去年は散々なシーズンを送ったザスパ。1年を通じて笑顔が発生したのは、「塾へ行け」騒動くらいだったでしょうか。確かに塾には行かねばなりません。ちゃんと勉強をしなかったならば、高高(高崎高校のことで、「たかたか」と読むらしい)には受かりません。ってことは、総理大臣にもなりづらくなるってことです(高崎高校は総理大臣養成専門学校みたいなものらしいので)。まあ、でも、大丈夫。そういうときには前橋商業なり、前橋育英なりに行って、選手権を目指せば良いのです。群馬というのは、そういうお土地柄。そんな県に、どういうわけだか、布啓一郎が降り立った。
■前半
えっと、ですね、、、いろいろと誤算があったのですよ。何が誤算だったかって、登利平本店がメチャクチャ混雑していたこと。別にスタジアムでも弁当を買えますし、店舗もいくつかあるんですけど、でも、せっかく前橋駅に来たんだから、やっぱり本店に行きたいじゃないですか。そしたらですよ、いやまあ、混んでるってなんの。ピークをズラして14時前に入店したってのに、またまだ、名前をボードに書いて呼ばれるのを待たなきゃいけない状態。しかも、予約してない一般客向けのテーブルはそんなに多くないので、回転が一般的なファミレスに比べて遅く、30分くらい待たされたよ。
「こりゃギリギリになるかも〜」って思いながら、ザスパホームページ上で確認した最終シャトルバスの時刻である15時10分に合わせて前橋駅まで戻る。でも、実際に乗り場についたら、各時間、00分と30分の出発って書いてある。それが正しい時刻表だったのですが、さらに加えて最新の時刻表が掲示してあるバス停の裏面には「20分間隔で運行します!」って書いてある。どういうこっちゃ。ホームページを含めて3通りの時刻表が示されている。これは良くない。何よりも公式ホームページの情報が不正確というのは、全くもっていただけない。
いただけない事態は、スタジアムに到着してからも起きる。結局、15時30分までバスはなく、それに乗ったら、必然的に到着するのはギリになるわけです。にもかかわらず、入場ゲートには行列ができていて、まるで捌けていない。去年までJ2にいたのだから、ノウハウ不足なわけはない。要するに経費削減のためにゲートのレーン数を絞ったということだと思われますが、これでは負のスパイラルに突入しかねません。経費削減のために、サービスのクオリティが下がっているのだから、ますます顧客の足は遠ざかりかねない。
ときどき、潰れかけのスーパーマーケットで見かけるのですが、「競合ができる→客が減る→廃棄を減らすべく生鮮食品や惣菜の代わりに飲み物とかの売り場を増やす→ますます客足が遠のく」ってスパイラルありますよね、あんな感じになっていやしません?と。J3に転落し、サポーターさんたちは必死に「スポンサーの皆様 今年もよろしくお願いします」なんてダンマクを出しているのだから、新生ザスパの運営部隊にも、頑張ってもらいましょう。
■後半
ともあれ、重要なのは、結局はピッチの中。布啓一郎率いる新生ザスパ、悪くないですよ。高校サッカーの名将ですからトリッキーなことはしません。4231のオーソドックスなシステムで、シンプルに適材適所をはめ込んでいくようなチームビルディング。けっこうタレントはいますよね。高橋・小林のSHコンビとか、ボランチ風間とか、トップ下の平繁とか。なかでも、坪内ー松下ージャンボ大久保からなるセンターラインはなかなか素晴らしい。ベテラン実力派が背骨となっているだけに、チームが安定します。
一方でコンビネーションの部分は、まだまだ未成熟。高校サッカーみたいに全員が寮生活をしながら、1日8時間にわたる地獄の練習で阿吽の呼吸を皮膚感覚に叩き込んでいく、というわけにもいきませんので、1日2時間のトレーニングでどのように訓練を積んでいくか。布さん的に克服すべき課題なのかもしれません。ともあれ、高校サッカーの名将に率いられたチームは、高校サッカーのように美しきサインプレーから先制ゴールを奪います。後半は、この、前半に松下のゴラッソで奪ったリードを、どのようにして守っていくか、ということになりました。
なんせ相手は昨年度J3王者のブラウブリッツです。追いつくべく、左利きの右WB古田寛幸を中心とする成熟した攻撃、縦への推進力を前面に押し出した雪崩のようなアタッキングで草津ゴールに襲い掛かり続けます。守勢に回ったザスパはタジタジに。しかし、それでも、このあたりは布さんが徹底的に叩き込んでいるのでしょう、決して不用意に飛び込むことなく、粘り強くディレイして、コースを消していくディフェンスでゴールを割らせません。這々の体になりながらも、どうにかかうにか秋田の猛攻を凌ぎ切ったザスパが、待望の今シーズン初勝利を収めました。
蛇足ですが、秋田の攻撃に少し興味深いところがありました。それはDF登録ながらボランチで出場していたフェイクな山田尚幸のスローイング。ボランチなのに、ことごとくスローインを投げる。時には豪快なロングスロー。でも、注目すべきは、ミドルレンジのスローイングが多かったこと。スローインといえば、普通のパターンの、いわばショートパスと、ロングスローという名のロングパスなわけですが、この選手のスローインは、ビルドアップの起点となるようなミドルパス。なかなか面白かったです。