横浜FCが愛媛のWBを転がせませんでした横浜FCvs愛媛(5月12日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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愛媛は、まさかの5ー5ー0システムでしたね。スターティングラインナップだけ見ると。もちろん、そのまま、そういう布陣だったわけではなく、実際は343だったんですけど。それにしても、今シーズンに入ってから、猫も杓子も343ですね。ペトロビッチでなくとも使いこなせることを、森保サンフレッチェが証明しましたし。

それはそれとして、このシステムの特徴は、攻撃においては415で、守備になったら541に変化すること。ここのスライドを如何に滑らかに遂行できるかが、成否を分けることになります。

そんな愛媛に対し、序盤の横浜FCは、なかなか悪くない入り方をしました。4141なのか4231なのか433なのか、なかなか判別しづらいのが今年の横浜FCですけど、この日は、前線が田原・野崎・黒津でしたから3トップ気味だったでしょうか。

その3トップが序盤は雪崩れ込むように愛媛ゴールに襲いかかっていました。FWの選手たちですからシュートへの意識が高い。ボールを奪うと、素早く3トップを走らせて、そのままシュートに持って行くという理想的なアタッキングで、素早く攻めるから、愛媛は415から、なかなか541を整えられない。で、415が常態化すれば、必然的に奪い所もハッキリする。そう、415の[1]の部分、つまりトミッチのところで何度となくボールを奪うことに成功していました。

関係ないですが、トミッチって、後ろ姿がどことなく長谷川アーリアジャスールに似ていませんか?

スラッとした長身で猫背。肩幅とかは明らかに日本人のDNAだけでは出ないスケール。ただ、トミッチの場合、振り返って正対すると、ハーフのジャスールと違って、ゴリゴリのパーフェクト欧米人ですから、顔の雰囲気が違ってくる。パックンマックンのパックンみたいな男前なんですね。

それはともかく。序盤の一気呵成が一段落つくと、結局、横浜FCの悪い癖が顔を覗かせる。3人のアタッカーがゴールに迫るというより、5人の足元自慢がショートパスを右往左往させながら、そのうちミスで奪われたりしつつ、いつまで経っても糸口を見いだせないってパターンですね。

要するに各駅停車の遅攻になってしまうわけですが、そんなことをしていたら、あっと言う間に愛媛は541のブロックを作り出してしまうってことで、ますますブロックの外周上で、気配のないパス交換に引きずり込まれる。〈遅攻→ブロック形成→せめあぐね→横パス〉という、まさに悪循環。負のスパイラルに陥ったままハーフタイムを迎えた横浜FCに、たまらずサポーターは大音量のブーイングを浴びせかけます。

愛媛の343は、そこまでスムーズに機能しているわけではないですから、415の状態で攻めれば、いくらでもチャンスを作れる。だったら、意図的に、そこを突けば良いのです。具体的には序盤のように、雪崩れ込み作戦でゴールに突進するか、あるいは、敢えてボールを持たせて、愛媛WBがオーバーラップしてから、ボールを奪う守備を始めるか。

ポイントは愛媛の両WBを、どのように横浜FCがコントロールするかにあったのこもしれません。そして、それに横浜FCは失敗した。愛媛の両WB、特に関根ですね、関根選手をおびき寄せるようなことが必要だったわけですが、それどころか、全く捕まえられませんでした。その一因としては、もちろん野崎と森本の左サイドコンビの受け渡しといった部分にもあるんでしょうが、それ以上に関根選手が一枚上手だったと考えるべきかもしれません。

赤井選手ともども、もはやクラブの象徴となりつつある関根選手。そのキャリアに裏打ちされたオーバーラップは、見ていて、ホント、隙がない。フリーになれるタイミングを見計らってダッシュを開始すると、かなりの確率でクロスまで持って行く。そして、そのクロスの精度が安定している。クロスを上げられないときでも、オーバーラップをしてしまった以上、シュートで終わらせるなど、要するに状況判断が非常に的確なんですね。亀の甲より年の功とは、よく言ったもので、若い選手も見習うべき点が多々あろうかと思います。

□日本代表への推薦状

・推薦者

田原豊

・推薦理由

ドラゴン久保竜彦が一線を退いて以降、野性味溢れて、‘破天荒’という言葉が似合う選手って、この人くらいじゃないですか?

どれくらい破天荒かというと、開始一分でイエローカードを貰ってしまうくらい破天荒なわけです。どれくらい野性味溢れるかと言うと、サイドに抜け出してクロスを折り返そうとしたとき、ほとんど空振りになってしまうくらい野性味溢れるわけです。でも、時々とんでもない体勢からシュートを撃ったりする。

こういうプレーのパターン、誰かに似ているなと思案していたところ、分かりました。そう、『スラムダンク』の桜木花道そのものなのですよ。「ザックジャパンに田原が必要か?」と問われれば答えは微妙ですが、「ザックジャパンに花道は必要か?」となれば話は別。是非、推薦しておきましょう。