清水の不出来に小首をかしげつつ、マリノスと鹿島のサイドアタック不足に思いを馳せる【FC東京vs清水】&【横浜vs鹿島】の周辺をウロウロと…★テレビ観戦記★

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FC東京 2 vs 0 清水[J1第12節 05月18日]

「スタメン表的には4231同士の対決って感じかな」と思われたのですが、ピッチ上で展開されたビジュアルを確認する限り、そうにはあらず。攻守に割いた時間であるとか、マーキングの影響だとか、そういった要素の影響もあるのかもしれませんけど、FC東京は442で、清水は4411のように見えました。

シーズン開幕当初の絶不調から多少なりとも復調してきた清水。ゴドビがどういった修繕を施してきたのか期待していたのですが、この試合を見る限り、〈‘44’の2ラインをしっかり整えて、守備ありきの試合をする〉という判断を下した模様。

そんなわけですから、キックオフからFC東京がボールを保持します。ただし、序盤はあまり得点の臭いは漂ってきません。前半の半ばにはFC東京も清水もともに低い位置から丁寧にビルドアップを試みるあうという場面もありましたが、互いに有効なクサビを入れられないままハーフタイムを迎えます。

ただ、後半に入ると状況が一変して、俄然、FC東京のアタッキングに迫力が増します。そして先制点も奪います。汚名返上とは、このことを言う。決して汚名挽回でも名誉返上でもなく。湘南戦では敗戦に直結するミスを犯した高橋が、この試合では地を這うイーグルショットでゴールを奪いました。CB平岡とGK林という2人の股を一発のシュートで続けざまに抜いたのは偶然では無く狙い澄ましたものと解釈させていただきます。善意に解釈しても誰も不幸にならないですし、シニカルな評価は誰も幸せにしないですからね。

当然、ルーカスの胸シュートによる追加点も先制点ばりに狙い澄ましていたことの論理的ゴールと解釈したい。千真のクロスに李が飛び込んで、交錯する中で清水のキーパー林がパンチング。それが詰めていたルーカスに直撃して、‘ボヨンッ’ってふうにゴールへと吸い込まれました。

先制されて、追加点まで奪われた清水としては、攻勢に出なければならないわけですが、選手交代も含めてゴドビは打開策を持ち合わせていなかったらしい。ゴドビ清水と言えば、〈サイドアタックを中心とした速攻〉みたいな印象が強かったのですが、いつからか、それを封印したんですかね。

この試合の清水は、2ラインを整えてリトリートしてからボールを奪って攻撃に出ていましたが、基本的には全体をジリジリ押し上げつつ遅攻を仕掛けるという場面が多かった。しかしショートパスでのボール回しならばFC東京に一日の長がありますから、なかなか中盤を突破できない。だからしかたなくスペースにボールを放り込んで、バレーが競り勝ってくれるのを祈念する。そりゃ、状況を打開できるわけがない。たまたまこの試合の出来が悪かっただけでしょうが、なんとも冴えないエスパルスでございました。

横浜FM 1 vs 1 鹿島[J1 05月03日]

キックオフから一進一退の好ゲーム。前半の中盤あたりからマリノスが支配率を上げていきましたが、アントラーズアントラーズで随所にカウンターの刃を喉元に突き当てていましたので、攻劣のない緊張感溢れる試合展開になりました。

後半に入って先手を打ったのは鹿島。「野沢がいくのかなぁ」という位置からのフリーキックを、野沢ではなく小笠原が蹴る。で、そのキックがこぼれたところに待っていたのが野沢。思いっきり打ち込んで先制点をあげます。それにしても野沢がシュートが巧い。第一次セレーゾ政権でFW起用されていた理由がよく理解できます。

で、先制すると、鹿島は強い。普通は、このまま悠々と逃げ切るのですが、マリノスも負けませんでしたね。パワープレーモードの中、大きなフリーキックドゥトラが入れると栗原が競り勝つ、ただしそのボールは岩政がヘッド、でもそれを兵藤がヘッド、岩政もクリアしようとヘッド2連発でさらに山村ヘッドでクリアを図るも、そこにファビオが飛び込んで同点に追いつきました。

というわけで、引き締まったグッドゲームだったわけですが、今ひとつ物足りない部分もなくもない。で、その物足りなさの原因はどこにあるのかなと思案してみたところ、両チームともサイドアタックが少なかったんですね。

鹿島のスタメンには、ダヴィと大迫という、それぞれ単独でシュートまで持っていけるFWが2トップに名を連ねていて、ボランチには柴崎と小笠原という足の長いパスを正確に配球できるパサーが並んでいる。もともとクラブカラーとして〈無駄の少ないサッカー〉をするチームですから、ほぼ、この4人で攻撃を完結させてしまう。その分、ジュニーニョ・野沢の2列目コンビが遊撃に専念して、野沢のゴールも、その賜物なのかもしれませんが、なかなか両SBがオーバーラップを仕掛ける間合いがなかった。

一方のマリノスは、両木村政権期に比べて、圧倒的にまともなチームになりましたね。バランスが良くなったというか、俊輔やマルキーニョスを中心とする前線の6人が、それぞれに自らのタスクを適切に判断してこなしていく感じ。

ただ、藤田の投入で2トップに移行した以降も含めて、〈中盤が前線にクサビを入れて、そこからサイドに展開して…〉という展開だけがほとんどなかった。あるいはサイドハーフに入った端戸の調子というファクターも絡むようにも思えますが、俊輔を経由すると、どうしても、〈一発のパスでFWに決めさせる〉ってプレーが増えて、その反作用として、サイドアタックの迫力が減じるのかもしれません。