それも1つのオリベイラマジック?〜浦和vs磐田(5/3)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

4月は、秩父宮に突撃予定が大寒大雨で断念してので、なんと、観戦試合数ゼロ。久々のスタジアム観戦は埼スタ。今シーズンも浦和は、じわじわとオリベイライズムが溢れ出す。モタモタしているように思わせて、よくわからないけど勝ち点取得率が二次方程式の曲線みたいになっている。劇的に内容が素晴らしくなっているわけではなく、「勝ち点3が強さの証」みたいな。

対する磐田ですが、長期政権となりつつある名波さんが壁にぶつかっているようなイメージ。昨シーズン前半までは順調だったのですが、それ以降は低空飛行から抜け出せない。タイミング的に大久保嘉人が加入してから勝ち点取得率が低下しているのは、ただの偶然なのだろうか。昨シーズンの不調を眺めていて「ベテランが多すぎてもマネジメントが難しくなるってことかな?」なんてことを考えたりもしたものです。大久保個人がどうのこうのというわけではなく。

 

■前半

それにしても、浦和、政治都市ですね。経済の中心地が大宮で行政の中心地が浦和とは聞いてはいたが、ゴールデンウィーク10連休の真っ最中、人口の規模のわりには街に人が少ない。ランチを食べようといろんな店を探検したところ、どこも比較的待たされずに入れそうな感じ。唯一、混雑してたのは、蔦屋書店のなかのスターバックス。蔦屋書店(=スターバックス)には、いつでもどこでも、自分という物語を(生きるのではなく)演出するのに必死な面々が、がん首揃えて、こうべを垂れている。

ともあれ、「とんかつ豚肉お料理 純 アトレ浦和店浦和」で彩の国黒豚のトンカツを食べることにしたところ、いやぁ、旨かったですよ。女性の中には少し脂が効き過ぎていると感じる人もいるかもしれませんが、いわゆる「脂が甘い」状態。そのあとは、少し時間があったのと、シャトルバス乗り場に近いっていうので、「熊谷珈琲 浦和パルコ店」へ。こちらのアイスコーヒーも濃厚なビターさが絶品。なによりも自分という物語を演出するためだけにコーヒーを飲む面々がいないだけでも快適だったりする。……なんてことを考えながらシャトルバスで埼スタへ。そしてキックオフ。

 

磐田で目立ちまくっていたのはロドリゲスでございます。まず、何はともあれあの髪型。ドレッド風の。風貌からしてレゲエとかやってそう。カリブ海で陽気にカセットテープを聞いてそう。そんなロドリゲス、人は見た目で判断しちゃいけない。プレースタイルはそこまでアナーキーではない。2列目でしっかりボールに絡んでいく。インテンシティが強いってヤツ。けっこうカラダを張りますね。しかもボールを持ちすぎるって感じでもないし。フォアザチームなプレーヤーですよ。

浦和において同じ役割を果たしていたのは武藤。この選手は、高さがない以外、ホント、何でもできますね。ボールを収めて、自分で行くこともできれば、ゲームメーカー的な選択もできる。一人いればそれだけでチームが回る、これ以上ない潤滑油です。仙台から引き抜かれたときは、そこまで圧倒的な数字を残したわけでもなく、ぽっと出という印象も否めなかったのですが、当時の浦和のスカウトさん、慧眼です。

 

■後半

前半は、ある意味、実質的にミラーゲーム。どちらもアタッカー2枚で攻撃を仕掛けていく。違いは磐田がアダイウトンとロドリゲスという強力外国籍選手で攻めきろうとするのに対し、浦和は山中の左足を絡めようとするところ。一進一退の好ゲームでしたが、審判のジャッジについてストレスを強めに感じたのは浦和だったかもしれません。Jリーグの平均値による偏差値からすれば、さほど酷いジャッジではありませんでしたが、ことごとく浦和がディスアドバンテージを被っていたような。

後半はオリベイラが積極的にカードを切っていく。切っていくのですが、結果論的には空振りでしたね。まず、さ、沙木が投入されたのですが、プリンス君って、山形時代から使いどころの難しいタイプでしたよね。この試合でも、そういう属性が全開。そして、マルティノスオリベイラマルティノスインサイドで使おうとする意図がサッパリわからん。むしろリズムを崩して、「嘘〜ん!」っていうミスから決勝点を献上してしまいました。

 

この試合で印象的だったのは浦和GKの西川。前半中頃にアダイウトンが放ったテクニカルミドルをはじめとして弾き出し続けたシュートストップとか、貫禄でしたよね。その直後にゴールキックを思いっきりミスるのも、もはや恒例行事。1試合に1度とまでは言わないものの、高精度の裏表として、時に思いっきし大失敗なキックを繰り出すことは、もはや皆さん御存知。すっかりJリーグの顔の一人としての地位を確立している。

それまでGKといえば、若い頃の川口能活みたいな闘将タイプか、楢崎正剛みたいな顔色(=表情)を変えない安定感タイプかのどちらかに分類できていたところ、西川周作は、微笑みで周囲を落ち着かせるという第3類型のスタイルを築いている。キリスト教社会が父性の文化と評されるのに対し、仏教社会は母性の文化。厳しさよりも優しさを、社会の動力源としているわけですから、西川タイプが今後、さらに増えていくのではなかろうか。

 

 

 

 

左から切り替えしてシュート打つ同盟〜YS横浜vsG大阪U23(3/31)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

この日は都内近郊に戻って三ツ沢。YS横浜です。今シーズンから新たな指揮官を招聘した両チームの対戦となりましたが、YS横浜の新指揮官は「シュタルフ 悠紀リヒャルト」。……「シュタルフ」⁈ そして、「リヒャルトシュトラウス」⁇ ど、どうした? 長谷川アーリアジャスールとか熊谷アンドリューとかハーフナー・マイクとか横浜伝統の系譜か? あるいはキャンドルじゅんみたいなことか⁇

対するG大阪U23の新指揮官は、あの森下仁志です。世間で揶揄されるほどダメな指導者とは思いませんが、現役時代に熱血キャプンテシーで鳴らしたフットボーラーって、トップチームの指揮官としては微妙に終わることも少なくないような。他方、森下さんみたいな熱血漢タイプは、昭和の名作「スクール・ウォーズ」の例を出すまでもなく、育成年代では結果を残すような気がしないでもない。都並さんなんかは、まさにそういうイメージ(ただし、都並さんについては浦安で成功してくれるものと信じている)。

 

■前半

三ツ沢に向かうとき、多くの人は横浜駅からバスに乗るかと思います。ワタクシは岡野町から乗ることが多いのですが、ともあれ、路線バス。そうすると途中のバス停が「浅間下」とか「北軽井沢」とかだったりする。「いったい、どこの群馬県と長野県の県境地域に迷いこんだんだ?」ってな気分にさせられる。その気になれば、付近に草津温泉とか伊香保温泉とか四万温泉とかが湧き出す可能性も、ワンチャン、あるのではなかろうか?

そんな浅間下に「グリルアラベル」というハンバーグが美味しいお店があるというので試合前に立ち寄ってみた。マスコミなんかに取り上げられることもあるらしく、「ももクロ」の「れに」さんのサインが飾ってありましたよ。本体の文様はともかく、その下にわかりやすく「ももいろクローバーZ」と楷書を添えてくれるのがありがたい。で、ここのハンバーグ、まじ、旨い。元祖(か、どうかは存じませんが)、溶ける系のハンバーグ。店のオススメは塩コショウで食べることで、実際にそれが非常に美味。満足感に包まれてスタジアムに向かい、キックオフ。

 

ピッチを眺めるとYS横浜は、一見すると4123に見えたのですが、奥田を頂点とするダイヤモンドの442でスタートしていたように思います。アンカーはリンジェ・ジャブラニ南アフリカワールドカップのときの公式球の名前が「ジャブラニ」だったような。ってことは日本でワールドカップをやったらボールの名前は「山田」とか「太郎」になるってことかい? それはともあれ、前半途中からは奥田と長澤(左SHスタート)がポジションを入れ替えて、長澤はCFの高さにいたので、4123にシステム変更したかもしれません。

対するG大阪U23はオーソドックスな442。食野と高木が2トップ。森保ジャパンのイメージでは鎌田と南野の2トップに近い感じ。で、ボランチコンビは高江と市丸で、こちらは往年のFC東京における米本と梶山のコンビに近い。

 

■後半

試合はキックオフ早々ファーストアタックで動きます。決めたのは食野。文字的には「倉野」と見分けが付かないし、読み方は「飯野(めしの)」。難易度の高い名字の選手です。さらに電光石火は続き、中村敬斗も決めてG大阪U23がリードを広げます。「これは一方的な展開になるのかな〜」なんて思ったりもしたのですが、そこはシュタルフ悠紀リヒャルトが黙っちゃいない。フォースオフィシャルに文句を垂れまくっているうちに徐々にYS横浜が押し返し、30分頃からはYS横浜のペースでハーフタイムを迎えました。

後半に入っても構図は変わらず。攻めるのはYS横浜だけれども、点を取るのはG大阪U23。3点目はそれまでほとんど目立ってなかった福田が忍者のように現れて奪ったもの。なぜ福田が目立たなかったかというと、福田は右サイドでG大阪U23の攻撃は左サイドに偏っていたから。もうね、食野とか中村敬斗とか高江とかが「左から切り替えしてシュート打つ同盟」を結成しているのですよ。その「左から切り替えしてシュート打つ同盟」の領袖たる食野と食野2号(弟)もゴールを奪い、5ー0の大差がついた一戦となりました。

 

そんな「左から切り替えしてシュート打つ同盟」の一角を占めていたのが中村敬斗。絶不調期ガンバの指揮官であったクルピの寵愛を受けたことでサポーターから厳しい視線にさらされることもありましたが、確かにダイナミックでエレガントで、しかも、しなやか。「雑で荒削りな部分が修正されれば(はあと)」とクルピでなくとも期待したくなる気持ち、わかります。

もう一人、「左から切り替えしてシュート打つ同盟」から高江麗央も取り上げたい。先にも簡単に触れて「米本みたい」と言いましたが、もっと適切な例が思い浮かびまして、北澤豪に近いような気がする。攻守にアベレージが高く、驚異的な運動量でボールに絡みまくる。惜しむらくは北澤の髪型が「そのソバージュ、なんとかならんのか!」と思われていたように、この選手も「そのチンピラ金髪、なんとかならんのか!」ってところまで共通していることでしょうか。

 

仕方ない(ぐぅ)〜沼津vs讃岐(3/30)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

今週1試合目は沼津です。早朝の東海道線沼津行きで1本です。アスルクラロは吉田謙監督が率いるようになって、もう何年になるんでしょうか。一貫してボールを大切にする好チームを作ってきてくれています。ライセンスの関係で昇格資格がないゆえに、昨シーズンなんかは“J2ボトムズの星”みたいな扱いを受けていました。それくらい2位以内が現実味を帯びるチームです。

対する讃岐は長年の功労者である北野監督が退任して、今シーズンからは懐かしの上村健一が指揮をとるようになりました。まずはお手並み拝見なのですが、現役時代のプレースタイル的に秋田豊と同じ匂いを感じなくもない。ネタテンプレにならないよう頑張っ欲しいっちゃ欲しいのですが、秋田豊がハードプレーヤーだったのに対し、上村健一は、特にラフプレーヤーだった印象が強くて、ヤス三浦ヤス監督みたく、選手をことごとくラフプレー集団に染めてしまわないか心配がなくもない(実際はクリーンなチームだった)。

 

■前半

この日は午前中に三島のスカイウォークで観光してからスタジアムに向かいました。歯車はそこから狂い出す。たまたま運転手がそういう気質なのか、バス会社の方針なのか、とにかく運転がノロノロ。交通法規の遵守とか、そういう次元を越えて、ひたすら運転が鈍くさい。結果的に30分近く遅延。常識的な範囲内しか渋滞が起きていなかったにもかかわらず、本来なら20分のところが50分かかった。おかげで電車が1本遅れてしまった。

しかし、ここで狂った歯車が全開でワタクシに襲いかかる。沼津駅に到着したのが12時10分。キックオフまで50分。シャトルバスの所要時間は20分。まあ、他チームの通例からすれば最終シャトルバスは12:30くらいのはず。なのですが、なんと、アスルクラロシャトルバス、最終が12時5分。つまりキックオフの55分前なのですよ。そんなバカな。路線バスもキックオフに間に合う便は既にない。必然的にタクシーなわけですが、その料金が2050円。最終12時5分という最終ダイヤはタクシー業者との癒着による措置としか思えんぞ。まあ、ちゃんとチェックしなかったワタクシが悪いんですけどね。仕方ない!(ぐぅ)

 

釈然としない思いを抱えながらピッチではキックオフ。ハイプレスからの速攻が特長の沼津は、中央の守備に若干の不安があるらしく讃岐の中央突破にズルズルアタフタしてしまう場面が目立ちました。特に微妙さが目立ってしまったのが(「微かな妙味」が目立つ⁇ 語義矛盾?)、名前が公家っぽいことでお馴染みの普光院(相模原から加入)。危険なエリアでのイージーパスミスとかボールが足に着かないままのボールロストがあって、まさに普光院のプレーにより沼津に不幸がインするシーンが散見しました。普光院だけに不幸がインしたわけですね。

対する讃岐は高知から加入した林とか奈良クラブから加入した柳田など、JFL以下からの叩き上げがスタメンに名を連ねる。上位カテゴリーからの補強ではなく、もし野球みたいなドラフトがあれば、5位とか6位に相当したであろう(Jリーグ的には)ご新規さんを獲得して、「踏み台上等!」っていう編成方針が、どこかガイナーレ鳥取を彷彿とさせる。

 

■後半

試合は前半早々に動きます。コーナーからあっさり重松が先制点ゲット。でも沼津は沼津で同じようにコーナーからあっさり前澤が同点弾。ここからしばらくは膠着。「両チームとも縦に早く攻める系だけど、シンプルにツートップを走らせる沼津に対し、讃岐はSHや場合によっちゃSBの推進力が目立つなあ」とか思っていたら、その推進力の主体の一人である西が目の覚めるようなファインショットが炸裂しました。讃岐リードで折り返します。

前半は全くツートップに収まらず形を作れなかった沼津。そこで後半早めの時間帯に渡邊りょうを投入。それで流動性が増して攻撃も機能し始めたもののスコアは動かせない。となると吉田監督の割り切りは早い。あとはひたすらパワープレー要員を投入。まだロスタイムにもなっていない後半40分頃からは、早くもGK牲川がセットプレーで相手ゴール前に攻めあがる。ラストプレー間際ならともかく、1試合に5回くらい相手ゴール前に攻めあがるGKなんて、初めて見たぞ。残念ながら実ることはなく、そのままタイムアップになってしまいましたけど。。。

 

さて、先にも簡単に触れましたが讃岐の攻撃は横幅を広く使う。攻撃時には左SBの荒堀と右SHの西が両WBのような形でボールを前に運ぶ。そのようなワイドアタックを可能にしていたのが、FC東京出身の佐々木渉U23の試合なんかのイメージでは2列目のファンタジスタって雰囲気だったのですが、現在のチームではピルロのような役割でボールを左右に散らします。流麗です。ただでさえ髪サラサラのイケメンで同性からしたら「お前なんかキライじゃ!」って要素をたくさん兼ね備えているのに、ついにプレーでも華麗さを見せつけられてしまいました。もうね、ここまでエレガントさの多重奏を押しつけられたら、そりゃ、仕方ない!(ぐぅ)ってことにならざるを得ないってもんでした。

 

甘酸っぱい〜山口vs栃木(3/24)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

この日も初見参のみらスタ。山口です。山口県やら山口市自体は何回か来たことがあります。関門トンネル人道を通ったことも。前に山口市を訪ねたときは「長州ファイブ」が盛り上がっておりました。厳密には、盛り上げようとする努力だけは認められる状況にありました。その頃はまだ「八重の桜」だったか「花燃ゆ」だったかのポスターがチラホラ残ってて。にしても幕末物は外れ続けますよね、大河ドラマって。

相手は栃木。アラフォー世代としては、「栃木」「大河ドラマ」とくれば、連想ゲーム的に「太平記」となったりします。真田広之が格好よかった。でも、後藤久美子はもっと格好よかった。後藤久美子が男役やってたんですよね。ある種の“薄い本”感が仄かに薫る。ちなみに、「栃木」「大河ドラマ」でGoogle検索すると「真田丸」ってのも出てくる。「太平記」の主役が真田広之で、もう一つの作品が真田幸村物。なにやら因縁めいたものを感じなくもない。

 

■前半

前日はニンスタ愛媛FC戦を見て、この日はみらスタです。要するに愛媛県から山口県へと移動したわけですが、公共交通機関ユーザーとしては、まあまあ難易度の高い移動です。今治から尾道ならともかく、松山から山口ですからね。ただ、ワタクシ、フェリー好きなのです。だから、ピンときたのです。「行ける!」と。そう、“松山の外港”と呼ばれている(らしい)三津浜から山口県柳井港まで船で移動できるのですね。そんなわけで朝も早くから、伊予鉄でえっちらおっちら三津浜へと向かいます。

乗船時間は3時間弱、まあ、快適なものですよ。瀬戸内海ですからね、花嫁だっておしとやかにしていられるくらいに穏やか。問題は、上陸後です。柳井港から新山口までの山陽本線がめっちゃ混雑してますやん。徳山とか防府でけっこうな人数が降りるんですよ。でも、それと同じくらい乗ってくる。まるで京王線下りの明大前みたいだ。新山口の手前の駅でもたくさん学生が降りていって、車窓を眺めると高川学園の校門。ほぅ、こんなところにあったのか。

 

今年からスポナビアプリのリアルタイム速報でフォーメーション図(キックオフ前は予想図)が載るようになったのですが、両チームともに実態と予想図が異なりまして、吉濱と佐々木がインサイドに入る433と思われていた山口は吉濱がボランチの4231だったり、大崎が2シャドーの一角に入る3421と思われていた栃木は大崎が右SHの442でした。このあたりは化かし合いなのか、チームビルディング上の措置なのか。

山口については左サイドが目立っていたかも。長身の山下が左ウイングに入ることでサイドチェンジなどロングボールのターゲットになりやすかったのと、それから左SBの瀬川ですよね。彼のクロスが山口にとって一つの突破口となっておりました。対する栃木はなんといっても大黒でしょう。驚異的な毛根の粘り腰同様、ストライカーとしての動き出しも驚異的な粘り腰で衰えない。マッチアップするのが坪井というのも堪らない。まさかこんなところで元日本代表のガチンコが見られるとは。

 

■後半

試合は趨勢として山口が押し気味のところ、大崎が鋭い動き出しからのPK獲得、それを大黒が決めて栃木に先制点。さすがですよね、ダテに銀髪にしていません。そんなわけで追いつかねばならない霜田監督は田中パウロを投入するとともにシステムを3412にします。343かもしれませんが、とにかく山下と工藤のツインタワーにする。

しかし、田坂監督も負けていません。素早く田代をピッチに送り込んで3バックにしてマークをはっきりさせると、もうここからは完全なる籠城戦。穴熊戦法で山口のクロスの雨あられを跳ね返し続けます。そうしているうちに守る側にもリズムが出てきて、栃木GKユヒョンが、「これでもか!」とばかりにファインセーブを連発します。圧倒的に攻めたてるも、最後の一線を敗れなかった山口が甘酸っぱい敗北を喫しました。……なんか昨日の愛媛に似ているぞ。

 

そんなわけで毎年恒例、春の遠征は西日本で開催された夕方の試合2連戦でございました。折しも、それと歩調を合わせるように天気が冷え込み、さすがに3月の夕方はまだまだ防寒モードだなぁという気温になってしまって、スタンドのあちらこちらからも「さぶっ!」って声が耳に入ってきたのですが、内心では「寒いけど、寒いか?」なんて感情を抱いていたりもしたり。だって、近畿地方出身で関東在住の立場から言わせてもらいますと、西日本って、夕方が暖かいですよね。

18歳で上京して、特に秋になって以降、痛切に感じたのは、「東京の夕方は寒すぎる‼」ということ。実家にいた頃は西日が強烈に差し込む夕方が場合によっちゃ昼よりも体感温度が高くて、学校では6限が最も暖かかった(眠かった)。それが東京の西日ときたら、全くやる気がない。夕方はただただ寒いのですよ。きっとアルプスの山々が西日をブロックしてシャットアウトしているに違いないと決めつけているのですが、とにかく、夕方の暖かさに18歳までの甘酸っぱい日々を思い出した、そんな2連戦でございました。

 

百戦錬磨〜愛媛vs長崎(3/23)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

またまた遠征です。未踏の地、ニンジニアスタジアムに初見参。ホームの愛媛は川井体制も2年目ということで、それなりの開幕ダッシュとなった模様。昨シーズン途中にバトンを受けてから青年監督らしいアグレッシブな中身については、ずいぶんと評価されてきましたが、そうなると次は結果を求められる。愛媛にとって「是」とされる結果がどの程度のことなのかはわかりませんが、プレーオフ争いには絡みたいところでしょうか。

対する長崎は今年から新たに手倉森さんを招聘して体制作りが始まったばかり。いくら百戦錬磨の手倉森さんとはいえ、最初は苦労するかもしれませんね。もともと手倉森さんのスタイルというのは、鹿島出身ということもあり、分かりやすい形があるわけではない。試合巧者なチームを作って、いやらしく勝ち点を積み上げていくスタイルですので、そういう部分をチームに落とし込むのは、そうそう簡単なことではない。高田社長は忍耐強いでしょうから、あとはサポーターが我慢できるかどうか。試されてますよ。

 

■前半

あんまり意識してなかったんですけど、学校の春休み期間で、かつ、春分の日が絡んでくる時期なんですよね。松山の宿が全く予約できない。さすがは四国でも指折りの観光地。ハイシーズンには多くの観光客が押し寄せるらしい。皆さん、そんなに坊ちゃん電車に乗りたいのだろうか。ともあれ、ワタクシ、完全なる宿難民と化していて、楽天さんであれこれ必死に探すと、ようやく探せだしたのが、伊予鉄の横河原という駅にあるビジネスホテルだったりする。

それにしても、横河原。。。伊予鉄ナントカ線の終点ですよ。東京でいうならば、東京ドームで応援した後、都営三田線の終点である高島平とか、都営新宿線の終点である本八幡まで行かないとホテルがなかった状態。もはや松山市でさえなく、「東温市」という自治体らしい。……東温市とは? 松山からの方向的に「東」は解る。「温」は? 温泉の「温」なのか、「温州ミカン」の「温」なのか⁇ まあ、こういう機会でもないと足を踏み入れることはなかったでしょうから、前向きに捉えましょう。

 

伊予鉄の「いよ立花」駅からバスに乗ってニンスタへ。そしてキックオフ。まず愛媛ですが、縦パスが入って攻撃のスイッチがオンになると、多くの選手がゴール前に押しかけて、さながらジェットストリームアタック。これが可能になっているのは、野澤と田中という、いわばWアンカーなボランチコンビがいるから。2人とも最終ラインに落ちることもできるバランサー。どちらかがリスクマネジメントするから、アタッカー陣は本能剥き出しの前掛かりになれる。

しかし、そういう相手を向こうに回したときの長崎はしたたか。まずは相手の攻撃を受ける。重厚なブロックで手詰まりにさせ、うまく高い位置で引っかけられればそのまま愛媛ゴール前に押しかける。ブンデスの試合を見ているような「手数少なく攻められれば、それが最も合理的。なので通るのであればパスレンジは長い方がベター」というイズムが伝わってきます。

 

■後半

スコアは前半に長崎が先手を取りました。愛媛の猛攻をいなしつつ、セットプレーから相手のミスも利用しながら、さっさと得点を奪う。なんとも手倉森さんらしいというか、高木監督時代以来の長崎らしさというか。追いつきたい愛媛は後半途中に山瀬を投入。そうか山瀬、今年から愛媛か。それに伴い神谷がトップ下に入る3412になったかも。加えてシャドーだった近藤もWBにスライドします。その近藤、WBとしての適正がめっちゃ開花してましたよ。押し込んでいるとき限定かもしれませんが、水を得た魚のようにキレッキレ。

しか〜し、それでもスコアは動かせません。というか手倉森さんが動かさせない。後半早めに島田を投入して4141で守りを固めてシュートコースを消し続けると、終盤には逆に押し返してビルドアップを妨げるべく前線に畑を入れる。百戦錬磨の逃げきり劇でございました。

 

ところで、松山って、野球の町を目指しているんですよね。「野球」って言葉の生みの親か何かの正岡子規にかこつけて(心の悪い声「プロ野球球団もないくせに…」)。そんなお土地柄もあってか、この日のニンスタの観客席はいささか寂しかった。2622人。そもそも箱が大きいだけに、寂寥感に堪えきれない。ゴール裏は両方ともに閉鎖されていて、サポーター密集ゾーンとなるはずのバックスタンドも空白が目立つ。サッカーを文化として浸透させるには、もう少し時間が必要なのかも。

尤も、ワタクシがサッカー観戦を始めた15年くらい前の平塚競技場も、こんな感じでした。バックスタンドの後ろの方では余裕で横になって爆睡できる人口密度だったと記憶してます。それが今や、その頃に比べて2〜3倍の客が入るようになった。愛媛もこれからです。ちなみに、そんなまばらなバックスタンドですけど、傾斜がえげつなくないですか?今回はメインスタンドに座ってたんですが、再訪する機会があれば、今度はバックスタンドの急傾斜を体感してみたいな、なんて思ったりもしました。

 

ホームチームの苦難⁈〜群馬vs秋田(3/10)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

今シーズン3試合目は正田醤油スタジアム。正田一族のご令嬢がロイヤルウエディングで日本を明るくしてから半世紀。いまや、お孫さんの結婚相手について、いろいろとツッコミどころがありすぎて、なんだかワチャワチャしている今日この頃、ザスパは布体制2年目に突入です。高校サッカーの名将も協会入りしてからは、あまり評判が芳しくなく。でも、昨シーズンも後半から終盤にかけては強かった印象も。尤も去年のJ3は大相撲でいえば9勝6敗でも3位争いくらいはできていたので、今年こそ真価が問われる。

相手は秋田。数字的には杉山監督も悪くなかったなかで、昨シーズン途中に、敢えての間瀬第二次政権誕生っていうプロセスがありますから、間瀬さんは間瀬さんで正念場のシーズンになりますし、そういう判断を下したフロントもも、また正念場。なんせ、殿様知事がスポーツインフラへ圧力をかけまくるお土地柄。だからといって地に足がつかなくなっては全てがおじゃんですので、堅実に成長してくれ。

 

■前半

この試合は17時キックオフという、少しトリッキーなスケジュールでしたので観光をしてきました。「十年一昔」とはよく言ったもので、いやぁ、激変しましたね。「何が?」って話ですが、富岡製糸場ですよ、富岡製糸場。ワタクシが10年ちょっと前に立ち寄ったときには、いまだ一般公開されていなくて、守衛所の前から外観を背伸びして眺めるくらいしかできなかったのに、今回訪ねたら、それはそれは立派な観光地になっていたではありませんか!いまさらながら、世界遺産になるって凄いなぁ。

その2匹目のドジョウを狙ってか、群馬県、今度は「上野三碑」を前面に押し出している模様。なんせ、駅の改札を出たところのコンコースにレプリカを飾ってあるレベル。……でも、さすがにしんどくない⁇  詳しくは知りませんが、要するに昔の石碑ですよね。どこにインスタ映えする要素があるんだ? 観光地として成功するための最大要因、それはインスタ映え富岡製糸場はそこをクリアしている。でも上野三碑は……しんどくない⁇

 

システムについては、ザスパが352。あるいは532。3バックに3ボランチのあれ。アンカーには青木翼が入って、2トップの一角が青木翔太。この2人が間違いなくビルドアップのキーマンなんですけど、それにしても、「翼」と「翔太」って。。。ただでさえ同じ名字なのに、2人ともフライハイやん。ともあれザスパのサッカーは低く構えて、奪ったら長駆する、両WB(+辻)が死ぬパターンのヤツ。

秋田のシステムはアンカーを置く433。非常に特徴的で、何はともあれ両ウイングがサイドライン際にえげつないくらい開いている。横幅広く使うにも程がある。そう、秋田のサッカーは一言、「サイドアタック」‼ ビルドアップの段階で長短織り交ぜたサイドチェンジ。仕掛けもサイド、人数をかけるのもサイド。そうやっているうちにインサイドハーフがするする侵入していく、そんなサッカーです。

 

■後半

前半から、両チームとも目指すサッカーの片鱗を見せつける、緊張感溢れる応酬。その中で秋田CFの林容平が股裏にアクシデント発生して退いてしまいます。いつみても線が細いよね〜、林容平。「お前は、ベレーザの清水梨沙か‼」と。対照的にザスパのCF青木は輝きを見せました。もうね、バッジオみたい。ゴールも決めたし、起点にもなるし、スルーパスも出すし。ともあれ試合は疑惑のPKによるゴールで同点になって折り返します。

後半に入るとホームのザスパが押し気味に試合を進める。そして、シュートのこぼれ球に反応して押し込んだのは、再び青木翔太。このままいけばMOM、だったはずなんですけどねぇ。群馬は深いラインでブロックを作って、攻められながらもシュートを打たせない守備で逃げ切りを図るものの、今度は翼の方の青木が中盤で致命的なバックパスミス。そのまま藤沼に決められてしまい、勝ち点がすり落ちてしまいました。ザスパとしては悔しいドローとなってしまったのではないでしょうか。

 

さて、丸1年ぶりに訪れた正田醤油スタジアム。いやぁ、まさかのバックスタンド陥落。要するにバックスタンドはクローズにして観客を入れなくしてしまった。それだけ動員力の低迷が長引いているということで、そこの改善のためにも草津を「クサツ」にして、「群馬」をチーム名にした。アイデンティティと引き換えに広域化を採った、のですけれども、そんなクラブの必死な姿勢に対して空気を読まない草津町長がいましてね。

この日は開幕戦なので群馬県副知事とか前橋市長とかが来ていて、草津町長もいた。で、この町長さん、挨拶で「ザスパ草津で生まれたクラブです!」という、あくまで草津の“オラがクラブ”を主張する。まあ、それはギリ理解できる。でもね、その後、草津町が自然災害を乗り越えてきたってことを述べるにあたって、「このように、草津町は、全員野球で困難を乗り越えました‼」とか言い始める。……いやいや、サッカーの開幕セレモニーだ。なにゆえ、よりによって、「全員“野球”」なんだ、と。頑張れクサツ、未来志向でサポーターを増やしていってくれ。

 

デカモリシ見参!〜藤枝vs福島(3/9)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

今シーズン2試合目はJ3。藤枝です。経済的にも時間的にも、日帰りできるのは、ここくらいまで。というわけで、張り切ってパープルタウン。チームを率いるのは、のぶりん石崎。この人は、ホント、徹底的に現場主義ですね。営業部長とかをするより、工場長をした方が輝く人。教育委員会に入るより、学年主任のままでこそ良さが発揮される。そんな、のぶりんのもとにはデカモリシとかが集ってきております。

対する相手は福島。福島ユナイテッドといえば……、田村翔太! スタメンをチェックする。は? おらへんやん! どうした!どうした⁈と調べてみたら、これはビックリ、現所属チームは熊本! なるほど、移籍していたのか。カテゴリー的には同じですけど、去年までJ2にいたクラブですから、多少なりとも給料は上がったのでしょうか? だとすれば、まあ、栄転と言えば栄転です。となると樋口ですかね。なんだかんだ、高校サッカーのスターをついつい追いかけてしまう。

 

■前半

そういえばMYFC、下部組織の在り方がどーのこーのとJリーグから叱られていましたっけ?そんなこともあって、運営体制がテコ入れされたとかあるんですか? 昔から“蹴球都市”的なことを名乗ってはいたような記憶もありますが(脳内変換されてるかも?)、数年ぶりに藤枝を訪ねたら、すっかり駅前がMYFC感満載になっているじゃないですか‼ 行政との関係性が改善したとか、そういうことがあるんでしょうか?

運営体制が強化されたことの、1つの事例として、シャトルバスが走るようになっていた。以前訪ねたときは、コミュニティバスを1時間近く待ちぼうけしなければならなくて往生したものですが、今回は楽々。敢えて苦言を呈するとすれば、途中、パーク&ライドを拾うため保健センターってところに寄るんですけど、そこでの調整時間が異様に長いことですかね。駅からスタジアムまで30分。そのうち12分は、保健センターでの途中停車時間ですからね。特に急ぐ旅でもなかったので、実際的なデメリットは発生しなかったですけど。

 

そんなこんなでキックオフ。藤枝を眺めていると、中盤逆三角形の352でしたかね。アンカーの位置に松岡が入って、谷澤がインサイドハーフ。松岡は山形などでも活躍した石崎チルドレン枠。谷澤は、あの谷澤です、ヤザー。で、藤枝、特に自陣前でのセットプレーではシジマールが指示を飛ばす。シジマールが指示。“シジ”マールだけに……

アウェイ福島については、中盤逆三角形は同じですけど、最終ラインの枚数が違っていて4枚で、システムは4141。注目の樋口はFWでもウイングでもなくインサイドハーフ。谷澤と同じ左のインサイド。アンカーには橋本が入っていて、この選手が福島の本と心臓。松田監督は意欲的に、いわゆる“パスサッカー”を構築していて、低い位置から大胆なサイドチェンジも織り交ぜながら丁寧にビルドアップしていくスタイル。高い位置でひっかけられれば藤枝の勝ちで、プレスをかいくぐれれば福島が勝つ、そういう構図でございました。

 

■後半

で、前半については一進一退ではありながらも、まあ、全体としては福島のポゼッションを藤枝がどうにかしのぐ、といった展開で進みハーフタイムへ。どちらも決定機がありましたが、守備陣の奮闘でスコアカードは動かせませんでした。

押され気味だった藤枝は後半、システムを3421に微調整。これがはまって形勢逆転。後半は藤枝がペースを握ります。いくつか決定的チャンスもあって、その中でも印象深かったのは、福島ディフェンダーのバックパスがプレゼント状態になって、それをかっさらっての谷澤のオシャレループ。ポスト直撃。さすがはヤザー、ヤザーはヤザー。シュートだけはなにがなんでも絶対に決まらない。それでとスローインから一瞬の隙を突いてデカモリシが決勝ゴールを流し込み、その後ものらりくらりと福島の猛攻を交わし続けた藤枝が開幕戦を飾りました。

 

そんなわけで、殊勲のゴールを決めたデカモリシ。序盤からマークする福島CB阪田とロングボールの競り合いで火花を散らしていました。どちらも元トリニータ。意地と意地のぶつかり合いなのですが、そんなことよりデカモリシ、1つ1つの動きのスローリーさに磨きがかかっちゃいないかい?その分、勝負強くなったのだろうけど。

対照的だってのは福島CFの武。この選手は動きが滑らかというか柔軟というか。とりあえず、後ろ姿、カラダのフォルムのバランスがとても良い。いかにもアスリートです!って感じ。スピード、テクニック、ジャンプ力、強さ、こういう要素が万遍なく備わっているイメージ。特に動き出しやら裏抜けやらが目をひいたので、本当はポゼッションスタイルよりカウンターサッカーの方が良さが発揮されやすいのかもしれませんが、馬渡みたくステップアップしていく可能性を秘めてそうですし、今後のブレイクが期待されます。

 

まずは無難なスタート〜鹿島vsJDT(2019/03/05)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

今シーズン、初観戦っす。というよりも、この年末年始は高校サッカー天皇杯プレーオフも見に行ってないので、丸々4か月ぶりのスタジアム観戦。チョイスしたのは鹿島。やや、スロースタートになりましたかね。もともと、なぜか成績の割にサポーター支持率の低い大岩監督ですけど、植田と昌司が抜けて、三竿と優磨が出遅れた現状を踏まえると、批判されるのは酷ってもの。

対する相手はJDTと略されるチーム。……知らん。知ってるわけがない。タイのチームですよね?そりゃ知らん。せいぜい、BSで放映されたアジアカップの試合を見たくらいのもの。アジアカップではティーラシンとティーラトンが存在感を示した一方で、チャナティップは少しおとなしかったですかね。ともあれ、JDT.知らん。実はタイではなくマレーシアのチームという噂もあるぞ‼ でも、わざわざ平日に鹿島くんだりまで有給使ってやってきたのは、そういう相手と戦うアントラーズが見たかったから。ちなみに、生でのACLは初めてでございました。

 

■前半

数年に一回くらいは鹿島に遠征するんですよね。前回に訪れたときには、ベタベタながら鹿島神宮に参拝したわけですが、さすがに今回はパス。でも、せっかく有給消化してるんだから、観光はしたい。近くに手頃な観光地がないかと地図とにらめっこした結果、佐原に赴くことにした。20年くらい前に訪問した記憶がうっすらありますねぇ。それぶりです。20年前に来たときは、友人の車に乗っけてもらって、潮来とか香取神宮とかに足を延ばしたような。佐原市街地は、中心部をサクッとだけ。

ここのポイントは明確で、なんといっても伊能忠敬タウン。小江戸なのか、小京都なのか。川沿いに風情があって、時節柄、街中至る所におひな様。伊能忠敬の立派な記念館もあって、半日楽しむにはちょうど良いサイズ感なのですが、なんせ、花粉ですよ、花粉。同じ症状をお持ちの方なら分かると思いますが、ひどい日になると、ありとあらゆる思考力と五感が停止してしまう。ワタクシの場合、1シーズン2〜3日、そういう日があるのですけど、まさにそれにぶち当たってしまったよ。

 

そんな、ある種の涙目で臨んだ4か月ぶりのキックオフ。の、前に選手入場を眺めていると、JDTは赤のベンチコートで入場してくる。鹿島は黒のベンチコートだったんで、なんでホームの鹿島が赤を譲ってんだ?状態だったのですが、ベンチコートを脱ぐとJDTのユニフォームはビビッドな紫。もうね、サンガやん!ってな話なわけですよ。ちなみにサポーターは別に紫一色になっておらず、肌色。だって、JDTサポの皆さん、裸族なんだもん。

ホームで迎え撃つ鹿島はターンオーバーということか、若手を積極的に起用。まず目についたのはボランチに入っていた名古。なんだか、後ろ姿が一列前でキャプテンマークを巻いていた遠藤康に似ているような気がするのはワタクシだけでしょうか?もう一人抜擢されたのは平戸。町田でJ2アシスト王に輝いたテクニシャンが、まさかのSB起用。それでも相手ゴール前では当たり前ながら、アタッカーの動きができる。誰かに似ていると思ったら、ジェフ時代、SBにコンバートされたばかりの米倉を見ているようだ。

 

■後半

試合は拮抗しつつも前半から動く。まず山口のシュートをJDTのキーパーがファンブルして、そのキーパーが押し込みに突進してきたセルジーニョを思いっきり掴んでこかす。完膚なきまでのPKを献上しつつも、そのPKをセーブしてしまう。相当、精度の高い、遠大な計画性に基づく自作自演ですな。で、ジャッジが倒れた者勝ちっぽいところもあって、「JDT、やるやん‼」って感じで試合は進んだのですが、前半終了間際、平戸が相手が最も嫌がる「触れば即アシスト、触らなければそのままゴールイン」なキックを蹴り込み、触らなければそのままゴールインとなり、鹿島が先制して折り返します。

後半に入っても、構図はさほど変わらず。鹿島が何度かチャンスを作りながらも、そこまでリスクをかけないのでスコアが動かないなか、シュートを外し続けていたセルジーニョが、やっと仕留めて2点差に。その後は本家の“カシマる”を発動。不安定(というより雑な)ジャッジ絡みで1点は失いましたが、大勢に大きな影響はなし。キッチリとホームで勝ち点3を獲得しました。

 

ところで、この試合は両チームの左SBが互いに22番という対決でもありました。鹿島の22番は西が移籍して今年から安西。Wアンザイとしてイケイケだった頃は安在が左、安西が右に固定されていたので右専従かと思っていたのですが、ロティーナの魔改造によって左もこなせるようになっていました。

JDTの22番については、彼にはボランチであって欲しかった。だって四捨五入すれば190センチになろうかという長身にアフロヘア。もはやそれはフェライニ。それが、なんで左SBなんだと。そういう意味では釈然としない部分も否めない22番対決でもありました。

 

パイセンの沽券〜東京武蔵野シティFCvsヴィアティン三重(11月18日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

今シーズン最初で最後のJFL観戦。というか、ブリオベッカが降格して、そもそもJ3が出来てしまっていて、都内からゆっくり日帰りできるクラブが東京武蔵野シティFCだけにななっちゃったのです。ゆえに、なかなか不如意。それにしても東京武蔵野シティFC、結局、マジにJリーグを目指すのか? うかうかしていると渋谷を拠点にするクラブが誕生して、“ シティ”を剥奪されてしまうぞ。

対するアウェイチームはヴィアティン三重。東京で“三重”って単語を見かけると、なんだか感動する。「松阪(牛)」とか「伊勢志摩」とかって響きを耳にすることは稀にあれど、「三重」はそうそう見ない。あえてお見かけするとすれば、野球でトリプルプレーが発生したときのスポーツ新聞紙面くらいのような気もする。空港も新幹線の駅もない県(けれども平均所得は非常に高い)には、当然のようにJリーグクラブもないわけですが、アンリミテッドとともに頑張っておくれ。

 

■前半

この試合は武蔵野のホームゲームなんですが、たぶん諸般の事情ってヤツなのでしょう、三鷹ではなく西が丘です。ワタクシにとっては僥倖。行くぜ、赤羽!今年最後になるかもしれないし。ということでランチも赤羽。いくつか候補を決めて順繰りに訪問したところ、どうやら廃業したらしかったり(数年前、赤羽に住んでた頃には繁盛してたのになぁ…)、「本日貸切!」だったりして、なんだかんだで辿り着いたのがパーワルチー。

駅前すぐの、飲み屋に行く際には通りがちで目立つっちゃ目立つところにあるインドカレー屋さん。ずっと気になっていたのだけれど、少し怪しげというか、一見さんが入るには勇気の要る外見だったので、なかなか行けなかった店。ずっとある店だけあって、美味しかったですよ。ナンを食べ終えてもそれなりにカレー汁が残っていたのでライスを追加。ダイエット不可避。

ゲップが出そうになるコンディションのなか、試合は始まる。どちらもオーソドックスな442というクラシカルなマッチアップ。東京武蔵野シティFCの2トップの一角には本田圭佑が君臨してました。「どの本田圭佑だ?」とか問われそうですけど、ですよ、そうですよ、あの本田圭佑ですよ。ワタクシにとっての“あの本田圭佑”と、皆様にとっての“あの本田圭佑”、もっといえば世間一般における“あの本田圭佑”が一致する保障はないですけど、とにかく、あの本田圭佑です。

対するヴィアティン三重の最終ラインには、例によって、加藤秀典和波智広が顔を揃える。大ベテランどころか、大々ベテランですけど、ふるさと納税みたいなもの。何らかの形で自分を育ててくれたコミュニティには恩返ししなければならないのです。そして、ボランチにはさらに野垣内俊が構えている。岐阜時代からの背番号17を背負っているのですが、四日市とかの北勢のサッカーチームで17番を背負うということは、そこに象徴的な意味合いを込めるオーディエンスもいるわけで、とにもかくにも頑張っとくれ。

 

■後半

お互いが442ということもあって、特に前半は、さほど極端な構図があったわけではないのですが、比較的ポゼッション気味の三重に対して武蔵野は比較的カウンター気味。その武蔵野がコーナーキックからのゴールとミドルシュートで2点をリードして折り返します。カウンター重視で、セットプレーや相手のルーズさを突くプレーで点を取るというのは強いチームの証。順位通りと言えます。

で、公判になると、追いかける三重がより支配率を高め、それを武蔵野が受けて跳ね返すという構図がより明確化します。ただ、ドン引きからの縦ポンではなく、ちゃんとカウンターの刃をチラつかせるところが武蔵野の良さ。カウンターに移行した際のアタッカー陣が速いのなんのってな話。追いつきたい三重は後半頭に2枚替え、3枚目のカードも早めに切る。そして、基本的に采配は的中していて、ボール回しは潤滑化したのですが、ポゼッションを高めれば高めるほど武蔵野の思う壺にハマるという皮肉もあって、スコアを動かせないままタイムアップとなりました。

 

ところで、この試合では6番のFWを10番のCBが対応するという、ヘンテコなマッチアップがありました。で、ホイッスル直後のファーストコンタクトで10番CBが6番FWに思いっきりショルダーチャージをぶっかますということがありました。10番のCBは武蔵野の金守で、6番のFWはヴィアティンの坂井将吾。武蔵野の一筋10数年の金守と、山形でデビューして将来を嘱望された時期もある坂井。二人とも四中工なんですよね。で、それぞれの生まれ年をウィキペディア先生に尋ねてみた。そうしたところ金守が高3のときの高1が坂井。ああ、なるほど、そういうことか。3年の先輩から1年坊主への、挨拶代わりというか、“かまし”ってヤツですね。「おい、1年、あんま舐めた態度取んじゃねーぞ」的な。そんな青春時代の一コマを三十路になって、あえて再現する。現役スポーツ選手だからこそのコミュニケーション。シビれます。

 

凄いぞ片野坂!〜ジェフ千葉vs大分トリニータ(10/21)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

昨シーズン、キャリアというか出身地というか、そういう背景をもとに大歓迎されて始まったエスナイデル革命。主な革命内容は、「日本人の基層文化なんて知ったこっちゃない、カロリー高いから米を食うな!」ってものなのですが(ハイラインやハイプレスは、量はともかく質的には真新しいものではない)、案の定、成果は低空飛行。

まあ、例えば、日本人栄養士がヨーロッパのクラブに雇われて、「余計な脂分を抑制するため、刺身以外による動物性タンパク質の摂取は禁止!牛を食うな‼肉を焼くな‼」ってやっても、多分、それで白人さんたちのパフォーマンスが上がるとは思えないですよね。そういう、文化的な背景とか、モンゴロイドとか○○ロイドとかのレベルでの相違を全く無視して、日本とは異文化で育った自らの常識を絶対視して押しつけるという意味では、エスナイデルとハリルホジッチって、なんだか似ている。片野坂監督率いる大分には無縁な現象です、はい。

 

■前半

この日は15時キックオフということで、少し暇がある。ということで、ワールドカップのときだけブルーのユニフォームを着て自撮りしつつ「ニッポン頑張れ!」ってやるインスタ女子みたいなノリで、エセ文化人ぶろうとトーハクなんぞに行ってみた。「トーハク」ってわかりますかね⁇ 東京国立博物館、通称「東博(とうはく)」のことを最近はカタカナで「トーハク」と呼ぶらしい。少なくとも自称はそういう感じらしい。

ついでに上野でランチを食べていく。雑誌などを調べた結果、「TOWA」というお店をチョイス。クラフトビール樽生のタップが15個くらいある一方で、蕎麦を前面に押し出すようなスタイル。ときどきありますよね、「蕎麦と酒菜」な飲食屋さん。そこで鍋焼きうどんを食べたのですが、当然、ビールも飲む。宮崎のひでじビールが丹精込めた「九州ラガー」、美味しゅうございました。

 

それにしても、エスナイデル監督はアンカーを置くシステムが好き。確かに熊谷アンドリューのアンカー適性はJ1含めても屈指なのかもしれませんが、ジェフの場合、全体の機能性はダブルボランチの方が潤滑なことが多い。でも、あくまでアンカーを置いた4123にこだわる。もはやアンカーと心中しようとしているとしか思えない。・・・、この夏の台風で関空大橋にぶつかった船を見てもわかるように、そもそも碇は心中されるものなんで、間違ってないっちゃ間違ってないのかも。ってことはエスナイデル監督、リアル船乗り?ならば世界各地の港ごとに女がいたりするのかしら?

対する大分は中盤を3枚並べる噂の532。最近は浦和もこれに近いシステムですし、横浜FCもこのイメージ。特徴的なのは2トップの一角に入った三平が守備のときには中盤のラインに下がって541になること。大分のセカンドトップにはけっこうな運動量とインテリジェンスが求められる模様。基本、選手交代では、そこをテコ入れしてましたし。

 

■後半

試合は落ち着かない立ち上がりとなりました。なんと言いますか、「両GKよ、頑張れ〜‼」って声がけしたくなるようなゴールで1点ずつを分け合う。その後は、ポゼッションでは圧倒的に千葉がイニシアチブを握りながらも、お手本のようなカウンター2連発で大分が前半のうちに3ー1と突き放しました。2点目は藤本の個が光ったゴールで、3点目は相手が前掛かりになったところで、オートマチックかつ縦に速い展開から、最後はゴール目の前でドフリーとなったストライカーに優しい折り返しを入れるという見事なコンビネーションによるゴール。片野サッカーの片鱗を突きつけられてゲップが出そうでした。

後半に入っても基本的な構図は変わりません。千葉が攻めます。それを大分が受け止めます。カウンターの餌食になろうとしてなっているとしか思えない千葉に、容赦なく大分が襲いかかる。特に後半になって目を見張ったのが、岩田の脚力。ダメ押しの4点目となったシーンを含めて、複数回、「(ヘロヘロとなった)松本でなく、岩田が追い越していくのね⁈」ってシーンが繰り返されるなど、終始、大分がゲームをコントロール。終了間際の失点はご愛嬌として、しっかり大分が勝ち点3を積み重ねました。

 

それにしても、大分、良いチームです。象徴的なのは藤本の大活躍。マーカーの近藤を押さえきって、GK大野をあざ笑うドリブルから決めたゴールとか、変態レベル。J3の英雄がJ2に引き上げられるも、混乱したクラブ・能力に疑問符がつく監督に“わや”にされてしまう辻正男パターンも危惧された中、そこは名将片野坂、無用の心配でした。

早くからレギュラー(序列)を固定した広島が急失速したように、シーズン中盤から終盤になっても、さらにそこから序列をひっくり返す選手が出てこないとリーグ戦は厳しい。いや、ワールドカップくらいの期間の戦いでも厳しい。そういう中で、大分は良い意味でレギュラーがときどき変化する。上述の藤本が典型ですけど、前田や国分など、去年までなら、ややもすれば「誰やねん?」と言われかねなかった選手がシーズン途中で先発のチャンスを勝ち取る。先発する選手のネームヴァリューと成績が良い意味で反比例するというのは、健全なポジション争いが繰り広げられている証拠。片野坂さんのマネジメント、侮れないですな。