「鉱山公害ダービー」「しおたダービー」「バブルと寝たダービー」2014シーズンを振り返る・日本各地のダービー

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■鉱山公害ダービー[ちばぎんカップ 02/16]

まぁ、ちばぎんカップですからね。そりゃ千葉ダービーなわけですよ。誰がどう考えたとしても。しかし、それで済ましてしまえば、江戸っ子の粋が廃るってもんです。江戸っ子じゃないんですけどね、ワタクシ。ともあれ、千葉ダービー以外の視点から、両チームの共通点を考えてみたところ、両者ともに、比較的、資金が潤沢なクラブですよね。資金が潤沢ということは、つまり、事実上の親会社が控えているということです。

 

 

レイソルについては、他言は要すまい、日立様がパトロンです。一方のジェフ。こちらは近年、すっかりJR東日本の存在感が際立つようになりましたが、もともとは古河電気工業サッカー部を母体としていて、出資比率も50/50。

 

 

そして、日立と古河といえば、そう、鉱山経営で一躍、近代日本のトップランナーとなった企業体ですよね。古河といえば古河市兵衛古河市兵衛といえば我々世代的には小学校時代に国語の教科書で読んだ足尾銅山鉱毒事件なのですな。一方の日立。日立といえば日立鉱山。こちらも20世紀初頭には、大規模な煙害を発生させて、膨大な補償金を支払わざるをえなくなっていたとのこと。ただ、こちらは偉いですね。有名な大煙突を建設して、多少なりとも公害被害に歯止めをかけたらしいので。その頃の‘おこない’が、レイソルのJリーグ制覇を後押ししたのかもしれません?

 

 

 

■しおたダービー[柏vsFC東京(3月1日)]

柏とFC東京、この対戦については、かなりの初期段階において、ダービーが成立しましたよね。名付けて「金町ダービー」。かつてFC東京江戸川区とか、(新宿以西に住んでいたワタクシからみて)“あっちの方”に拠点があって(いまでも体裁上は変わらないのかもしれません)、千葉県とは近しい関係にあった。で、東京都と千葉県の境界の地が金町。たぶん葛飾区。そんなこんなで「金町はもらった」「いや、やらない」というサッカーに興味のない金町住民からすれば意味不明な丁々発止が繰り広げられたそうです。いまや、FC東京には、かつての下町気質は余り残ってなさそうなので、「金町ダービー」は、半ば死語化しているのかもしれません。

 

 

では、現在の柏とFC東京に、どのようなダービー関係があるのか、考えてみました。出てきました。キーパーソンは増嶋。もちろん、増嶋本人が、FC東京でプロ生活をスタートさせ、甲府を経てから、いまや柏の選手であるという要素があるわけですけど、因縁はそれだけに止まりません。基本的に試合前の選手紹介には、旧所属選手に対して、さほど反応を示さないFC東京サポですが、試合中ともなると、ヤジります。ヒントは、そのヤジの中に存在しました。彼らは「増嶋〜、○×▲△!」みたいな不粋なヤジは飛ばしません。ただ一言、「シオタ〜!」とヤジるのです。

 

 

もう、お分かりですね。柏vsFC東京は、「シオタダービー」でもあるのです。漢字が違うから、ついつい別物と考えてしまいますけど、FC東京にも「シオタ」がいるのです。塩田仁史が(2014シーズン現在)。しかも、「FC東京の良心」と言っても過言でない存在として。うっかり、「シオタ〜!」なんてヤジを飛ばしている場合ではないのですよ。ともあれ、そんなわけで、柏vsFC東京は「シオタダービー」として位置付けられましょう。

 

 

 

■バブルと寝たダービー[湘南vs札幌(3月16日)]

え〜、ベルマーレコンサドーレって、なんとなく似ていると思いませんか? よくよく考えると、このマッチアップ、同じ平塚競技場で2011年にも観戦しているんですよね。今回は開幕第3節でしたが、2011年のときはシーズンクライマックスの時期で、確か湘南のシーズン最終節。退任する反町さんが反省の弁を述べるとともに、一言、「札幌の皆さん、昇格目指して頑張ってください」と添えたのを覚えています。反町さんは湘南を昇格させて、降格して、再昇格に失敗して辞任。札幌は3回目だったかの昇格を果たしたのが、2011年。

 

 

要するに、両クラブともにエレベータークラブですよね。それだけならば、特段の共通点とは言えませんけど、ともに、オリジナル10でないグループの中では、かなり早い段階でJリーグに参入したところが似ています。そして、Jリーグ開幕バブルに乗って肥大化しながらも、バブル終焉による負の影響をモロに受けたのも、この2チーム。

 

 

近年では栃木や群馬、大分など、「そもそもプロビンチャなのだけど、ついつい背伸びして…」って感じで経営危機を迎えるパターンが多いですが、当時は「プロビンチャ」という概念すらなかった。「Jリーグの一員であれば自動的に湯水のように富は集積できるはず」という前提でクラブ運営がされていました。そして、それが幻でしかないことを突きつけられたのが、フリューゲルスであり、湘南であり、札幌。というわけで、この両クラブの対戦は「Jリーグバブルと寝たクラブ」ダービーと言えるでしょう。