ダヴィのoutとワグネルのin柏vs鹿島(7月13日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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この試合に関して、まず述べておきたいのが、前半に小笠原が提示されたイエロー。内容としては、ライン際の攻防でタッチを割ったボールについて、意に反して相手スローインとされたことに対する異議へのイエローだったわけですが、これについて一言。

確かに、普通の流れでいけば、鹿島のスローイン、要するに小笠原の‘マイボ’になるパターンでしたが、観客席からでは、よく見えず。ただ、副審は至近距離にいたので、結果としてジャッジが正しかったか否かはさておき、かなりの自信を持ち、敢えて柏のボールにしたように思います。そういう状況で異議を唱えたところで、‘かまし’にもならないでしょう。

しかも、当初、この試合の主審さんは、当初かなり流し気味にゲームコントロールしていたにも関わらず、少し荒れ出したとみるや、このプレーの直前に柏のキム選手にイエローが提示されており、あきらかに審判のファール基準に潮目があった。つまり、イエローが瞬間的に‘安く’なっていたタイミングでの異議。経験豊富な小笠原であるならば、その辺りの流れを読んでもらいたかった。少し残念でした。

さて前半の試合展開を振り返ってみますと、鹿島は例によって例のごとく442。対する柏は最近多用しているとはいえ基本陣形とは言いがたい343。いわば‘普段着の鹿島’と‘よそ行きの柏’という構図となりました。

しかも前半の、特に攻撃に関する限り、柏の両WGの出来が、かなり悪かった。そもそもキムチャンスと橋本という組み合わせは、両選手とも最終ラインに入ることも多いプレーヤーですので、守備的との誹りを免れないですし、どうしても重心が低くなりがち。

そういうこともあって、前半は一方的な鹿島のペースだったと言ってよいと思います。通常は‘様子見’をする鹿島ですが、柏がそれ以上に‘様子見’でしたので、相対的に鹿島が攻めまくり。そして、実際にダビが先制点を挙げてハーフタイムを迎えました。

というわけで前半は鹿島がイニシアティブを握ったわけですが、牽引したのはジュニーニョ。川崎にいる頃は‘空気を読まず、ややもすれば1人よがり’な側面がないわけではなかったかと思いますが、近年はすっかりベテランらしいプレーぶりになりました。その特徴は、ズバリ、〈サッカーIQが高い〉。その時々で相手の嫌がる選択を的確に選択できる。このあたりは‘巧みなゲーム運び’を最大の特徴とするブラジル出身者らしいところ。

ただ、鹿島にとっての誤算は、この試合に限らず、ここ数試合、エース候補のダヴィが調子を落としていること。本山に代わってアウトになったのは同ポジションのジュニーニョではなく、FWのダヴィでした。その後、野沢と遠藤がスイッチすると、本山が2列目で、野沢はトップに近い位置に入りました。元来からFWの駒不足が懸念されていたなかでの、ダヴィの不調は痛い。

そして、ダヴィが退いた後に鹿島は逆転されてしまいます。それは単にエースを欠いた結果というより、ブラジル人監督の戦術の代弁者となるべきブラジル人選手がジュニーニョ1人になってしまったことの影響もあるのではないでしょうか。基本理念となる‘巧みなゲーム運び’を実現するには、それを日本人が苦手とする以上、ブラジル人選手の皮膚感覚が不可欠と思われますが、そのためには、やはり2人3人のブラジル人がピッチ内にいることが望ましいということかな、と思います。

逆に柏はキックオフの時点でブラジル人がクレオ1人だった。そして、前半の柏は、どうも全体にスムーズさを欠き、後半に入ってからも、しばらくは攻撃が一品調子でした。〈生真面目に攻めながらも、利口さが足りない〉そういった印象を否めなかった。しかし、後半32分の勝負所でジョルジ・ワグネルを投入すると、ロスタイムに勝ち越します。

どうにも‘らしさ’が発揮できなかった柏は、ワグネルの投入以降、いつもの‘滑らかさ’‘飄々さ’を少しずつ表現できるようになりました。多分に牽強付会かもしれませんが、やはりブラジル人監督が率いるチームの場合、ピッチにブラジル人選手が多ければ多いほど、その真価を発揮できるようです。得点を決めたのもクレオでしたし、‘勝負強さ’とか‘試合巧者’とかといった要素は、ブラジル人でこそ表現できる。

□日本代表への推薦状

・推薦者

小笠原満男

・推薦理由

というわけで、この試合では、〈ブラジル人監督のサッカーを表現するためには、その体現者たるブラジル人選手が必要〉だと感じました。ということは、〈イタリア人監督のサッカーを表現するためには、その体現者たるイタリアンな選手が必要〉ということになります。そこで小笠原ですよ。

皆さんお忘れかもしれませんが、小笠原は元セリエAプレーヤーですからね。ザックの基本的なサッカー哲学を体感できているはずです。・・・尤も、それを言い出せば、柳沢でも中村俊輔でも大黒でも良いって話になりますけどね。なんだかんだで長谷部のプレースタイルに近いのは(体調の整っているときの)小笠原なんじゃないかとも思われるので。