ドロー決着も、いろいろ対照的〜ヴァンフォーレ甲府vs水戸ホーリーホック(4月7日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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ヴァンフォーレ甲府、ワタクシ的には、それなりにご贔屓にしてきたクラブです。なんと言っても、ワタクシ的スーパーアイドルこと小倉隆史が、名古屋時代に大怪我を負って以降、最後の輝きを煌めかせたクラブですから。そんな甲府を率いているのは吉田達磨さん。柏時代にも、新潟時代にも、そのサッカー観は大いに評価されながらも結果に結びつけられなかった。吉田さんとしては、監督生命についてリアル試金石な日々を戦っております。

 

 

対する水戸を率いるのは、長谷部さん。2002年にベッカムが日本の主婦のハートを鷲掴みにし、ベッカムヘアが一斉を風靡していた頃、ジェフの中西永輔が髪型を真似て、「エッカムと呼んでください」なんてことを言ったものだから、往年の2ちゃんねらーとかは、「じゃあ、(当時チームメートだった)阿部は「アベッカム」だな、そして長谷部は「ハセベッカム」ということで」みたいな扱いを受けていた、あの長谷部茂利でございます。

 

■前半

 

甲府といえば山梨県の県庁所在地であり、甲斐国国府。ゆえに「甲府」というわけですが、甲斐国史上、いっちゃんつおい存在が武田信玄。なので山梨県民は武田信玄のことが大好きで、「信玄公祭り」なんてお祭りをやっている。ちょうど、この日が47回目の信玄公祭りの日に当たっていて、駅から降りた途端、それはそれは賑わっておりましたよ。とりあえず武将たちがあっちこっちでウロウロしていた。ウヨウヨとウロウロしていた。

 

そんな喧騒をシャトルバスでくぐり抜けて中銀スタジアムに到着すると、折しも「小瀬桜祭り」が絶賛開催中。と言っても、今年の桜は早かったので、葉桜でさえない状態。花見客など一人もいなかった。桜祭りって難しいんですよね。桜の開花に合わせて延期したり早めたりしづらい。早めたり遅めたりすると年度を越えてしまったりして、そうすると予算がどうのこうのって問題が出てくる。なので、小瀬桜祭りの場合、3月3周目から4月初めまで、ずっとやってる感じにしているらしい。

 

ともあれ、試合内容。甲府のシステムは昨シーズン、というより吉田さんが就任する以前より352というイメージがあるんですけど、この試合のピッチを眺めている限りでは、352なのか3421なのか、よくわからない。大田修介のポジションがインサイドハーフなのかシャドーなのか、ジュニオール・ハボスとペアになっていたのか、それとも小塚とペアになっていたのか。たぶんハボスと大田がシャドーの3421だったと思いますが。

 

一方の水戸。好調の要因を探ってやろうと観察していたのですが、さほどトリッキーなことはやってなさそうな。とりあえずハイプレスが連動してます。それから、パス&ゴーとか3人目の動きとか、そういったところで誰もサボってません。当たり前のことを当たり前にやる、それを徹底する、いわゆる‘凡事徹底’ってヤツで、それを突き詰めれば、結果として外連味のないサッカーが実現するらしい。なんてことを考えているうちに、前半はセットプレーからのハボスのゴールで甲府がリードして折り返します。

 

 

■後半

 

わりとデコとボコの歯車が噛み合った試合だったんですよね。甲府吉田達磨サッカーは、とりあえずバックパスが多い。それは弱気だからではなく、そうやって相手のプレスをおびき寄せた上で一発を狙うという目的があるから。それに対して水戸の長谷部サッカーは、全員攻撃全員守備、攻守に人数をかけるスタイル。ゆえに、水戸のプレスをいなしきれば甲府のチャンス、奪い切れば水戸のチャンスとなる。

 

そういった両チームの対照性は、ラストパス、あるいは、その一つ前のパスの在り方に象徴的で、甲府の場合、ビッグチャンスを演出するのは最終ラインやボランチから繰り出される必殺の縦パスであるのに対し、水戸の場合だと、小気味好いパス交換からのシンプルなクロスがラストパスになることが多い。吉田サッカーは狙いを秘めて相手の出方を伺うの野心のある受動的サッカーである一方で、長谷部サッカーは、あまり相手のことを意識しない、下心なき能動的サッカーといえる。

 

そんな、見方によっては興味深い構図のなか、試合は後半開始早々に動く。甲府の選手が執拗に抗議していたので、オフサイドなりハンドなりがあったのかもしれませんが、ともあれジェフェルソン・バイアーノのゴールで水戸が追いつきます。この日はゴールキックが飛びすぎたり押し戻されたりするくらいに風が強く、甲府は後半から風下に立ったのですが、その風向きの変化、風の強さに対応するのに少し手間取っているうちにリズムを崩して、同点に追いつかれた感じです。

 

 

同点に追いつかれた甲府も、気落ちすることなく反撃に出て、突如として猛然ダッシュをしかけたアンカーの窪田が見事な切り返しでPKを奪取します。しかし、キックを託されたジネイが大ブレーキ。他のチャンスも含めて悉くシュートを外す。そうやっているうちに両チームとも運動量を失いドローのままタイムアップを迎えたわけですが、最後まで選手の距離感を整え、組織的に戦えたという意味では、水戸の方が、わかりやすいグッドチームだったかもしれません。