「風間フロンターレは一意専心系だからね。」ってな試合【川崎vs柏】の周辺をウロウロと…★テレビ観戦記★

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■川崎 1 vs 4 柏[J1第8節 04月29日]

序盤からボールをポゼッションするのは川崎。なんといっても風間フロンターレのサッカーは「時計仕掛けの水色」ですからね。ギーコギーコと歯車を回しながら、一定のリズム、単一のメカニズムを突き詰めつつ主導権を握っていきます。で、「こういうタイプにはショートカウンターが有効なのかなぁ。だったら今年の柏はフォアチェックとか得意そう」と思ってみていたのですが、存外とレイソルカミカゼプレスを仕掛けない。取れそうなときは取りに行くんですけど、憲剛あたりがボールを持つと、サッサと退散してリトリートする。重心を低くして人数をかけるものだから、試合はとても堅くなる。

 

 

レイソル的には「体力面では省エネでも、守らされてメンタルが疲弊しなければ良いけどなぁ」と思って見ていたんですけど、果たして前半終了間際に先制ゴールを奪われてしまいました。セットプレーからの谷口のヘディングシュート。「これで後半にはレイソルも前から来るだろうから試合が面白くなるだろうなぁ」とワクワクしていたところ、前半のうちに同点になってしまいます。武富がバイタル中央でボールを貰うと、巧みに反転してミドルシュートを流し込みました。

 

 

後半に入ると、レイソルの得点力が際立つ展開に。まず後半の立ち上がり。レアンドロとキムチャンスがワンツーで右サイドの深いところを攻略すると、最後はレアンドロの完璧なクロスに工藤がヘディングが合わせてファインゴールを突き刺しました。で、さらに後半の15分手前。やはり基点はレアンドロとキムチャンス。というかキムチャンスが思いっきりフリーになっていて、とてもとてもシンプルなクロスを入れたところ、工藤が抜け出して2ゴール目を決めました。

 

 

追いかけなければならなくなったフロンターレはアタッカー陣を次々と投入。まずはCBの角田に代えてセカンドトップ系の船山を送りだす。それでも状況は全く打開できず。そこで次にサイドのエウシーニョを下げてファーストトップ系の杉本がピッチに立つ。一方のレイソルは満を持してクリスティアーノを投入。

 

 

交代策が奏功したのはレイソル。カウンターのチャンスで自らボールをドリブルで運び、工藤とワンツー。多少距離があるところからグランダーのシュートを決めきって4点目。いやぁ、勝負強いというか試合巧者というか。レイソルといえばネルシーニョの長期政権によってヴィトーリアのスローガンの元、試合運びの駆け引きによって勝ち点をたぐり寄せる文化を形成してきました。ネルシーニョさんは退任して神戸に行きましたけど、その時代の築かれた礎は今なお健在のようです。「リードを奪ったときには、こういう風に試合を進めるんだよ」っていう、サッカーの教科書に書いてあるような勝ち方でしたね。

 

 

 

さて、勝つときは爽快に勝つけど、負けるときのズッコケっぷりもハンパないことで有名な風間サッカー。バルサを頂点とする「自分たちのサッカーを追求すること」に至上の価値を見いだす一意専心系のチームは、黄金期バルサくらいの圧倒的感がないと容易に足下を掬われてしまいますし、ましてや格上相手だと完璧に封じられてしまうことは、ザッケローニとともに船出したブラジルでの冒険で痛いほど思い知らされたところ。なので「状況に応じて」が、ここ12年のトレンド。

 

 

ワタクシとしても一意専心系の思考停止には根本の部分で批判的なんですけど、それでも、そういう個性的なクラブが一つや二つあっても良いと考えています。「格上相手には厳しい」、これは間違いないんですが、一方で川崎フロンターレというクラブは、J1全18クラブの中でも相対的には若干強者寄りに位置していると思いますので、こういう位置づけのクラブならば一意専心系でもタイトルを獲れるんじゃないか、とも思っちゃうんですよね。この試合ではアレでしたけど、風間監督には一意専心系の可能性を提示してほしいのです。