この日も初見参のみらスタ。山口です。山口県やら山口市自体は何回か来たことがあります。関門トンネル人道を通ったことも。前に山口市を訪ねたときは「長州ファイブ」が盛り上がっておりました。厳密には、盛り上げようとする努力だけは認められる状況にありました。その頃はまだ「八重の桜」だったか「花燃ゆ」だったかのポスターがチラホラ残ってて。にしても幕末物は外れ続けますよね、大河ドラマって。
相手は栃木。アラフォー世代としては、「栃木」「大河ドラマ」とくれば、連想ゲーム的に「太平記」となったりします。真田広之が格好よかった。でも、後藤久美子はもっと格好よかった。後藤久美子が男役やってたんですよね。ある種の“薄い本”感が仄かに薫る。ちなみに、「栃木」「大河ドラマ」でGoogle検索すると「真田丸」ってのも出てくる。「太平記」の主役が真田広之で、もう一つの作品が真田幸村物。なにやら因縁めいたものを感じなくもない。
■前半
前日はニンスタで愛媛FC戦を見て、この日はみらスタです。要するに愛媛県から山口県へと移動したわけですが、公共交通機関ユーザーとしては、まあまあ難易度の高い移動です。今治から尾道ならともかく、松山から山口ですからね。ただ、ワタクシ、フェリー好きなのです。だから、ピンときたのです。「行ける!」と。そう、“松山の外港”と呼ばれている(らしい)三津浜から山口県の柳井港まで船で移動できるのですね。そんなわけで朝も早くから、伊予鉄でえっちらおっちら三津浜へと向かいます。
乗船時間は3時間弱、まあ、快適なものですよ。瀬戸内海ですからね、花嫁だっておしとやかにしていられるくらいに穏やか。問題は、上陸後です。柳井港から新山口までの山陽本線がめっちゃ混雑してますやん。徳山とか防府でけっこうな人数が降りるんですよ。でも、それと同じくらい乗ってくる。まるで京王線下りの明大前みたいだ。新山口の手前の駅でもたくさん学生が降りていって、車窓を眺めると高川学園の校門。ほぅ、こんなところにあったのか。
今年からスポナビアプリのリアルタイム速報でフォーメーション図(キックオフ前は予想図)が載るようになったのですが、両チームともに実態と予想図が異なりまして、吉濱と佐々木がインサイドに入る433と思われていた山口は吉濱がボランチの4231だったり、大崎が2シャドーの一角に入る3421と思われていた栃木は大崎が右SHの442でした。このあたりは化かし合いなのか、チームビルディング上の措置なのか。
山口については左サイドが目立っていたかも。長身の山下が左ウイングに入ることでサイドチェンジなどロングボールのターゲットになりやすかったのと、それから左SBの瀬川ですよね。彼のクロスが山口にとって一つの突破口となっておりました。対する栃木はなんといっても大黒でしょう。驚異的な毛根の粘り腰同様、ストライカーとしての動き出しも驚異的な粘り腰で衰えない。マッチアップするのが坪井というのも堪らない。まさかこんなところで元日本代表のガチンコが見られるとは。
■後半
試合は趨勢として山口が押し気味のところ、大崎が鋭い動き出しからのPK獲得、それを大黒が決めて栃木に先制点。さすがですよね、ダテに銀髪にしていません。そんなわけで追いつかねばならない霜田監督は田中パウロを投入するとともにシステムを3412にします。343かもしれませんが、とにかく山下と工藤のツインタワーにする。
しかし、田坂監督も負けていません。素早く田代をピッチに送り込んで3バックにしてマークをはっきりさせると、もうここからは完全なる籠城戦。穴熊戦法で山口のクロスの雨あられを跳ね返し続けます。そうしているうちに守る側にもリズムが出てきて、栃木GKユヒョンが、「これでもか!」とばかりにファインセーブを連発します。圧倒的に攻めたてるも、最後の一線を敗れなかった山口が甘酸っぱい敗北を喫しました。……なんか昨日の愛媛に似ているぞ。
そんなわけで毎年恒例、春の遠征は西日本で開催された夕方の試合2連戦でございました。折しも、それと歩調を合わせるように天気が冷え込み、さすがに3月の夕方はまだまだ防寒モードだなぁという気温になってしまって、スタンドのあちらこちらからも「さぶっ!」って声が耳に入ってきたのですが、内心では「寒いけど、寒いか?」なんて感情を抱いていたりもしたり。だって、近畿地方出身で関東在住の立場から言わせてもらいますと、西日本って、夕方が暖かいですよね。
18歳で上京して、特に秋になって以降、痛切に感じたのは、「東京の夕方は寒すぎる‼」ということ。実家にいた頃は西日が強烈に差し込む夕方が場合によっちゃ昼よりも体感温度が高くて、学校では6限が最も暖かかった(眠かった)。それが東京の西日ときたら、全くやる気がない。夕方はただただ寒いのですよ。きっとアルプスの山々が西日をブロックしてシャットアウトしているに違いないと決めつけているのですが、とにかく、夕方の暖かさに18歳までの甘酸っぱい日々を思い出した、そんな2連戦でございました。