ベンチへ向かってまっしぐら四中工vs矢板中央(12月31日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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■前半

どこぞのライターさんによれば、「4231」こそ、唯一絶対の最強フォーメーションらしいですが、どうも、日本では、そこまで猛威を振るっていない今日この頃。先日の大学選手権の決勝もそうでしたが、この試合でも、両チームとも「442」。基本に忠実に最低限を担保しようとすれば、どうしても442の方が無難なんでしょうね。1トップだと、そこにかかる様々なプレッシャーがえげつなすぎるのでしょう。

ただ、同じ442でも、両チームのスタイルには若干の違いがあるらしい。すなわち、矢板中央が10と11という2トップの馬力に任せた、縦に速い攻撃が目立っていたのに対し、四中工は右SHの8番が攻撃の起点になっていた。左利きの右SHらしく、カットインからパワフルなミドルシュートをちらつかせながら、右足でもクロスを入れていました。というか矢板中央が8番への対角線パスを簡単に通させすぎていました。

そして、前半はとにかくスコアが動いた。前半のごく早い時間帯に四中工は先制点を奪う。しかも、それは左SBだかSHだかの中田永一選手(なんだか〈中田一三中西永輔÷2〉)がクロスなのかシュートなのか、はたまた単なる放り込みなのかが、そのままゴールインしたもの。で、さらにPA内で矢板守備陣がバタバタするのを尻目に11番が追加点。そして、畳みかけるように四中工16番がキーパーからのプレゼントパスを押し込んで、あっという間に3点差としてしまいます。

ただ、そこは高校サッカー。ちょっとしたアヤで試合の流れが、あっという間に正反対の方向になってしまう。気がつけば、四中工は1点差まで追い上げられてしまいます。1点目は、サイドを崩され、そのクロスを11番に合わされたもの。そして、2点目はコーナーキックから投入されたばっかりのヒマンに決められた得点。これで俄然、矢板中央のペースとなり、四中工は防戦一方となります。

そんなわけで、後半はひたすら矢板中央のペース。で、なぜ勝負の風向きが変わったかというと、一つには、前半のうちに矢板中央が左SBの選手を代えたことが挙げられます。といいますのも、先に述べたように四中工は右SHの8番が起点になっていた。そして、矢板中央はその8番を余りにもせよフリーにさせすぎていた。そこで、ボランチかなんかに入っていた15番の選手を左SBにスライドさせます。15番の選手は体型的にCBっぽい感じなので、しっかりと8番を消すことに成功しました。ここから、四中工は中央突破のカウンター一本槍になってしまいます。

選手交代といえば、矢板中央は前半途中から何ちゃらヒマン選手を、そして、後半には何ちゃらキョーウン選手を投入しました。ダイナミックな身体能力を誇る褐色のアスリートがピッチに入ってくると、そりゃ、スタンドもどよめくというものです。このあたりは出稼ぎ労働者が多い北関東の地域性なのでしょうか。

後半、劣勢になった要因が四中工自身の内にあったとするならば、CBコンビに求められるでしょうか。25番と4番のコンビは、96ジャパンよろしくなチビッココンビ。類い希なジャンプ力と滞空時間で相手2トップとのミスマッチを解消していたのですが、少し力みすぎでしたかね。もちろん、サイズのある矢板2トップに対抗するためには、全身全霊をかけてジャンプする必要があったのでしょうが、その力いっぱい加減がクリアの際にも維持されてしまっていた。もう少し、遊び心を持って、ひょうひょうとボールを蹴り出せれば良かったのかな、と。

それもこれも矢板中央の一気呵成を前にメンタル的にアップアップになったからだと推察されます。高校生ですから、致し方ない。ワタクシなどオヤジになっても日々是アップアップですから。ともあれ、どうにかこうにか凌いでいると、終盤には、今度は矢板中央に焦りの色が濃くなる。メンタル的優位性が逆転します。最後の10分くらいは、比較的余裕を持って四中工が逃げきりました。

■日本代表への推薦状

□推薦者

・井手川純

□推薦理由

伝統のエースナンバー17を継承するFW。この試合だけで判断するなら、前田遼一系のストライカーなんでしょうかね。

関係ないですけど、昔、井手口純って選手いましたよね。マリノスかどこかに。名前が非常に似ている。名前が似ているといえば、四中工のお隣の四日市工業高校が甲子園に出たときのエースピッチャーが井手元健一郎でした。「だから、なんだ?」と言われれば、それまでですけど。

ちなみに、この選手、先制点が決まったとき、1人だけベンチに向かって猛ダッシュしてきました。こういうのは良いですね。南アフリカワールドカップのときの岡田ジャパンもそうでしたけど、良いチームに共通するのは、ピッチとベンチが一致団結していること。そのためには出ている選手がバックアッパーに感謝を表現しなければならない。簡単なようで、案外できないことですから、賛辞に値するのではないでしょうか。