ゴールデンウィークの生観戦は４試合目です。
■前半
大宮のホームに乗り込んだ愛媛。今シーズンはジェフに黒星を付けたりとか、それなりに健闘している様子。なんといっても、オチオチしていると岡ちゃんFCに愛媛県の盟主の座を奪われてしまいますからね。そんな愛媛FCを率いているのは、水戸やジェフで悪くないくらいの実績を残してきた木山さん。広島の監督に就任したときの森保さんみたく、ある程度は前任者のやり方を踏襲しているらしく、システムは３４２１です。
３４２１自体は今や珍しくもなんともないですけど、目立っていたのはハイプレスですね。キックオフ直後から大宮アタッカー陣をゴリゴリに潰し続け、一瞬ながらタジタジ状態に陥らせます。残念ながら、それは一瞬ながらであって、そのへんのことは、この後に述べますが、ともあれ、例えばコーナーキックでキッカーを務める江口を３ＣＢの真ん中で起用するなど、木山さんがアグレッシブな姿勢を植え付けつつあることは伝わってきました。
とはいえ、愛媛が大宮をタジタジさせていたのは、最初の１０分〜１５分くらい。そこからは基本技術の合計値で優位に立つアルディージャが、ポテンシャルを発揮し、ポゼッションの主導権を握ります。その中心にいたのは家長昭博。Ｊ１でも違いをつけられる選手がＪ２にいるのですから、そりゃ、圧倒的になるってもの。２トップの一角として、文字通りフリーマンだった家長ですけど、レフティですからね、どうしても左に左に寄っていく。ゆえに大宮の攻撃は左で作って右の選手が飛び込んでいくパターン。先制ゴールも左サイドから。尤もこれは家長云々とは関係なく、相手守備陣のもたつきを見逃さなかった泉澤がボールを奪って、そのまま決めたもの。大宮が１点リードで折り返します。
■後半
後半に入ると、どういうわけだか、一転して愛媛のワンサイドゲームとなりました。俄然という言葉がピッタリとくるような状況逆転。というか、ジェフを倒したのはダテではなく、ハマると強そうですね、愛媛。３４２１の良さを余すことなく活用している。３４２１の良さというのは、２つあって、１つには横幅で、もう１つは３トップの流動性です。まず、愛媛は両ＷＢの横幅を最大限に生かすサイドチェンジを繰り返す。そして、中盤あたりの高さでボールを奪えたときには、ワンタッチパス２〜３本で裏抜けに走る３トップへとボールを送る。共通点はパスがミドルレンジだというところ。そう、ブラジルＷＣで躍進したコスタリカだとか、そういうチームのサッカーを実践しているのですよ。弱者の戦術としての有効性が示された、ハンドボールサッカーのエッセンスを適切に取り入れているところが愛媛の良さかもしれません。
しかし、愛媛の木山監督には１つの大きな誤算がありました。それは選手交代。後半の途中に瀬沼と入れ替えに近藤を投入したのですが、この交代が愛媛の押せ押せムードに水をさしてしまいました。別にそれまでの瀬沼がめちゃめちゃ良かったわけでも、途中出場の近藤がダメダメだったわけでもないのですが、選手を交代させると、どうしても多少なりともピッチ内の雰囲気が変わる。結果的にこの交代は、愛媛にとって少し悪い方向に作用してしまったうらみがありました。
尤も、誤算といえば、大宮の方がよっぽど誤算な出来事があったんですけどね。なんせ清水が退場してしまった。イエロー２枚で大宮は数的不利に。しかし、ここから渋谷監督の勝負師っぷりが発揮されます。清水退場後は家長の１トップにしたかと思いきや、愛媛がＤＦを削ってパワープレーを仕掛けてくると、その家長も下げて、最終的には５ー４ー０にして、ひたすらアバウトなクリアでしのぎきり、ヨレヨレになりながらも勝ち点３を手繰り寄せました。
■日本代表への推薦状
□推薦者
□推薦理由
この選手、身長そのものはそれほど高くないのですが、数字以上に見た目を大きく見せますね。身のこなしを見ていてもアスリート能力は相当に高そう。骨量が大きいというか、体幹がしっかりしているというか。プレースタイルは、ゴールに向かって「オラオラオラ〜」と突進していけタイプ。なので、イメージ的には名古屋の川又とかに近いんですかね。ということは自動的に久保竜彦に近いということですけど。
ちなみに川又と同じなのは、岡山にレンタルで武者修行に出かけ保有権保持クラブに戻るやすぐにレギュラーの座を確保したところ。同じタイプに斎藤学とか高萩洋次郎とかもいますよね。両者は、この日の対戦相手の愛媛で武者修行した選手だったりしますけど、いずれにせよ、「レンタル先でサッカーを覚えてきた期待の選手」ってのは出世する傾向にありますので、この選手にも期待しましょう。
