いや、マジで、死ぬかと思ったよ。この季節に野外に出ると死にそうになる。毎年来ますよね、この季節。桜の季節、旅立ちの季節の、少し前に、憎ったらしいアンチクショーが。ええ、ええ、花粉症の季節ですよ。ただでさえ、室内で安静にしていなければならないなか外出した上に、朝から、こんな季節に行っちゃいけないようなところに足を踏み入れる。杉並木で有名な、そう、日光!これを自殺行為と言わずして、何をオウンゴールと言うのか、と。
■前半
そんなわけで、日光方面に行っていたのです。といっても、日光そのものにはたどり着いていない。その少し手前が目的地。日光の手前が今市なのは、たぶん、落語とかでは有名なんじゃなかろうか⁇ 今市の駅前すぐのところに道の駅があるのですね。となると、道の駅好きとしては行かずにはおられない。ここの道の駅、なかなかエレガントですよ。だって「日本のこころのうたミュージアム・船村徹記念館」とかが併設されていたりするし。
そこでお昼ご飯を食べたり、日本のこころに感銘を受けてから宇都宮へ。いつものパターンで歩いていたら、なんだか様子が違う。いつものところにバスがいなくてもぬけの殻。どうやらバス乗り場が変更したらしい。これまではクラブが負担するかたちでチャーター便を出していたのだけれと、今後は路線バスの臨時便を増発するというスタイルになる模様。あの居心地のよかったマロニエ交通とは、ひょっとしたら、永遠の別れになるのかもしれない。
そんなことはよいのです。試合です。2018年バージョンの栃木といえば、大黒将志なわけで。プレースタイルは佐藤寿人と双璧をなすインザーギ系(もはや、古い??)。でも佐藤寿人とかインザーギとは違って、1つの場所に、なかなか腰を落ち着けない。いわゆる傭兵。‘ようへい’と言っても、決してFC東京の10番ではなく。そんな、傭兵系インザーギさんに対して向こうを張ったレノファのCBは坪井ときたもんだ。あの坪井です。四中工出身の。
坪井とバチバチやってた大黒なんですが、やっぱり流石ですね。インザーギもそうですけど、ごっつぁんゴーラーは、要領の良さを武器にしているだけあって、息が長いですよね。この試合でも、「まずは大黒の動き出しを生かしていこう!」というところで意思統一ができていて、序盤に限れば、栃木のペースだったと思います。序盤に限らず、リズムよく試合を進めた時間は、たぶん、栃木の方が長かった。周囲も、その動き出しに「大黒を生かすぞ!」ってところで素直に意思を統一できたのだと思われます。
■後半
結果的には、レノファが圧倒した試合。好調レノファの見事なまでの試合運びを見ていて感じたことがあって、それは、近年のトレンドとして飛び交うサッカー用語に「縦に速い攻撃」ってのがありますが、ひとえに「縦に速い攻撃」といっても、実は2種類があるんじゃないかと。1つには、日本サッカー界における「縦に速い」の宣教師たるハリルホジッチが指向するやり方で、前線で構えているアタッカーに縦ポンを入れるフィジカル重視なスタイル。
で、もう一つは、レノファのやり方。霜田レノファも相当「縦に速い」ですし、CFのオナイウのフィジカルに頼る部分も大きいのですが、それ以上に、グランダーのパスをスペースに出して、「いいから、お前ら、追いつけ!」って要素が強い。フィジカルに依存するハリルスタイルに対し、走力に依存する言わばオシムスタイル。その結晶とも言えるのがレノファの先制点で、中盤で運動量まかせにボールを奪い、そこからグランダーのパスを3つくらい繋いだだけで小野瀬がボールを奪ってしまった。日本的「縦に速い」のお手本です。
この試合は、開幕ダッシュ大成功のレノファと下位に低迷する栃木の争いだったわけですが、そういうコントラストで余裕があったのか、先制点以降は、さしずめ“霜田ラボ”状態。なんせ、前半だけで3トップが揃い踏みでゴールを奪うという余裕の展開。そんな怒涛の三連星に加えて、後半はインサイドの大崎までがビューティフルゴールを突き刺した。ポゼッションやらシュート数では、少なくともある段階までは栃木の方が高かった印象もありまず、なんなんですかね、レノファの謎の決定力。
そうやって余裕綽綽モードになったもんだから、霜田ラボが発生するのですよ。よくありがちなことですけど、「とりあえずリードした場面でCBを1枚増やしたらどうなるのかな?」ってなもんで、大崎を下げて福元洋平を投入してりしだす。えてして守備固めの5バックは失敗しがちで、案の定、ペチュニクの2ゴールを許したわけですが、それでも、終盤には駄目押しの5ゴール目を、福元の活躍で奪ってるし、実際に勝ってるし、霜田さんとしては自らのラボを満喫したのではあるまいか。