■浦和 1 vs 2 鹿島[CS決勝2nd 12月03日]
この日はハリルさんも来場してましたね。ハーフタイムにはNHKの放送室にも呼ばれたりして。いつかのジーコと違ってバカンスをむさぼらないらしい。そんなハリルさんが一躍にして勇名を轟かせたのが、アルジェリア代表を率いたブラジルワールドカップ。ブラジルWCのトレンドは、縦に速い超高速カウンター。バレーボールの“レシーブ”“トス”“アタック”みたいなリズムで自陣ゴール前からシュートまで持って行くようなサッカーですね。凄かったんですよ、ハリル率いるアルジェリア。
それを可能にしたのは低弾道なロングパスとグランダーのミドルパス。狙い澄まして、離れた味方に高精度な一撃で届けるパスなわけですが、この試合における浦和のサッカーは、まさにブラジルWCにおけるアルジェリアみたいなサッカーでした。ボールを奪ったら、一気に前線の3人なり、空いているスペースなりに高速パスを出しまくる。数年前までのミシャサッカーは低い位置でのビルドアップが印象的だったのですが、すっかり一変しました。
もちろん、鹿島とて、そんなことで怯みやしない。もうね、中盤でドゥエルがえげつなかった。ハリルさんもニンマリでしょう。奪われたら、次の瞬間には奪い返しにかかり、けっこうな割合で奪い返すのに成功する。そして、そのまま次のパスがラストパスになったり。切り替えと切り替えの応酬といいましょうか、これが夏場ならとてもとえももたないわけですけど、12月のナイターですからね、そんなハイテンションサッカーも可能になるのです。現地観戦の皆様は寒かったでしょうけど(両ゴール裏を除く)。
とにもかくにも、“決戦感”が凄かった。そんな“決戦感”を象徴するのが、槙野と金崎のバチバチですね。金崎の熱くなりやすい性格を挑発するような槙野の駆け引き。痛くもなければファールでもない金崎のコンタクトプレーを大げさに痛がったりして、揺さぶりをかける。イライラさせる。ワタクシ、大学時代は体育会バレー部でリーグ戦を戦ったりしていたのですが、ネット越しは、ホント、こんな揺さぶり合い。メンタルが弱そうな選手をとにかく挑発する。真剣勝負とは、そういうことです。最低限、それくらいのことは戦略的にやらないと、とても相手に勝てない。
でも、挑発された側の金崎も大したもので、ちゃんとセルフコントロールしつつ、でも、アグレッシブさは失わず、同点ゴールを叩き込んだ。「見たか!うりゃ!!△☆※○(放送禁止用語)!!!」みたいな。決勝PKもちゃっかり決める。ちなみ先制点を奪ったのは鹿島から浦和に移籍した興梠。これも意地ですよね。若手を重用する中で、出番を失って鹿島を出た感じですし、「若返りの犠牲にされるようなプレーはしてなかったはずだ!てんやでぇっ!!」ってなもんでしょう。
そんな緊張感溢れる最高の一戦、これぞ頂上決戦という感じで、「チャンピオンシップはチャンピオンシップで悪くないなぁ」とか思っていたのですが、でも、鹿島が年間王者かぁ。いや、素晴らしいウイナーなんですよ、そういうレギュレーションだったわけですし。にしても、年間勝ち点が首位から15も少ないチームがチャンピオンだと言われてもなぁ。。。釈然としないというかなんというか。繰り返しますけど、ルールに則った、素晴らしいウイナーなんですけどね。いやいや。