昨シーズン、キャリアというか出身地というか、そういう背景をもとに大歓迎されて始まったエスナイデル革命。主な革命内容は、「日本人の基層文化なんて知ったこっちゃない、カロリー高いから米を食うな!」ってものなのですが(ハイラインやハイプレスは、量はともかく質的には真新しいものではない)、案の定、成果は低空飛行。
まあ、例えば、日本人栄養士がヨーロッパのクラブに雇われて、「余計な脂分を抑制するため、刺身以外による動物性タンパク質の摂取は禁止!牛を食うな‼肉を焼くな‼」ってやっても、多分、それで白人さんたちのパフォーマンスが上がるとは思えないですよね。そういう、文化的な背景とか、モンゴロイドとか○○ロイドとかのレベルでの相違を全く無視して、日本とは異文化で育った自らの常識を絶対視して押しつけるという意味では、エスナイデルとハリルホジッチって、なんだか似ている。片野坂監督率いる大分には無縁な現象です、はい。
■前半
この日は15時キックオフということで、少し暇がある。ということで、ワールドカップのときだけブルーのユニフォームを着て自撮りしつつ「ニッポン頑張れ!」ってやるインスタ女子みたいなノリで、エセ文化人ぶろうとトーハクなんぞに行ってみた。「トーハク」ってわかりますかね⁇ 東京国立博物館、通称「東博(とうはく)」のことを最近はカタカナで「トーハク」と呼ぶらしい。少なくとも自称はそういう感じらしい。
ついでに上野でランチを食べていく。雑誌などを調べた結果、「TOWA」というお店をチョイス。クラフトビール樽生のタップが15個くらいある一方で、蕎麦を前面に押し出すようなスタイル。ときどきありますよね、「蕎麦と酒菜」な飲食屋さん。そこで鍋焼きうどんを食べたのですが、当然、ビールも飲む。宮崎のひでじビールが丹精込めた「九州ラガー」、美味しゅうございました。
それにしても、エスナイデル監督はアンカーを置くシステムが好き。確かに熊谷アンドリューのアンカー適性はJ1含めても屈指なのかもしれませんが、ジェフの場合、全体の機能性はダブルボランチの方が潤滑なことが多い。でも、あくまでアンカーを置いた4123にこだわる。もはやアンカーと心中しようとしているとしか思えない。・・・、この夏の台風で関空大橋にぶつかった船を見てもわかるように、そもそも碇は心中されるものなんで、間違ってないっちゃ間違ってないのかも。ってことはエスナイデル監督、リアル船乗り?ならば世界各地の港ごとに女がいたりするのかしら?
対する大分は中盤を3枚並べる噂の532。最近は浦和もこれに近いシステムですし、横浜FCもこのイメージ。特徴的なのは2トップの一角に入った三平が守備のときには中盤のラインに下がって541になること。大分のセカンドトップにはけっこうな運動量とインテリジェンスが求められる模様。基本、選手交代では、そこをテコ入れしてましたし。
■後半
試合は落ち着かない立ち上がりとなりました。なんと言いますか、「両GKよ、頑張れ〜‼」って声がけしたくなるようなゴールで1点ずつを分け合う。その後は、ポゼッションでは圧倒的に千葉がイニシアチブを握りながらも、お手本のようなカウンター2連発で大分が前半のうちに3ー1と突き放しました。2点目は藤本の個が光ったゴールで、3点目は相手が前掛かりになったところで、オートマチックかつ縦に速い展開から、最後はゴール目の前でドフリーとなったストライカーに優しい折り返しを入れるという見事なコンビネーションによるゴール。片野サッカーの片鱗を突きつけられてゲップが出そうでした。
後半に入っても基本的な構図は変わりません。千葉が攻めます。それを大分が受け止めます。カウンターの餌食になろうとしてなっているとしか思えない千葉に、容赦なく大分が襲いかかる。特に後半になって目を見張ったのが、岩田の脚力。ダメ押しの4点目となったシーンを含めて、複数回、「(ヘロヘロとなった)松本でなく、岩田が追い越していくのね⁈」ってシーンが繰り返されるなど、終始、大分がゲームをコントロール。終了間際の失点はご愛嬌として、しっかり大分が勝ち点3を積み重ねました。
それにしても、大分、良いチームです。象徴的なのは藤本の大活躍。マーカーの近藤を押さえきって、GK大野をあざ笑うドリブルから決めたゴールとか、変態レベル。J3の英雄がJ2に引き上げられるも、混乱したクラブ・能力に疑問符がつく監督に“わや”にされてしまう辻正男パターンも危惧された中、そこは名将片野坂、無用の心配でした。
早くからレギュラー(序列)を固定した広島が急失速したように、シーズン中盤から終盤になっても、さらにそこから序列をひっくり返す選手が出てこないとリーグ戦は厳しい。いや、ワールドカップくらいの期間の戦いでも厳しい。そういう中で、大分は良い意味でレギュラーがときどき変化する。上述の藤本が典型ですけど、前田や国分など、去年までなら、ややもすれば「誰やねん?」と言われかねなかった選手がシーズン途中で先発のチャンスを勝ち取る。先発する選手のネームヴァリューと成績が良い意味で反比例するというのは、健全なポジション争いが繰り広げられている証拠。片野坂さんのマネジメント、侮れないですな。