後ろ姿〜東京武蔵野シティFCvs鈴鹿(5/19)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

この日は三鷹です。武蔵野陸上競技場。これまであまり気にしていなかったですが、武蔵野陸上競技場、その名の通り武蔵野市なんですよね。最寄り駅は三鷹駅なので、「この日は三鷹!」としましたが、正確性という意味では微妙なのか? なんてことを考えながら三鷹駅で下車して駅の案内を眺めてみると、「北口 武蔵野市」「南口 三鷹市」と書いてある。そうか、三鷹駅、そういう立地だったのか。まあ、そんなことは、どうでも良いや。東京武蔵野シティという仰々しい名前になった横河と、鈴鹿アンリミテッドFCの試合を観戦しました。鈴鹿アンリミテッドも、名前が変わりましたよね、少し昔に。最初の頃は「ランポーレ」と名乗っていたんですけど、いろいろ権利のアレコレでゴチャゴチャしたらしく。最近では「お嬢様聖水」で有名になりました。Jリーグクラブのない、いまや、レアケースとなった三重県には、アンリミテッドとヴィアティンという2つのJFLクラブがあって、この試合の始まる段階では、仲良く9位と10位で並んでおりました。

 

■前半

この日は二日酔い気味だったこともあり、昼ご飯は自宅で冷凍チャーハンを食べるだけにして出発。ヘロヘロだったので、試合後も、簡単に居酒屋にだけ寄って帰る(寄ってってるんかい!)。「居酒屋 一休」というチェーン店。「東京で一番旨くて安い店」と唄っているだけあって、安い。旨いについては、この値段なのだから、不問に付す。一般料金だけなら、普通のチェーン店居酒屋なんですが、300円支払って会員になると世界が変わる。

分かりやすい例を挙げれば、ビールやハイボールが190円とかになる。つまみも、そういう世界観の値段。おそらく、かつて大手が厳しい世論にさらされたように、名ばかり店長のハードワークによって人件費を削ってるってことだと思われますが、大手のイメージが悪化して以降、なかなか総合居酒屋に来ることがなくなったので、逆に新鮮でした。

 

さてさて、試合後の話をしている場合ではない。サッカーを見に行ったのです。ピッチを見渡してみると、キローラン木鈴がいるんですね、鈴鹿ヴェルディユース黄金世代の一人で期待されていたんですけど、ドロップアウトせずにサッカーを続けていたのか。なんか、バラエティ番組で久々にトリンドル玲奈を見かけたときと同じ感動を覚えたのは、なぜだ? 名前のパターンが似ているからか? そんな鈴鹿は横幅を広く使うサッカー。最終ラインで丁寧にビルドアップしながら、上げられるタイミングで確実にクロスを入れていくスタイルで、序盤からチャンスを量産。

対する武蔵野はフォアプレスなどはせずに、しっかりリトリートして、リスクを冒さず攻めようとする、いわゆる堅守速攻。単純に相手に押されているだけかのように思えましたが、順位も相手より上だし、試合結果を鑑みても、「(前半は)ノーリスク」っていうサッカーを、やろうとしてやっているということなのでしょう。

 

■後半

そんなわけで、序盤から鈴鹿が圧倒的に攻めていて、クロスやシュートの雨あられだったのですが、先制したのは武蔵野。少ないチャンスで澤野がものにしました。個としての決定力なのか、それとも、戦術的トレーニングの賜物なのか。これで、あとは70分間のらりくらりと交わし続けられたら、武蔵野は鹿島になれるのですが、そうはいかず。鈴鹿が例によってサイドアタックをしかけ、崩しきってから1トップのリンタロウがストライカーとしての仕事を完遂。同点に追いついてハーフタイムに。

とはいえ、武蔵野は強かった。後半に入ると、一気に堅守速攻の牙を剥く。堅守速攻といえば、カウンターとセットプレーなわけですが、まず「誰かが触ればそれでよいし、触らなかったらそのままゴールへ」っていう教科書的なフリーキックがゴールに吸い込まれると、カウンターからスーパードライブシュートが決まったり、日本戦のベルギーみたいな美しいカウンターが発動したりと、終わってみたら4ー1の圧勝でございました。

 

ところで、鈴鹿といえば女性監督が就任したことで、うっすらニュースになったのですが、実はコーチに岡山がいるんですね。ええ、あの岡山一成です、岡山劇場。奈良クラブのレジェンドになったものと思っていたら、こんなところに。で、JFLですから、コーチとはすなわち、雑用係。試合前には給水ボトルをピッチ脇に並べたりもする。で、その際、おもむろにサポーターに近づいた岡山、サポーターに挨拶して、コールを煽り出す。

選手紹介前の絶妙なタイミングでのことでしたので、間違いなく確信犯。確信犯というか、たぶん、毎試合やってそう。もはや、コールリーダーを操る影の司令塔といって過言でない。これが岡山劇場か。サポーターを巻き込んで作っていくパワーは、確かに凄い。しかも、ですね、現役時代はCFとCBを兼任した長身選手ですから、後ろ姿とか、めっちゃ格好良いのですよ。後ろ姿だけなら、仙台の渡邊監督と双璧をなすとさえ言える。後ろ姿だけなら、後ろ姿だけなら……(リフレインしながらフェードアウト)

 

偉い人!〜横浜FMvs神戸(5/18)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

この日は横浜と神戸の港町対決。横浜FMは、去年と同様にどうにも評価が難しいというか微妙なポステコグルー監督が率いております。「まあまあ」としか表現しようのない成績。とはいえ、マリノスって、岡ちゃん退任後、けっこうずっと監督人事に迷走してきたイメージもあるので、悪くはないのかもしれない。なんせ、木村和司とかが監督してましたからね。それに比べりゃポステコさん。良い監督です。

対する神戸。シーズン当初にこの試合を見に来る予定を組んだ時点では「本場ヨーロッパ仕込みの、5レーン的ポジショナルサッカーのお手並みを拝見しようじゃないか!」と意気込んでおったのですが…さよならリージョ。吉田監督が「オーナーは介入してま宣言」しましたけど。わざわざ、そんな宣言をしなきゃいけないことが、すでに問題なのだぞ。わかってるか?偉い人‼

 

■前半

自宅から日産スタジアムに行くのにはいくつかルートがあるのですが、とりあえず最寄り駅から大井町駅へと向かい、大井町線に乗る。……大井町線って、、、遅い? たまたま急行が出発してしまった直後の各停で、それで行くのが最速だったんですが、急行と各停で溝の口駅まで10分以上、かかる時間が違うのか。ともあれ、溝の口から新横浜行きの座席定員制バスに乗って日産スタジアムに行こうとしたわけですよ。そしたら奥さん、「満席です!」とか言われたのでざますよ。

大井町線で来た道を戻り、自由が丘で東横線に乗り換え、菊名から小机という王道ルートでなんとかキックオフには間に合ったのですが、そしたら今度は、ピッチにイニエスタがおらへん。うすうすわかっていたことではあったのですが、マジか〜。ついでにポドルスキもおらへん。なんならサンペールもベンチスタート。まあ、サンペールはええわ。イニエスタ、見たかったな。15年前は、イニエスタかイエニスタかわからなかったけど。とりあえずビジャを見れたことで満足しておこう。

 

さて、サッカーの内容。横浜FMはマルコス・ジュニオールとエジカル・ジュニオのジュニオール&ジュニオコンビが、まあ、言ってしまえば縦関係の2トップみたいな感じ。横浜FMといえば433のイメージでしたが、この試合は4231あるいは4411って雰囲気でしたね。で、戦術としては、中盤のビルドアップで相手を引き付けて、スペースができたところでウイングを走らせて単騎突破させるようなスタイル。ヨーロッパのサッカーに近いですかね、パスレンジ以外は。

こういうスタイルだと、最終ラインを高く押し上げることが増えて、でも、その割には全体的に危うい対応がマリノス最終ラインには目立って、という中で神戸もチャンスを作ります。特に前半については、田中順也との元柏コンビネーションが円滑だった左SBの橋本とか、右SHとして持ち前の如才なさを発揮していた西なんかが目に付きました。

 

■後半

スコアは前半のうちから動きます。カウンターから、かめはめ波の方だからジュニオールの方ですね、マルコス・ジュニオールがファインゴールを決めて先制すると、後半はマリノスがさらに畳みかける。どちらかというと右の仲川の方がスタンドを沸かせていたなか、左ウイングの遠藤がキレキレのドリブルで切り裂きペナルティエリアに進入。丁寧なラストパスに途中出場の李忠成が合わせて追加点。李忠成、そういや今年からマリノスでしたね。ストライカーらしくゲットゴールです。9割方は遠藤の得点ですけど。

この2点目を決められたくらいから、一気に神戸の敗色が、ピッチのムードとして濃厚に。ビジャとか、うつむいてトボトボ歩いてばかりでしたし(これが嗅覚系FWなビジャのデフォルトなのかもしれませんが)。逆に、気落ちする神戸を尻目にマリノスはノリノリモードに。三好と天野が途中出場(!)でピッチに送り出されると、三好が2得点を決めてしまいます。神戸はウェリントンが意地の1点を返しますが、とても溜飲を下げられたものではないでしょう。

 

そんなわけで、マリノスの圧勝だったのですが、この試合、メインスタンドの1番高いところ(値段ではなく高度が)の席からの観戦でした。必然的に、日産スタジアムですし、豆粒大の選手を俯瞰で眺めることになります。とりあえずビジャを定点観測しようということになって、全体を見渡しつつも、ずっとビジャに注目していた。デジカメのズームを駆使しつつ。で、わかったことがあります。それは、神戸のビルドアップがほとんどビジャまで届かないという事実。その2手3手前の段階でパスミスが起きたり、パスカットされたりして、ビジャは開店休業状態。そりゃ、ビジャもうつむきながらトボトボ歩くしかなるってもんだ。三田とかいるんだから、個としてパススキルが低いとは思われないのですが、状態の悪いチームって、往々にして、こういうことになりますよね。だったら割り切ってウェリントンの高さ任せのサッカーにしても良さそうなものですが、そうするとバルサ化を推進したがる偉い人に叱られるからできないのでしょう。夜明けは、いつだ?

 

ちゃんとしてる〜湘南vs大分(5/12)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

この短い期間に、平塚に2回も来てしまいました。ゴールデンウィーク真っ只中の名古屋戦は、メインスタンドの席しか空いてませんでしたが、この試合ではバックスタンド中央の指定席チケットを無事にゲット。比較的リーズナブルに観戦することができます。まぁ、印象の問題であって、結局、スタグル(つまりアルコール)で無駄遣いするんで一緒なんですけどね。ちなみに「茅ヶ崎までが湘南」という言説はサザンのあの歌に“烏帽子岩”が出てくるから成り立つ論理だと思う。

対する大分。いやぁ、大旋風を起こしていますね。J3時代に片野坂トリニータを観戦して、「ちゃんとサッカーしてる〜」とは思ったのですが、まさかJ1で旋風を起こすことになろうとは。。。それもこれも浅田飴効果なのでしょうか。確かに浅田飴って良いですよね。何が良いって、あの金属製のまんまるケース。コンビニとかドラッグストアで売ってる一般的な喉飴と違って、短期間で消費し切らなくても、カバンの中とかでネチャってしない。

 

■前半

この日は辻堂駅近くにある「辻庵」というビストロでランチ。「やまゆりポークと湘南キュウリのロールカツ」(1000円)、上品でしたねー。上手いですよ、そりゃ。でも、如何せん、いまだに「好きな食べ物はハンバーグ!」っていう小学生舌には、少しだけ上品すぎたかも。ついでに「辻庵ハイボール」も頼もうと思ったのですが、ウイスキージンジャーエールで割るらしく、糖質制限中の身としては、糖質制限してるぞアピールのために遠慮せざるを得ない。食後、セブンイレブンで買ったハイボールを駅で飲んださ。

ちなみに帰りは藤沢で途中下車して「肉の佐藤」という串焼き屋さんへ。焼きトン、焼き鳥、馬肉ユッケ、牛肉100%メンチカツと、4種類の肉を思いっきし食らいまくってやりましたよ。つくねに対してさほど悪ノリ遊び心がなかったことからわかるようにインスタ映えはしないですし、味も夢見心地になるほどのこともなかったですが、値段を考えると、バカうまです。鬼コスパです。特に馬肉ユッケ580円は、首都圏価格としては相当に安いと思う。苦しゅうない。予は満足ぞよ。

 

さてピッチの状況。湘南で一つ注目したのは、鈴木冬一(といち)。高卒ルーキーながら抜擢されているので、いかにも曹さん好みの、「the湘南スタイル」みたいな選手かと予想していたのですが、実はそういう感じではない。「ハードワークとインテンシティで頑張ります!」ではなく、ダブルタッチとかを駆使する、フットサル出身者風の武富スタイルなんですね。

対する大分については高畑。ていうか、誰やねん!(「てゆうか」で会話を始めるパターン、最近、めっきり無くなりましたね)。そんな高畑(こちらもユース上がりルーキー)、左CBなのにコーナーキックとか蹴ったりする。そうか、札幌の福森みたいなタイプか。だとすると鈴木を挟んだ高畑&岩田の両サイド、めっちゃ攻撃的ですやん。でも、だからといって試合運びが特攻的でないのが片野坂さんの憎いところではありますが。

 

■後半

前半は現時点での順位とは裏腹に湘南がの攻勢にありました。というかテンションでいけば、そもそも湘南のが高い。大分はどちらかというと、テンション的には鹿島系。で、スコアレスで折り返した後半、大分の藤本が先制ゴールを決めます。……ていうか、藤本、上手すぎません? あんなん、止めようありゃしまへん。

その後も大分の「ちゃんとしてる」が際立つ。大分って、今はやりの5レーンサッカーしてます? いわゆるポジショナルサッカー(関係ないですが、ネットとかだと、“ポジショナルサッカー”と“ポゼッションサッカー”が混同しているような気がする)。で、終盤になると守備的な選手を続けざまに投入。守ろうとして守りきったわけです。凄いっす。特に指宿対策で三竿を入れた采配とか。もうね、余裕の逃げ切りですよ。噂通り、大分、なかなかやりそうです。

 

ところで、なんか、湘南と大分って、全体的に雰囲気が似てません? いわゆるエレベータークラブで、名将による長期政権で、3421で、みたいな。元湘南の高山が大分のレギュラーに定着していても、移籍初年度とは思えないくらい違和感がない。で、両チームの相似形は3トップの組み合わせにも明らか。まず、3トップ頂点に位置するのが山崎と藤本。ついつい藤本ばかりにスポットライトを当てがちですが、どちらも、下部リーグから着実にステップアップしてきた成り上がり同士ですよね。

で、2シャドーですが、湘南には梅崎がいて、大分にはオナイウがいる。これまた共通点があって、どちらも期待を背負ってレッズに加入しながら、なかなか本領発揮といかなかった同士です。そして、最後、もう一人が武富と小塚。この二人も似ている。どちらも人並み外れたテクニシャンとして10代の頃から期待されながら、それ以外の部分で壁にぶち当たり燻りつつ、それでも着実に成長してJ1のレギュラーを奪取した選手。共通点の多い湘南と大分には、今後もトップリーグで切磋琢磨してもらいたいものです。

 

仙台の守備と右SB小川〜FC東京vs仙台(5/8)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

3〜5日に3連戦観戦した後、間を開けずに水曜ルヴァン。なんせ、秩父宮でサッカーを見られる機会は、今回で現世最後かもしれない。前回の鳥栖戦は大寒大雨で断念したので、ラストチャ〜ンス。ってなわけで、FC東京なんですけど、好調ですね。すっかり久保君も久保君さんに成長して。このまま突っ走れますかね。ケンタ監督は、1度勝てなくなったときの修正力に若干の不安がなくもないですし。夏の移籍次第ですかね。プラス面もマイナス面も。

対する仙台は、絶賛苦しみ中。オッサン世代的には「メリークリスマスはベリー苦しみます」とか言ってましたが(バブル末期)、それはともあれ、プロヴィンチャの長期政権は難しいようです。というか、最近、プロヴィンチャって言葉を聞かなくなりました? もはや死語⁇ なんてことはどうでも良くって、かつて大分を率いて、この世のものとは思えないような毀誉褒貶を浴びせかけられた田坂和昭にならぬよう、渡辺監督には頑張ってもらいたい。不当な評価をされぬよう。

 

■前半

突然ですが、ワタクシ、都営住宅の住民でございます。なんてことを言うと、一部のネット民は「すわ、マウンティングするぞ!」って押し寄せてきそうですが、四十路の独身オッサン。公営住宅の独り暮らしは、家賃的にはコスパが悪い。でも、建て付けは良い。そこの部分は凄い。で、入居するときの手続きは渋谷でございました。この日の試合の秩父宮は銀座線なんで、ちょい飲みしようと、その渋谷に来たのです。渋谷といえばバスケットボールストリート(わかる人はいるのだろうか?)的な若者のイメージですが、実は都営住宅の本部があるような、戦後は、清く正しく美しく生きた麗しき庶民たちの町という側面がある。ゆえに、昭和ながらの酒場が、主に井の頭線の両サイドに点在しているのですな。この日は、その中でも「鳥竹」という名店を訪ねてみた。基本、大衆酒場って、さほど安くない。チェーン店系居酒屋に毒された(といえば、チェーン店系酒場に関わる人々に失礼極まりない)感覚だと、高く感じる。でもね、それで良いのですよ。なんせ、飲食店の評価は、その人にとっての好みと、その人にとっての心地よさで決められるべきものですので。ワタクシは大満足です。

 

ともあれ銀座線に乗って外苑前へ。この日は神宮でもヤクルトvs阪神をやっていたらしく、大混雑。「…ったく、世界選手権とてアメリカの横暴を正当化する20世紀モデルの、実質ドメスティックコンテンツの影響を、なんで、清く正しく美しい、我らのサッカーが受けなきゃいけないんだ?」なんて感じる人もいたかもしれませんが、ワタクシはそうは思いません()。ただただラスト国立以来、久々に飛び込んでくる都心のド真ん中感に懐かしさを禁じえなかっただけでございます。

ピッチの中を眺めると、ルヴァンですからね、両チームとも、良い表現をすれば、「その時々のベストメンバー」で臨みます。仙台についてはベンチメンバーが一人少なかった模様。兵藤がFW登録での出場だったことを鑑みれば、負傷か何か、直前のアクシデントの類いですかね?

 

■後半

試合は、前半からどちらかというとFC東京のペース。特に高萩と永井は「ホットライン」と呼んでも良いような、良好なコンビネーションで仙台を苦しめていました。でも、この日の仙台の守備は固かった。というか、割り切ってた。後半の頭から久保君さんと東を投入してリズムを変えても、仙台の守備の集中力は乱れない。FC東京が最後のカードとしてディエゴを切ったとき、アウトとなる田川に長い距離を走り寄って声をかけるというイイ奴っぷりを高萩が発揮しても仙台の守備は崩れません。シマオマテ、利きまくりです。というか利きすぎです。90分を通じて仙台は、「これぞ352!」と言わんばかりの、ノーリスクで縦に速く攻める、ハリルホジッチサッカーを完遂。石原の頑張りで時々見せ場を作りながら、基本、専守防衛で、

少しでも良い流れでリーグ戦に臨めるよう、ミッションコンプリート。スコアレスドローとなりました。

ところで関口訓充って最近は最近は左のWBで使われているんですかね。もともとは突貫小僧系のウインガーで右を縦に突破していくイメージも強かったのですが、利き足とは逆の左を老練なプレーで引き締める役割を担っている模様。関口に対峙したFC東京小川も利き足とは逆サイド。というのも、本来の左SBには太田宏介が起用されていたから。太田宏介も、オランダに旅立つ前の輝きがすっかり色褪せつつありますねえ。

ともあれ左利きの右SBとして起用された小川。縦に突破してクロスってわけにもいかないですから、特に前半は攻撃の起点として、パサーの役割を果たしていました。右サイドのスペースに走り込む永井とか高萩とかナサンホとかにスルーパスを出す役割でしたが、よく機能していたと思いますよ。例えるならば、トルシエジャパンで左WBに入っていた小野伸二。セントラルでは高萩が君臨するのですが、その高萩が使われる側としても機能すると、攻撃が非常に分厚くなる。右SB小川は、オプションとしては宜しいのではないでしょうか。

 

U23か、大学か〜FC東京U23vsC大阪U23(5/5)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

ゴールデンウィーク3連戦の最終日は、U23チーム同士の対決。ホームのFC東京U23は最下位みたいですね。それまでU23の主力だった小川とかがトップチームに定着したことの、ポジティブな影響もあるのでしょうが、どちらかというと、「かつてU23で試合に出ていたユースっ子を、うまく特別指定で組み込められず頭数不足」って印象がありますねえ。内定しないと強化指定できないとなると、さらに厳しい。

対照的なのはC大阪U23。2位ですって、奥さん。そこにはいろいろな背景があるんだとは思いますが、なんとなくの印象として、ガンバやFC東京U23チームにくらべて、より「トップチームと直結した予備軍です!」感を強めに感じるのは、順位を知ってしまっているからこその先入観でしょうか。もう数年もすれば、「大学に行くのと、U23要因としてプロの端くれになるの、どっちが良い?」に一定の答えなり見通しもハッキリするのでしょうが、まだ、この制度をあれこれ言うのは時期尚早ですかね。

 

■前半

西が丘に行くとき、普段は赤羽から徒歩かバスなのですが、この日は久々に三田線本蓮沼から向かうことに。ということで、お昼ご飯は三田線沿線の巣鴨にしてみた。巣鴨に来るのって、ひょっとしたら、15年ぶりくらいではあるまいか。折しも10連休の真っ只中ですからね、そりゃもう、人混みがものすごい。どれくらいものすごいかというと、「ときわ食堂」に行列が出来るくらい。いやですね、ときわ食堂、かつては赤羽にもあったんですけど、あのね、大衆食堂ですよ、大衆食堂。大衆食堂って、行列してまで食べる店のことでしたっけ? 知らないうちに「昭和」が観光地化していく。これも令和効果か? ともあれ、そんなもんスルーですよ。そして、商店街の奥の方にある「亀川」というトンカツの名店へ。貫禄ある佇まいながらリーズナブルな鹿児島黒豚屋さん。そこで食べた豚カルビ定食的な名前の角煮定食。頭が狂うほどに美味しかったです。何度でも言おう、「脂は正義!」だと。

 

さて、試合。FC東京U23で効果的だったのは右サイドからの崩しでしたね。右SB中村拓海のオーバーラップがなかなか強烈でした(イケメンなのが気に入らないが)。22番という比較的若い番号を付けていて、でも去年までのU23の試合で見た記憶もない。スポーツナビのアプリで調べたところ東福岡高校出身でした。プロ契約なわけね。室屋を脅かせるよう頑張ってくれ(イケメンなのが気に入らないが。大切なことなので2回言いました)。

C大阪U23で良かったのは山根と丸岡でしょうか。特に山根が前を向いてボールを持てれば、一気に攻撃のスイッチが入る感じ。その合図のもと、ドルトムント帰りの丸岡がスパイスを効かせていくのですが、逆に2人へのパスを切られると、途端に厳しくなって、藤本のロングフィード頼りになってしまう。藤本康太、なんか数年前の梶山の扱いらしい。

 

■後半

前半と後半で1点ずつ、それぞれツインタワーが決めてFC東京U23が先行する展開。それ以外にも圧倒的にFC東京U23が攻めていて、決定機を何度も迎えたのですが、C大阪U23もどうにかしのぐ。中でも後半開始間もなく訪れたツイン顔面ブロックは、C大阪U23に石崎君の魂と血が流れていることを思わせます。プレーが切れた後に2人の選手が並んでもんどり打っている光景は、失礼ながらコミカルでさえあった。

しかし、それで試合の大勢が変わるわけでは決してなく、攻撃的に行くべく安藤を投入したりしつつも、相変わらずFC東京U23が攻めたてまくる。終盤は、ようやく一日中晴れた五月晴れによる灼熱に、少しずつ集中力を奪われ凡ミスも増える。見ている我々の集中力は、もっと低下する。最終盤には再びゴール前での熱が帯びたものの、わりと安泰に最下位FC東京U23が2位のC大阪U23をしのぎきりました。

 

この試合、FC東京U23は矢島輝一と原大智のツインタワーで挑んでおりました。狙いがあって、この組み合わせにしたというよりも、与えられた資源を最大限に活用しようとした結果なのでしょうが、矢島輝一が存在感を示しました。なんか矢島、どことなくキャラが林容平とカブってしまうような。ユースから大卒を経ての出戻りで、CF属性。U23では確実に違いを生み出せるし、たぶん、J2ならばそれなりに戦力となりそう。でも、FC東京のトップチームではブレイクスルーできない、みたいな。

そんか矢島なんですが、キックオフ前の自らへのコールとか、ゴールを決めたときの態度など、大学を卒業した大人としての雰囲気がにじみ出ているような。もちろん大学在学年齢、あるいは高校生な他のU23戦士も、プロの空間での立ち居振る舞いは身についているんですよ。なんですけど、大学という空間、大学の体育会という空間で四年間を過ごすと、あっちゃこっちゃ向いた価値観の坩堝に揉まれて、確実に大人になりますよね。U23が大人としての行動様式を身につけさせるとすれば、大学は人間としての中身を大人にするのかもしれません。

 

疑問あれこれ〜湘南vs名古屋(5/4)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

毎年正月恒例、1・4レッスルキングダム、今年は棚橋vsケニーオメガでしたね。ケニーの退団から逆算してのアングル作りということもあって、棚橋とケニーオメガがイデオロギー闘争していることになっていたのですが、それぞれのイデオロギーの中身がサッパリわからなかった(疑問①)。それに比べると、チョウキジェ監督と風間八宏監督がぶつかり合う一戦をイデオロギー闘争と捉えても、それぞれの内容は理解しやすい。ええ、本日は、平塚に赴いておりました。

それにしても名古屋は調子が良いですね。風間監督といえば、本人が確固たる信念のもとにチーム作りするので、そういう、確固たる生き方をしている人を見ると、翻って自らの何かが刺激されて、どうしても足を引っ張らずにはいられなくなるメンタリティの持ち主が、ネット上とかでは大声合唱団を形成することもあり、監督本人よりアンチな人々が悪目立ちすることでお馴染みなのですが、「石の上にも3年」とはよく言ったもので、名古屋を率いて3年目、いよいよ本領を発揮しつつありますね。このままのペースでシーズン最後まで突っ走れるかどうかはわかりませんけど。

 

■前半

さて、平塚駅に到着すると、ちょうどお昼時ということで、事前に調べてあった「キャラウェイ」というカレー屋さんでランチ。美味しかったですねぇ。基本、ほとんど辛くない感じなのですが、だからといってスパイスがダメってわけではなく、野菜のコクが凝縮されている というか。ポークカレーだったのですが、ブロック肉を煮込んであるのではなく、既に出来たルーに、豚バラ肉をカリッカリに炒め焼いてドカンと投入! 男ですからね、「米・肉・塩・油」の四要素が揃えば、その時点で100点なのですよ。

午後になると、それまでピーカンだったにもかかわらず、やおら、雷雨が忍び寄る。雨具を揃えようとしたら、ジャケット部分とパンツ部分のLサイズが、それぞれ片方づつしか置いてないってんで(疑問②)、ローソンストア→ダイソー→再びローソンストアと、平塚八幡宮前を右へ左へ大往生してしまったぞ。

 

そんなことを繰り返しているうちにキックオフ。両チーム通じて目立ちまくっていたのが前田直輝。なんか、今シーズンは不調との話で、しばらくベンチにも入っていなかったはずなのですが、キレッキレ。前半だけでシュートを何本打ったのだろうか。長谷川や、あるいはアーリア、さらにはジャスールといった面々との相性も良いらしく、ガブリエル・シャビエルが怪我で出れない影響を全く感じさせない。

迎え撃ったベルマーレベルマーレといえば湘南スタイル。湘南スタイルといえば、カウンターなどで次から次へと選手が湧き出るように相手ゴール前に押しかけるイメージが強いのですが、この試合を見ていると湘南スタイルの本質は、攻撃に出て行く運度量というよりは、そうやってバランスを崩した状態でボールを奪われても、誰一人サボらず自陣に全力ダッシュで帰陣していく切り替えの運度量だと思われました。少しは田中とか、あるいは闘莉王とか、さらにはマルクスも見習え!っちゅう話。

 

■後半

試合は湘南が上手いことPKを取り、それを上手いこと山崎が決めて先制。この判定もそれなりにまあまあだったのですが、より判定が微妙だったのは、後半に名古屋がペナルティエリアすぐ外で奪ったフリーキック。だって、ファールをとらずそのまま流しておけばゴールだったんですもん。名古屋の選手、キーパーとの1対1も制しかけていたし。絶対に流さないといけないヤツですやん(疑問③)。

それでも名古屋はめげません。圧倒的に攻めたてながらも湘南守備陣に苦しんでおりましたが、セットプレーからシミッチが頭で合わせて同点に追いつきました。ここからは名古屋のペース、になったのですが秋元とゴールポストが大奮闘しているうちに、少しずつ湘南も息を吹き返し、そのままドローに持ち込みました。絶妙なタイミングでセットプレーが続いてしまい、相馬の投入に手間取ってしまったことが、風間さん的には誤算だったかもしれません。もう5分早く相馬がピッチに立てていれば、また違った結果もありえたかと。

 

そんなわけで、風間グランパスを見てきたわけですが、川崎時代のひたすら確実なショートパスをつないでいくサッカーをイメージすると、そこまで極端なスタイルではありません。というか、風間さん、グランパスの監督になってからは、ずっと、それほど極端なことはしてこなかった印象があります。去年なんかは「残留争いに巻き込まれると、哲学を捨ててジョー頼みになった」みたいな意見も散見しましたが、おそらく、風間さん、ジョー加入以後は一貫して「最合理的にジョーを生かす」というサッカーをやっていたのではあるまいか。

風間さんのキーワードは「パスサッカー」ではなく「最合理的」なんだと思うんですね。その一部として「止める蹴るの正確性」というのがあって、そこが目立つってだけの話で。だから去年、風間グランパスに対する「パスだけじゃ点は取れん!」みたいな批判を目にしたとき、「それ、ピッチの中の光景ではなく、観念上の風間八宏という個性を批判してるだけじゃありませんか?」なんて疑問を持ったものでした(疑問④)。

 

それも1つのオリベイラマジック?〜浦和vs磐田(5/3)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

4月は、秩父宮に突撃予定が大寒大雨で断念してので、なんと、観戦試合数ゼロ。久々のスタジアム観戦は埼スタ。今シーズンも浦和は、じわじわとオリベイライズムが溢れ出す。モタモタしているように思わせて、よくわからないけど勝ち点取得率が二次方程式の曲線みたいになっている。劇的に内容が素晴らしくなっているわけではなく、「勝ち点3が強さの証」みたいな。

対する磐田ですが、長期政権となりつつある名波さんが壁にぶつかっているようなイメージ。昨シーズン前半までは順調だったのですが、それ以降は低空飛行から抜け出せない。タイミング的に大久保嘉人が加入してから勝ち点取得率が低下しているのは、ただの偶然なのだろうか。昨シーズンの不調を眺めていて「ベテランが多すぎてもマネジメントが難しくなるってことかな?」なんてことを考えたりもしたものです。大久保個人がどうのこうのというわけではなく。

 

■前半

それにしても、浦和、政治都市ですね。経済の中心地が大宮で行政の中心地が浦和とは聞いてはいたが、ゴールデンウィーク10連休の真っ最中、人口の規模のわりには街に人が少ない。ランチを食べようといろんな店を探検したところ、どこも比較的待たされずに入れそうな感じ。唯一、混雑してたのは、蔦屋書店のなかのスターバックス。蔦屋書店(=スターバックス)には、いつでもどこでも、自分という物語を(生きるのではなく)演出するのに必死な面々が、がん首揃えて、こうべを垂れている。

ともあれ、「とんかつ豚肉お料理 純 アトレ浦和店浦和」で彩の国黒豚のトンカツを食べることにしたところ、いやぁ、旨かったですよ。女性の中には少し脂が効き過ぎていると感じる人もいるかもしれませんが、いわゆる「脂が甘い」状態。そのあとは、少し時間があったのと、シャトルバス乗り場に近いっていうので、「熊谷珈琲 浦和パルコ店」へ。こちらのアイスコーヒーも濃厚なビターさが絶品。なによりも自分という物語を演出するためだけにコーヒーを飲む面々がいないだけでも快適だったりする。……なんてことを考えながらシャトルバスで埼スタへ。そしてキックオフ。

 

磐田で目立ちまくっていたのはロドリゲスでございます。まず、何はともあれあの髪型。ドレッド風の。風貌からしてレゲエとかやってそう。カリブ海で陽気にカセットテープを聞いてそう。そんなロドリゲス、人は見た目で判断しちゃいけない。プレースタイルはそこまでアナーキーではない。2列目でしっかりボールに絡んでいく。インテンシティが強いってヤツ。けっこうカラダを張りますね。しかもボールを持ちすぎるって感じでもないし。フォアザチームなプレーヤーですよ。

浦和において同じ役割を果たしていたのは武藤。この選手は、高さがない以外、ホント、何でもできますね。ボールを収めて、自分で行くこともできれば、ゲームメーカー的な選択もできる。一人いればそれだけでチームが回る、これ以上ない潤滑油です。仙台から引き抜かれたときは、そこまで圧倒的な数字を残したわけでもなく、ぽっと出という印象も否めなかったのですが、当時の浦和のスカウトさん、慧眼です。

 

■後半

前半は、ある意味、実質的にミラーゲーム。どちらもアタッカー2枚で攻撃を仕掛けていく。違いは磐田がアダイウトンとロドリゲスという強力外国籍選手で攻めきろうとするのに対し、浦和は山中の左足を絡めようとするところ。一進一退の好ゲームでしたが、審判のジャッジについてストレスを強めに感じたのは浦和だったかもしれません。Jリーグの平均値による偏差値からすれば、さほど酷いジャッジではありませんでしたが、ことごとく浦和がディスアドバンテージを被っていたような。

後半はオリベイラが積極的にカードを切っていく。切っていくのですが、結果論的には空振りでしたね。まず、さ、沙木が投入されたのですが、プリンス君って、山形時代から使いどころの難しいタイプでしたよね。この試合でも、そういう属性が全開。そして、マルティノスオリベイラマルティノスインサイドで使おうとする意図がサッパリわからん。むしろリズムを崩して、「嘘〜ん!」っていうミスから決勝点を献上してしまいました。

 

この試合で印象的だったのは浦和GKの西川。前半中頃にアダイウトンが放ったテクニカルミドルをはじめとして弾き出し続けたシュートストップとか、貫禄でしたよね。その直後にゴールキックを思いっきりミスるのも、もはや恒例行事。1試合に1度とまでは言わないものの、高精度の裏表として、時に思いっきし大失敗なキックを繰り出すことは、もはや皆さん御存知。すっかりJリーグの顔の一人としての地位を確立している。

それまでGKといえば、若い頃の川口能活みたいな闘将タイプか、楢崎正剛みたいな顔色(=表情)を変えない安定感タイプかのどちらかに分類できていたところ、西川周作は、微笑みで周囲を落ち着かせるという第3類型のスタイルを築いている。キリスト教社会が父性の文化と評されるのに対し、仏教社会は母性の文化。厳しさよりも優しさを、社会の動力源としているわけですから、西川タイプが今後、さらに増えていくのではなかろうか。

 

 

 

 

左から切り替えしてシュート打つ同盟〜YS横浜vsG大阪U23(3/31)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

この日は都内近郊に戻って三ツ沢。YS横浜です。今シーズンから新たな指揮官を招聘した両チームの対戦となりましたが、YS横浜の新指揮官は「シュタルフ 悠紀リヒャルト」。……「シュタルフ」⁈ そして、「リヒャルトシュトラウス」⁇ ど、どうした? 長谷川アーリアジャスールとか熊谷アンドリューとかハーフナー・マイクとか横浜伝統の系譜か? あるいはキャンドルじゅんみたいなことか⁇

対するG大阪U23の新指揮官は、あの森下仁志です。世間で揶揄されるほどダメな指導者とは思いませんが、現役時代に熱血キャプンテシーで鳴らしたフットボーラーって、トップチームの指揮官としては微妙に終わることも少なくないような。他方、森下さんみたいな熱血漢タイプは、昭和の名作「スクール・ウォーズ」の例を出すまでもなく、育成年代では結果を残すような気がしないでもない。都並さんなんかは、まさにそういうイメージ(ただし、都並さんについては浦安で成功してくれるものと信じている)。

 

■前半

三ツ沢に向かうとき、多くの人は横浜駅からバスに乗るかと思います。ワタクシは岡野町から乗ることが多いのですが、ともあれ、路線バス。そうすると途中のバス停が「浅間下」とか「北軽井沢」とかだったりする。「いったい、どこの群馬県と長野県の県境地域に迷いこんだんだ?」ってな気分にさせられる。その気になれば、付近に草津温泉とか伊香保温泉とか四万温泉とかが湧き出す可能性も、ワンチャン、あるのではなかろうか?

そんな浅間下に「グリルアラベル」というハンバーグが美味しいお店があるというので試合前に立ち寄ってみた。マスコミなんかに取り上げられることもあるらしく、「ももクロ」の「れに」さんのサインが飾ってありましたよ。本体の文様はともかく、その下にわかりやすく「ももいろクローバーZ」と楷書を添えてくれるのがありがたい。で、ここのハンバーグ、まじ、旨い。元祖(か、どうかは存じませんが)、溶ける系のハンバーグ。店のオススメは塩コショウで食べることで、実際にそれが非常に美味。満足感に包まれてスタジアムに向かい、キックオフ。

 

ピッチを眺めるとYS横浜は、一見すると4123に見えたのですが、奥田を頂点とするダイヤモンドの442でスタートしていたように思います。アンカーはリンジェ・ジャブラニ南アフリカワールドカップのときの公式球の名前が「ジャブラニ」だったような。ってことは日本でワールドカップをやったらボールの名前は「山田」とか「太郎」になるってことかい? それはともあれ、前半途中からは奥田と長澤(左SHスタート)がポジションを入れ替えて、長澤はCFの高さにいたので、4123にシステム変更したかもしれません。

対するG大阪U23はオーソドックスな442。食野と高木が2トップ。森保ジャパンのイメージでは鎌田と南野の2トップに近い感じ。で、ボランチコンビは高江と市丸で、こちらは往年のFC東京における米本と梶山のコンビに近い。

 

■後半

試合はキックオフ早々ファーストアタックで動きます。決めたのは食野。文字的には「倉野」と見分けが付かないし、読み方は「飯野(めしの)」。難易度の高い名字の選手です。さらに電光石火は続き、中村敬斗も決めてG大阪U23がリードを広げます。「これは一方的な展開になるのかな〜」なんて思ったりもしたのですが、そこはシュタルフ悠紀リヒャルトが黙っちゃいない。フォースオフィシャルに文句を垂れまくっているうちに徐々にYS横浜が押し返し、30分頃からはYS横浜のペースでハーフタイムを迎えました。

後半に入っても構図は変わらず。攻めるのはYS横浜だけれども、点を取るのはG大阪U23。3点目はそれまでほとんど目立ってなかった福田が忍者のように現れて奪ったもの。なぜ福田が目立たなかったかというと、福田は右サイドでG大阪U23の攻撃は左サイドに偏っていたから。もうね、食野とか中村敬斗とか高江とかが「左から切り替えしてシュート打つ同盟」を結成しているのですよ。その「左から切り替えしてシュート打つ同盟」の領袖たる食野と食野2号(弟)もゴールを奪い、5ー0の大差がついた一戦となりました。

 

そんな「左から切り替えしてシュート打つ同盟」の一角を占めていたのが中村敬斗。絶不調期ガンバの指揮官であったクルピの寵愛を受けたことでサポーターから厳しい視線にさらされることもありましたが、確かにダイナミックでエレガントで、しかも、しなやか。「雑で荒削りな部分が修正されれば(はあと)」とクルピでなくとも期待したくなる気持ち、わかります。

もう一人、「左から切り替えしてシュート打つ同盟」から高江麗央も取り上げたい。先にも簡単に触れて「米本みたい」と言いましたが、もっと適切な例が思い浮かびまして、北澤豪に近いような気がする。攻守にアベレージが高く、驚異的な運動量でボールに絡みまくる。惜しむらくは北澤の髪型が「そのソバージュ、なんとかならんのか!」と思われていたように、この選手も「そのチンピラ金髪、なんとかならんのか!」ってところまで共通していることでしょうか。

 

仕方ない(ぐぅ)〜沼津vs讃岐(3/30)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

今週1試合目は沼津です。早朝の東海道線沼津行きで1本です。アスルクラロは吉田謙監督が率いるようになって、もう何年になるんでしょうか。一貫してボールを大切にする好チームを作ってきてくれています。ライセンスの関係で昇格資格がないゆえに、昨シーズンなんかは“J2ボトムズの星”みたいな扱いを受けていました。それくらい2位以内が現実味を帯びるチームです。

対する讃岐は長年の功労者である北野監督が退任して、今シーズンからは懐かしの上村健一が指揮をとるようになりました。まずはお手並み拝見なのですが、現役時代のプレースタイル的に秋田豊と同じ匂いを感じなくもない。ネタテンプレにならないよう頑張っ欲しいっちゃ欲しいのですが、秋田豊がハードプレーヤーだったのに対し、上村健一は、特にラフプレーヤーだった印象が強くて、ヤス三浦ヤス監督みたく、選手をことごとくラフプレー集団に染めてしまわないか心配がなくもない(実際はクリーンなチームだった)。

 

■前半

この日は午前中に三島のスカイウォークで観光してからスタジアムに向かいました。歯車はそこから狂い出す。たまたま運転手がそういう気質なのか、バス会社の方針なのか、とにかく運転がノロノロ。交通法規の遵守とか、そういう次元を越えて、ひたすら運転が鈍くさい。結果的に30分近く遅延。常識的な範囲内しか渋滞が起きていなかったにもかかわらず、本来なら20分のところが50分かかった。おかげで電車が1本遅れてしまった。

しかし、ここで狂った歯車が全開でワタクシに襲いかかる。沼津駅に到着したのが12時10分。キックオフまで50分。シャトルバスの所要時間は20分。まあ、他チームの通例からすれば最終シャトルバスは12:30くらいのはず。なのですが、なんと、アスルクラロシャトルバス、最終が12時5分。つまりキックオフの55分前なのですよ。そんなバカな。路線バスもキックオフに間に合う便は既にない。必然的にタクシーなわけですが、その料金が2050円。最終12時5分という最終ダイヤはタクシー業者との癒着による措置としか思えんぞ。まあ、ちゃんとチェックしなかったワタクシが悪いんですけどね。仕方ない!(ぐぅ)

 

釈然としない思いを抱えながらピッチではキックオフ。ハイプレスからの速攻が特長の沼津は、中央の守備に若干の不安があるらしく讃岐の中央突破にズルズルアタフタしてしまう場面が目立ちました。特に微妙さが目立ってしまったのが(「微かな妙味」が目立つ⁇ 語義矛盾?)、名前が公家っぽいことでお馴染みの普光院(相模原から加入)。危険なエリアでのイージーパスミスとかボールが足に着かないままのボールロストがあって、まさに普光院のプレーにより沼津に不幸がインするシーンが散見しました。普光院だけに不幸がインしたわけですね。

対する讃岐は高知から加入した林とか奈良クラブから加入した柳田など、JFL以下からの叩き上げがスタメンに名を連ねる。上位カテゴリーからの補強ではなく、もし野球みたいなドラフトがあれば、5位とか6位に相当したであろう(Jリーグ的には)ご新規さんを獲得して、「踏み台上等!」っていう編成方針が、どこかガイナーレ鳥取を彷彿とさせる。

 

■後半

試合は前半早々に動きます。コーナーからあっさり重松が先制点ゲット。でも沼津は沼津で同じようにコーナーからあっさり前澤が同点弾。ここからしばらくは膠着。「両チームとも縦に早く攻める系だけど、シンプルにツートップを走らせる沼津に対し、讃岐はSHや場合によっちゃSBの推進力が目立つなあ」とか思っていたら、その推進力の主体の一人である西が目の覚めるようなファインショットが炸裂しました。讃岐リードで折り返します。

前半は全くツートップに収まらず形を作れなかった沼津。そこで後半早めの時間帯に渡邊りょうを投入。それで流動性が増して攻撃も機能し始めたもののスコアは動かせない。となると吉田監督の割り切りは早い。あとはひたすらパワープレー要員を投入。まだロスタイムにもなっていない後半40分頃からは、早くもGK牲川がセットプレーで相手ゴール前に攻めあがる。ラストプレー間際ならともかく、1試合に5回くらい相手ゴール前に攻めあがるGKなんて、初めて見たぞ。残念ながら実ることはなく、そのままタイムアップになってしまいましたけど。。。

 

さて、先にも簡単に触れましたが讃岐の攻撃は横幅を広く使う。攻撃時には左SBの荒堀と右SHの西が両WBのような形でボールを前に運ぶ。そのようなワイドアタックを可能にしていたのが、FC東京出身の佐々木渉U23の試合なんかのイメージでは2列目のファンタジスタって雰囲気だったのですが、現在のチームではピルロのような役割でボールを左右に散らします。流麗です。ただでさえ髪サラサラのイケメンで同性からしたら「お前なんかキライじゃ!」って要素をたくさん兼ね備えているのに、ついにプレーでも華麗さを見せつけられてしまいました。もうね、ここまでエレガントさの多重奏を押しつけられたら、そりゃ、仕方ない!(ぐぅ)ってことにならざるを得ないってもんでした。

 

甘酸っぱい〜山口vs栃木(3/24)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

この日も初見参のみらスタ。山口です。山口県やら山口市自体は何回か来たことがあります。関門トンネル人道を通ったことも。前に山口市を訪ねたときは「長州ファイブ」が盛り上がっておりました。厳密には、盛り上げようとする努力だけは認められる状況にありました。その頃はまだ「八重の桜」だったか「花燃ゆ」だったかのポスターがチラホラ残ってて。にしても幕末物は外れ続けますよね、大河ドラマって。

相手は栃木。アラフォー世代としては、「栃木」「大河ドラマ」とくれば、連想ゲーム的に「太平記」となったりします。真田広之が格好よかった。でも、後藤久美子はもっと格好よかった。後藤久美子が男役やってたんですよね。ある種の“薄い本”感が仄かに薫る。ちなみに、「栃木」「大河ドラマ」でGoogle検索すると「真田丸」ってのも出てくる。「太平記」の主役が真田広之で、もう一つの作品が真田幸村物。なにやら因縁めいたものを感じなくもない。

 

■前半

前日はニンスタ愛媛FC戦を見て、この日はみらスタです。要するに愛媛県から山口県へと移動したわけですが、公共交通機関ユーザーとしては、まあまあ難易度の高い移動です。今治から尾道ならともかく、松山から山口ですからね。ただ、ワタクシ、フェリー好きなのです。だから、ピンときたのです。「行ける!」と。そう、“松山の外港”と呼ばれている(らしい)三津浜から山口県柳井港まで船で移動できるのですね。そんなわけで朝も早くから、伊予鉄でえっちらおっちら三津浜へと向かいます。

乗船時間は3時間弱、まあ、快適なものですよ。瀬戸内海ですからね、花嫁だっておしとやかにしていられるくらいに穏やか。問題は、上陸後です。柳井港から新山口までの山陽本線がめっちゃ混雑してますやん。徳山とか防府でけっこうな人数が降りるんですよ。でも、それと同じくらい乗ってくる。まるで京王線下りの明大前みたいだ。新山口の手前の駅でもたくさん学生が降りていって、車窓を眺めると高川学園の校門。ほぅ、こんなところにあったのか。

 

今年からスポナビアプリのリアルタイム速報でフォーメーション図(キックオフ前は予想図)が載るようになったのですが、両チームともに実態と予想図が異なりまして、吉濱と佐々木がインサイドに入る433と思われていた山口は吉濱がボランチの4231だったり、大崎が2シャドーの一角に入る3421と思われていた栃木は大崎が右SHの442でした。このあたりは化かし合いなのか、チームビルディング上の措置なのか。

山口については左サイドが目立っていたかも。長身の山下が左ウイングに入ることでサイドチェンジなどロングボールのターゲットになりやすかったのと、それから左SBの瀬川ですよね。彼のクロスが山口にとって一つの突破口となっておりました。対する栃木はなんといっても大黒でしょう。驚異的な毛根の粘り腰同様、ストライカーとしての動き出しも驚異的な粘り腰で衰えない。マッチアップするのが坪井というのも堪らない。まさかこんなところで元日本代表のガチンコが見られるとは。

 

■後半

試合は趨勢として山口が押し気味のところ、大崎が鋭い動き出しからのPK獲得、それを大黒が決めて栃木に先制点。さすがですよね、ダテに銀髪にしていません。そんなわけで追いつかねばならない霜田監督は田中パウロを投入するとともにシステムを3412にします。343かもしれませんが、とにかく山下と工藤のツインタワーにする。

しかし、田坂監督も負けていません。素早く田代をピッチに送り込んで3バックにしてマークをはっきりさせると、もうここからは完全なる籠城戦。穴熊戦法で山口のクロスの雨あられを跳ね返し続けます。そうしているうちに守る側にもリズムが出てきて、栃木GKユヒョンが、「これでもか!」とばかりにファインセーブを連発します。圧倒的に攻めたてるも、最後の一線を敗れなかった山口が甘酸っぱい敗北を喫しました。……なんか昨日の愛媛に似ているぞ。

 

そんなわけで毎年恒例、春の遠征は西日本で開催された夕方の試合2連戦でございました。折しも、それと歩調を合わせるように天気が冷え込み、さすがに3月の夕方はまだまだ防寒モードだなぁという気温になってしまって、スタンドのあちらこちらからも「さぶっ!」って声が耳に入ってきたのですが、内心では「寒いけど、寒いか?」なんて感情を抱いていたりもしたり。だって、近畿地方出身で関東在住の立場から言わせてもらいますと、西日本って、夕方が暖かいですよね。

18歳で上京して、特に秋になって以降、痛切に感じたのは、「東京の夕方は寒すぎる‼」ということ。実家にいた頃は西日が強烈に差し込む夕方が場合によっちゃ昼よりも体感温度が高くて、学校では6限が最も暖かかった(眠かった)。それが東京の西日ときたら、全くやる気がない。夕方はただただ寒いのですよ。きっとアルプスの山々が西日をブロックしてシャットアウトしているに違いないと決めつけているのですが、とにかく、夕方の暖かさに18歳までの甘酸っぱい日々を思い出した、そんな2連戦でございました。