沼津の成熟度は素晴らしいのかもしれない。〜アスルクラロ沼津vsガイナーレ鳥取(3/2)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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□日本代表がワールドカップ常連になった黎明期ダービー

もはや現在の20代とか30代とかは知らないフレーズかもしれませんが、「ドーハの悲劇」って言葉があるのですよ。ワタクシ的には悲劇のイラク戦ではなく、絶望の縁に追い込まれたイラン戦の方が忘れがたい。2点リードして多くの選手やマスコミや、何より我々視聴者が諦めモードになった状況で中山雅史が決めた追撃のゴールを僕らは忘れない。いや、僕は忘れない。イッツ・ユースフルデイズ。

その4年後、「ジョホールバルの歓喜」という言葉が日本中に駆け巡りました。当時の自分は「若さって凄い、生きてるだけで自信満々」ってモードじゃなくなっていて、そこまで青春の炎が日本代表とともにあったわけではないのですが、それでも鮮明に記憶が残っているのは岡野のアイコン力。若かりし自分は、それを「軽薄さ」とシニカルに受け止めた。いまは、そういう自分に反省いっぱい、でも愛おしい。

 

□Jリーグバブルの頃の選手が監督として再戦

イッツ・ユースフルデイズな中山雅史監督が率いて2年目となる沼津。初年度の中山監督、一時期は昇格を争えるところにいたりもしましたし、吉田謙監督が退任して以降、トップハーフよりもボトムハーフにいることが多かった沼津を、残留争いに巻き込ませなかった手腕は評価されてしかるべき。個人的に応援している森夢真が年間通じて活躍したのもポイントが高い。

逆にアウェイチームの鳥取は新人監督たる林健太郎体制が始まったばかり。お手並み拝見以外の言葉は出てこないわけですが、個人的には、このブログで何度も繰り返しているように、〝あの頃の桐蔭〟には基本的には懐疑的。……なのですが、小林慶行なんかは結果を出しましたし、内容的には米山篤志も悪くない。戸田和幸の評価はいまだ難しいですけど、なんだかんだで帳尻を合わせた。ってことは、それなりにはやってくれるのかな??

 

□4123対決だと起きる現象

さて、キックオフ。沼津も鳥取も4123ということだったのですが、あまり綺麗な4123って雰囲気ではなかったかもしれません。沼津の場合、中盤は確かに逆三角形なのですが、アンカーを頂点とする二等辺三角形ではない。明らかに徳永より持井の位置が高い。ほとんど2トップ。その分、両WGが慎重に構えるので4141(左高め)っぽい感じになる。特に攻撃に特化したいはずの森のポジショニングが慎重。中山さんの薫陶を受けた成果かもしれません。

他方の鳥取は4213っぽくなる。世瀬と普光院がボランチで並んで3MFの中で唯一DF登録の曽我がトップ下近くに出て行く。4123対決だと、相手のアンカーをISHの片方が捕まえにいくので、ISHの高さが前後しがちなのでしょう。ともあれ鳥取はアンカーがWボランチ風に2列目に吸収されるものだから2列目と3列目にスペースができる。ハイラインにもかかわらずスペースを作ってしまって少しバタバタしていました。

そんな構図の試合は前半から動きます。基本的にはジャブの打ち合いって感じでどちらも極端なリスクをかけるってことはなかったと思いますが、そのジャブの打ち合いの中で的確に抜け目なくクリーンヒットを打ち込んだ和田のゴールで沼津が先制します。となると、しばらくは反撃に出たい鳥取がボールを握るわけですが、むしろ沼津が擬似カウンターに持ち込んでいるようにも見えた。同時に、その擬似カウンタースタイルは運動量を求めるので、夏場に厳しいというのも伝わってきました。

 

□沼津爆勝

後半はスコア的にワンサイドゲームとなります。まずは左サイドからの鋭い低空クロスがゴール前をすり抜ける。それを拾ったのが森夢真。角度のないところから少ないタッチで鮮やかにシュートをゴールに突き刺した。さらには持井。今度は相手GKが弾いたシュートのこぼれ球を拾ってからテレビゲームのような綺麗なファインショットでリードを3点に広げます。

沼津、強いですよ。やってることが合理的。いわゆるポジショナルで5レーン系の幅を作る。そこからのボール回しは原則として外回し。だから相手に奪われたとしても、その場所は外。危険は少ない。そこから中に展開されると、一瞬、厳しいような状況になるのですが、そのフェーズになると外を捨てる。外からクロスを上げさせても、中の人数が足りていれば弾き返せるという考え方。とても合理的です。

そんな沼津に一矢報いたい鳥取は途中から明確な4231にします。最初の選手交代の時だったと思いますので2点差の段階ですかね。とはいえ、そういう小手先の対応では、なかなか完成度の違いを克服できません。サイドからのクロスとか3列目からの飛び出しとかもなくはなかったですが、チャンスらしいチャンスといえば何本かのロングシュートくらい。逆に沼津はCFの和田がこの日2点目のゴールでダメ押し。試合終盤には同じタイミングで鳥取長谷川アーリアジャスール、沼津が川又堅碁を投入するというイベントもありつつ、体勢に大きな変化は起きず。沼津が4―0で圧勝しました。