JFLの試合を観戦するときは、事前情報というか、基礎知識がワタクシの場合、薄弱ですから、さしあたりフォーメーションを確認するのですが、相模原は、前線の左から[18 20][9 19 10 8][17 5 6 2][23]という442。対する武蔵野は[18 23 17][8 7 10 15][29 4 25][31]という343だったかと思います。
JFLであるにもかかわらず、電光掲示板のあるスタジアムでしたのでメンツを確認してみたところ、相模原のラインナップの中に御厨という名前と、佐野という名前を発見。このあたりは、熱心なJリーグサポーターなら、「あぁ〜、彼は現在、ここにいたのね!」って気分になるでしょう。相模原には他にも、ベルマーレにいた小澤や、元神戸(だったと思う)の曽我部なんかも確認されました。一方の武蔵野は、事実上、‘永遠の準加盟予備軍’であることが確定気味ですので、元J戦士は極めて限定的。
そんな、おそらく来シーズンは異なるリーグで戦うであろう両チームですが、ピッチで展開するスタイルも対照的。武蔵野は意欲的に、ペドロビッチ流の343にチャレンジしている模様。遅攻の際には、ペトロビッチ流の代名詞とも言える415になりますし、テンポ良く攻める際には最終ラインも含めて、次々と選手がウジャウジャ上がっていく。そして、そのしわ寄せを一身に受けるWBがひぃひぃ言いながらバランスを整える、と。
一方、受けて立つ相模原はバランス重視の442。343は442を攻略する戦術とされていますが、カウンターに引っ掛かると、却って442が持つ流動性の餌食になる。相模原にとっては、そんなお誂え向きの展開になっていたものの、相手ボールを奪う位置が少し低すぎたことと、奪った後のパスが受け手に優しすぎてスピードダウンしてしまったことで、決定機を量産するには至らず。五分五分のままハーフタイムを迎えます。
後半になると相模原が先制点を奪います。中盤中央でパスカットすると、そのまま数メートル持ち上がってサイドに流す。追いついてきたSBが折り返すと、ペナには2人が待っていて、たぶん、ツートップの2人だったかと思いますが、そのうち、ニアが潰れて、ファーが決める。教科書に乗っている、そのまんまの形によるゴールでしたね。「これぞ442!」と言わんばかりの。
その後も相模原は、なかなか切れ味の鋭いカウンターを散発的ながら繰り出していました。その中心にいたのが、左SHの曽我部。さすがは元Jリーガーだけあって、ドリブルの小気味良さや、サイドでの推進力は一味違いました。そして、チームのピンチの際、自陣に戻ってフリーキックの壁となっていたときに、謎のイエローを頂戴してしまうところも、一味違います。いったい、あれは何のカードだったのだろうか。笛が吹かれる前に飛び出したくらいでイエローは出ないと思われますが…
追いつきにかかる武蔵野ですが、攻撃はクロスかミドルシュートで終わってしまうといった感じ。クロスなりシュートなりで終わっているので、常套的といえば常套的。ただ、若干の攻め急ぎ感が否めないのも事実。尤も、じゃあ、丁寧にいったらいったで、「こねくり回すな!」とか「シュート打て!」みたいな、飛田給方面での流行語が浴びせられるので、サッカーって、ホント、難しい。
武蔵野のアタッカー陣で最も目を奪われたのは左WBの金井選手。初めて見た選手(と思います…)ですが、なかなかのキレキレ加減。武蔵野の攻撃は殆どこの選手から始まっていて、左サイドをほぼ完全に制圧していたと言って過言でないでしょう。しかし、相模原がそこをなんとか耐えられたのはボランチ佐野が守備のフォローアップで奮闘していたから。「そういうところが大切だぞ!」ってなことを耳が酸っぱくなって、口にタコができるほど言われてきたタイプでしょうから、泥臭い仕事をしっかりこなしておりました。
□日本代表への推薦状
・推薦者
442vs343という構図
・推薦理由
もはや‘推薦者’でもなんでもなかろうといった世界ですが、それはともあれ。いや、ですね、442vs343というのが、いかにも近年における日本サッカーの実態を象徴しているなぁと。
今年のJ1の順位表を眺めると7位のFC東京が4231ですけど、それより上にいるクラブは442か343なんですね。世界的なトレンドとしては4231(あるいは433)が圧倒的なシェアを占めているかと思いますが、日本では442と343と4231が鼎立している状況。
これは、つまり、〈4231というシステムを日本人はあまり得意としていない〉ということを示唆しているのかな、と。理由は、たぶんワントップの問題に帰結するのかと思われますが、そういった部分を、さりげなくザックに囁きかけたいのです。