評価すべきだが不満もある、期待もあれば不安もあるハリル初年度総括の周辺をウロウロと…(前編)

                                  にほんブログ村 サッカーブログへ
にほんブログ村

実はワールドカップ予選再開まで、あと一ヶ月とかなんですね。そこで遅ればせながら2015年のフル代表について総括しておきたいと思います。

■戦績の概要

2015年の日本代表は、波瀾万丈でしたね。せっかく実績のあるアギーレさんが代表監督に就任してくれたっていうのに・・・。八百長騒動で振り出しに戻ってしまいました。日本人の一般的傾向として、ニューカマーには幻想いっぱいに期待して、で、現実を突きつけられると一斉に掌を返し、批判をぶつけまくるってのがあるので、幻想のまま日本を去ったアギーレは幸せなのかも。

 

 

ともあれ、緊急事態のなか、協会が次に用意した監督がハリルホジッチでした。ハリル就任当初は、本当に颯爽としておりました。チュニジアやらウズベキスタンやらイラクやらとの試合は、縦に速い攻撃が面白いようにはまりまくり、見ているこちらがキョトンとしてしまうくらい。「マジック」というに相応しい、この上ないスタートを切りました。

 

 

そんな状況もWC予選のシンガポール戦で一転します。ホームで格下相手の公式戦でありながら、スコアレスドローに終わってしまった。掌返しが発動します。で、多くの代表ウォッチャーはJリーグの日程のことなんてお構いなしですから、必然の東アジアカップ苦戦でも難癖をつけ、秋にさしかかってからのイラク戦も勝てなかったことで、「史上最弱」くらいの罵詈雑言が浴びせられた。WC予選で苦戦しなかったことなど、日本サッカー史上、一度もないんですけどね。

 

 

とはいえ、長袖の季節になってくると、やや調子を持ち直す。アウェイのシンガポール戦を30で快勝すると、続くカンボジア戦も20で無難に勝ち点3をゲット。格下相手に確実に勝ちきることの難しさに対するイメージが貧困な人々はともあれ、多くのサッカー好きは、一応の溜飲を下げたことでしょう。まぁ、どうにかこうにか帳尻を合わせたって評価が妥当なところでしょうか。

 

 

 

■評価の揺れ

いずれにしても、ハリルさんって、わずか一年弱の間で、随分と評価の揺れ、毀誉褒貶がありましたねえ。当初は熱狂的に期待されました。その期待感の背景に、オシムの幻影があったであろうことは、多くの方がお気づきでしょう。東欧出身で、いかつくて、スパルタ教師っぽい風体が「あのオシムの再来ではないか!」とワクワクさせてくれた。いまやオシムは神格化されていますからね。

 

 

ワタクシ的なハリル戦術への評価としては、「縦への速さ」については絶賛したい。一方で、縦に速い攻撃ばかりで、しかもその速さのスピードやらリズムが一本調子なところには苦言を呈したい。ハリルさんとしても、まさか、こうまでも日本人が「いわれたことをそのままやるが、そのまましかやらない」人々の集合体であるとは予想できなかったのでしょう。ここはマイナスポイント。

 

 

逆にプラスポイントとしては、もちろん「ショートパス病(パスサッカー信仰)」を打破してくれたってのも大きいのですが、それ以上に、「しっかりJリーグを見てくれている」というところ。浦和の「じゃない方の」武藤を抜擢したのは比較的よく取り上げられますが、個人的には(当時)鳥栖の藤田を呼んだこと。ちゃんと藤田を見ているのか、と。あの正確無比で教科書に忠実なショートパス、大好きです。

 

 

トータルとしてはマイナスよりプラスが大きい感じです、ワタクシの評価的に。一本調子への解決法は今後示されることでしょう。その上で若干の危惧があるとすれば、ときどきハリルさんが口にする「得点を取れる選手を探している」という表現。翻訳のアヤかもしれませんが、もし「決定力不足」が偶発的現象だと考えているとするならば、「いやいやいや、そういう国民性だから、そういうものとして解決法を模索してくれ」とオーダーしたいところです。