宇佐美のスランプとハリルの真価ハリル初年度総括の周辺をウロウロと…(後編)

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■ハリルと体脂肪率

ハリルさんが就任して以降、一躍、代表の主要な一角としての任を負うようになったのが宇佐美貴史。ハリルジャパンの調子と宇佐美の調子は、けっこうなシンクロ関係にあった印象があります。夏場以降、ハリルジャパンがシンガポール相手に取りこぼすようになったりすると、その頃から宇佐美のJリーグにおけるゴール数も伸びなくなった。

 

 

で、すでに少なくない人が感じているでしょうし、それを匂わす記事なんかもいくつか目にしましたけど、宇佐美の調子の低下って、時期的にハリルさんが「体脂肪率を落とせ!」とカミナリを落とした出来事と時期的に指符号している。要するに、宇佐美がパフォーマンスを落とした理由って、ハリルに言われて体脂肪を落としたからじゃないのか、と。

 

 

いや、別にアスリートにとって体脂肪率が持つ意味の重要さを否定するつもりはないですよ。体脂肪率まで管理しようとする姿勢そのものはポジティブに受け止めています。もちろん、「それはクラブの役割であって、代表スタッフが口を差し挟む問題じゃない」という考え方もあるんでしょうけど、「代表に入りたければ体脂肪率を何%以下に落としなさい!」という条件をつけること自体は悪くない。

 

 

ただ、不安なのは、ハリルさんが想定している「適正な体脂肪率」って、欧米人であるとか、アフリカ人をサンプルにしていないだろうか、と。モンゴロイドの日本人と、あっちの人々とでは、動物学的な部分で、そもそもの相違があるじゃなかろうか。骨量とかも違いそうだし。もし、フランス語圏のヒト科のサンプルを、アジア人にも当てはめようとしているとするならば、なかなか不安です。ちゃんとアジア人のサンプルも科学的にとってあるのならば、宇佐美が悪いんですけど。

 

 

 

トルシエとハリル

なんか、体脂肪率を口にし出したあたりから、ワタクシのハリルに対する印象が、やや変わったのです。それが良いとか悪いとか、そういうことではないんですけど、ハリルさんって、当初は「オシムの再来」だとの幻想を抱いていたものの、実際には「トルシエの再来」なのではなかろうか、と。フランス語文化を背景にしている人物ですし、ゆえに代表キャリアはアフリカで築き上げてますし。

 

 

で、ご存知のように、フランス人って、世界でも有数の「自国の文化・価値観、バンザイ!」って民俗ですからね、どこまで日本人のメンタリティに対して理解しようとしてくれているのか。トルシエみたいにフランス人イズムを全力で押しつけるって方法論もなくはないんですけど、やっぱりそこは自らの価値観を相対化して、日本人なる民族に歩み寄ってもらいたい。

 

 

例えば、オシムなんかは、早々に日本人の性格的あるいは肉体的な特性に気付きましたよね。オシムってジェフでは専ら3バックを敷いていたんですけど、その理由について「日本人は1対1の局面など責任のかかる場面では動きが難くなりロクなことは起きない。だから1枚余らせて、精神的な余裕を与えるべく3バックにしている」みたいなことを発言していた記憶があります。

 

 

もちろん、最初はクラブを率いたオシムと、代表活動期間のみ選手とコミュニケーションをとれるハリルさんとでは、置かれていた状況が違う。日本人の種々の特性を把握するには時間的制約が大きい。ゆえに2年目の今年に真価が問われる。今年1年費やしても、意識面を日本ナイズできないとすれば、ハリルさんに対して過度な期待はできないということになる。要注目です。