9月(ウルグアイ・ベネズエラ)、10月(ジャマイカ、ブラジル)の2シリーズを経て、朧気ながらも、その概要が見えてきたアギーレジャパン。4試合を見たトータルとして感じた感想を述べていきます、の後編。
□ビルドアップ
多分アギーレさんとは、ブラジルワールドカップの前からコンタクトをとっていたものと思いますけど、結果的に「試合巧者=カウンターもできるチーム」が台頭したブラジルWCのトレンドにもマッチして、「縦に速いサッカー」を志向しているアギーレジャパン。イメージ的にはザックジャパンが「距離感の良い状態を作ってからラストパス」を追求していたのに対し、アギーレジャパンは「距離感の悪い状態から良い状態にするためのパス」を重視する。
まぁ、全体的にブラジル大会のトレンドなのですよ。例えば両CBがワイドに開いてアンカーがその間に入ってビルドアップするところなんかも、ブラジル大会のトレンド。で、そういうふうにやるとなればCBにもSB的要素が求められるから左CBには左利きの坂井が謎の大抜擢された。そしてアンカーには、守備的ボランチ+CBが求められるから森重になった、と。高橋秀人でも良さそうなもんですけど、少し激しさが足りないと判断されているのでしょうか。ホントは阿部がベストっぽいですが、そこは年齢の問題ですかね。
ともあれ、アギーレジャパンのキーワードは「リアクションサッカー」。良い形でボールを奪い、相手がバランスを崩している状態からのよーいドン!で、一気にフィニッシュまでいってしまおうというサッカー。そういうサッカーですから、求められるのは、その場その場で「バランスを崩した相手にとっての急所はどこか?」を即座に認識する判断力。で、そういうスペース察知能力についてはアントラーズ文化の薫陶を受けた柴崎が優れているので、彼が重用される。
ただ、「相手がバランスを整える前に攻めきる」ということは、逆に言えば、「自分たちも崩されたバランスを修正することなく一気に攻める」ということですから、展開としては、とてもせわしないものとなる。要するに攻撃と守備を同時に準備しておかなければならないわけですが、「1度に2つのことを考える」能力って、日本の学校教育では等閑視されていますからね、できないわけですよ。守備陣のミスが多発しているのは、そのへんのことが影響があるのかな、なんて。
□気になる選手たち
4試合を通じてみて、優先順位を上げた選手としては塩谷が上げられるでしょうか。いやぁ、塩谷、本田と似ている。何が似ているって、まず金髪が似ている。そして身長がほぼ同じ。体格も細マッチョ。後ろ姿だけならまるで見分けがつかない。本田と塩谷を見ていると、中田英寿のそっくりさん扱いをされてしまっていた藤本主税を思い出してしまうのはワタクシだけでしょうか? そういや藤本主税、引退するんですよね。お疲れ様でした。
もう1人、存在感を示したのは左SBの太田。ジャマイカ戦では残り数分にて投入されました。田口もそうでしたけど、これは「次戦で先発出場させる前にデビューさせておいて慣れさせよう」という布石だったんですよね、たぶん。あまりこういう起用をする日本代表監督はいままでいなかったので、「なるほどなぁ」と唸ってしまいました。ちなみに太田、90年代に微妙に活躍した山口リエさん(「やまぐち・りえ」であって「やま・ろりえ」ではない)と顔が似ている気がしますが、いかがなもんでしょうか。