辺皓太が先発しませんでした。危うし?とも思いましたが、逆に「大島監督×渡辺皓太先発=不敗」の神話が自動的に継続されることにもなりました。ちなみにマリノスの基本形は3トップ+トップ下の4人で攻めて、4バック+ジャンクルードの5人で守り、その間で山根が汗をかくというスタイル。SBはリスクを負わない位置取り。突破は両ウイングにお任せします、みたいな。
そんなマリノスが前半のうちにスコアを動かします。まずCKから加入したての谷村海那が先制ゴール。VARが入りましたね。しかもオフサイドの確認が行われた後、引き続きオフェンスファウルの確認。ダブルVARとか、現地観戦では初めて見ましたよ。ともあれゴールは認められる。マリノスはさらに前半のうちに追加的。抜け出したヤンマテウスがもたついたのですが、それで逆にブラインドが作れた模様。マリノスに良い風が吹いた前半45分でした。
□足が攣り、功名が発生する
マリノスの大島監督ですけど、シューズが蛍光イエロー。あれはメーカー支給品なんですかね?それとも個人的趣味?個人的趣味だとしたら、なかなかですね。なかなか、なかなかなもんですよ。サッカーの監督で靴の色といえば西ヶ谷さんが白シューズで目立っていたのですが、蛍光イエローとなれば、それをも遥かに凌駕する。今後の動向から目が離せません。
そんな蛍光イエロー大島監督ですが、実践しているサッカーの内容はハッチンソンスタイルですかね。トップとトップ下はひたすら汗をかき、泥にまみれる役割。彼らのインテンシティで相手を引きつけることによって、両ウイングがフリーになる。このやり方であるならば強度マリノス代表の山根をトップ下に置いて潰し役をやってもらって、天野をアンカーっぽく使うとファンタジックになりそう。サカつく脳的な発想ですけど。
さて後半の攻防。高温多湿の消耗戦ですから、選手が次から次へと足を攣る。特にマリノス。やっぱりキャンプでの走りこみが足りなかったんでしょ?CBに松原が投入されたのもスクランブルでしょうけど、それ以上に宮市がSB、植中が最前線。スクランブル・オブ・スクランブルですよ。対するグランパスはジョーカーのキャスパーユンカーを投入。とはいえスクランブル投入された植中がダメ押しゴールを決めるのが人間社会の面白いところ。スコアの入り方だけみれば強豪チームみたいな勝ち方でマリノスが勝ち点3をもぎ取ったとさ。