キーワードは“距離感”FC東京vsヴィッセル神戸(9月13日)の周辺をウロウロと…

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今年はあまりFC東京の試合をスタジアム観戦していないような気がする・・・。

 

 

■前半

 

別にブラジルワールドカップのトレンドを意識したわけではないのでしょうけど、両チームともスペースに狙いすましたロングボールを入れていこうというサッカーを志向していましたね。で、そういうサッカーであるならばカルチョの国からやってきた指揮官の率いるチームは堂に入ったものです。ボールを奪うと、ライナー性のロングパスをアタッカーに向かってポンポンと蹴っていく。ミソは、そのロングパスがゴールへの最短距離であるところ。

 

 

一方の神戸も、序盤はスペース(相手の急所)への長いボールが多かった。ただ、FC東京との違いは横方向のパス、すなわちサイドチェンジのロングパスが多かったのと、森岡を経由した小刻みな崩しも見られた点。バリエーションなら神戸の方が豊富でした。また、ミドルシュートが多かったのも神戸の特徴かもしれません。とはいえ、ミドルシュートを撃ったのは、ほとんどチョン・ウヨン1人だったような気もしますが。それにしても、チョン・ウヨン、ホームラン王でした。往年の北澤豪みたいでした。

 

 

ところで、前半の半ばに森重が傷んでピッチの外で治療を加えるというシーンがありました。わりと時間がかかったのですが、治療が終わってピッチに入ろうとラインに立つ。のですが、いやあ、完全にシカトされていましたね〜、主審さんに。全く入れてもらえなかった。しびれを切らして、味方を怒鳴りつけるように「もう、ボールを外に出せ(怒)」との指示。これはいただけません。もちろんいただけないのは森重でなく、主審ですけど。

 

 

それまでも、そういう傾向はあったのですが、特にこの出来事以降、俄然、審判に対して猛烈な喧嘩腰になります。もちろん、喧嘩腰なのはFC東京の選手や森重ではなく、味スタのサポーターたちですけど。というか、選手紹介のタイミングにおける審判紹介で「佐藤隆治」の名前がアナウンスされた時点で盛大なブーイングでしたので、少なくとも、ハナから、スタンドと主審の間には埋めがたい不信感が横たわっていたようです。審判のレベルも含めて、これが日本サッカー界の現在地。予選落ちをザックの責任にしてはいけません。

 

 

■後半

 

後半に入ると、前半とは打って変わってFC東京も攻撃へのギアを上げる。「前半は、まず0で押さえて、後半にたたみかける」というのはサッカーの常道。そういう基礎をちゃんと遵守するのが今年のFC東京です。そんな東京の攻撃を牽引していたのは日本代表でも鮮烈な印象を残した武藤と、実は武藤以上に代表入りを嘱望されていそうな河野。この2人の距離感がとても良かったですね。442の時代の機能している2トップって、こういう距離感でした、みたいな。

 

 

特に、高橋峻希のサイド、FC東京から見て左サイドのバイタル手前くらいの位置に、入れ替わり立ち替わり出没しては、積極的なアタッキングを仕掛けていく様子は、スタンドから見ていても、かなり躍動感あふれていました。そして、そこにエドゥーがポストワークなどでアクセントを添える。この3人のコンビネーション、なかなか成熟してきているのではないでしょうか。エドゥーについては先制点となるPKを獲得し、自ら決めるなどの活躍もありました。

 

 

そのPKのとき。宣告されてからエドゥーが蹴るまでのタイミングで神戸は選手を交代します。田代に代えてペドロ・ジュニオールを投入。タイミングも含めて、この交代が結果的に絶妙でした。ペドロ・ジュニオールの投入で足下の収まりどころができた。田代は田代でハイタワーとしての役割を完徹していて、特にロングパス中心の前半において機能していましたが、森岡のゲームメーク能力を生かすなら、地上戦に秀でたペドロの方が良い。

 

 

ペドロの投入でマークが分散したことで、マルキーニョスが自由を謳歌できるようになった。また、ペドロ投入前からしばしばFC東京守備陣を困らせていたシンプリシオのオーバーラップも、より威力を増した。全体としてブラジル人トライアングルの距離感がとても良くなったので、FC東京も守勢に回らざるをえない時間が増えました。同点ゴールはPKを献上した増川が帳尻を合わせる豪快ヘッドでしたが、そのコーナーキックを得た起点もマルキーニョスでしたし、そのゴールシーンが勝ち越された直後だったことを考えると、あのタイミングでペドロを投入した安達采配を評価しなければならないでしょう。

 

 

■日本代表への推薦状

 

□推薦者

高橋秀人

□推薦理由

日本代表では、アギーレ監督が森重をアンカーとして、2試合続けて起用しましたね。役割としては2CBの間ないし脇で3人目のCBとして守備を強化しつつ、最終ラインからのビルドアップやら、中盤で門番的に守備の睨みを利かしたりやら、そういう感じ。森重本人が「FC東京での高橋の役割」とコメントしているくらいですから、普段から日本のサッカーリーグをチェックしてきるサポーターの多くは「だったら高橋秀人で良いじゃん!」って思ったに違いありませんね。

 

 

では、なぜアギーレは高橋秀人をチョイスしなかったのか。思うに、彼のプレースタイルが泥臭いというよりも、クレバーでスマートなところが気に入らなかったんじゃなかろうか。なんというか、「ウルグアイ感」が不足していますよね。中南米のミドルチームの特長は、なんといっても、中盤でのハードディフェンス。そこにはウルグアイアレバロのような、風体からしガテン系(=ブルーカラー)なニュアンスが不可欠。一方の高橋秀人は、どこからどうみてもエリートホワイトカラーですもんね、見てくれが。きっとアギーレは、そこが気に入らないに違いない。