■ラモスの位置付けが真逆ダービー[ヴェルディvs岐阜(5月3日)]
この対戦は去年(一昨年だったかも)も見てます。確か、そのときは「緑にならない緑ダービー」みたいな感じで位置付けたような。と言いますのも、まず、この両クラブのチームカラーは緑ですよね。ここまでは良い。しかし、岐阜は、少なくとも2013シーズンまでは、最下位か下から2番目くらいの動員数しかなかった。一方のヴェルディも、4万人収容のホームスタジアムに対する動員率は、かなり低い。そうなんですよ、スタジアムが緑色にならないのですよ。2014シーズンからは、そこに、もう一つの因縁が加わった。そう、それはラモス瑠偉。黄金期ヴェルディのレジェンドは、このシーズンからは岐阜の監督に就任したのですね。ある意味、バルセロナvsバイエルンと同じ構図です。
このラモスさん、正直、指導者としてはネガティブな評価が先立つタイプかと思われますが、タニマチには異様に寵愛される。ヴェルディ時代には日テレ銀行からジャカジャカお金を引き出し、そして、いまや、金満軍団総帥の寵愛を一身に浴びている。そして、さんざん散財しまくった挙げ句に追い出されるようにヴェルディを退団。ほぼ同じような時期に日テレも撤退。これ以降、ヴェルディは貧困軍団へと凋落の一途を辿ります。逆に岐阜からしてみれば、ラモスさんは福の神。彼がパトロンを連れてきたのか、パトロンが彼を連れてきたのか、ともあれ、パトロンさんとラモス瑠偉は一緒に手を繋いでやってきたのです。なんなんでょう、このコントラスト。残酷なものです。
■海なし小麦粉ダービー[浦和vs甲府(5月6日)]
この試合、キックオフ前に川淵三郎氏が国立にはなむけの言葉を贈ったのですが、そこで氏は「Jリーグの理念を代表する両チーム」といった表現をしていました。片や「地元からの愛され方が半端ないプロビンチャ」であり、もう一方は「何年も連続して観客動員数No.1の座に君臨するビッグクラブ」といった旨の発言をしておりました。川淵さんには基本、ネガティブな印象を持っておるのですが、この発言については、仰る通り。
そんな両極に位置する対照的な両クラブですが、当然のことながら共通点もあるわけで。例えば、甲府といえば山梨県、山梨県といえば「ほうとう」ですね。うどん版の雑煮というか、細長い小麦粉入り味噌カボチャ鍋というか。ただ、小麦粉文化に関しては埼玉県も黙っておりません。総体的に北関東は小麦粉文化なのですが、埼玉県を北関東扱いすると叱られるのは知っております。とはいえ、埼玉には「加須うどん」という小麦粉文化が発展しておるのですよ。
利根川界隈は、あまり水利が簡便でなかったんですかね、水田一辺倒にならず、畠作の比重も高かったのでしょう。そして、水田の比率が低いのは山梨県だって同じ。ゆえに独特の食文化が発達する。例えば、山梨とか長野って、こっそりと馬刺文化ですよね。おそらく、それは海のない地域における貴重なタンパク源だったのでしょう・・・なんてこと考えていたら気づきました。そう、この対戦は「海なし県ダービー」でもあったのです。
■頑固オヤジダービー[柏vs新潟(5月10日)]
何の因果が存じませんけど、このカードを3年連続で見ております。しかも日立台にて。こうなっちゃ、ネタも尽きるってもんです。確か2013年は「大宮駅で乗り換えがち」みたいなダービーとして位置付けたような。柏でコシヒカリが栽培できたり、新潟が「北陸の原宿」とか言われていれば共通点を探すのも簡単なのですが、なかなかそうもいきませんし。柏の場合、歴史的に古い町でもなければ、わかりやすい産業があるわけでもないですし。
ということで、まずアルビレックスから攻めてみる。アルビレックスの監督さんは柳下ですね。磐田で2回監督をして、札幌でもやって。それなりに悪くない結果を残しながらも、特に磐田では後味の悪い退任をした記憶が。確か、スッゴい頑固なんですよね。札幌の監督時代なんて降格制度がなかったとはいえ、基礎を徹底するために1年目はひたすら負けまくりました。負けても負けても1年目は「熟成」に費やし、やり方を変えなかった。
“頑固”をテーマにすると、やりやすいですね。一方のネルシーニョも相当、頑固ですから。北嶋への扱いなんかを見ていると「信じた道ならば、テコでも動かん」ってのが一目瞭然。レアンドロ・ドミンゲスにさえ容赦はしない。ゆえに両者とも威厳がありますよね。じっと選手を見ている目の奥は笑ってない感じ。暇さえあれば、「そこにちゃぶ台があるから」という理由でちゃぶ台をひっくり返していそうです。ゆえに、この対戦を「頑固オヤジダービー」と名付けるのです。